前回からの変化

前回(2026-10-12、前日)との比較である。

変わったこと(変化・新規)

  • ビットコインは前回の83,547.84ドルから82,336.97ドルへ(1,210.87ドル安)、イーサリアムは2,534.55ドルから2,523.35ドルへ(11.20ドル安)。価格サイトの表示値同士の比較で、取得時刻は異なる(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)
  • 社会実装の新規案件が出た。スタンダードチャータードのRLUSD保管開始と、モルガン・スタンレーのトークン化株式の対応時期(2027年第1四半期)である(The Block)
  • 規制では、EUのESMAがMiCA非準拠のステーブルコインに期限を示した。前回は米国のNCUA案が中心だった(Cointelegraph)
  • 特集は、小規模銀行のトークン化預金から、ステーブルコインを取引の担保に使う話へ移った

昨日と同じこと(継続)

  • サムスンのUSDC送金は10月最終週開始の予定のままで、開始の確認は出ていない
  • 米NCUAのステーブルコイン報告案は、意見募集の期限12月8日のままである
  • 当局が既存の枠組みの中で、ステーブルコインのルールを個別に整える流れが続く
  • ビットコインETFの資金流出が続いている(CoinDesk: Bitcoin price today)

要因の連続性

  • 継続要因: 銀行などの既存事業者がステーブルコインを自社サービスに組み込む動きと、当局による細則整備
  • 新規要因: ステーブルコインの越境リスクへの警戒が加わった。FSBが、複数の法域で発行される仕組みの危機対応が未検証だと指摘した
  • 解消した要因: なし

市況ひとこと

ビットコインは82,336.97ドルで、24時間では1.51パーセント安だった。イーサリアムは2,523.35ドルで、24時間では0.49パーセント安である。数値は10月13日朝にサイトで確認した表示値で、取得時刻の記載はない。サイトはドル高とビットコインETFの資金流出を背景に挙げている。変動は5パーセント未満で、特記する理由はない(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)。

社会実装・インフラへの採用

スタンダードチャータード、RLUSDの機関向け保管

  • 誰が・何を: 英銀スタンダードチャータードが、Rippleのドル連動ステーブルコイン「RLUSD」の機関投資家向けカストディ(資産の保管)を、ドバイ国際金融センター(DIFC)の拠点で始めた
  • 技術: XRP Ledger(リップルのブロックチェーン)上のRLUSDを扱う
  • 段階: 保管は提供開始。取引所運営のLMAX Groupの商品でRLUSDを担保として使う連携は、最終的な契約書、テスト、規制上の要件、社内承認を待つ段階とされる
  • トークンの扱い: RLUSDそのものが使われる
  • 規模: 取引量や顧客数は公表されていない(The Block)

モルガン・スタンレー、トークン化株式の対応は2027年第1四半期

  • 誰が・何を: 米モルガン・スタンレーが、自社の代替取引システム(ATS、取引所を通さず注文を付き合わせる仕組み)でトークン化株式を扱う準備を進めている
  • 段階: 構想・基盤構築中で、まだ稼働していない。対応時期は当初の2026年後半から2027年第1四半期へ後ろにずれた。節目として、DTCCのトークン化サービスの開始(10月末)と、GENIUS法(米国のステーブルコイン法)の実施(2027年1月)が挙げられている
  • 同社の幹部は、トークン化した実物資産の市場が2030年までに3兆〜10兆ドルになると見通しているが、これは本人の予測である(The Block)

シンガポール、中央銀行デジタル通貨でトークン化国債を決済

  • 誰が・何を: シンガポール金融管理局(MAS)が、トークン化した政府短期証券の2回目の試験発行を、ホールセール型の中央銀行デジタル通貨(wCBDC、金融機関どうしの決済用)で決済した
  • 段階: 実証実験。1回目は100万シンガポールドル(9月23日)、2回目は1,000万シンガポールドル(10月23日償還)で、通常の発行(100億シンガポールドル超)に比べ小規模である。技術はシンガポールドルのテストネット上で動く(Ledger Insights)

