前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- ドル円は前回(9/29)NY引けの157円60銭近辺から一段と円高が進み、東京時間午後5時時点で156円90銭〜92銭(前日同時点比47銭の円高)まで下落する場面があった。NY時間には一時156円64銭まで下げたが、終盤にかけて157円38銭まで戻して引け、値動きの大枠は「一進一退」で継続しつつもレンジがやや下方にシフトした。
- 新規: 財務省が「外国為替平衡操作の実施状況」(8月27日〜9月28日分)を公表し、この1か月の為替介入実績がゼロ円だったことが確認された。前回までは口先介入の段階かどうかが観測にとどまっていたが、直近1か月に実弾介入が一切なかったことが公式データで裏付けられた(みんかぶFX/為替)。
- 新規: 独9月消費者物価指数(CPI)が3年ぶりの高水準となり、前回(9/29)は「ユーロ圏景況感の悪化でECB追加利上げ観測が後退しユーロ売り」だった流れが一時反転し、ユーロが買われる場面があった(ザイFX!)。
- 新規: 米8月PCEコア価格指数が市場予想(前月比0.3%)を下回る0.2%となり、10月FOMCでの追加利上げ観測が一時後退してドル売りが先行した。前回までは米長期金利の高止まりが一貫してドル買い要因だったのに対し、指標次第でドル安方向にも振れうることが示された(ザイFX!)。
昨日と同じこと(継続)
- 豪ドルは前日のRBA利上げ・ブロック総裁のハト派的な発言を受けた下落基調が続き、豪ドル円は前日午後5時時点比58銭安い109円41銭前後まで一段と下落した(株探)。
- ドル人民元(オフショア)は6.70台半ばで、前回時点からおおむね横ばいの推移が続いている(外為どっとコム)。
- 介入は引き続き「口先介入」段階にとどまり、確認されている直近の実弾介入は7月31日の日米協調介入のみという状況に変化はない。
要因の連続性
- 継続要因: 米長期金利の高止まり(および原油高を通じた金利観測の再上昇)がドル買い要因として継続。オーストラリア準備銀行のハト派的な利上げ打ち止め観測が豪ドル安要因として継続している。
- 新規要因: 独CPIの3年ぶり高水準によるECB追加利上げ観測の再浮上(ユーロ買い方向)、米PCEコア価格指数の下振れによる10月FOMC利上げ観測の後退(ドル売り方向)が新たに加わった。また米9月シカゴPMI・ADP雇用統計・4-6月期GDP確定値の予想上振れ、イラン関連の供給不安による原油高が、NY時間終盤のドル買い戻し要因として新たに加わった。
- 解消した要因: 前回「一服した」とした原油高によるドル買いは、イラン関連の供給不安再燃で本日のNY時間に再びドル買い要因として働き、解消は一時的にとどまった。
為替サマリー
| 通貨ペア | 水準(2026年9月30日〜10月1日早朝、日本時間) | 前日比・傾向 |
|---|---|---|
| ドル円 | 156円64銭〜157円38銭(NY引け157円38銭)、10月1日午前3時時点は157円31〜32銭 | 一時大きく円高後に反発、方向感は乏しい |
| ユーロ円 | 178円01銭→178円57銭 | 独CPI高進でユーロが底堅く推移 |
| ユーロドル | 1.1380ドル→1.1332ドル | 独CPI高進で上昇後、NY終盤のドル高で反落 |
| ドル指数(DXY) | 101台半ば(7月末以来およそ2カ月ぶりの高値圏) | ドル全面高の基調が継続 |
| ドル人民元(オフショア) | 6.70台半ば | 概ね横ばい |
ドル円の動き
東京時間: 朝は前日NY引け(157円60銭近辺)からのもみ合いで始まったが次第に上値が重くなり、午後5時時点では156円90銭〜92銭と、前日同時点比47銭の円高水準まで下落した(ライブドアニュース)。
欧州時間: 独9月消費者物価指数(CPI)が市場予想に反して3年ぶりの高水準となったことでECBの追加利上げ観測が再浮上し、ユーロが買われる中でユーロドルは1.1380ドルまで上昇、連れる形でドル円も上値の重い展開が続いた(ザイFX!)。
NY時間: 米8月PCEコア価格指数(FRBが重視するインフレ指標)が市場予想の前月比0.3%を下回る0.2%となったことで10月FOMC(米連邦公開市場委員会)での追加利上げ観測が後退し、ドル売りが先行、ドル円は156円64銭まで下落する場面があった。その後、米9月ADP雇用統計(9.0万人増、予想7.5万人増)、4-6月期GDP確定値(年率2.2%、予想1.5%)、米9月シカゴ購買部協会景気指数(58.8、予想51.0)がいずれも市場予想を上回ったことに加え、イラン関連の供給不安を背景にNY原油先物が反発して長期金利が上昇に転じたことから、ドル買いが再開し、ドル円は157円38銭まで戻して引けた(ザイFX!)。日本時間10月1日午前3時時点では157円31〜32銭で推移している(OANDA)。
その他の主要通貨
