前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 金は昨日(10月1日、4,177.06ドル)から10月2日は4,223ドル前後(約1.1%高)へ上昇し、4,200ドルの大台を回復した。米9月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が2万9千人増(予想は約8万9千人増)、失業率が4.2%(予想4.1%)となり、賃金の伸びも0.1%(予想0.3%)と鈍かったためである(Kitco)
  • 原油は昨日の急伸から一転して下落した。ブレントは102.31ドルから99.35ドル(2.89%安)、WTIは92.87ドルから89.35ドル(約4%安)で、ブレントは再び100ドルを割り込んだ(The National)。G7が最大1億バレルの備蓄放出で合意したことが新材料である(Al Jazeera)
  • 銀は昨日の60.97ドルから60.39ドル(0.18%安)と、上昇した金とは逆に小幅安となった(TradingEconomics: Silver)
  • 天然ガスは昨日の2.95ドル(2.56%安)から3.04ドル(2.36%高)へ反発した(TradingEconomics: Natural gas)

昨日と同じこと(継続)

  • 米国の中東増派を巡る警戒は続いている。第3空母打撃群の派遣が報じられた状況は変わらず、原油の下値を支えている(The National)
  • 米長期金利の高止まりとドル高が金・銀の上値を抑える構図は継続している(TradingEconomics: Silver)
  • 小麦は黒海経由の輸送再開に向けた外交の進展が重しで、1ブッシェル6.83ドルと昨日(6.8175ドル)からほぼ横ばいだった(TradingEconomics: Wheat)。銅も6.52ドルで昨日と同水準だった(TradingEconomics: Copper)

要因の連続性

  • 継続要因: 米国とイランを巡る軍事的緊張とホルムズ海峡周辺の不安が、昨日に続き原油の下支えになっている。高い米長期金利とドル高も昨日同様に金・銀の重しである
  • 新規要因: 原油にはG7の備蓄放出合意と中東からの原油流量の正常化が下押し要因として加わった。金には雇用統計の大幅な下振れが加わり、利上げ観測の後退が追い風となった。TradingEconomicsは10月の利上げ予想が約20%まで下がったと伝える(昨日付レポートでは37〜38%)
  • 解消した要因: 昨日の原油急伸の引き金だった米軍増派報道による買いは、備蓄放出の発表で相殺され後退した。金の反発材料だったPCE物価の下振れは、雇用統計に主役を譲った

価格サマリー

商品 価格(2026年10月2日、米国時間) 騰落率(前日比)
金(スポット) 1オンス約4,223ドル 約1%高
銀 1オンス60.39ドル 0.18%安
WTI原油 1バレル約89.35ドル 約4%安
ブレント原油 1バレル約99.35ドル 2.89%安
天然ガス(Henry Hub) 1MMBtu 3.04ドル 2.36%高

小麦は1ブッシェル6.83ドル(0.04%高)、銅は1ポンド6.52ドル(0.60%高)。金はKitcoの雇用統計発表直後の値、原油はThe Nationalの取引中の値であり、確定終値ではない。そのほかは日本時間10月3日朝に取得したTradingEconomics: Natural gasなどの表示値で、時間帯の違いから出典間で数ドル程度ずれる場合がある(たとえばTradingEconomics: Crude OilのWTIは91.20ドルと表示)。

商品別動向

金・銀

Kitcoによると、現物金は雇用統計の発表後、約1パーセント高の1オンス4,223ドルをつけた。雇用者数は9月が2万9千人増にとどまり、8月は13万3千人増(従来は16万2千人増)、7月は2万1千人増(従来は3万1千人増)へそれぞれ下方修正された。Monaxaのアルテム・バクシェフ氏は「トレーダーは政策の誤りを織り込み直している」と述べた。一方、Fifth Third Commercial Bankのビル・アダムス氏は、10月のFRBの決定には今後の消費者物価、生産者物価、地政学情勢のほうが雇用統計より重みを持ち得ると慎重な見方を示した。

銀はTradingEconomics: Silverによると60.39ドルと小幅安で、過去1か月では9.81パーセント下落している。利上げ観測の後退は支えだが、高い米国債利回りとドル高が戻りを抑えている。なお出典間で当日の値は幅があり、取得時点により金・銀とも上昇幅は変わる。

原油

The Nationalによると、10月2日はブレントが2.89パーセント安の99.35ドル、WTIが約4パーセント安の89.35ドルとなった。EU各国によるディーゼル5,000万バレルの放出協議と、国際エネルギー機関(IEA)加盟国による原油5,000万バレルの放出検討が報じられたことが下落の引き金である。サウジアラビアのホルムズ海峡経由の出荷は9月に日量290万バレルと、8月の100万バレルから増加した。

Al Jazeeraによると、フランスのマクロン大統領はG7が今後4か月で最大1億バレルの備蓄を放出すると発表した。IEAの調整のもと、最初の20日間にディーゼルを中心に前倒しで大規模に放出する。TradingEconomics: Crude Oilによれば、WTIは一時1か月ぶり安値の88.06ドルまで下げた後に戻した。ブレントは週間では約2パーセント安だが、9月は約14パーセント上昇している。

