前回からの変化

前回(2026-10-26)との比較である。先週月曜の回から1週間の変化をまとめる。今回は専門機関の原文を直接読めたもの(ISWのKyiv Post転載)と、検索結果の要約を通じて確認したもの(CTP-ISW、ICG)が混在する。後者は原文が取得できなかったため、「〜と評価している」「〜と整理している」の形にとどめる。

変わったこと(変化・新規)

  • ウクライナでは、前回「27日から」とされたオレシキの限定停戦が実際に始まった。ISWは、両軍がおおむね守っており、違反の申し立ては限られると評価した。人道目的の作戦も成功し、ウクライナ市民の一部が自国の支配地域に戻った(ISW(Kyiv Post))
  • 前回はロシア軍がドブロピリャ南東で前進したと評価されていたが、今週ISWは、クピャンスク、ライマン、オリヒウ南東の各方面で確認できた前進はなかったとした。ウクライナ軍はボロバ北東で前進したという(同上)
  • イランをめぐり、前回の「ホルムズ海峡の船舶攻撃の急増」から、カタールの仲介による協議の局面に移った。CTP-ISWの整理では、イランはバンス副大統領の提案を検討する委員会を設けたが、完全な停戦が先だとの立場である(CTP-ISW)
  • イエメンでは、フーシ派が27日、サウジアラビアのラス・タヌラ製油所をミサイルで攻撃したと主張した。CTP-ISWは、この主張を確認できないとしている(ロイター配信)
  • ICGは、10月の悪化を7か所、改善を1か所と整理し、11月の警戒対象を示したとされる(検索結果の要約による。ICG)

昨日と同じこと(継続)

  • ウクライナでは、停戦の外では攻撃の応酬が続く。ISWによると、ウクライナ軍はロストフ州の軍需施設とバシコルトスタンのウファの製油所2か所を攻撃し、ロシア軍は30〜31日の夜に134機、31日の日中に168機の無人機などでウクライナを攻撃した(継続。ISW(Kyiv Post))
  • スーダンでは、国軍とRSF(即応支援部隊)の消耗戦が続く。今週、これを更新する専門機関の新しい報告は確認できなかった(継続)
  • ガザの停戦第2段階は進んでいない。ICGは8月の報告で、武装解除も部隊の撤退も始まっておらず、国際安定化部隊と新しいパレスチナ警察も展開されていないと整理している(継続。ICG)

要因の連続性

  • 継続要因: ウクライナの和平が進まず、局地的な停戦と大規模な攻撃が併存する構図。イランとサウジ・フーシ派をめぐる中東の緊張
  • 新規要因: カタールの仲介によるイランとの協議が始まった一方、イラン側が条件を譲っていない。ロシア側が、ウクライナの長距離攻撃を和平の障害だと主張し始めている
  • 解消した要因: オレシキの限定停戦が実施されるか否かという不確実性は、少なくとも当面は後退した。ただし範囲は限定的で、全面停戦には至っていない

今週の概観

ウクライナでは、占領下のヘルソン州オレシキで27日から限定停戦が始まり、ISWは両軍がおおむね守っていると評価した。一方、戦闘そのものは続いており、ゼレンスキー大統領は、この1週間にロシアが無人機1,940機、誘導爆弾1,580発超、ミサイル44発(弾道ミサイル36発を含む)を使ったと述べた。中東では、カタールの仲介で米国とイランの協議が試みられたが、イランが完全な停戦を先にするよう求め、進展していない。フーシ派とサウジアラビアの衝突は、石油施設を巻き込んで続く。ICGは、11月にイラン、サウジアラビア、イエメンなどで悪化の恐れがあると警告している。

紛争別の週間動向

ウクライナ

事実: 31日付のISWの分析によると、占領下のヘルソン州オレシキで27日に始まった限定停戦を、両軍がおおむね守っている。この間に人道目的の作戦が完了し、ウクライナ市民の一部が自国の支配地域に戻った。ロシア軍は、30〜31日にクピャンスク、ライマン、オリヒウ南東の各方面で攻勢を続けたが、確認できた前進はなかった。ウクライナ軍はボロバ北東で前進した。ウクライナ軍は、ロストフ州の軍需施設と、ウファの製油所2か所を攻撃した(ISW(Kyiv Post))。

ゼレンスキー大統領は11月1日、この1週間でロシアが無人機1,940機、誘導爆弾1,580発超、ミサイル44発(弾道ミサイル36発)を使ったと述べた。ウクライナの弾道ミサイル迎撃用の弾が足りないところを突かれていると語り、31日〜1日の夜の攻撃では、4つの州で電力設備が被害を受けて数十万世帯が停電したという(ウクライナ側の主張。Kyiv Post)。