各国の法改正・規制

EU

  • ESMAは10月8日、MiCAの許可を受けた暗号資産サービス事業者に、MiCAに準拠しないステーブルコインの提供を止めるよう求める声明を出した。期限は3か月後の2027年1月8日で、各国の当局がそれより早い期限を定める場合がある。対象にはテザー(USDT)やPayPal USD(PYUSD)が挙がっている。期間中、顧客は売却や出金で退出できるが、新規の購入や買い増しはできない。段階はガイダンス(声明)である(Cointelegraph)

米国

  • CFTCが10月初めに、レバレッジ付きの暗号資産取引を対象とする規制の枠組みについて、規則案の事前告知(ANPRM)を出した。準備金の証明(プルーフ・オブ・リザーブ)の監査などを求める内容で、現物取引は直接の管轄に含めない。TDコーウェンのジャレット・サイバーグ氏は、正式な提案が2027年の第1四半期末か第2四半期になり、確定は2028年初めにずれ込んで大統領選の年に重なる恐れがあるとみている(同氏の見立て)。段階は事前告知で、次は正式提案である(The Block)

国際機関

  • 金融安定理事会(FSB)のベイリー議長は、ステーブルコインの規制が危機時に有効かは未検証だと述べた。USDCやパクソス・グローバル・ドルのように複数の法域で発行される仕組みは、国境をまたぐ償還の圧力が生じうると指摘し、監督当局間の協力や危機時の計画の強化を求めた。FSBは、国際的に使いやすい点は有益になりうるとも認めている(Ledger Insights)

日本・その他

  • 日本で新たに確認できた制度の動きはない。改正金商法(2026年7月公布)の施行は、前回のとおり公布から1年以内である。

特集: 新しいビジネスの形

ステーブルコインを取引の担保として預かる「担保ミラーリング」

直近2週間の特集は、銀行間決済トークン、ステーブルカード、AIエージェントの支払い(x402)、準備金の運用益を分け合うステーブルコイン、小規模銀行のトークン化預金などだった。今回は、銀行が顧客のステーブルコインを預かったまま、取引所の担保として使えるようにする仕組みを取り上げる。

  • 仕組み: スタンダードチャータードがRLUSDを自行の管理下で保管し、その保管残高を担保としてLMAX Groupの取引商品に反映する構想である。報道は「担保ミラーリング」と呼んでいるが、反映の細かな手順は公表されていない。実現にはまだ契約やテストが残る
  • 誰がどう稼ぐのか: 収益の配分や手数料は公表されていない。想定される利点は、顧客が資産を取引所に移さず銀行に置いたまま担保にできる点で、取引所側は担保の信用リスクを銀行の保管に委ねられる(筆者の整理)
  • 既存のやり方との違い: 従来は担保を取引所へ送る必要があり、取引所の破綻リスクを負った。保管を銀行に置く方式は、その相手先リスクを減らす狙いがあるとみられる(筆者の整理)。ステーブルコインなら24時間動かせる点も違いになりうる
  • 課題・リスク: 記事は、連携が契約・テスト・規制上の要件・社内承認の対象であると伝えている。さらに上記のFSBの警告のとおり、ステーブルコインの危機時の扱いは未検証である
  • 具体例: Standard Chartered、Ripple、LMAX Group(The Block)

業界トピック

  • セキュリティ事件: ハードウェアウォレットのLedgerは、東南アジアの再販業者CryptoBilisから買った端末に関連する資金流出を調べている。オンチェーン調査者は損失を8,600万ドル超と推計しているが、Ledger自身は金額も原因も確認していない。Ledgerは再販業者に販売の停止を求め、直近90日に購入した人には端末を設定しないよう案内している(10月9日付の報道。The Block)