前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 米10年債利回りが月曜(9/14)のNY市場で一時5.01%まで急伸し、2023年以来初めて節目の5%を突破した。前回(9/11時点)引用値の4.98%からさらに上振れる場面があったことが新たに確認できた。その後は買いが入り4.96%前後まで押し戻されている(CNBC、Bloomberg)。背景には根強いインフレ懸念に加え、財政赤字拡大に伴う国債増発観測がある。米ベッセント財務長官は「(債券市場の)均衡価格を力ずくで変えられるとは思っていない」と述べ、金利を無理に押し下げるのではなく市場の無秩序化を防ぐことが目標との立場を示した(外為どっとコム)。
- イラン・GCC・イラクによるホルムズ海峡協議について、前回レポートで「月曜(9/14)にオマーンで開催」と伝えていた予定が延期されたことが新たに判明した。オマーン外相は「合意形成のため」と説明したが、サウジアラビアが提案文言に難色を示し延期を要請したとの報道がある(Al Jazeera)。延期の直後、フーシ派がサウジ南部ハミス・ムシャイトの軍事施設に弾道ミサイル・ドローン数十発を発射したと主張し、サウジは東西石油パイプラインを予防的に閉鎖した(新規、Al Jazeera)。バーレーンは対イラン国交回復までボイコットする意向も新たに伝えられた。
- JGB10年債利回りが9月14日時点で2.995%まで上昇したことが新たに確認できた。前回引用値(9/11時点2.980%)から+1.5bp、直近安値の9月9日(2.880%)からは5営業日で6.5bp上昇しており、反発基調が続いている(stock-marketdata.com)。
- 独10年債(Bund)利回りが9月14日時点で3.53%まで上昇し、2009年6月以来の高水準に達したことが新たに確認できた。前回引用値(3.51%)からわずかに切り上がっている(Trading Economics)。
- BOE(9/17決定)について、市場は据え置きを90%前後の確率で織り込んでいることが新たに判明した。前回レポートで伝えた「利上げ確率2割程度」から後退している。決定前日の9月16日朝(英国時間7時)に発表される8月英消費者物価指数(CPI)が判断材料として注目される(新規、Cambridge Currencies)。
- FOMC利上げ観測の集計値について、外為どっとコムが伝えるCME系の数値は9月11日時点で87.3%(前営業日の72%から急伸)に達したことが新たに判明した。一方でKalshi・Polymarketなど予測市場では48〜49%、別集計のFedRateCalcでは58.4%にとどまっており、前回レポートで指摘した集計元間の数値の乖離が、今回はさらに拡大していることが分かった(外為どっとコム)。
昨日と同じこと(継続)
- FOMC(9/15-16開催、結果発表は日本時間9/17未明3時)前のブラックアウト期間が続いており、ウォーシュ議長を含むFRB高官の新規発言は確認できない。本日から会合そのものが始まる。
- 日銀は9月17・18日の会合で政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げるとの観測が大勢を占めたままで、新たな反対材料は確認できない。
- ECBは9月10日理事会で決定した25bp利上げ(預金ファシリティ金利2.25%→2.5%)を消化する段階が続いており、新たな高官発言は確認できない。
- 米・イラン間の軍事的緊張とホルムズ海峡の航行制約という基本構図は変わっておらず、原油高の一因となっている(ブレント原油は104ドル超で高止まり)。
要因の連続性
- 継続要因: FOMCブラックアウトによる材料の乏しさ(本日から会合本番)、日銀利上げペース加速観測、中東情勢の緊張長期化に伴う原油高・インフレ懸念。
- 新規要因: ホルムズ海峡協議の延期とフーシ派によるサウジ攻撃という地政学リスクの再燃、米国の財政赤字・国債増発観測を背景とした長期金利の5%超え、独Bund利回りの2009年以来の高水準。
- 解消した要因: 「ホルムズ海峡で対話が進む」という前回時点の期待は後退した(協議自体が延期という逆方向の変化)。
1. 金利サマリー
| 対象 | 水準(取得時点) | 前回比 | 主な変動要因 |
|---|---|---|---|
| 米2年債 | 4.67%(9/14、Trading Economics) | 前回(9/11)4.56%から上昇 | FOMC利上げ観測の高まり |
| 米10年債 | 4.96%前後(9/14、日中一時5.01%) | 前回(9/11)4.98%とほぼ同水準だが、日中に2023年以来初の5%超え | インフレ懸念、財政赤字・国債増発観測 |
| JGB10年債 | 2.995%(9/14、stock-marketdata.com) | 前回(9/11)2.980%から+1.5bp、続伸 | 日銀利上げ観測の強まり |