各機関の分析: ISWは、クレムリンが2022年からの最大限の要求について妥協を拒み、ゼレンスキー氏の停戦提案を退けていると評価している。ロシアが交渉の停滞をウクライナの長距離攻撃のせいにしていることも指摘した。また、ロシアが和平交渉から欧州の首脳を排除しようとしつつ、和平の条件に欧州の安全保障の枠組みの見直しを求めている点を指摘している。米国務省は、パトリオットの迎撃弾PAC-3を500発、ウクライナへ売却する可能性を承認したが、納入は数年先になるという(ISW(Kyiv Post))。

ISWは米国の研究機関であり、米国はウクライナを支援する立場にある。上の評価は「ISWはこう評価している」という帰属表現にとどめる。ロシア側の見方は、今回は専門機関の分析からは確認できなかった。

ホルムズ海峡・イラン

事実と分析: CTP-ISW(ISWと米国の重要脅威プロジェクトの共同分析)の31日付の整理によると、イランはバンス副大統領の提案を検討する委員会を設けたが、完全な停戦が先でなければ交渉に入らないとしている。イランのレザイ氏(国家安全保障の要職者)は、米国がイランの要求を受け入れるまで、核をめぐる協議もホルムズ海峡の再開もないと述べた。イランの提案は、数日以内に海峡を再開する代わりに、6月の覚書に戻ることで、これが仲介協議の基準になっている(CTP-ISW)。

Al Jazeeraによると、カタールは30〜31日にテヘランで協議した。イランの最高指導者は、攻撃を受ければ「地理的に限定されない」反撃をするよう軍に命じた。海峡の通航は戦争前の約7割とされ、米国の無人機が漁船を攻撃したという報道や、タンカーが機雷に触れたというイラン側の主張もある(報道ベース。Al Jazeera)。

イエメン・サウジアラビア

事実: CTP-ISWは、フーシ派が27日、サウジのラス・タヌラ製油所を弾道ミサイルで攻撃し、火災が起きたと主張したと伝えた。同機関はこの主張を確認できないとしている。フーシ派がこの戦闘でラス・タヌラを狙うのは初めてとされる(ロイター配信)。

分析: CTP-ISWは、フーシ派が圧力を強めた背景に、26日にイランで行われたサウジとフーシ派の停戦協議が合意に至らなかったとの報道があると見る。24〜25日だけで、少なくとも12発のミサイルと2機の無人機がサウジに向けて発射されたとISWは評価している(ロイター配信)。30〜31日には、フーシ派がスーク・ラボアの掌握を試み、サウジ軍機がフーシ派の車列を空爆したと整理されている。サウジの防空は、メディナ、リヤドなどで無人機4機を迎撃した(CTP-ISW)。

スーダン

今週、専門機関の新しい報告は確認できなかった。国軍とRSFの戦闘は4年目に入っている。10月の報道では、国軍が北コルドファン州でRSFの拠点マズルーブを奪ったと主張し、ダルフールとコルドファンのRSF拠点への空爆を強めている(報道ベース)。

ガザ/イスラエル・パレスチナ

停戦の第2段階は動いていない。ICGは、第1段階の履行が止まったままで、武装解除も部隊の撤退も始まっていないと分析している。ハマスは、和平評議会とその代表を批判している(報道ベース)。今週、これを更新する新しい専門機関の報告は確認できなかった(ICG)。

緊張が高まっている地域

エチオピアとエリトリア: 9月23日に始まったエチオピア軍の攻勢が続き、両国は互いに戦争を仕掛けたと非難している。エチオピアは国連安保理に対し、エリトリア軍がティグレ州内に最大60km入ったと伝えた。アナリストは、限定的だが直接の軍事衝突の危険な段階に入り、国家間の戦争に急速に拡大する可能性があると指摘する(報道ベース。Al Jazeera)。

ICGの11月の警戒: 検索結果の要約によると、ICGは10月に7か所で悪化、1か所で改善とし、11月の警戒対象に、ハイチ、イラン、イスラエル/パレスチナ、サウジアラビア、イエメンを挙げている。米国が3日の中間選挙後に、イスラエルの支援を得て再びイランへ攻勢をかける可能性や、イランが奇襲を恐れて先に動く可能性にも触れているという。要約には「3つの紛争」と「5か所」の食い違いがあり、原文は取得できなかったため、正確な内訳は未確認である(ICG)。

和平・外交の動き

  • ウクライナ: ヘルソン州の限定停戦は、局地的な合意として機能している。ルビオ米国務長官は、プーチン大統領が2027年春より前に和平に同意するとは思わないと述べた。一方でISWは、クレムリンが和平の条件を変えていないと評価する(上記)
  • イラン: カタールの仲介で協議が続く。イランは完全な停戦と、海峡再開と引き換えの6月の覚書への復帰を軸に求める。CTP-ISWの整理では、停戦協議の前提条件をめぐる隔たりが大きい
  • 停戦交渉全般: サウジとフーシ派の停戦協議は26日に合意できず、ガザの第2段階も止まっており、今週は新たな合意はなかった