前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 前回(9/29、S&P500マイナス0.16%・NASDAQ総合マイナス0.09%・NYダウマイナス0.26%)はそろって小幅安だったが、9/30はS&P500マイナス0.25%・NASDAQ総合プラス0.24%・NYダウマイナス0.86%と、ナスダック総合だけが反発する一方でNYダウの下げ幅はむしろ拡大するなど、3指数の値動きが明確に分かれた(Yahoo Finance)
- 新規: 8月のコアPCE価格指数(FRBが重視するインフレ指標)が前年比3.0%上昇となり、前月の3.3%や市場予想を下回って鈍化した。これを受けて10月利上げ観測はCME FedWatchで70%超から50%割れ(約37%)まで大きく後退した(CNBC、Yahoo Finance)
- 新規: ADP民間雇用者数(9月分)は9万人増と市場予想(7万人増)を上回り、8月の3.6万人増から加速した。4-6月期GDP確定値も成長率2.2%へ上方修正され、労働・成長指標の底堅さが新たに意識された(Investrade)
- 新規: 前回の株価下支え要因だった原油安は一服し、WTI原油は前日比プラス1.49ドルの90.87ドルへ反発した。インフレ懸念の後退という株式への追い風が一部弱まった(Investrade)
- 新規: 強気派・弱気派の顔ぶれが前回(Jefferies、Schaeffer's のTodd Salamone氏、Interactive BrokersのSteve Sosnick氏ら)から入れ替わり、市場ストラテジストのLouis Navellier氏(強気)とTickmill GroupのPatrick Munnelly氏(弱気)が新たに材料視された(Yahoo Finance、Tickmill)
昨日と同じこと(継続)
- 米長期金利の高止まりは前回に続き、30年債利回りが2002年以来の高水準をさらに更新する形で継続した(前回終盤5.61〜5.62%→9/30には5.64%前後まで上昇)(CNBC)
- 市場内部の幅(breadth)の弱さ・AI関連大型株への値動きの集中は前回から続いており、値がさ株の失速が指数全体に波及しやすい構図(集中リスク)が改めて指摘された(The Motley Fool)
- NY連銀のジョン・ウィリアムズ総裁が利上げを急がない考えを重ねて示した点は前回から継続している(Yahoo Finance)
要因の連続性
- 継続要因: 長期金利(とくに30年債利回り)の高止まり・史上高水準更新がグロース株・景気敏感株の重しとして働き続けている。市場内部の幅の弱さ・AI関連大型株への依存度の高さも継続する懸念材料
- 新規要因: 8月コアPCEの予想以上の鈍化による利上げ観測の後退、ADP雇用者数の加速・GDP確定値の上方修正という労働・成長指標の底堅さが新たに相場材料に加わった
- 解消した要因: 前回の下支え要因だった原油安(サウジのパイプライン再開観測等による下落)は一服し、WTI原油はプラス転換した。原油安というインフレ懸念後退の追い風はいったん後退した
市況サマリー
| 指数 | 終値 | 騰落率 |
|---|---|---|
| S&P500 | 7,651.54 | マイナス0.25%(マイナス19.30pt) |
| NASDAQ総合 | 26,861.06 | プラス0.24%(プラス63.52pt) |
| NYダウ | 50,906.05 | マイナス0.86%(マイナス443.87ドル) |
(取得時点: 2026年9月30日のNY市場引け値。9月の月間騰落率はNYダウがマイナス4.9%、S&P500がマイナス0.7%、ナスダック総合がプラス1.7%だった。Yahoo Financeの値で統一した)
指数別動向
S&P500
S&P500は前日比0.25%安の7,651.54で取引を終えた(Yahoo Finance)。朝方は8月のコアPCE価格指数の鈍化(前年比3.0%上昇、予想・前月の3.3%を下回る)を好感して上昇に転じ、昼にかけては一時7,715近辺までプラス0.58%まで買われる場面もあった(The Motley Fool)。しかし終盤にかけて長期金利が一段と上昇したことで上げ幅を失い、結局は続落して取引を終えた。
ナスダック総合・ナスダック100
ナスダック総合指数(NASDAQ Composite)は前日比0.24%高の26,861.06で引け、3指数の中で唯一プラスを確保した(Yahoo Finance)。ナスダック100単体の確度の高い終値は本レポート執筆時点で確認できなかったため、ここではナスダック総合の値を代用として記載する(データ未確認)。コミュニケーション・公益セクターが相場をけん引する一方、金融・生活必需品セクターは軟調だった(The Motley Fool)。市場引け後に決算発表を控えるマイクロン・テクノロジーがAI半導体需要の先行指標として注目を集めたほか、AI関連の投資ツールを発表したロビンフッド・マーケッツは序盤に買われたものの、昼にかけて上げ幅を消す展開となった(The Motley Fool)。
NYダウ
NYダウは前日比0.86%安(443.87ドル安)の50,906.05ドルで終え、3指数の中で最も下げ幅が大きかった(Yahoo Finance)。金融・生活必需品セクターの軟調さと長期金利上昇が重しとなったほか、ノースロップ・グラマンが米海軍の戦闘機受注をボーイングに奪われたと伝わり4%安となるなど、個別の悪材料も指数を押し下げた(Investrade)。
強気派 vs 弱気派
