前回からの変化
前回(2026-10-15、10月14日の値)との比較である。値は各ページの10月15日時点(日本時間16日朝に確認)の表示値で、確定終値ではない。
変わったこと(変化・新規)
- 銀は前回の55.64ドルから57.42ドルへ(1.78ドル高)反発した。前回は5.97%安だった(TradingEconomics: Silver)
- 金は前回の4,105.35ドルから4,170.81ドルへ(65.46ドル高)上げ、支持線とされる4,100ドルを上回った(TradingEconomics: Gold)
- 貴金属の材料が、前回の「米CPI上振れによる利上げ観測」から、「株安・長期金利低下・ドル安による安全資産買い」へ変わった(Kitco: Latest News)
- WTIは前回の95.11ドルから97.55ドルへ(2.44ドル高)上げた。ホルムズ海峡で商船が攻撃を受けたことや米原油在庫の減少が材料となった(TradingEconomics: Crude Oil)
- 天然ガスは前回の3.2864ドルから3.21ドルへ、小麦は673.5セントから669.25セントへ小幅に下げた(表示値同士の比較)
昨日と同じこと(継続)
- フーシ派によるサウジアラビアの施設への攻撃が続き、ブレントは105〜106ドル台で高止まりしている
- 米国の物価上昇(9月CPIは前年比3.7%)への警戒が続き、貴金属の上値を抑える材料になっている
- 黒海情勢が小麦の値動きに影響する構図が続いている
要因の連続性
- 継続要因: 中東の供給不安、米国の物価高と高金利の長期化観測、黒海情勢
- 新規要因: 株式市場の下落(AI投資の持続性への懸念が背景とされる)による安全資産買い、ドル安、長期金利の低下。ホルムズ海峡でのコンテナ船への攻撃と、米原油在庫の8.6百万バレルの減少。天然ガスの在庫積み増しが予想を下回ったこと
- 解消した要因: 前回の貴金属安の直接の引き金だった米CPI上振れの影響は、金利低下で一服した
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年10月15日) | 騰落率(前日比) | 前回値(10月14日) |
|---|---|---|---|
| 金(スポット) | 1オンス4,170.81ドル | 1.59%高 | 4,105.35ドル |
| 銀 | 1オンス57.42ドル | 3.28%高 | 55.64ドル |
| WTI原油 | 1バレル97.55ドル | 2.59%高 | 95.11ドル |
| ブレント原油 | 1バレル105.68ドル | 0.36%安 | 106.07ドル |
| 天然ガス(Henry Hub) | 1MMBtu 3.21ドル | 0.37%高 | 3.2864ドル |
小麦は1ブッシェル669.25セント(0.59%安、前回673.5セント)。値は各ページの10月15日の表示値で、取得時刻は確認できていない。限月は各ページの代表値(期近)に基づく。
商品別動向
金・銀
TradingEconomics: Goldによると、金は4,170.81ドルで1.59%高、月間では2.18%安、前年比では3.64%安である。世界的な株安と、インフレ期待の高まりを受けて、安全資産に資金が向かった。ハイテク株は、高金利下でのAI投資の持続性への懸念から大きく下げたとされる。ドル安や中東・ウクライナの緊張も支えた。
銀はTradingEconomics: Silverによると57.42ドルで3.28%高、月間では8.79%安、前年比では5.95%高である。同じ安全資産買いと、ドル安が支えた。
Kitco: Latest Newsは、米国の長期金利の低下とドル安、安全資産需要で、金と銀が米国時間の遅い時間帯に大きく上げたと伝えている。同サイトによると、中国の中央銀行は先月、金準備を23トン積み増した。金の上場投資信託(ETF)には、7〜9月期に過去最高の310億ドルが流入した。
原油
TradingEconomics: Brent oilによると、ブレントは105.68ドルで0.36%安、月間では0.15%安、前年比では73.07%高である。ホルムズ海峡でシンガポール船籍のコンテナ船が攻撃を受けて沈み、ペルシャ湾のタンカー運賃が過去最高となった。米国の原油在庫は10月9日までの週に860万バレル減り、2月以来の大幅な減少となった。イランが米海軍に報復すると警告し、フーシ派はサウジアラビアの施設への攻撃を続けている。
WTIはTradingEconomics: Crude Oilによると97.55ドルで2.59%高だった。米軍がイランへの軍事行動を準備していると報じられ、在庫の減少と合わせて買いを誘った。国際エネルギー機関(IEA)は、ディーゼル市場の逼迫が来年まで続き得ると警告している。
天然ガス
TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hubは3.21ドルで0.37%高だった。米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計で、貯蔵への積み増しが670億立方フィートと、予想の760億立方フィートを下回り、買いを誘った。全米の生産は10月に日量110.8億立方フィートと、夏の過去最高(113.3億立方フィート)から減った。ハリケーンによる停止やパイプラインの障害が響いた。ただ、10月下旬までの温暖な予報が暖房・冷房の需要を抑え、上値は限られた。LNG(液化天然ガス)輸出施設向けのガス供給は日量175億立方フィートと、前月の179億立方フィートを下回った。
農産物
TradingEconomics: Wheatによると、小麦は1ブッシェル669.25セントで0.59%安だった。2か月ぶりの安値からは持ち直している。ロシアのドローンがルーマニア海域の化学品タンカーを攻撃し、黒海の穀物輸出路への懸念が強まった。一方、ロシア産小麦がバルト海経由で出荷されて、供給への不安は和らいでいる。
急変動の特集
銀、5.97%安の翌日に3.28%高
銀は前日(10月14日)に5.97%安の55.64ドルまで急落した後、10月15日は57.42ドルへ反発し、目安の1日3%超の値動きが2日続いた。月間では8.79%安で、依然として下落基調の中にある(TradingEconomics: Silver)。
反発の背景は、株式市場の下落による安全資産買い、ドル安、長期金利の低下である(同上、Kitco)。前日の下げは米CPIの上振れによる利上げ観測が主因だったため、銀は物価統計と株式市場のどちらにも敏感に動く展開になっている。
生活・産業への波及は、直接には限られる。銀は太陽光パネルや電子部品の材料で、値動きが部材コストに影響し得るが、短期の変動では価格転嫁は起きにくいとみられる(推測)。
強気派 vs 弱気派
金(強気): ジェフリーズは、短期の弱さは買い場だとし、2027年に1オンス5,000ドルを目標としている。鉱山会社の利益率が高く保たれる見通しも根拠に挙げた(Kitco: Latest News)。Kitcoが10月14日に伝えた見方である。
金(強気の材料): 金ETFには7〜9月期に過去最高の310億ドルが流入し、債券利回りが高い中でも需要が底堅いと伝えられている(Kitco: Latest News)。
金・銀(弱気の材料): Kitcoは、9月の消費者物価が前年比3.7%、生産者物価が前年比6.3%と強く、利上げ観測が金の重しになっていると伝えている。ただし、これは発言者を特定できる相場観ではなく、媒体の整理である。名指しで根拠を示した弱気派の発言は、今回確認できなかった。
原油・天然ガス・農産物: 発言者と根拠が確認できる強気・弱気の見解は、今回確認できなかった。
地政学・物価関連ニュース
中東では、ホルムズ海峡でシンガポール船籍のコンテナ船が攻撃を受けて沈み、ペルシャ湾のタンカー運賃が過去最高となった。米軍がイランへの軍事行動を準備していると報じられ、イランは米海軍への報復を警告している(TradingEconomics: Crude Oil)。フーシ派によるサウジアラビアの施設への攻撃も続く(TradingEconomics: Brent oil)。ディーゼルの逼迫は、運賃を通じて食品や日用品の価格に波及し得る。
黒海では、ロシアのドローンがルーマニア海域の化学品タンカーを攻撃した。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの製油所への攻撃を再開する決定をしたと伝えられる(TradingEconomics: Wheat)。穀物の輸出路と、ロシア産ディーゼルの供給が焦点となる。
米国では9月の消費者物価が前年比3.7%と予想を上回り、物価高と高金利の長期化への警戒が続く(Kitco: Latest News)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
移動平均線(50日・200日)とRSIの当日値は、今回の出典で確認できなかった。確認できた範囲で解説する。断定的な売買判断ではない。
金: 4,170.81ドルは、支持線とされる4,000ドルを上回っている。Kitcoは4,000ドルを当面の支持線としている。前日に4,100ドル近辺まで下げたあと、反発して4,100ドルの上に戻った(Kitco: Latest News)。
銀: 57.42ドルは、前日に付けた55.64ドルから反発した水準である。前回、弱気派の見方として挙がった50ドルは、依然として節目として意識される水準とされる。1日の上下が大きく、値動きの荒い局面が続いている(TradingEconomics: Silver)。
原油(WTI): 97.55ドルは、前回挙げた50日移動平均線(87.03ドル、当日の再確認はできていない)を上回る。月間の騰落率は今回確認できていない。
天然ガス: 3.21ドルは、前回挙げた200日移動平均線(2.841ドル前後、当日の再確認はできていない)を上回る水準にある。
小麦: 669.25セントは、2か月ぶりの安値圏から持ち直した水準である(TradingEconomics: Wheat)。

