前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 金は前回(9月29日)の1.63%反発から一転し、9月30日は0.59%安の1オンス4,157.49ドルとなった(Tradingpedia)
- 原油は前回の急落(WTI-3.98%)から一転して反発。WTIは88.92ドル→90.32ドル(+1.57%)へ持ち直した(TradingEconomics)。ブレントは前回記録した102.51ドルとの単純比較では整合しない差異が生じており、データ提供元(TradingEconomics)基準では9月30日終値97.85ドル・前日比+1.76%となっている(詳細は下記「原油」参照)
- 新たにロイター調査(エコノミスト・アナリスト30人対象)で2026年のブレント平均予想が1バレル89.05ドルに引き上げられた(前月調査の85.08ドルから上方修正)。ホルムズ海峡の流量正常化が想定より遅れているとの見方が広がったことが背景(OilPrice.com)
- 新たに米農務省(USDA)の四半期在庫報告(9月30日発表)が材料に加わり、トウモロコシ在庫が市場予想を大きく上回ったことで価格が急落した(ADMIS)
- 銅は前回特集した史上最高値からの急落劇の後、もみ合いに移行。新たにチリ・エスコンディダ鉱山でのストライキ投票(9月28〜30日)という供給懸念が加わった(Discovery Alert)
昨日と同じこと(継続)
- OPECプラスが10月の生産枠を維持する方針は継続しており、日曜日に8か国会合を予定しているが大幅な供給増にはつながらない見込み
- ホルムズ海峡を巡るイラン情勢の緊張そのものは解消していない
- 銅を巡る米国の精製銅への追加関税(15〜30%、2027年からの段階導入案)は、ホワイトハウスがなお決定を下しておらず先送りが続いている
要因の連続性
- 継続要因: 実質金利上昇とドル高が金・銀の重しとして前回に続き作用している。ケビン・ウォーシュFRB議長のタカ派傾向(8月28日のジャクソンホール発言)に由来するドル高地合いも残存している
- 新規要因: Tradingpediaは、市場が一時FRBの追加利上げ確率を90%超まで織り込む場面があったと伝えている。もっとも同日発表された8月のコアPCE価格指数が前年比3.0%と予想(3.3%)を下回ったことで、利上げ観測はやや後退した(本紙econ_indicatorsカテゴリー既報)。金・銀はこうした一日の中でのタカ派・ハト派観測の揺れ戻しを経て、終値では続落となった。加えてUSDAの四半期在庫報告(トウモロコシ弱気)、エスコンディダ鉱山のスト投票(銅の新たな供給懸念)が新規材料として加わった
- 解消した要因: 前回「特集」対象だった天然ガスのパイプライン障害(TCエナジー)は既に解消済みで、本日も新たな供給不安材料は確認されていない
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年9月30日時点) | 騰落率(前日比) |
|---|---|---|
| 金(NY先物) | 1オンス4,157.49ドル | -0.59%(-24.62ドル) |
| 銀(NY先物) | 1オンス60.41ドル | -1.70%(-1.05ドル) |
| WTI原油 | 1バレル90.32ドル | +1.05%(+0.94ドル) |
| ブレント原油 | 1バレル97.85ドル | +1.76%(+1.69ドル)※ |
| 天然ガス(Henry Hub) | 1MMBtu 3.0110ドル | ほぼ横ばい(±0%) |
※ブレントの騰落率はデータ提供元(TradingEconomics)基準の前日比。前回レポート記載の9月29日終値(102.51ドル)との単純比較では整合しない差異があり、契約限月の切り替えなどデータ上の要因が影響した可能性がある(詳細は「前回からの変化」参照)。
出典: TradingEconomics: Gold、TradingEconomics: Silver、TradingEconomics: Crude Oil、TradingEconomics: Brent crude oil、TradingEconomics: Natural gas(いずれも日本時間10月1日早朝取得時点で2026年9月30日データとして表示)
商品別動向
金・銀
Tradingpediaによると、NY金先物は9月30日、前日比0.59%安の1オンス4,157.49ドルまで下落し、前日の反発(+1.63%)から一転して続落した。同記事は、市場が一時FRBの追加利上げ確率を90%超まで織り込む場面があったと伝えているが、同日発表された8月コアPCE価格指数が前年比3.0%と予想の3.3%を下回ったため、利上げ観測は日中にかけてやや後退した(本紙の経済指標カテゴリーで既報)。金はこうしたタカ派・ハト派観測の揺れ戻しを経ながらも、終値ではドル高・高止まりする米国債利回りに押されて続落した。Yahoo Financeは、本来ならリスク回避の金買いを誘発しうる地政学的緊張が、足元ではむしろドル需要を通じて金への逃避需要をやや弱めているようだとの見方も伝えている。
