前回からの変化
前回(2026-10-15、前日)との比較である。
変わったこと(変化・新規)
- ビットコインは前回の81,921.82ドルから82,323.52ドルへ(401.70ドル高、24時間で0.72パーセント高)、イーサリアムは2,416.03ドルから2,460.57ドルへ(44.54ドル高、24時間で1.85パーセント高)。前回は下落、今回は小幅な上昇で、取得時刻は異なる(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)
- 話題が、欧州の銀行連合の免許と米国のトークン化担保から、カード大手2社のステーブルコイン基盤と、EUによるUSDCの監督強化へ移った
- 特集は、国債のトークンを担保にしたレポ取引から、国際送金の資金をステーブルコインで先に積む「事前積み立て」へ移った
昨日と同じこと(継続)
- 既存の金融機関や決済事業者が、ステーブルコインやトークン化を自社の仕組みに組み込む動きが続く
- 前回取り上げたQivalisは、ホワイトペーパーの提出と審査を経て数か月後に発行する段階にあり、新しい続報は確認できなかった
- 新たなハッキングや取引所の破綻は確認できなかった
要因の連続性
- 継続要因: MiCAなどの枠組みの整備と、決済大手・銀行による実利用への組み込み
- 新規要因: カード大手2社が、ステーブルコインを使う送金基盤を提供・本番運用の段階に進めた。EBAによるUSDCの重要分類で、大手発行体への監督が重くなった
- 解消した要因: なし
市況ひとこと
ビットコインは82,323.52ドルで、24時間では0.72パーセント高だった。イーサリアムは2,460.57ドルで、24時間では1.85パーセント高である。数値は10月16日朝(日本時間)に価格サイトで確認した表示値で、いずれも変動は5パーセント未満のため、特記する理由は付けない(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)。
社会実装・インフラへの採用
以下はLedger Insightsの記事で、掲載日は出典ページ上で確認できなかった(16日朝の時点で最新の記事群)。
マスターカード、ステーブルコインと法定通貨を並べて持つ基盤を提供開始
- 誰が・何を: マスターカードが、8月に完了したステーブルコイン技術会社BVNKの買収(18億ドル)を土台に、「グローバル・マネー・プラットフォーム」の提供を始めた。ひとつのAPI(システム同士をつなぐ窓口)で、法定通貨とステーブルコインを並べて保有し、両者を換算できる口座を作れる
- 技術・規模: ステーブルコインに紐づくカードや、送金サービス「マスターカード・ムーブ」での支払いに使える。2027年中に、200以上の国・地域で40以上の通貨に対応する計画である。初期の利用企業として、Nuvei、Marqeta、Ontop、Beem、Almond FinTechが挙げられた
- 段階: 提供開始(初期顧客あり)。本番での取引量は示されていない
- トークンの扱い: ステーブルコインそのものを扱う基盤である。対象のステーブルコインの銘柄は、確認した範囲では明示されていない(Ledger Insights)
ビザ、国際送金のステーブルコイン事前積み立てを本番へ(下の特集を参照)
詳しくは特集で扱う(Ledger Insights)。
BBVAとサンタンデール、シンジケートローンの全工程をブロックチェーンで
- Ledger Insightsの見出しによると、スペインの2行が、協調融資(シンジケートローン)の組成から管理までの全工程をブロックチェーン上で動かす基盤を立ち上げた。記事本文は取得できず、段階や規模、使うチェーンは確認できていないため、続報で確認する(Ledger Insights)
各国の法改正・規制
EU
- EBAが、サークルが発行するUSDCを、MiCAの下で初の「重要な電子マネートークン(EMT)」に分類した。重要と分類されると、フランスの監督当局ACPRに加えてEBAが監督に加わり、銀行に置く準備金の割合が30%から60%に、自己資本の要件が準備金の2%から3%に上がる。段階は分類の決定である。MiCAの見直し(MiCA 2.0)も議論されており、欧州中央銀行制度は、60%の銀行預金の要件を、毎日・毎週の流動性の区分に置き換える案を示していると記事は伝える(Ledger Insights)
日本
- 「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」は、2026年7月15日に成立し、7月23日に公布された。暗号資産取引の根拠法令が資金決済法から金商法に移り、暗号資産のインサイダー取引規制が新設される。違反の罰則は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金である。施行は公布から1年以内(2027年7月23日まで)で、既存事業者には施行後6か月の猶予がある。税制は、2026年3月31日に成立した所得税法の改正で、暗号資産の所得が分離課税の対象になる(BusinessLawyers)。今回新たに確認できた動きではなく、制度の現在地の整理である
米国・その他
- 新たに確認できた制度の動きはない。
特集: 新しいビジネスの形
国際送金の資金を、ステーブルコインで先に積む
直近2週間の特集は、預託機関型トークン化、銀行間決済トークン、ステーブルカード、x402、準備金の運用益を分けるステーブルコイン、トークン化預金、信託銀行化、第三者による株式のトークン化、ローン債権のトークン化、標準ウォレット、小規模銀行のトークン、担保ミラーリング、トークン化MMF、国債トークンを担保にしたレポだった。今回は、国際送金の「事前積み立て(プレファンディング)」にステーブルコインを使う仕組みを取り上げる。
- 仕組み: 国際送金や、海外の受取人への一斉の支払いでは、送金事業者があらかじめ受取国側に資金を積んでおく必要がある。これが事前積み立てである。従来は法定通貨を銀行の口座間で動かすため、銀行の営業時間外や週末は資金を移せない。ビザは「ビザ・ダイレクト」で、この積み立てをステーブルコインで行えるようにした。1月にBVNKと試験を始め、8月にzerohashを加えた(Trade Informer)。Ledger Insightsによると、今回、決済事業者のInyo Globalを最初の対応事業者として、試験から本番運用に移った
- 誰がどう稼ぐのか: 収益の分け方は公表されていない。ビザやマスターカードは決済の手数料、zerohashやBVNKのような基盤事業者は変換や保管の手数料を得る立場にあるとみられる。送金事業者は、各国に余分な資金を寝かせておく量を減らせるのが利点である。マスターカードは同じ領域で、法定通貨とステーブルコインを並べて保有できる口座を提供する
- 既存のやり方との違い: 夜間や週末にも資金を動かせるため、資金が届くまでの待ち時間が短くなる点が変わる。一方、受取側で現地通貨に換える段階は残る
- 課題・リスク: ステーブルコインの発行体の信用、各国での位置づけの違い、換算時のコストが課題になる。確認した範囲では、取引量や削減できるコストの数字は示されていない
- 具体例: ビザ・ダイレクトとInyo Global、マスターカードのグローバル・マネー・プラットフォームとNuvei(Ledger Insights)
業界トピック
- 前日〜現在に、新たな大規模ハッキングや取引所の破綻は確認できなかった。

