前回からの変化

前回(2026-10-09、10月8日の値)との比較である。値はいずれも各ページの10月9日時点の表示値で、確定終値ではない。

変わったこと(変化・新規)

  • 金は前回の4,133.60ドルから4,193.00ドル(1.45%高)へ上昇した。月間では2.88%安にとどまるが、前回の2か月ぶり安値圏からは戻した(TradingEconomics: Gold)
  • 銀は前回の59.18ドルから60.81ドル(2.77%高)へ反発し、前回割り込んでいた60ドルを回復した(TradingEconomics: Silver)
  • 原油は前回の急伸から一服した。ブレントは前回の103.92ドルから104.43ドル(0.15%高)、WTIは91.18ドルから91.60ドル(0.12%高)へ小幅に上げただけで、急変動の目安(1日±3%超)には届かなかった(TradingEconomics: Brent oil、TradingEconomics: Crude Oil)
  • 天然ガスは前回の3.13ドルから3.20ドル(1.08%高)へ戻した(TradingEconomics: Natural gas)
  • 小麦は前回の6.835ドルから6.7075ドル(1.83%安)へ下げ、月間では9.51%安となった(TradingEconomics: Wheat)

昨日と同じこと(継続)

  • ホルムズ海峡の海運混乱が原油の支えになる構図は続いている。海峡外でのタンカーの船舶間積み替えが運賃を過去最高水準に押し上げているとされる
  • ハリケーン・イザイアスによる米メキシコ湾の減産が原油の支えである点も同じ。ただし停止規模は前回の日量約50万バレル(約25%)から、出典では生産能力の6割超へ拡大した記述に変わっている
  • FRBの追加利上げ観測は続き、12月の利上げ確率は81〜82%(前回は85%)とされる

要因の連続性

  • 継続要因: ホルムズ海峡の海運混乱とハリケーンによる減産が原油の支えとなる構図は前回に続いている。米利上げ観測の根強さも続いている
  • 新規要因: トランプ大統領が、プーチン大統領がディーゼル供給の放出に同意したと述べた。米財務省の一時的な許可により約2,250万バレルが市場に出る可能性があり、原油の上値を抑えた。貴金属では、ドル安と原油安、米債の入札需要の強さによる利回り低下が追い風に加わった
  • 解消した要因: 前回、金・銀の重しだった「ドル高と米債利回りの上昇」は、この日は後退した。トランプ大統領が中間選挙前に米国はイランに軍事行動をとらないと示したことで原油が下げ、インフレ懸念が和らいだことも貴金属に有利に働いた

価格サマリー

商品 価格(2026年10月9日) 騰落率(前日比)
金(スポット) 1オンス4,193.00ドル 1.45%高
銀 1オンス60.81ドル 2.77%高
WTI原油 1バレル91.60ドル 0.12%高
ブレント原油 1バレル104.43ドル 0.15%高
天然ガス(Henry Hub) 1MMBtu 3.20ドル 1.08%高

小麦は1ブッシェル6.7075ドル(670.75セント、1.83%安)。値は各ページの10月9日の表示値で、取得時刻は確認できていない。限月は各ページの代表値(期近)に基づく。

商品別動向

金・銀

TradingEconomics: Goldによると、金は4,193.00ドルで、週を通じて上昇した。ドルが軟化し、原油が下げたことが買いを呼んだ。市場は10月のFRBの据え置きを約82%、12月の利上げを約81%織り込む。セントルイス連銀のムサレム総裁は、物価目標の2%を達成するにはさらなる引き締めが必要になりうるとの考えを示した。

銀はTradingEconomics: Silverによると60.81ドルで、2か月ぶりの安値圏から反発した。ドル安と原油安に加え、米債の入札需要が強く利回りが低下したことが支えとなった。月間では4.31%安である。

Kitco: Latest Newsは、中国人民銀行が9月に金を21トン購入し、3年で最大の月間購入になったと伝えた。

原油

TradingEconomics: Brent oilによると、ブレントは104.43ドルで、月間では2.97%安、前年比では66.48%高である。トランプ大統領が、プーチン大統領がディーゼルを市場に放出することに同意したと述べ、約2,250万バレルが供給される可能性がある。一方でホルムズ海峡では、10月4日に終わる週に11隻のタンカーが攻撃を受けたとされ、ハリケーン・イザイアスで米メキシコ湾の原油生産の6割超が停止されたとされる。