銀はTradingpediaによると、NY先物が前日比1.70%安の1オンス60.41ドルまで下落し、8週間ぶり安値(60.30ドル)からの反発が頓挫した。実質金利上昇の影響を金以上に強く受けやすい構図は前回から変わっていない。
原油
TradingEconomicsによると、WTI原油は9月30日、前日比1.05%高の1バレル90.32ドルまで反発し、前日のSPR(戦略石油備蓄)追加放出による急落(-3.98%)から持ち直した。DailyForexは、WTIが1バレル100ドル近辺から調整してきた局面がなお続くとしつつ、90ドルを1か月近く下回っていないことから同水準が底堅い節目になっていると分析する。
ブレント原油はTradingEconomicsの集計で9月30日終値が1バレル97.85ドルとなった。もっとも前回レポートで記録した9月29日終値(102.51ドル)との単純比較では整合しない差異があり、限月切り替えなどデータ上の要因が影響した可能性がある。値の一致にはこだわらず、ここでは同ソース基準の前日比(+1.76%)を事実として記載するにとどめる。
原油相場を巡っては、OilPrice.comが伝えたロイター調査(エコノミスト・アナリスト30人対象)で、ホルムズ海峡の混乱が想定より長期化するとの見方から2026年のブレント平均予想が1バレル89.05ドルに引き上げられた(前月調査の85.08ドルから上方修正)。OPECプラスは日曜日に8か国会合を予定しているが、現行の生産目標を維持する公算が大きいとロイターは報じている。
天然ガス
TradingEconomicsによると、Henry Hub天然ガスは9月30日、前日とほぼ変わらずの1MMBtuあたり3.0110ドルで推移し、3営業日続落からひとまず下げ止まった。生産見通しのやや軽めの推計とLNG向け引き合いの安定が相場を下支えする一方、暖房・冷房需要が限定的との天気予報が引き続き弱材料となっている。供給インフラ面では、Natural Gas Intelligenceによると、Kinder Morganが米国南東部で天然ガスパイプライン網の増強を進めており、データセンター向け電力需要の急増を背景とした地域的な価格差(ベーシス)の強さに対応する狙いがあるという。
農産物
TradingEconomicsによると、小麦は9月30日に前日比2.53%安の1ブッシェル6.7525ドルとなり、月間ではマイナス10.74%(年間ではプラス32.60%)。TradingEconomicsによれば、トウモロコシは同日発表されたUSDAの四半期在庫報告を受けて前日比3.98%安の1ブッシェル5.0125ドルまで急落し、5週間ぶりの安値水準となった。ADMISによると、同報告で9月1日時点のトウモロコシ在庫は21億9,500万ブッシェルと市場予想を1億7,700万ブッシェル上回る強気(供給過多)の内容だったことが急落の主因となった。一方、大豆在庫は3億1,500万ブッシェルと予想を900万ブッシェル下回るやや強含みの内容で、TradingEconomicsによれば大豆価格は前日比0.29%安の1ブッシェル12.94ドルとほぼ横ばいにとどまった。小麦の在庫は18億5,000万ブッシェル前後(前年同期比14%減)で、ADMISはこれを中立的な内容と評価している。
急変動の特集
銅は記録的高値圏でのもみ合いが続く(前回からのフォロー)。前回レポートで特集したロンドン金属取引所(LME)・COMEX銅の急落劇は、その後もみ合いに移行している。Discovery Alertによると、COMEX銅は9月22日に1ポンド6.83ドル(約1トン15,057ドル)の史上最高値を記録した後、TradingEconomicsの集計では9月30日時点で1ポンド6.56ドル(前日比+0.29%)と、高値圏からやや調整した水準で推移している。米国はすでに半製品銅に50%、銅関連製品に25%の関税を課しており、精製銅への追加関税(15〜30%、2027年からの段階導入案)についてはホワイトハウスが9月23日時点でなお決定を下していない。Discovery Alertは、この関税を巡る不透明感が現在の価格に「政策プレミアム」として上乗せされている一方、LME在庫が8月中旬以降約20%増加していることが相場の脆弱性(供給が少し増えただけでも急落しうる構造)を示すと指摘する。加えて、世界最大の銅鉱山であるチリ・エスコンディダ鉱山では9月28〜30日に労使紛争を巡るストライキ投票が行われており、決着次第では新たな供給懸念が強まる可能性がある。生活・産業への波及としては、電線・電子機器・EV・データセンター関連設備など銅を多用する製品のコスト増につながりやすく、関税が最終的に発動されれば川下産業のインフレ圧力になり得る点は前回から変わっていない。
