前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 前回はBitget単体の流出額(3.5億ドル超)と北朝鮮関与の判明のみだったが、新たにCertiKの月次集計により2026年9月全体の暗号資産流出・詐欺被害が7億6640万ドルに達し、年間で最悪の月であったことが判明した。内訳はBitget(9月24日、CertiK推計3億8750万ドル)とBlockstreamのLiquid Network(9月6日、3億1870万ドル)が全体の9割超を占め、2億7060万ドルが回収・凍結済み(未回収は約4億9580万ドル)(CryptoTimes)
- ビットコインの現物ETF(上場投資信託)の資金フローが新たに年初来ベースでプラス(8億8680万ドル)に転換した。7月に53億9000万ドル規模の流出を記録した後、9月26日までの週には年内最大となる23億9000万ドルの週間純流入を記録した(The Block)
- CryptoQuantの「強気指標(ブルスコア)」が新たに100点満点中90点まで上昇した。先週ビットコインが365日移動平均線を上抜けたことを強気相場入りの確認材料とする一方、同社のフリオ・モレノ調査責任者は現物需要・先物需要の縮小を新たな弱気材料として指摘した(CoinDesk)
- 日本の暗号資産を金融商品取引法に移行する改正法について、前回は「審議が続いているとみられる」としていたが、実際には7月15日の参院本会議で可決・成立済みであったことが判明した。分離課税20%への一本化・損失の3年間繰越、インサイダー取引規制の新設などを盛り込み、施行は2027年度を予定する(あたらしい経済(Yahoo!ニュース))
- 米SECは9月29日、投資助言業者2名をWhatsAppを通じた1500万ドル規模の暗号資産詐欺の疑いで提訴したと発表し、新たな執行措置が明らかになった(Bitcoinist)
昨日と同じこと(継続)
- 強気派・弱気派の綱引きという相場構図は継続しており、8万2000ドル前後の節目を巡る攻防が続いている
- 米長期金利の高止まりがリスク資産の重しとなる構図は継続している
- 金融庁が支援するTradeWaltz・メガバンク3行による貿易決済でのステーブルコイン実証は引き続き実証実験(PoC)の段階にあり、本日時点で新たな進捗の発表は確認できなかった
要因の連続性
- 継続要因: 米長期金利の高止まり、Bitget事件への警戒、強気派・弱気派の綱引きという市場構図
- 新規要因: 9月の月次ハッキング被害集計(CertiK調べ7億6640万ドル)、ビットコインETF資金フローの年初来プラス転換、CryptoQuantの強気指標90点到達と需要指標の縮小、SECによるWhatsApp詐欺での執行措置
- 解消した要因: 日本の金商法移行法案を巡る「審議継続中」という認識(実際には7月に成立済みと判明したため、不確実性としては解消)
価格サマリー
| 銘柄 | 価格(日本時間10月1日未明時点、現地9月30日) | 24時間騰落率 |
|---|---|---|
| ビットコイン(BTC) | 8万3,300〜8万3,800ドル前後 | ほぼ横ばい |
| イーサリアム(ETH) | 2,670〜2,700ドル台 | -0.4〜-1%程度 |
| ソラナ(SOL) | 118ドル前後 | 前日と概ね同水準 |
| XRP(リップル) | 1.49ドル前後 | +0.73% |
銘柄別動向
BTC
CoinDeskによると、ビットコインは「先週」記録した8カ月ぶり高値の8万7,400ドル近辺から軟化し、9月30日は8万3,300ドル前後で推移した。KuCoinによれば、この日は8月分のコア個人消費支出(PCE)物価指数など重要指標の発表を控える中、長期金利の高止まりが相場の重しとなり、方向感に乏しい膠着状態が続いた。Yahoo Financeによれば、月間ベースでは9月として4年連続のプラスとなり、四半期ベースでは2024年以来の好調な上昇率だったという。
ETH・その他アルトコイン
イーサリアムは2,670〜2,700ドル台で推移し、24時間ベースでは0.4〜1%程度の小幅安となった。Yahoo Financeによれば、月間では8.9%高となり、四半期ベースでは2021年以来の好調な上昇率だったという。TheCryptoBasicによると、XRP(リップル)は1.49ドル前後で24時間ベース0.73%高、ソラナ(SOL)は118ドル前後で前日と概ね同水準で推移した。
強気派 vs 弱気派
強気派: CoinDeskによると、CryptoQuantの「強気指標(ブルスコア)」は9月30日時点で100点満点中90点まで上昇した。先週ビットコインが365日移動平均線を上抜けたことを同社は強気相場入りの確認材料と位置付けている。CoinDesk(価格水準記事)では、Nexo Dispatchのイリヤ・カルチェフ氏(アナリスト)が、改めて上昇の勢いが戻れば9万ドルを大きく上回る水準も視野に入るとの見方を示した。
