前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 前回、日経平均の値下がり寄与トップだったソフトバンクグループが一転して押し上げ役に回った。傘下アーム・ホールディングス株の戻りと、出資先オープンAIの新規大型資金調達報道を好感し、株価は一時5%超上昇した(株探)。
  • 前回相場の重荷だった中間配当の権利落ちに伴う換金売りは一巡し、代わって米半導体株指数の急伸を受けたAI・半導体関連への物色が新たな主役となり、東証プライム市場の約7割の銘柄が値上がりする全面高となった(日本経済新聞)。
  • 前回「先行き不透明感」として警戒材料だった中東情勢は、サウジアラビアの主要パイプライン復旧報道を受けて原油相場が下落し、地政学リスクへの警戒がひとまず後退した(財経新聞)。

昨日と同じこと(継続)

  • 東京エレクトロンをはじめとする半導体製造装置株には、前回に続き押し目買いが入りやすい地合いが継続している。
  • 強気派の中心的な論者(シティグループ証券・阪上亮太氏、ニッセイ基礎研究所・井出真吾氏)は前回と同じ強気スタンスを維持している(ダイヤモンドZAi)。
  • 米国市場の値動き(半導体株指数など)が東京市場の方向性を左右する構図は前回から変わっていない。

要因の連続性

  • 継続要因: 日本の長期金利の高止まりは引き続き意識材料として残っているが、前回ほどの急伸ではなく上昇は一服している(前回引け3.067%→本日3.051%)(財経新聞)。
  • 新規要因: 米半導体株指数の急伸、オープンAIの新規資金調達報道、中東パイプライン復旧による原油安が新たに株高要因として加わった。
  • 解消した要因: 前回の下落要因だった中間配当の権利落ちに伴う換金売り、ソフトバンクグループ急落、中東情勢緊迫への警戒はいずれも本日は後退・解消した。

市況サマリー

指数 終値 騰落
日経平均株価(日経225) 66,753.72円 +1,272.45円(+1.94%、3日ぶり反発)
TOPIX 4,108.65 +67.52(+1.67%)
東証グロース市場250指数 800.21 +15.47(+1.97%、5日ぶり反発)

指数別動向

日経225

日本経済新聞によると、日経平均は前日比1,272円45銭高の6万6,753円72銭で取引を終え、3営業日ぶりの反発となった。8月18日以来の高値水準である。前日の米国市場で半導体株指数が1%強上昇した流れを受け、朝方からAI関連株・半導体株を中心に買いが先行し、海外投機筋による先物買いが相場全体を押し上げた。東証プライム市場の値上がり銘柄は1,127(全体の約7割)、値下がりは368にとどまった。

財経新聞によると、サウジアラビアの主要パイプラインが復旧したとの報道で原油相場が下落し、中東情勢への警戒がひとまず和らいだことも買いを後押しした。値上がり寄与の大きい銘柄としては、ソフトバンクグループとファーストリテイリングが「一段高」となったほか、半導体関連の東京エレクトロン・アドバンテストに買いが集中し、TDK・信越化学工業・キオクシアホールディングス・ファナックにも物色が広がった。フジクラ・住友電気工業といった電線株や、銀行株の買い戻しも指数を押し上げた。株探によると、ソフトバンクグループは一時5.3%高の6,355円まで買われ、傘下アーム・ホールディングス株の3.6%超の上昇に加え、出資先の米オープンAIが最低でも300億ドル規模の新たな資金調達を計画していると一部で報じられたことが刺激材料となった。

東証グロース市場250指数

財経新聞によると、東証グロース市場250指数は前日比15.47高の800.21で取引を終え、5営業日ぶりの反発となった。前日までの4営業日で2.7%下落していたことから押し目買いや自律反発狙いの買いが入りやすい地合いで、値上がり銘柄347に対し値下がりは185にとどまった。原油相場の下落による市場心理の好転も支援材料となり、前日にみられた下げ渋りが本日の反発につながった。

強気派 vs 弱気派

強気派: ダイヤモンドZAiによると、シティグループ証券の阪上亮太氏は「日経平均株価は9万円まで上昇する可能性もある」と最も強気な見方を示し、根拠として米国大手IT企業の設備投資拡大の恩恵を受ける日本のAI・半導体株が再び相場をリードすると説明する。ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏も、企業の利益成長を背景に中長期の上昇基調は維持されるとの見方を示し、サプライチェーン再編により重要部材で高い世界シェアを持つ日本のニッチトップ企業にも恩恵が及ぶと述べている。

