前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 財政部・人民銀行・国家金融監督管理総局が9月29日、初めてとなる中央政府による住宅ローン利子補給制度を共同発表した。10月1日付で施行され、前回(9月30日号)時点では想定されていなかった新たな不動産支援材料である
- 国家統計局が9月30日、9月の製造業PMIを発表した。50.1%となり、8月の49.8%から0.3ポイント上昇して3カ月ぶりに拡大・収縮の境目である50を上回った。前回時点で「未発表」としていた指標がこの日確定した
- 上海総合指数は3,830.45→3,842.20(プラス0.31%)、香港ハンセン指数は24,523.57→24,613.27(プラス0.37%)と、本土・香港がそろって2営業日連続で上昇した。前回は本土高・香港安と方向が割れていたが、本日は両市場とも上昇し、方向の割れが一時的に解消した
昨日と同じこと(継続)
- 人民銀行のLPR(最優遇貸出金利)は9月20日発表分(1年物3.0%・5年物以上3.5%)のまま据え置かれた状態が続いており、預金準備率(RRR)の変更も確認されていない
- 万科企業を中心とする不動産・地方債務問題は、前回に続き構造的リスクとして残っている(本日新たな進展の公表はなし)
- 米中首脳会談(9月23〜25日)を経ても半導体輸出規制の見直しは議題外にとどまっている状況が続いている
- 東方証券・国泰君安証券など証券大手による個人投資家の海外株購入制限(前回既報の資本規制強化)は、本日新たな動きの公表はないが背景として残っている
要因の連続性
- 継続要因: 米長期金利の高止まりと中東情勢を巡る不透明感は、前回に続き香港市場の上値を抑える要因として働いた
- 新規要因: 住宅ローン利子補給政策の発表と9月PMIの拡大圏回復という2つの好材料が新たに加わり、連休前の本土・香港株を押し上げた
- 解消した要因: 前回本土・香港の方向を分けていた「香港固有の下げ圧力」は、本日は景気下支え策への好感が共通して効いたことで後退した(構造的な懸念が消えたわけではない)
市況サマリー
本土市場(上海・深セン)は10月1日から10月7日まで、香港市場は10月1日のみ国慶節で休場する(新浪財経、新浪財経)。以下は連休入り前の最終取引日である9月30日の終値である。
| 指数 | 終値 | 騰落率 |
|---|---|---|
| 上海総合指数 | 3,842.20 | +0.31%(2営業日続伸) |
| CSI300(滬深300) | ― | データ未確認(本レポート時点で確認できず) |
| 香港ハンセン指数 | 24,613.27 | +0.37%(2営業日続伸) |
| ハンセンテック指数 | ― | +0.10%高(終値ポイントは未確認) |
指数別動向
本土(上海・CSI300)
財経新聞によると、上海総合指数は9月30日、前日比11.74ポイント高の3,842.20(プラス0.31%)で取引を終え、2営業日連続で上昇した。国慶節を控えた財政支出加速・住宅ローン利子補給など景気支援策の強化方針に加え、約2カ月ぶり安値圏からの値ごろ感に着目した買いも支えとなった。一方でOANDAによると、深セン成分指数は0.11%安の12,887.62となり、本土の中でも指数間で強弱が分かれた。セクター別では天壇バイオ(+3.9%)・千金薬業(+3.8%)などバイオ・医薬品株、方大特殊鋼(+2.5%)・南京鋼鉄(+2.5%)など鉄鋼株が買われた一方、有研新材(-6.2%)・銅峰電子(-5.3%)など電子部品株、大智慧(-4.0%)・亨通光電(-3.9%)など情報・通信株が売られ、連休前でセクター間のまだら模様が目立った。CSI300(滬深300)の終値・騰落率は、今回参照できた出典では確認できなかった。
香港(ハンセン・ハンセンテック)
