前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 米10年債利回りが9月15日のNY市場で一時5.04%まで上昇し、2007年7月以来19年ぶりの高水準を付けたことが新たに確認できた。前回(9/14時点)の一時5.01%からさらに切り上がった形で、終値ベースでも5.01%前後と高止まりしている(Bloomberg、CNBC)。
  • FOMC利上げ観測が集計元間でなお差はあるものの、全体として上振れ方向に収れんしつつあることが新たに判明した。CME FedWatchでは9割超(一部報道で92.5%)、Kalshiでも83%前後まで上昇した一方、Polymarketは6割程度にとどまる(Yahoo Finance)。前回時点の48〜87%という広いばらつきから、下限側が大きく切り上がった格好である。
  • JGB10年債利回りが9月15日時点で3.035%まで上昇し、前回引用値(9/14時点2.995%)から+4.0bp、節目の3%台に再び乗せたことが新たに確認できた。直近安値の9月9日(2.880%)からは5営業日で15.0bp上昇している(stock-marketdata.com)。
  • サウジアラビアの東西石油パイプライン閉鎖について、一部報道でイラク発とされるドローン攻撃が発端との情報が新たに出てきた。復旧には最短でも数日、長ければ8週間程度かかるとの見方が示され、供給不安が長期化する可能性が新たに浮上した(CNBC)。原油(ブレント)は108ドル超まで上昇し、前回時点の104ドル超からさらに上振れている。
  • 金(ゴールド)が9月15日に1トロイオンスあたり4,340ドル前後で始まり、約5週間ぶりの安値圏に沈んだことが新たに確認できた。米10年債利回りの19年ぶり高水準とFOMC利上げ観測の高まりが実質金利上昇観測を強め、金の重しとなっている(Yahoo Finance)。
  • BOE(9/17決定)を巡り、決定前日の本日(日本時間夕方)発表予定の8月英CPIについて、前月の2.9%から3.1%へ、コアも2.6%から2.7%へ加速するとの市場予想が新たに判明した。ゴールドマン・サックスは据え置きを基本シナリオとしつつ、中東発のエネルギー価格高騰がタカ派転換のスイング要因になり得るとの見方を示している(investinglive)。

昨日と同じこと(継続)

  • FOMCは9月15-16日の日程で本会合が続いており、ブラックアウト期間中のためFRB高官の新規発言は確認できない。結果発表は日本時間9/17未明3時、ウォーシュ議長会見は3時30分の予定に変更はない。
  • 日銀は9月17・18日会合での政策金利1.00%→1.25%への引き上げ観測が大勢を占めたままで、新たな反対材料は確認できない。
  • ECBは9月10日理事会で決定済みの25bp利上げ(預金ファシリティ金利2.25%→2.5%)を消化する段階が続いており、新たな高官発言は確認できない。
  • 米・イラン間の軍事的緊張とホルムズ海峡の航行制約という基本構図、およびフーシ派によるサウジ攻撃の継続という構図は変わっていない。

要因の連続性

  • 継続要因: FOMCブラックアウトによる材料の乏しさ(本会合継続中)、日銀利上げペース加速観測、中東情勢の緊張長期化に伴う原油高・インフレ懸念、財政赤字・国債増発観測を背景とした米長期金利の高止まり。
  • 新規要因: FOMC利上げ観測が集計元を問わず上振れ方向に収れんしつつあること、サウジ石油パイプライン攻撃の発信源がイラクとされる報道、JGB10年債が3%台へ再上昇、英8月CPIの加速予想を受けたBOEタカ派転換リスク、実質金利上昇を受けた金の5週間ぶり安値。
  • 解消した要因: 特になし(ホルムズ海峡協議延期・地政学リスクの再燃という前回の構図がそのまま継続)。

1. 金利サマリー

対象 水準(取得時点) 前回比 主な変動要因
米2年債 4.68%(9/15、Trading Economics) 前回(9/14)4.67%からほぼ横ばい FOMC利上げ観測の高止まり
米10年債 5.01%前後(9/15、日中一時5.04%) 前回(9/14)4.96%前後・日中高値5.01%からさらに上振れ 2007年以来19年ぶり高水準、インフレ・財政懸念
JGB10年債 3.035%(9/15、stock-marketdata.com) 前回(9/14)2.995%から+4.0bp 節目の3%台に再上昇、日銀利上げ観測
独10年債(Bund) 3.54%(9/15、Trading Economics) 前回(9/14)3.53%からわずかに上昇 2009年以来の高水準を維持
ドル円 154円20銭〜154円80銭で推移(9/15東京市場) 前回(9/15朝予想)152円90銭〜154円30銭のレンジから上振れ FOMC利上げ観測を受けたドル買い優勢

米2年・10年のスプレッドはプラス圏(順イールド)を維持し、+33bp(5.01%-4.68%)と前回の+29bp(4.96%-4.67%)からやや拡大した。長期金利の上昇ペースが短期金利をやや上回る形で、財政・供給要因が長期年限により強く効いていることを示している。