WTIはTradingEconomics: Crude Oilによると91.60ドルで、月間では10.62%安、前年比では55.51%高である。

天然ガス

TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hubは3.20ドルで1.08%高、月間では13.00%高である。米エネルギー情報局(EIA)は10月2日までの週の貯蔵を850億立方フィート積み増したと報告した。ハリケーンによるメキシコ湾岸のLNG(液化天然ガス)輸出施設への影響が懸念される一方、欧州・アジアのLNG需要は高く、ホルムズ海峡の混乱がカタールの輸出見通しに影を落としている。

農産物

TradingEconomics: Wheatによると、小麦は1ブッシェル6.7075ドルで1.83%安、月間では9.51%安、前年比では34.55%高である。9月下旬には黒海の航路をめぐる外交の動きで7ドルを割った一方、10月初めにはロシアとウクライナの対立が再び激しくなり、穀物の供給への懸念が再燃している。

急変動の特集

特集なし。前回特集した原油(ブレント・WTI)は、9日は0.1%台の小幅高にとどまり、前回の急伸(3%超)から一服した。ブレントは104ドル台、WTIは91ドル台を維持している。物価への波及としては、ブレントの前年比が66.48%高と大きく、ガソリン・軽油・運賃を通じた上昇圧力が残る(推測)。

強気派 vs 弱気派

金・銀(強気): LBMAの参加者調査は、金が12か月以内に5,000ドル、銀が97ドルに達するとの見方を示した。エネルギー危機、根強いインフレ、債券利回りの上昇が長期の追い風という根拠である(Kitco: Latest News)。Sprottのケニー・ズー氏は、中央銀行がドル離れを進めていることが金を支えるとみている。金融アナリストのピーター・シフ氏は、利回りの上昇は金にとって最も強気な材料だと述べ、米国の債務の行方が通貨の価値を損なうと警告する。

金・銀(弱気・短期): Kitcoは、エネルギー価格と米債利回りの上昇が金を圧迫したと伝えた。9日に発表された米消費者信頼感の速報値は46.3と予想の47.6を下回った一方、インフレ期待は高まっており、利上げ観測が金の上値を抑える可能性がある(発言者の特定はない。Kitco: Latest News)。

原油(強気): バークレイズは、2026年第4四半期のブレント平均予想を1バレル115ドル、2026年通年を100ドルに引き上げた(10月2日付の報道。Business Today)。

原油(弱気): 10月2日付の同報道で、サクソバンクのオーレ・ハンセン氏は、市場の逼迫は原油の供給ではなく、中東とロシアの製油能力低下による石油製品の供給に移ったと述べた。また、前回紹介したロイター調査(アナリスト31人)ではブレントの2026年平均予想が84.50ドルへ引き下げられている(IDN Financials)。ただしこの調査はホルムズ海峡の通航が続くことが前提だった。

天然ガス・農産物: 発言者付きの強気・弱気の見解は確認できなかった。

地政学・物価関連ニュース

ホルムズ海峡周辺では、タンカーの攻撃と積み替え待ちの滞留で運賃が過去最高水準にある。トランプ大統領は中間選挙前にイランへ軍事行動をとらない考えを示し、原油の下げ材料となった(TradingEconomics: Gold)。ハリケーン・イザイアスはメキシコ湾の原油生産に打撃を与え、LNG輸出施設への影響も懸念されている。物価への波及は、ガソリン・軽油・運賃を通じて物価を押し上げる経路が主である。

黒海では、ロシアとウクライナの対立が再び激しくなり、小麦の供給経路への警戒が続く。小麦高は製粉・食品価格に波及する可能性がある(TradingEconomics: Wheat)。

テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)

移動平均線(50日・200日)とRSIの当日値は、今回の出典で確認できなかった。確認できた範囲で解説する。断定的な売買判断ではない。

金: Kitco: Latest Newsによると、金は4,100ドルを支持線として保ち、4,200ドルが抵抗線とされる。4,193ドルはその抵抗線の直下にあり、これを上抜けるかが焦点とされる水準である。

銀: 60.81ドルは、前回の下値の目安60.30ドルを回復した。2か月ぶりの安値圏からの戻りで、続くかどうかは米債利回りの動き次第との見方がある。

原油(WTI): 91.60ドルは、前回挙げた50日移動平均線(87.03ドル、当日の再確認はできていない)を上回る水準である。

天然ガス: 3.20ドルは、前回挙げた200日移動平均線(2.841ドル前後、当日の再確認はできていない)を上回る。月間では13.00%高で、上昇基調は保たれている。

小麦: 6.7075ドルは、月間で9.51%下落した水準で、9月下旬に7ドルを割った後の安値圏にある。8月の高値7.67ドルとの差は広がっている。