前回からの変化
前回(2026-10-14)との比較(週報のため、比較対象は1週間前)。
変わったこと(変化・新規)
- グーグルがEU一般裁判所に、DMA違反の制裁金(検索の自社優遇に460百万ユーロ、アプリ配信の誘導制限に430百万ユーロ、合計890百万ユーロ)の取消訴訟を起こしたことが確認できた。前回は制裁金の存在自体を扱っておらず、新規の項目である(新規、Garrigues)。
- 米国の州司法長官による子ども保護とAIをめぐる動きを新たに追加した。フロリダ州がOpenAIに対する一時差止めを申し立て済みであることなどを整理した(新規、Florida Phoenix)。
昨日と同じこと(継続)
- グーグル広告技術訴訟は、前回に続き最終判決が出ておらず、最終判決案の食い違いが解消したとの報道は確認できなかった(継続、Beinsure)。
- 日本では公正取引委員会の新規の勧告・命令や、スマホ新法の新たな発表が確認できなかった(継続、5週連続)。
- アマゾンの独占訴訟は2027年3月29日の公判予定のまま、新たな動きは確認できなかった(継続)。
要因の連続性
- 継続要因: 米国で巨大テック企業への反トラスト追及が並行して進む流れ。
- 新規要因: EUが科した制裁金を企業が裁判で争う段階に入ったこと。子ども保護を理由とする州当局のAI企業への圧力。
- 解消した要因: なし。
今週の概観
今週(10月14日〜20日)は、EU・米国・日本のいずれでも、新たな制裁金決定や判決といった確定的な動きは確認できなかった。目立ったのは、7月にEUが科したグーグルへの制裁金に対し、同社が10月に取消訴訟を起こしたという進展である。米国ではグーグル広告技術訴訟の最終判決案をめぐる対立が続いている。なお、提訴の正確な日付は確認できておらず、法律事務所の解説にもとづく報道ベースの情報である。
EU
欧州委員会は7月23日付で、DMA(デジタル市場法。巨大プラットフォームを「ゲートキーパー」に指定し、自社優遇などを禁じる法律)の違反でグーグルに合計8億9000万ユーロの制裁金を科した。内訳は、検索結果で自社の買い物・ホテル・交通などを優遇した件が4億6000万ユーロ、アプリストアのGoogle Playで開発者が外部の安い購入手段へ誘導することを制限した件が4億3000万ユーロである。同社は60日以内に違反をやめなければ、世界売上高の最大5パーセントの定期的な制裁金を科される可能性がある(ICT Business)。
法律事務所Garriguesの解説によると、グーグルは10月に、この二つの決定の取消しを求める訴えをEU一般裁判所に起こした(段階: 制裁金決定の後、取消訴訟の係属。Garrigues)。当局側は、自社優遇と誘導制限が競争を歪めると判断している。同社側は決定の取消しを求めて争う姿勢で、今回の件について新たな公式声明は確認できなかった。同解説は、クラウド事業をめぐる3件の市場調査についても、ゲートキーパーの指定判断が2026年11月までに出る見通しとしている。
米国
グーグルの広告技術訴訟では、9月2日にブリンケマ判事が広告取引所AdXの売却を退け、行為的救済(事業の分割ではなく、行動のルールを課す措置)を命じた。その後に出された最終判決案では、司法省とグーグルが期限や監視人の権限などで対立したままである。AdXとPrebidをつなぐ期限は司法省が6か月、グーグルが12か月、海外への適用は司法省が即時、グーグルが追加で24か月を求めている。判事がこれらを解決して命令に署名した後、60日の実施期間が置かれ、グーグルは判断自体を控訴する見通しとされる(段階: 判決案の提出・係争中。Beinsure)。
子ども保護とAIの分野では、フロリダ州のユスメイヤー司法長官が9月28日、OpenAIとサム・アルトマンCEOらを相手取り、郡の巡回裁判所に一時差止めを申し立てた。第三者の安全確認なしの新モデル開発の禁止や、フロリダ州の未成年へのChatGPT提供の禁止、13歳未満の個人情報の収集制限などを求めている。同州は6月1日に提訴済みで、今回は仮の措置を求める段階である(段階: 申立て・審理前。今週の新たな決定は確認できなかった。Florida Phoenix)。OpenAIの反応は今回の調査では確認できていない。ほかに10月1日付の弁護士事務所の整理では、ニューヨーク州司法長官が連邦によるAI規制を求める州連合を主導し、カンザス州がRobloxと1000万ドルで和解したとされる(Cozen O'Connor)。
日本
公正取引委員会のスマホソフトウェア競争促進法関連の発表は、2026年は2月17日と7月27日の遵守報告書の公表のみで、新たな発表は確認できなかった(段階: 該当なし。公正取引委員会)。7月10日に成立した令和8年改正個人情報保護法については、課徴金制度などが盛り込まれており、施行に向けた説明が進んでいる(段階: 成立済み、施行準備。Keiyaku Watch)。
その他の国・地域
英CMA、韓国、インド、中国について、今週の主要な新規動向は確認できなかった。
今後の予定
- 2026年10月27日: 個人情報保護委員会の担当者が改正個人情報保護法の概要を説明するJIPDECのセミナー
- 2026年11月: EUのクラウド分野でのゲートキーパー指定判断の見通し(Garriguesの解説による)
- 未定: ブリンケマ判事によるグーグル広告技術訴訟の最終判決
- 2027年3月29日: FTC対アマゾンの独占訴訟の公判開始予定