2. 中央銀行の動き

FRB

9/15-16の日程でFOMC本会合が続いており、結果発表は米東部時間9/16午後2時(日本時間9/17未明3時)、ウォーシュ議長会見は同2時30分(日本時間3時30分)の予定。ブラックアウト期間のため新規の高官発言は確認できない。利上げ観測は集計元間でなお差があるものの上振れ方向に収れんしつつあり、CME FedWatchでは9割超(一部報道で92.5%)、Kalshiでも83%前後まで切り上がった一方、Polymarketは6割程度にとどまる(Yahoo Finance)。現在の政策金利誘導目標は3.50〜3.75%で、利上げの場合は3.75〜4.00%への引き上げが想定されている。なお7月29日会合では9対3で据え置きを決定したが、反対票を投じた3地区連銀総裁はいずれも「利下げ」ではなく「利上げ」を求めたもので、委員会内のタカ派色の強さがうかがえる。いずれも決定済みの事実ではなく観測段階にとどまる。

日銀

9月17・18日会合での政策金利1.00%→1.25%への引き上げ観測が大勢を占める状況に変わりはない。ロイター調査でも回答者の97%が9月利上げを予想しているとの報道があり、利上げ自体はほぼ織り込まれた状態にある。植田和男総裁の記者会見は9/18午後(日本時間15時30分)に予定されている。

ECB・BOE・その他

ECBは9月10日の理事会で預金ファシリティ金利を2.25%から2.5%へ引き上げることを決定済み(既報)。BOE(9/17決定、日本時間20時)は市場で据え置きが優勢と見られているが、決定前日の本日(日本時間夕方)発表予定の8月英消費者物価指数(CPI)が最後の判断材料となる。市場予想は前年比3.1%(7月2.9%から加速)、コアも2.7%(前回2.6%)への上振れが見込まれている。ゴールドマン・サックスは据え置きを基本シナリオとしつつ、中東発のエネルギー価格高騰が年内のタカ派転換リスクを高めているとの見方を示している(investinglive)。前回会合は3.75%据え置きを6対3の僅差で決めており、3人はすでに4.00%への引き上げを主張していた。

3. 経済指標

本日(日本時間夕方、英国時間朝7時)発表予定の英8月消費者物価指数(CPI)が今週最大の焦点となる。市場予想は前年比3.1%(7月は2.9%)、コア指数も2.7%(7月は2.6%)への加速が見込まれており、エネルギー価格高騰が主因とされる。米・日双方とも本日中に予定されている主要指標の発表は確認できなかった。

4. 為替

ドル円は9月15日の東京市場で154円21銭から154円80銭台まで上昇し、日中高値圏で推移した。FOMCでの利上げが有力視される中でドル買いが優勢となっており、前日(9/14)のNY市場の154円26銭〜155円00銭のレンジと比べても底堅い展開が続いている。前回レポート時点の予想レンジ(152円90銭〜154円30銭)からは上振れて推移した。為替介入に関する新たな当局者発言・実弾介入の観測は本日時点でも確認できない。

5. 債券需給

米財務省の暫定スケジュールによれば、9月17日に2年債・5年債の入札が予定されている(結果は次回以降のレポートで扱う)。クレジット市場では、ハイイールド(HY)債のオプション調整後スプレッド(OAS)が直近で270bp前後と、過去の水準に比べ歴史的にタイトな水準にあることが確認できた。投資適格(IG)債のスプレッドもおおむね80bp前後とタイトな状態が続いており、信用不安の兆候は確認できない。日銀のオペ運用・QTの継続方針に新たな変更は確認できなかった。

6. 他資産への波及

米10年債利回りの19年ぶり高水準とFOMC利上げ観測の高まりは実質金利の上昇観測を強め、金(ゴールド)は1トロイオンスあたり4,340ドル前後まで下げ、約5週間ぶりの安値圏に沈んだ。一方、ホルムズ海峡協議の延期とフーシ派によるサウジ攻撃の継続、パイプライン復旧の長期化観測を受けてブレント原油は108ドル超まで上昇し、地政学リスクプレミアムがインフレ観測・金利観の双方に効いている。株式市場では、FOMCの結果次第(利上げ・据え置きいずれでも)で波乱含みの展開が続くとの見方が根強く、暗号資産も金利観の変化に敏感な値動きが続くとみられる(詳細は各資産クラスのカテゴリを参照)。

7. 今夜の注目イベント

FOMC本会合が9/16まで続き、結果発表は日本時間9/17未明3時、ウォーシュ議長会見は3時30分の予定(経済見通し・ドットプロットも同時公表)。本日(日本時間夕方、英国時間朝7時)には8月英CPIが発表され、翌日9/17のBOE政策金利発表(日本時間20時)の最後の判断材料となる。米財務省は9/17に2年債・5年債入札を予定している。中東情勢では、延期されたホルムズ海峡協議の再設定の有無と、サウジ石油パイプラインの復旧見通しが引き続き注目される。週後半にかけては9/17-18の日銀会合(結果・植田総裁会見は9/18午後15時30分)も予定されている。