前回からの変化
前回(2026-10-10、10月9日の値)との比較である。間の10月12日(月)は当カテゴリの実行日ではなく、10月9日から12日までの値の動きを比べている。値はいずれも各ページの10月12日時点の表示値で、確定終値ではない。
変わったこと(変化・新規)
- 金は前回の4,193.00ドルから4,171.42ドルへ(21.58ドル安)下げ、前回回復した4,200ドル手前の戻りは一服した(TradingEconomics: Gold)
- 銀は前回の60.81ドルから60.30ドルへ(0.51ドル安)下げ、前回の下値の目安だった60.30ドルに並んだ(TradingEconomics: Silver)
- 原油は前回の「一服」から上昇に転じた。ブレントは104.43ドルから105.99ドルへ(1.56ドル高)、WTIは91.60ドルから93.10ドルへ(1.50ドル高)で、2週間ぶりの高値圏である(TradingEconomics: Brent oil、TradingEconomics: Crude Oil)
- 天然ガスは3.20ドルから3.18ドルへ(0.02ドル安)、小麦は6.7075ドルから6.7275ドルへ(0.02ドル高)とほぼ横ばいだった(TradingEconomics: Natural gas、TradingEconomics: Wheat)
昨日と同じこと(継続)
- ホルムズ海峡でのタンカー事故など中東の供給不安が原油の支えである構図は続いている
- ハリケーン・イザイアスによる米メキシコ湾の減産が続いている。出典によれば海上生産の約59%が停止し、前回の「6割超」とほぼ同じ水準である
- FRBの追加利上げ観測も続く。12月までの利上げを織り込む確率は85%とされ、前回(81〜82%)からやや上がった
要因の連続性
- 継続要因: 中東の供給不安、ハリケーンによる減産、米利上げ観測の根強さ。金・銀にはドル高と米金利の高さが重しとして続く
- 新規要因: ドルが約18か月ぶりの高値となり金・銀の重しが強まった。原油では、サウジアラビアの空港へのイエメンのフーシ派とみられる攻撃と、ロシアによるウクライナのエネルギー施設への攻撃が新たな買い材料となった。今週発表の米消費者物価(CPI)と生産者物価(PPI)が注目材料に加わった
- 解消した要因: 前回の原油の重しだった「ロシアのディーゼル放出」の話は、再び「将来の供給緩和の可能性」にとどまり、価格への影響が薄れた。前回戻りを支えた「ドル安と米債利回りの低下」は一転して逆風に変わった
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年10月12日) | 騰落率(前日比) |
|---|---|---|
| 金(スポット) | 1オンス4,171.42ドル | 0.54%安 |
| 銀 | 1オンス60.30ドル | 0.82%安 |
| WTI原油 | 1バレル93.10ドル | 1.36%高 |
| ブレント原油 | 1バレル105.99ドル | 1.22%高 |
| 天然ガス(Henry Hub) | 1MMBtu 3.18ドル | 1.35%安 |
小麦は1ブッシェル6.7275ドル(672.75セント、0.26%高)。値は各ページの10月12日の表示値で、取得時刻は確認できていない。限月は各ページの代表値(期近)に基づく。
商品別動向
金・銀
TradingEconomics: Goldによると、金は4,171.42ドルで0.54%安、月間では2.97%安である。ドルが中東情勢を背景に約18か月ぶりの高値まで上げ、投資家は今週の米インフレ指標を待っている。市場は10月のFRBの利上げ確率を20%未満、12月までの利上げ確率を85%と織り込む。
銀はTradingEconomics: Silverによると60.30ドルで0.82%安、月間では4.63%安、前年比では15.15%高である。同じくドル高が重しとなった。2026年1月の史上最高値121.64ドルからは大きく下げている。
Kitco: Latest Newsは、金が第3四半期に持ちこたえ、金上場投信(ETF)には同期間に310億ドルが流入して過去最高の四半期になったと伝えている。
原油
TradingEconomics: Brent oilによると、ブレントは105.99ドルで1.22%高、月間では0.30%高、前年比では67.39%高である。ロシアによるウクライナのガス生産施設を含むエネルギー施設への攻撃と、フーシ派とみられる勢力によるサウジアラビアの空港への攻撃、ホルムズ海峡のタンカー事故が供給懸念を強めた。一方で、ペルシャ湾岸の原油輸出は戦争前の約98%の水準を保っているとされる。ロシアのディーゼル供給をめぐる合意の動きが、先々の緩和材料として注目されている。