強気派: 市場ストラテジストのLouis Navellier氏は、第4四半期は季節的に強い時期であり、とくに大統領選挙サイクルの3年目にあたる今回はその傾向が強いと指摘する。同氏は、世界的な金利上昇局面でも米国のグロース株は底堅さを維持するとみるほか、第3四半期のGDP成長見通しやセクション338関税を背景としたドル高が、国内売上比率の高い小型株には追い風になり得るとの見方を示した(Yahoo Finance)。同日の株価指数の値動きを予想する予測市場Polymarketでも、S&P500が高く始まる確率は72%とされ、市場心理は総じて楽観に傾いていた(Yahoo Finance)。
弱気派: Tickmill GroupのパートナーでマーケットストラテジーのPatrick Munnelly氏は、足元の上昇局面を「方向転換ではなく一時的な反発(戦術的なバウンス)」と評し、長期金利が24年ぶりの高水準に近づく中では「エラーの許容余地がほとんどない」と警戒感を示した。同氏は、根強いインフレ結果が出れば10年債利回りが5.30%に向けて再び上昇し、株式の売りを誘発しかねないとも指摘している(Tickmill)。また、AI関連の大型株に相場の値動きが偏る「集中リスク」への警戒感も市場で広がっており、値がさ株の失速が指数全体に波及しやすい構造的な脆さが弱気材料として意識されている(The Motley Fool)。
経済ニュース
8月のコアPCE価格指数(個人消費支出のPCEデフレーター、FRBが金融政策判断で最も重視するインフレ指標)は前月比0.2%・前年比3.0%の上昇となり、市場予想(前月比0.3%・前年比3.3%程度)を下回って鈍化した(CNBC)。一方でADP民間雇用者数(9月分)は9万人増と予想の7万人増を上回り、8月の3.6万人増から加速したほか、4-6月期GDP確定値も成長率2.2%(法人利益の伸びは7.7%)へ上方修正され、インフレ鈍化と労働・成長の底堅さが併存する結果となった(Investrade)。
個別銘柄では、市場引け後に決算発表を控えるマイクロン・テクノロジーがAI向け半導体需要の先行指標として最大の注目を集めた。ワクチン大手モデルナはシティグループによる格下げを受けて6〜7%超下落し、防衛大手ノースロップ・グラマンは米海軍の戦闘機受注をボーイングに奪われたと伝わり4%安となった。サーバー大手ヒューレット・パッカード・エンタープライズはAMD製半導体の大型受注を獲得したと伝わり5%高となるなど、AI関連の設備投資需要を材料にした物色が続いた(Investrade、The Motley Fool)。
金利・為替が株に効いた分
米長期金利は9月30日、10年債利回りが5.28〜5.29%(前日比プラス数bp)、30年債利回りが5.64%前後(2002年以来の高水準を更新)まで上昇し、金利に敏感なグロース株・景気敏感株の重しとなった(CNBC)。Tickmill GroupのPatrick Munnelly氏は、こうした高実質金利がドルを下支えし続けていると指摘しており、ドル高は海外売上比率の高い多国籍企業の業績見通しにはやや逆風となる一方、Louis Navellier氏が言うように国内売上中心の小型株には相対的に追い風との見方もある(詳細な為替の深掘りはfxを参照)(Tickmill、Yahoo Finance)。
NY連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は9月30日も、目先の連続利上げに慎重な考えを示し「追加データを待つ余裕がある」との認識を伝えた。この発言とコアPCEの鈍化を受けて、CME FedWatch上の10月利上げ確率は70%超から50%割れ(約37%)まで低下し、株式市場では朝方の上昇要因として意識された(Yahoo Finance)。原油(WTI)は前日比プラス1.49ドルの90.87ドルまで反発し、前回の株価支援材料だった原油安がいったん後退した点は、インフレ懸念をやや再燃させる方向に働いた(詳細はcommodityを参照)(Investrade)。
テクニカル分析(S&P500・ナスダック100・NYダウ)
S&P500は50日移動平均線(7,640〜7,645ポイント付近)をかろうじて上回る水準で終え、8月13日につけた取引時間中の史上最高値(7,816.70)から30営業日超にわたり狭いレンジでの推移が続いている。上値レジスタンスは9月22日高値の7,782.19、その上の同史上最高値7,816.70、下値サポートは50日移動平均線が位置する7,640〜7,645付近、その下に100日移動平均線(7,555付近)、9月16日安値の7,507.77がある(Kitco)。RSI(14日、70超で買われすぎ・30未満で売られすぎの目安)は55前後と中立圏にあり、主要な移動平均線の並びも総じて上昇基調を示している(Investing.com)。
もっとも、指数自体は底堅い一方で値動きの中身には弱さがみられる。AI関連の大型株への値動きの集中が進み、市場内部の幅(breadth)が指数の堅調さほど広がっていない点や、個別銘柄の値動きの荒さ(単一銘柄ボラティリティ)が史上高値圏にもかかわらず高まっている点が、市場関係者の間で集中リスクとして指摘されている(The Motley Fool)。
ナスダック100・NYダウについては、本レポート執筆時点で9月30日時点の確度の高い50日・200日移動平均線およびRSIのデータが確認できなかった(データ未確認)。
今夜の注目イベント
日本時間10月1日夜(米国東部時間1日朝)は、週次の新規失業保険申請件数と、9月分のISM製造業景況指数・S&Pグローバル製造業PMI確報値の発表が予定されている。労働市場の底堅さを示したADPに続き、雇用関連指標への関心が高まっている(Investing.com)。なお、より包括的な9月分の雇用統計(非農業部門雇用者数)は翌2日(金)の発表が予定されている。