| 独10年債(Bund) | 3.53%(9/14、Trading Economics) | 前回(9/11)3.51%からわずかに上昇、2009年6月以来の高水準 | ECB利上げ後の高止まり、中東発インフレ懸念 |
| ドル円 | 152円90銭〜154円30銭で推移(9/15午前予想レンジ) | 前回は休場明け前で確定値なし | CPI通過後の様子見、FOMC・日銀会合を見極める展開 |
米2年・10年のスプレッドはプラス圏(順イールド)を維持しているが、+29bp(4.96%-4.67%)と前回の+42bp(4.98%-4.56%)からやや縮小した。短期金利の上昇が長期金利より大きい「ベアフラットニング」的な値動きで、FOMCでの利上げ観測がより強く短期年限に織り込まれていることを示している。
2. 中央銀行の動き
FRB
本日(9/15)からFOMC本会合が始まり、結果発表は9/16米東部時間午後2時(日本時間9/17未明3時)、ウォーシュ議長会見は同3時30分の予定。ブラックアウト期間のため新規の高官発言は確認できない。利上げ観測は集計元による差が一段と拡大しており、外為どっとコムが伝えるCME系の数値では9月11日時点87.3%(前営業日72%から急伸)に達した一方、Kalshi・Polymarketでは48〜49%、FedRateCalcでは58.4%にとどまる(外為どっとコム)。いずれも決定済みの事実ではなく、観測段階にとどまる。
日銀
9月17・18日会合での政策金利1.00%→1.25%への引き上げ観測が大勢を占める状況に変わりはない。植田和男総裁の記者会見は9/18午後(日本時間15時30分)に予定されている。
ECB・BOE・その他
ECBは9月10日の理事会で預金ファシリティ金利を2.25%から2.5%へ引き上げることを決定済み(既報)。BOE(9/17決定、日本時間20時)は市場で据え置きが90%前後の確率で織り込まれていることが新たに判明した。前回会合(7月30日)は3.75%据え置きを6対3の僅差で決めており、決定前日の9月16日朝(英国時間7時)発表の8月英CPIが最後の判断材料として注目される(Cambridge Currencies)。
3. 経済指標
米8月消費者物価指数(CPI)は市場予想とおおむね一致したが、携帯電話サービス価格が前月比5.9%上昇し、この1項目だけでコア指数を約0.1ポイント押し上げた。また、9月30日の年次改定でCPIの推計方法が変更される予定で、今後の指標の解釈に不確実性を加える要因になるとの指摘がある(外為どっとコム)。日本時間今夜にかけては米欧・日本とも主要指標の発表は予定されていない。英国では9月16日朝(英国時間7時)に8月CPIが発表され、翌日のBOE決定を左右する材料として注目される。
4. 為替
ドル円は9月14日、米CPIが市場予想通りでインフレ加速が確認できなかったことから過度な警戒感が後退し、一時153円台前半まで値を下げる場面があった。FOMC・日銀会合を控え様子見ムードが強く、9月15日午前の予想レンジは152円90銭〜154円30銭とされている(外為どっとコム)。為替介入に関する新たな当局者発言・実弾介入の観測は本日時点でも確認できない。
5. 債券需給
本日時点で新規の入札・オペ実施に関する確度の高い情報は確認できなかった。前回レポートで触れた米財務省の次回長期債買戻しオペ(9/24予定)、日本国債の入札スケジュールに変更はないとみられる。ハイイールドスプレッドなどクレジット市場の指標について、本日時点で新たな数値は確認できなかった。
6. 他資産への波及
ホルムズ海峡協議の延期とフーシ派によるサウジ攻撃の主張を受け、ブレント原油は104ドル超の高値圏を維持しており、地政学リスクプレミアムがインフレ観測・金利観の双方に効いている。米10年債利回りの5%超えは実質金利の上昇圧力となり、金(ゴールド)には上値を抑える方向に働きやすい。一方でFOMCの結果次第では逆に金利低下・ドル安が進む可能性もあり、方向感は定まっていない。株式市場では、テレビ朝日系(ANN)の報道が指摘するように、FRBが利上げを見送った場合でも「トランプ大統領の圧力に屈した」との解釈から中央銀行の独立性への懸念が広がり株価下落要因になり得るとの見方があり、利上げ・据え置きいずれでも波乱含みとされる(Yahoo!ニュース)。暗号資産も金利観の変化に敏感な展開が続くとみられる(詳細はus_stock・commodity・crypto各カテゴリ参照)。
7. 今夜の注目イベント
本日(9/15)から9/16にかけてFOMC本会合が開催される(結果発表は日本時間9/17未明3時、ウォーシュ議長会見3時30分)。日本時間今夜にかけて米欧の主要な指標発表・国債入札は予定されていない。中東では、延期されたホルムズ海峡協議の再設定の有無と、フーシ派によるサウジ攻撃を受けた地政学リスクの推移が注目される。週後半にかけては9/16朝(英国時間)の英8月CPI、9/17のBOE政策金利発表(日本時間20時)、9/17-18の日銀会合(結果・植田総裁会見は9/18午後15時30分)が予定されている。FOMCブラックアウト期間(9/17まで)のため、週内もFRB高官の新規発言は見込まれない。