WTIはTradingEconomics: Crude Oilによると93.10ドルで1.36%高、3営業日続伸した。月間では8.18%安、前年比では56.49%高である。
天然ガス
TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hubは3.18ドルで1.35%安、月間では9.69%高である。ハリケーン・イザイアスで米メキシコ湾の海上生産の約59%が停止したが、全米生産に占める割合は約2%にとどまる。EIAの貯蔵統計では850億立方フィートの積み増しが予想を上回り、米国のLNG(液化天然ガス)輸出量も、主要施設の保守で9月の日量180億立方フィートから10月は171億立方フィートへ減っている。
農産物
TradingEconomics: Wheatによると、小麦は1ブッシェル6.7275ドルで0.26%高、月間では6.82%安、前年比では35.43%高である。ロシアとウクライナの和平交渉の可能性が伝わり、8月半ば以来の安値をつけた。黒海の混乱でアジアの製粉業者は先物の購入を減らし、12月分までの手当てにとどめているという。
急変動の特集
特集なし。原油は1.2〜1.4%の上昇で、急変動の目安(1日±3%超)には届かなかった。前回特集した原油(ブレント・WTI)のフォローとして、ブレントは104ドル台から105.99ドルへ上げ、前年比67.39%高の水準にある。生活への波及は、ガソリン・軽油・運賃を通じた物価の押し上げ圧力が残る(推測)。
強気派 vs 弱気派
金・銀(強気): ピーター・シフ氏(金融アナリスト)は、金利の上昇こそ金にとって最も強気な材料だと述べ、米国の財政悪化への警戒が先々の追い風になると主張する(Kitco: Latest News)。
金・銀(弱気・短期): バンク・オブ・アメリカは、金が現在の下落基調を反転させるには、FRBのハト派姿勢への転換か、通貨の価値が薄まることへの警戒の再燃が必要だと指摘する。ドル高と米債利回りの高止まりが逆風という根拠である(Kitco: Latest News)。
原油・天然ガス・農産物: 今回の調査では、発言者と根拠が確認できる強気・弱気の見解は見つからなかった。前回紹介したバークレイズの強気予想などは10月上旬のもので、更新は確認できていない。
地政学・物価関連ニュース
ウクライナでは、停戦が表明される中でもロシアによるエネルギー施設への攻撃が続いている。中東では、サウジアラビアの空港が、イエメンのフーシ派とみられる勢力のドローンやミサイルの攻撃を再び受け、ホルムズ海峡ではタンカーの事故が起きた。これらが原油の支えである(TradingEconomics: Brent oil)。
ハリケーン・イザイアスの影響で、メキシコ湾の海上生産の約59%が止まったままとなっている。物価への波及は、原油高からガソリン・軽油・運賃へ及ぶ経路が主である(TradingEconomics: Natural gas)。
黒海では、ロシアとウクライナの和平交渉の話題で小麦が8月半ば以来の安値をつけた一方、供給の混乱は続いている。小麦安は製粉・食品価格には時間をおいて波及する可能性がある(推測。TradingEconomics: Wheat)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
移動平均線(50日・200日)とRSIの当日値は、今回の出典で確認できなかった。確認できた範囲で解説する。断定的な売買判断ではない。
金: Kitco: Latest Newsによると、金は4,100ドルを重要な支持線として試しており、4,200ドルが抵抗線とされる。4,171ドルはその二つの線の間にあり、支持線を割り込むかが焦点とされる水準である。
銀: 60.30ドルは、前回挙げた下値の目安(60.30ドル)と同じ水準で、ここを守れるかが注目点とされる。前回の戻りは一巡した。
原油(WTI): 93.10ドルは、前回挙げた50日移動平均線(87.03ドル、当日の再確認はできていない)を上回る水準である。3営業日続伸したが、月間では8.18%安にとどまる。
天然ガス: 3.18ドルは、前回挙げた200日移動平均線(2.841ドル前後、当日の再確認はできていない)を上回る。月間では9.69%高で、上昇基調は保たれている。
小麦: 6.7275ドルは、8月半ば以来の安値圏にある。月間で6.82%下落した水準で、上値の目安としては前回挙げた8月の高値7.67ドルがある。