弱気派: 株探の「明日の株式相場に向けて」は、10月相場について海外投資家の押し目買い攻勢への期待がある一方で用心も怠れないと指摘する。本日の急反発は海外投機筋による先物主導の色彩が強く、方向感に乏しい「気迷い相場」のただ中にあるとの見方を示しており、手放しの楽観を戒めている。強気・弱気双方の材料が混在するなかでの反発である点には注意が必要である。

経済ニュース

経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数(2020年=100、季節調整済み)速報値は102.6となり、前月比1.7%の低下となった。市場予想はプラス1.3%だったため、これに反する形での2カ月連続のマイナスとなった(大和総研)。熊本地震や台風といった自然災害の影響で自動車工業の生産が落ち込んだことが主因で、経済産業省は基調判断を「一進一退」に据え置いたが、先行きは「足踏み」への下方修正が視野に入るとされる。

個別銘柄では、上記のとおりソフトバンクグループが傘下アーム株高とオープンAIの資金調達報道を受けて反発し、半導体製造装置株の東京エレクトロン・アドバンテストにも買いが集中した。値上がり率上位では株主優待の新設を発表した銘柄などに個人投資家の物色が向かう場面もみられた。日銀の金融政策・為替の詳細は次項およびecon_indicators・fxを参照。

日銀・金利・為替

日銀は9月17〜18日の金融政策決定会合で政策金利を1.25%に引き上げており、現時点でこの水準が維持されている(詳細はecon_indicatorsを参照)。財経新聞によると、日本国債の指標である新発10年物国債利回り(長期金利)は前日引けの3.067%からわずかに低下し、3.051%で30日の取引を終えた。長期国債先物は124円54銭で引け、高値124円57銭・安値124円24銭のレンジで推移した。

為替は財経新聞によると、ドル・円は156円37銭から157円45銭のレンジで推移し、午後にかけて156円80銭前後まで失速した。米長期金利の上昇一服とNY原油先物の下落を受けたドル売り地合いに加え、月末に伴う国内輸出企業の実需のドル売り・円買いも重荷となった。157円台からやや円高方向に振れた形だが、なお円安水準にあり、輸出関連の大型株には下支え材料となる一方、原油高観測が和らいだことで内需・輸送関連企業のコスト増懸念はやや後退した。

テクニカル分析(日経225・グロース市場250指数)

外為どっとコムによる分析では、日経平均は25日移動平均線(65,296円)・75日移動平均線(66,671円)をともに上回って推移しており、上値メドとして8月18日安値(67,368円)、心理的節目の68,000円・69,000円、8月14日高値(69,608円)、心理的節目の70,000円・71,000円が挙げられている。下値メドは心理的節目の66,000円、25日移動平均線(65,296円)、65,000円・64,000円などとされる。RSI(9日)は前日の67.1%から82.3%へ上昇しており、一般に買われすぎの目安とされる70%を上回る水準にある。これは短期的な過熱感を示唆するが、転換線(65,050円)が上向きに変化し株価の反発を後押ししている点は、上昇トレンドの継続を示す動きとされる。ただし過熱度の高さから、目先は利益確定売りによる上値の重さが出やすい点には留意が必要である。

東証グロース市場250指数は、投資の森の分析によると、25日移動平均乖離率が1.24%と通常水準にあり、RSIも53.07と買われすぎ・売られすぎのいずれにも該当しない中立圏にある。一方でモメンタム指標は8.6と強い値を示しており、短期的な上昇圧力の強さがうかがえる。騰落レシオは相場の底入れを示唆する水準にあるとされ、日経225に比べて方向感は出にくいものの、値ごろ感からの反発が続くかが当面の焦点となる。

本日の注目点

10月1日午前8時50分に日銀短観(9月調査)が発表される。市場予想では大企業製造業の業況判断DIが前回(プラス22)からプラス25前後へ改善する一方、大企業非製造業は仕入れ価格やエネルギーコストの上昇を映しプラス37からプラス36へ小幅悪化する見込みとされ、10月29〜30日の次回金融政策決定会合を占う材料として注目される。加えて、ソフトバンクグループ・アーム・オープンAIを巡る資金調達報道の続報の有無、東証グロース市場250指数が800台を維持し反発基調を強められるか、ドル円が157円台を再び試す動きとなるか、そして日経平均のRSIが過熱水準にあるなかでの利益確定売りの出方に注目が集まる。