天然ガス

TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hubは10月2日に3.04ドルへ2.36パーセント高となった。米エネルギー情報局の統計では9月25日までの週の貯蔵増は640億立方フィートで、予想どおりだが過去5年平均の800億立方フィートを下回った。9月の米本土48州の生産は日量1,133億立方フィートと過去最高で、LNG輸出向け供給も日量179億立方フィートへ増えている。気温は10月中旬まで平年並みの見通しで、冷暖房需要は限られる。

農産物

TradingEconomics: Wheatによると、小麦は1ブッシェル6.83ドルで、8月28日の高値7.67ドルから下げて8月中旬以来の安値圏にある。黒海の穀物輸送路の再開協議と米中の農産物関税引き下げ協議が重しだが、中国による大規模な購入はまだ確認されていない。

急変動の特集

特集なし。10月2日の主要商品では、WTIが約4パーセント安と目安(1日で3パーセント超)に該当し得るが、昨日特集したブレント急伸の反動と備蓄放出報道によるものであり、本日は新たな商品の特集は設けない。

昨日特集したブレント原油は、102.31ドルから99.35ドルへ2.89パーセント下落し、再び100ドルを割った(The National)。急伸の引き金だった米軍増派は続くものの、備蓄放出という供給面の対抗材料が出た形で、燃料価格への波及はG7が緩和を狙う方向に変わった。前回特集した銅は6.52ドルで横ばいとなり、2週間ぶり安値圏にとどまっている(TradingEconomics: Copper)。中国の工業需要の鈍化や米国の追加関税判断の先送りが材料とされる。

強気派 vs 弱気派

金(強気): Monaxaのアルテム・バクシェフ氏は、雇用の弱さを受けて「トレーダーは政策の誤りを織り込み直している」と述べ、FRBが引き締め姿勢の転換を迫られるとの見方を示した(Kitco)。

金(弱気・慎重): DailyForexのクリストファー・ルイス氏は、長期では金を好むとしつつ、金利が高い間は金属が大きく上昇するのはほぼ不可能に近いと述べ、4,000ドルを下値の目安、4,300ドルを上値の目安とする(DailyForex)。LiteFinanceの分析は、4,213〜4,223ドルで売り手が上値を抑えている短期の下降トレンドとして、下値目標を4,110ドルとする(LiteFinance)。

原油(強気): Emirates NBDのダニエル・リチャーズ氏は、ホルムズ海峡の海運面での安心感やイランの核査察を巡る動きが価格を押し下げたものの、米軍の新たな中東展開がリスクプレミアムを保っていると述べた(The National)。

原油(弱気): Capital.comのカイル・ロッダ氏は、中東からの原油の流出は正常化しつつあるとしながらも、地政学リスクが続くかぎり上昇圧力は残ると述べている(The National)。供給正常化を重く見る立場の発言である。

銀・銅・農産物: 本日確認できた発言者付きの新たな強気・弱気の見解はない。

地政学・物価関連ニュース

G7による最大1億バレルの備蓄放出は、軽油価格の高騰を和らげる狙いがある。Al Jazeeraによれば、トランプ米大統領が欧州にディーゼル備蓄の放出を求めた経緯があり、ディーゼルは物流費や農産物価格にも響く。G7はエネルギー関連の輸出制限を互いに控える方針も示した(TradingEconomics: Crude Oil)。

米国は空母セオドア・ルーズベルトを中心とする打撃群と海兵隊を中東へ派遣する方針で、イランを巡る緊張は続いている(The National)。OPECプラスは10月4日(日)に会合を予定し、11月の生産目標を据え置くとの見方が出ているが、正式な決定は未確認である。

穀物では黒海輸送の再開協議が小麦の重しで、製粉コストの緩和に働く可能性がある(TradingEconomics: Wheat)。

テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)

金: 4,200ドル近辺での持ち合いが続き、DailyForexは上値を4,300ドル、下値を4,000ドルと見る。4,000ドルは主要な下値支持とされ、200日指数移動平均線と12月からのトレンドラインも意識される。LiteFinanceは、4,213〜4,223ドルの抵抗帯が売り手に守られてきたとする。雇用統計後の4,223ドルはこの抵抗帯のちょうど上端にあたり、ここを明確に上抜けるかが焦点とされる。RSIの当日値は確認できなかった。

銀: 本日の移動平均線・RSIの出典は確認できなかった。60.39ドルは、前回挙げられた60.30ドルの下値の目安の上にとどまっている。

原油(WTI): TradingEconomics: Crude Oilによると、10月2日の安値88.06ドルは1か月ぶりの低水準である。前回の分析で下値支持とされた89.95ドルを一時割り込んだ形で、その下の50日移動平均線(87.03ドル)が次の目安とされる。ただし移動平均線とRSIの当日値は確認できなかった。断定的な売買の判断ではなく、あくまで目安の水準である。

天然ガス: 本日の移動平均線・RSIの出典は確認できなかった。3.04ドルへの反発は、前回近づいていた200日移動平均線(2.841ドル前後)から離れる動きである。

小麦: 8月28日の高値7.67ドルから下げ、8月中旬以来の安値圏にある(TradingEconomics: Wheat)。移動平均線やRSIの数値は確認できなかった。