財経新聞によると、香港ハンセン指数は9月30日、前日比89.70ポイント高の24,613.27(プラス0.37%)で反発した。中国企業指数(旧H株指数)も0.50%高の8,220.08で終えている。9月の製造業PMIが3カ月ぶりに50を上回ったことが買い材料となった一方、みんかぶFX/為替によると、寄り付き直後は米長期金利の上昇や中東情勢の不透明感から一時0.53%安まで売られる場面もあり、終日を通じて上値の重い展開だった。国慶節の大型連休を控えた持ち高調整の売り・様子見ムードも重しとなったとされる。同紙によると、ハンセンテック指数も0.10%高で終えたが、具体的な終値ポイントは確認できなかった。
本土と香港で方向が割れなかった理由: 前回(9月29日)は本土が自律反発、香港が米金利高を嫌気して反落と方向が割れたが、本日は住宅ローン利子補給政策と9月PMI改善という共通の好材料が両市場に効いたため、そろって上昇する結果となった。ただし香港は米長期金利・中東情勢という国際要因の重しを本土より強く受けており、上昇幅(0.37%)は本土(0.31%)をやや上回るにとどまっている。
当局・政策の動き
財政部・中国人民銀行・国家金融監督管理総局は9月29日、初めてとなる中央政府による住宅ローン利子補給政策を共同発表した(光明網、央視網)。10月1日付で施行される決定済みの措置で、実施期間は暫定1年間。対象は「新規の商業性個人住宅ローンによる初回購入(新築・中古含む)」「建築面積120平方メートル以下」「購入価格150万元以下」の3条件をすべて満たす借り手で、最高100万元のローンに対し年1パーセントポイント・最長5年間の利子補給を行う。現行の1軒目住宅ローン金利からおよそ3分の1相当の負担軽減に当たるとされる。同紙によると、この政策は李強首相が9月28日に主宰した国務院常務会議での「有効な新政策の導入」という指示を受けたもので、決定済みの財政出動である。
LPR(最優遇貸出金利)は9月20日発表分(1年物3.0%・5年物以上3.5%)のまま据え置かれており、預金準備率(RRR)の変更は今回も確認されていない。国有系ファンド(中央匯金など、いわゆる「国家隊」)によるETF買い入れの新たな観測・公表情報は、本レポート時点で確認できていない。
経済指標
中国新聞網によると、国家統計局は9月30日、9月の製造業PMIが50.1%となり、8月の49.8%から0.3ポイント上昇して3カ月ぶりに拡大圏(50超)に回復したと発表した。調査対象21業種のうち12業種が節目の50を上回り、前月より4業種増えて業種別の改善も広がった。生産指数は51.7%(前月比+1.3ポイント)、新規受注指数は50.5%(同-0.1ポイント)といずれも50超を維持し、同紙は生産・需要の両面で企業の改善が続いていると伝えている。企業規模別では大型企業が50.6%(横ばい)、中型企業が49.7%(+0.3ポイント)、小型企業が48.9%(+1.0ポイント)となり、中小企業の改善が目立った。非製造業商務活動指数は50.2%(前月比+1.2ポイント)だった。
なお、財新(Caixin)の9月製造業PMIは本レポート時点では未発表であり、国家統計局の公式統計との乖離があるかどうかは今回確認できなかった。8月の小売売上高(前年同月比0.4%増)・鉱工業生産(同5.2%増)など既出の指標に新たな更新はない。
不動産・地方債務
本日最大の材料は、前述の住宅ローン利子補給政策である。央視網が伝えた中原地産(不動産仲介大手)の研究者・張大偉氏の見方によると、対象となる住宅価格の上限(150万元)が低いため、一線都市(北京・上海など)ではほとんどの物件が対象外となる一方、二線都市や有力な三線都市でより恩恵が大きくなる見通しで、都市間で効果が分化するとの分析である。
万科企業(バンケ)を中心とする不動産大手の債務再編・資金繰り難の状況については、前回から新たな進展の公表はない。中国の不動産不況を象徴する構造的なリスク要因として引き続き残っている。