- ユーロ: 独9月CPIの3年ぶり高水準を受けたECB追加利上げ観測の再浮上でユーロドルは1.1380ドルまで上昇したが、NY終盤にかけてドルが全面高となる中で1.1332ドルまで押し戻された。ユーロ円は178円01銭から178円57銭のレンジで推移した(ザイFX!)。
- ポンド: ポンドドルは1.3311ドルまで上昇後、1.3255ドルまで反落し、ユーロとおおむね同様の値動きとなった(ザイFX!)。
- 豪ドル: 前日のオーストラリア準備銀行(RBA)による利上げと、ミシェル・ブロック総裁のハト派的な発言を受けた下落基調が続き、豪ドル円は前日午後5時時点比58銭安い109円41銭前後まで一段と下落した(株探)。
- スイスフラン: 対ドルでドル買いが優勢となり、ドルスイスフランは0.8321フランから0.8356フランまで上昇した(ザイFX!)。
- 人民元(オフショア): ドル人民元(USD/CNH)は6.70台半ばで推移し、前回時点からおおむね横ばいとなっている(外為どっとコム)。
- ドル指数(DXY): 101台半ばで推移し、7月末以来およそ2カ月ぶりの高値圏を維持した(Investing.com)。
当局の姿勢と介入
財務省は9月30日、「外国為替平衡操作の実施状況」(8月27日〜9月28日分)を公表し、この期間の為替介入実績がゼロ円だったことを明らかにした(みんかぶFX/為替)。確認されている直近の実弾介入(通貨当局が市場で実際に売買を行うこと)は、引き続き7月31日の日米協調円買い介入(2011年以来15年ぶり)のみであることが、この公式データであらためて裏付けられた形である。
片山財務相・三村財務官からは9月30日時点で新たな踏み込んだ発言は確認できておらず、前回(9/29)の「日米当局間の緊密なコミュニケーション」「秩序ある為替市場の維持」という協調・手続き重視のトーンが引き続き基調になっているとみられる。
ポジションと相場観
日米金利差(日米の金利水準の差。差が広がるほど円を売ってドルを持つ動機が強まる)を巡る綱引きは、前回に続き本日も相場の基本的な背景として働いている。米PCEコア価格指数の下振れとシカゴPMI等の上振れが同じ日のうちに交錯したことは、この綱引きの不安定さを象徴する値動きだったといえる。
シカゴIMM通貨先物の投機筋ポジション(IMMポジション。シカゴの先物市場における投機筋の持ち高で、相場の過熱・行き過ぎを測る目安の一つ)は、前回時点(2026年9月22日、直近公表分)の円の対ドルネットポジション7万1982枚の買い越し(前週比4万8377枚減)から更新されていない(stock-marketdata.com)。次回更新までは、行き過ぎていた円買いポジションの巻き戻しが続いているとの見方が引き続き相場観の軸になっている。
円高派・円安派の主張は前回からの継続線上にある。円高派は日銀の10月追加利上げ観測や財務省・日銀による相次ぐ口先けん制を根拠に156円台への調整を見込む一方、円安派は米長期金利の高止まりと日米金利差の大きさを根拠に157円台後半〜158円台への戻りを見込んでいる。9月30日の値動きが1円近く上下したことも、この綱引きが決着していないことを示している。
テクニカル分析(ドル円)
2026年10月1日午前1時48分時点の参考レートは157円29銭。移動平均線(過去の値動きを平らにならして方向性を見る指標)は、5日線157円62銭(前営業日157円83銭)、21日線156円21銭(前営業日156円35銭)、90日線159円63銭(前営業日159円66銭)、200日線158円48銭(前営業日158円47銭)で、短期線がやや低下し中長期線との間で交錯する状態が続いている。RSI(14日、買われすぎ・売られすぎを0〜100で測る指標。目安は70超で買われすぎ、30未満で売られすぎ)は50.06%と中立圏を維持しており、明確な方向感は出ていない。ボリンジャーバンド(20日、価格のばらつきの範囲を示す指標)はプラスマイナス2標準偏差で上限159円23銭・下限152円94銭(外為どっとコム)。
パラボリック(相場の転換点の目安となる指標)は154円64銭で、実勢レートはこれを上回って推移しているが、RSI・移動平均線とあわせて総合的に見れば、なお方向感に乏しい相場が続いている。
今夜の注目イベント
日本時間10月1日朝8時50分には日銀短観(9月調査)の発表が予定されており、大企業製造業・非製造業の業況判断や設備投資計画、企業の物価見通しが、日銀の早期利上げ観測を通じてドル円に影響しうる。夜は米東部時間10時(日本時間23時)に米9月ISM製造業景況指数の発表が予定されており、総合指数に加え新規受注・雇用・価格の内訳から製造業の勢いが確認される見通しである(kabutrack)。
なお、前回レポートで挙げた「米9月ADP雇用統計、米4-6月期GDP確定値、米8月PCEデフレーター、米9月シカゴ購買部協会景気指数」については、シカゴPMI(58.8、予想51.0)・ADP雇用統計(9.0万人増、予想7.5万人増)・GDP確定値(年率2.2%、予想1.5%)がいずれも予想を上回った一方、PCEコア価格指数は前月比0.2%と予想(0.3%)をやや下回り、指標の強弱が交錯する結果となった(詳細は上記「ドル円の動き」参照)。