トウモロコシがUSDA報告を受けて急落。トウモロコシは9月30日、前日比3.98%安の1ブッシェル5.0125ドルまで下落し、1日の値動きとして急変動の目安(±3%超)に該当した。ADMISが伝えた米農務省の四半期在庫報告で、9月1日時点のトウモロコシ在庫が市場予想を大きく上回る21億9,500万ブッシェル(前年比+35%)となったことが直接の引き金となった。供給過剰感の強まりは飼料・エタノール向けコストの低下を通じて畜産農家や食肉価格には下押し要因となり得る一方、穀物生産者にとっては収益悪化要因となる。
強気派 vs 弱気派
金: 弱気派は、ドル高・高止まりする米国債利回りを根拠に上値の重さを指摘する(Tradingpedia)。Yahoo Financeは、通常なら金の追い風となるはずの地政学リスクが、足元ではむしろドル需要を通じて金への逃避需要を弱めているように見えると指摘しており、強気派の従来の論拠(質への逃避需要)がやや説得力を欠く展開になっている。それでも中央銀行による継続的な金購入を根拠に押し目を評価する強気派の見方は残っている(前回既報)。
銀: Tradingpediaは弱気派優勢と伝え、200日移動平均線を下回る展開と実質金利上昇の影響が金以上に強く出ていることを根拠に挙げる。強気派は工業需要(電子機器・太陽光発電)と需給逼迫を根拠に押し目を評価する立場を続けているとみられるが、本レポート時点でこれを裏付ける新たな発言を確認できなかった。
原油: 強気派は、OilPrice.comが伝えるロイター調査で、HSBCがホルムズ海峡の流量正常化は「戦前水準を大きく下回ったまま段階的な改善にとどまる」と、DBS銀行も「紛争が3〜6か月以内に解決しない」との前提で、供給制約の長期化を根拠に2026年のブレント平均予想を引き上げた(89.05ドル)。弱気派では、ゴールドマン・サックスが湾岸産油国の輸出が日量2,330万バレルまで回復するとの想定のもと、ブレントが年末にかけて85ドル程度まで下がるとの基本シナリオを維持しており、EIAも2027年平均で74ドルという慎重な見通しを示している。OPECプラスは日曜日の会合で現行の生産目標を維持する見込みで、需給双方に大きな新材料は乏しい。
地政学・物価関連ニュース
ホルムズ海峡を巡るイラン情勢の緊張は解消しておらず、OilPrice.comが伝えたロイター調査では、エコノミスト・アナリスト30人の多くが同海峡の輸送能力について「戦前水準に早期に戻ることはない」と想定し始めている。供給制約が長引くとの見立てが広がったこと自体が、原油価格の押し上げ要因として物価(エネルギーコスト)に波及しうる。
銅を巡っては、米国の精製銅への追加関税(15〜30%、2027年からの段階導入案)の是非がなお未決着で、決定時期次第では電線・電子機器・建設資材などの物価に波及する可能性がある(Discovery Alert)。
農産物では、ADMISが伝えた米農務省の四半期在庫報告でトウモロコシの供給過剰感が強まったことが、飼料コストの低下を通じて食肉・乳製品価格には緩和方向に働く可能性がある。一方、小麦は在庫減少が続いており(前年同期比14%減)、パン・製粉関連のコストには下支え要因として残る。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
金: Tradingpediaによると、RSI(14日)は40近辺で弱気寄りのモメンタムを示唆し、MACDもマイナス圏で下降圧力が続いているとされる。下値では1オンス4,100ドル(直近の安値圏からのフィボナッチ78.6%戻し水準)がサポートとして意識され、上値では4,227ドル(61.8%戻し)、4,307ドル(200日EMA)が抵抗線とされる(いずれも断定的な売買推奨ではなく目安の水準)。
銀: 同じくTradingpediaは、価格が200日EMA(64.28ドル)と重要ピボット(62.20〜62.25ドル)を下回って推移していることを弱気シグナルと位置づける。RSI(14日)は35近辺で売り圧力が優勢とされ、下値の目安として60.30ドル・60.00ドル(心理的節目)、さらに59.35ドル・8月安値の56.55〜56.60ドルが挙げられている。
原油(WTI): DailyForexによると、WTIは下降トライアングル(9月16日高値106.6ドルから引いた下降トレンドラインと、88.5ドル付近の下値支持線)の中での推移とされる。近い節目として92.10ドルのサポート、93.20ドルのレジスタンスが挙げられ、93.20ドルを上回れば売り圧力の後退、90.30ドルを下回れば弱気優勢のシグナルとされる(売買推奨ではなく、あくまで目安の水準として)。
天然ガス: 本レポート時点で9月30日時点の更新されたRSI・移動平均線のデータを示す出典は確認できなかった。前回(9月29日)時点ではRSIが58.5前後、200日SMA(およそ2.841ドル)を上回る推移で中期的な上昇トレンドが崩れていないとされていたが、3営業日続落を経た現在はやや水準が切り下がっている可能性がある。
小麦: 本レポート時点で移動平均線・RSIなど具体的なテクニカル指標を示す最新の出典は確認できなかった。価格面では直近高値(9月2日の1ブッシェル7.95ドル)から月間で10.74%下落しており、調整局面が続いていることは確認できる(TradingEconomics)。