弱気派: 同じくCryptoQuantのフリオ・モレノ調査責任者は、直近30日間で現物需要がおよそ17万BTC分縮小し、先物の投機的需要の伸びも15日間で9割減少した(9月14日の16万4000BTCから9月29日には1万6000BTCへ)と指摘した上で、「新規の需要がなければ上昇は続きにくい」との見方を示した(CoinDesk)。CoinDesk(価格水準記事)によると、STS Digitalの米国責任者ジェフ・アンダーソン氏は「注視すべき水準は8万2,000ドルだ」とダブルトップ形成を指摘し、同水準を割り込めば7万ドル台後半への下落もありうるとの見方を示した。
社会実装ニュース
前回報じた金融庁支援によるTradeWaltz・メガバンク3行(みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行)の貿易決済向けステーブルコイン実証について、本日時点で新たな進捗の発表は確認できなかった。同実証は引き続き実証実験(PoC)の段階にあり、本番運用の開始時期は明らかになっていない。今回の収集範囲では、これに代わる具体的な社会実装・本番運用の新規ニュースは確認できなかった。
法改正・規制ニュース
米国
Bitcoinistによると、米SEC(証券取引委員会)は9月29日、投資助言業者2名をWhatsAppを通じて勧誘した暗号資産関連の詐欺的スキームに関与した疑いで提訴したと発表した。詐欺の被害総額は1500万ドル規模とされる。SECによる暗号資産関連の執行措置としては、前回までに報じたCFTCによるコインベースのクリアリングハウス承認(9月28日)に続く動きとなる。
日本
前回「2026年中の実現に向けて審議が続いているとみられる」としていた、暗号資産の規制を資金決済法から金融商品取引法に移す改正法について、あたらしい経済(Yahoo!ニュース)によると、実際には既に7月15日の参議院本会議で可決・成立していたことが判明した。主な内容は、現行の累進課税(最大55%)から税率20%の申告分離課税への一本化(損失の3年間繰越可)、暗号資産のインサイダー取引規制の新設、発行者の情報開示・財務監査義務化、無登録営業の罰則強化(懲役10年・罰金1000万円に引き上げ)、暗号資産ETF組成を可能にする枠組みなどで、施行は2027年度を予定する(税制改正部分は2028年1月1日施行)。金融庁が支援するステーブルコインの貿易決済実証(前述)は、この法改正とは別建てのプロジェクトとして引き続き進められている。
テクニカル分析(BTC・ETH)
Cryptonomistによると、ビットコインの日足RSI(14日)は60.26と、買われすぎとされる70は下回るものの中間の50を上回る水準にあり、上昇基調と整合的だが過熱には至っていないことを示す。移動平均線は20日線がおよそ8万1,964ドル、50日線がおよそ7万7,799ドル、200日線がおよそ7万3,693ドルで、いずれも現在の価格を下回る「上向きの並び」となっており、中期的な上昇トレンドが続いていることを示唆する。下値のめど(サポート)は日足20日線の8万1,964ドル、上値のめど(レジスタンス)はピボットポイントの8万3,789ドル付近とされる。TheCryptoBasicによると、より広いレンジで見るとサポートは8万2,580〜8万2,940ドル、レジスタンスは8万4,490〜8万5,210ドルとされ、8万2,580ドルを割り込むと8万150〜8万910ドルまで下値余地が生じるとの見方を示した。イーサリアムについては、同社調べでRSI(14日)が61.1とビットコインをやや上回る水準にあり、サポートは2,635〜2,652ドル、レジスタンスは2,740〜2,743ドルで、直近は2,743ドル付近で上値を抑えられる展開となっている。センチメント面では、KuCoinのFear&Greed指数(恐怖・強欲指数)は71と、前回(9月29日、68)からやや上昇し、「強欲」寄りの水準が続いている。
業界トピック
CryptoTimesによると、セキュリティ企業CertiKの集計で、2026年9月の取引所ハッキング・詐欺による暗号資産被害総額は7億6640万ドルに達し、年間で最悪の月となったことが明らかになった。前述の取引所Bitgetからの流出(9月24日、CertiK推計で3億8750万ドル。Bitget自身の公表額は3億5160万ドル)に加え、ビットコインのサイドチェーン基盤を手がけるBlockstreamの「Liquid Network」が9月6日に3億1870万ドルの流出被害を受けたことが判明し、この2件で月間被害の9割超を占めた。このほかSafeウォレット利用者(750万ドル超)、ハードウェアウォレットのD'CENT(603万ドル)、暗号資産カジノのDuelbits(597万ドル)でも被害が発生した。合計2億7060万ドルが回収・凍結されており、うちLiquid Networkのビットコイン3,400枚分の返還が最大の回収分となったが、差し引き4億9580万ドルは回収されていない。9月は単月として2026年で最も被害額が大きい月となり、取引所・DeFi双方のセキュリティ体制への警戒が改めて高まっている。