米中関係と注目銘柄
米中両国は9月23〜25日の首脳会談で貿易上の休戦延長に合意したが、半導体輸出規制の見直しは引き続き議題外にとどまっている状況に変化はない(前回既報)。
個別銘柄では、トレーダーズ・ウェブの取引データによると、9月30日の深港ストックコネクト経由の香港株売買代金ランキングでテンセント(00700、H株、売買代金約64.99億香港ドル)、アリババ集団(09988、H株、約43.82億香港ドル)が上位を占め、引き続き本土マネーの主要な投資先となっていることが分かる。本土A株ではOANDAによると、自動車の広州汽車集団(02238、A株)が大幅高となったほか、不動産の万科企業(02202、A株・H株)にも買いが入る場面があった。米中間の半導体輸出規制を巡る対立は、前回に続き本土・香港のハイテク株にとって構造的な重荷であり続けている。
強気派 vs 弱気派
強気派: 中国新聞網は、9月の製造業PMIが3カ月ぶりに拡大圏へ回復し、21業種中12業種でPMIが節目の50を上回るなど業種別の改善が広がったと伝えている。生産指数・新規受注指数がともに50超を維持した点も含め、ファンダメンタルズ(景気指標の実際の改善)を根拠にした強気材料であり、バリュエーションの割安さの議論とは別の論点である。
弱気派: 財経新聞・みんかぶFX/為替はいずれも、米長期金利の上昇基調や中東情勢を巡る不透明感が香港市場の上値を抑え、国慶節の大型連休を控えた持ち高調整の売り・様子見ムードも重しとなったと伝えている。これは中国固有の政策リスクというより、外部の金利・地政学要因による短期的な上値の重さを指摘するものであり、政策リスク(資本規制強化など、前回既報)とは別に区別して捉える必要がある。
テクニカル分析(上海総合・ハンセン指数)
上海総合指数は9月28日に付けた約2カ月ぶり安値圏から、29日・30日と2営業日連続で上昇し3,842.20まで戻した(財経新聞)。直近安値圏からの戻りが続いており、短期的には下値を切り上げる形になりつつあるとみられるが、移動平均線(50日・200日)の具体的な位置関係やRSIの数値は、今回参照できた出典からは確認できなかった。目安としては、直近安値圏である3,800〜3,820近辺がサポート、心理的な節目である3,850〜3,900近辺がレジスタンスとして引き続き意識されやすい水準とされる(断定的な水準ではない)。
香港ハンセン指数は29日の24,523.57から30日は24,613.27へ2営業日連続で上昇したが、寄り付き直後に一時24,393.88まで売られる場面もあり(みんかぶFX/為替)、値動きの荒さが目立った。24,400近辺が直近のサポート、25,000近辺がレジスタンスの目安として意識されやすい水準とされるが、これも参考値にとどまる。南向き資金(香港ストックコネクト経由の本土からの資金流入)、AH株プレミアム指数の本日時点の具体的な数値は、今回の出典からは確認できなかった。
本日の注目点
本土市場(上海・深セン)は本日10月1日から10月7日まで国慶節の大型連休で休場し、10月8日に取引を再開する。香港市場の休場は10月1日のみで、10月2日以降は通常どおり取引されるが、沪深股通・港股通(ストックコネクト)は本土休場に合わせて10月7日まで停止し、10月8日に再開する(新浪財経、新浪財経)。つまり香港市場自体は10月2日から通常取引に戻るものの、本土との資金の往来は連休期間中いったん途絶える形になる。
10月1日付で住宅ローン利子補給政策が施行されるため、国慶節の大型連休中の住宅販売動向に効果が表れるかが次の焦点となる。連休明け(10月8日)は、連休中の消費・旅行動向や、休場中に発表される海外材料(米国の経済指標など)も含めて、休場中に蓄積した材料をまとめて反映する日になる見込みである。

