前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • ドル円の値動きの性格が変化した。前回(9/28)は「原油高と米長期金利の上昇を背景に157円台前半へ上昇」と円安方向の勢いがあったが、今回(9/29)は157円台のレンジ内での一進一退に変わり、方向感がより乏しくなった。
  • 新規: 豪準備銀行(RBA)が政策金利を4.60%に引き上げ、ブロック総裁がこれが今年最後の利上げになる可能性を示唆したことで豪ドルが急落した(ザイFX!)。
  • 新規: ドル指数(DXY)が101.42まで上昇し、7月29日以来およそ2か月ぶりの高値を付けるなど、ドル全面高の様相が強まった(みんかぶFX/為替)。
  • 新規: 片山財務相の発言トーンが変化した。前回(9/28)は「断固たる対応」という踏み込んだ表現だったのに対し、今回(9/29)の閣議後会見では「日米当局間の緊密なコミュニケーション」「秩序ある為替市場の維持」といった、より協調・手続き重視の表現にとどまった(Newsweek日本版)。

昨日と同じこと(継続)

  • ドル円は前回に続き156円70銭〜158円50銭の大きなレンジ内での推移が続いている。
  • 日米金利差を巡る綱引き(米長期金利の上昇 対 日銀の10月利上げ観測)は継続している。
  • 介入は前回同様「口先介入」の段階にとどまり、確認された実弾介入は7月31日の日米協調介入が最後という状況に変わりはない。

要因の連続性

  • 継続要因: 米長期金利の高止まりがドル買い要因として継続。日銀の10月追加利上げ観測が円の下支え要因として継続している。
  • 新規要因: RBAの利上げとブロック総裁のハト派的な言及による豪ドル安、ユーロ圏景況感の悪化によるECB追加利上げ観測の後退が、新たなドル高(対ユーロ・対豪ドル)要因として加わった。
  • 解消した要因: 前回材料だった原油高によるドル買いは、9月29日終盤にかけて原油相場(NY原油先物)が1バレル91ドル台後半へ軟化したことで一服した(みんかぶFX/為替)。

為替サマリー

通貨ペア 水準(2026年9月29日〜30日早朝、日本時間) 前日比・傾向
ドル円 156円98銭〜157円60銭(NY引け157円台)、30日早朝3時時点は157円49〜50銭 前日比0円12銭の円安、方向感は乏しい
ユーロ円 178円71銭〜178円11銭(NY市場中に下落) 円安一服、ユーロ安主導で軟化
ユーロドル 1.1358ドル→1.1312ドル ユーロ圏景況感悪化でユーロ売り優勢
ドル指数(DXY) 101.42(7月29日以来の高値) ドル全面高
ドル人民元(オフショア) 6.7037〜6.7127(直近6.7082、前日比0.07%安) 概ね横ばい

ドル円の動き

東京時間: 朝は157円40銭前後で始まり、午前中は157円23銭付近から157円58銭付近までの35銭程度の狭いレンジにとどまった。月末・四半期末要因に加え、週末にかけて注目度の高い米経済指標の発表が続くことが値動きを抑えたとみられる(みんかぶFX/為替)。

欧州時間(ロンドン): 米10年債利回りが5.21%台へ低下したことと、NY原油先物が1バレル91ドル台後半へ軟化したことがドル売り材料となり、日本時間19時前後に付けた157円72銭の高値から157円20銭付近まで反落する場面があった(みんかぶFX/為替)。

NY時間: 米住宅価格指数が市場予想を上回ったことと、イラン関連の地政学的緊張の高まりを受けた米長期金利の上昇でいったんドル買いが優勢となったが、米9月消費者信頼感指数とJOLTS求人件数がともに市場予想を下回ったことで利上げ観測が後退し、ドル買いは続かなかった。結局ドル円は156円98銭まで下落したのち157円60銭まで戻して引けた(財経新聞)。この間、三村財務官が日米首脳・財務相間の議論を踏まえて「しっかり対応する」旨を表明したことも、夕刻にかけての円買い戻しの一因になったとみられる(外為どっとコム)。

その他の主要通貨

  • ユーロ: ユーロ圏9月の景況感指数が市場予想に反して悪化したことを受け、ECBの追加利上げ観測が後退しユーロ売りが優勢だった。ユーロドルは1.1358ドルから1.1312ドルへ、ユーロ円は178円71銭から178円11銭まで下落した(財経新聞)。
  • ポンド: アンディ・バーナム英首相が「EU離脱は利益よりも害の方が大きかった」との認識を示し、11月に予定される英国・EU首脳会議を欧州との長期的な関係を再構築する一歩と位置付けたことがポンド売り材料となり、ポンドドルは1.3252ドルから1.3202ドルまで下落した(財経新聞、みんかぶFX/為替)。
  • 豪ドル: RBAが政策金利を4.60%に引き上げた(今年4回目の利上げ)。ミシェル・ブロック総裁が「インフレ率が低下すれば追加利上げが不要となる可能性もある」と述べ、この日の利上げが今年最後になりうるとの見方が広がったことで豪ドルが売られ、豪ドル円は一時109円83銭まで、豪ドル米ドルは0.6978ドルまで下落した(ザイFX!)。
  • スイスフラン: 対ドルでドル買いが優勢となり、ドルスイスフランは0.8327フランから0.8359フランまで上昇した(財経新聞)。
  • 人民元(オフショア): ドル人民元(USD/CNH)は日中6.7037〜6.7127のレンジで推移し、直近は6.7082前後と前日比0.07%の人民元高。前回時点(9月28日、6.71台半ば)からは概ね横ばいで推移している(Investing.com)。

当局の姿勢と介入

片山さつき財務相は9月29日の閣議後会見で「引き続き日米当局の間で緊密なコミュニケーションを維持し、秩序ある為替市場の維持に取り組む」と述べた。9月25日のスコット・ベッセント米財務長官との電話会談では、円の過小評価は一般論として問題であるとの認識を改めて確認したことも明らかにした(Newsweek日本版)。前回(9/28)の「断固たる対応」という強い表現に比べると、今回はより協調・手続きを重視した落ち着いたトーンだったとみられる(この評価は本レポートの見方であり、当局が意図的にトーンを変えたと断定するものではない)。

三村財務官も同日、日米首脳・財務相間の議論を踏まえて「しっかり対応する」旨を表明しており、この発言が夕刻の円買い戻しにつながったとの見方がある(外為どっとコム)。

介入(通貨当局が市場で実際に売買を行うこと)の事実関係については、確認されている直近の実弾介入は7月31日の日米協調円買い介入(2011年以来15年ぶり)のみで、財務省が毎月公表する「外国為替平衡操作の実施状況」による9月分の正式発表はまだ確認できていない。現時点では、上記の当局者発言による「口先介入」の段階にとどまっており、前回レポートからこの状況に変化はない。

ポジションと相場観

シカゴIMM通貨先物の投機筋ポジションは、2026年9月22日時点(直近公表分)で円の対ドルネットポジションが7万1982枚の買い越しとなり、前週(9月15日)の水準から4万8377枚減少したとの推計が示されている。行き過ぎていた円買いポジションの巻き戻しが進んだとの見方があるが、この数値は二次情報源による推計であり、CFTC公表値そのものでの裏取りはできていない点に留意が必要である(stock-marketdata.com)。

円高派・円安派の主張としては、日銀の10月追加利上げ観測や、財務官・財務相による相次ぐ口先介入を根拠に、いずれ円高方向への修正が入るとの見方がある一方、米長期金利の高止まりと日米金利差の大きさを根拠に、157円台後半から158円台への戻りを見込む声もある。オーダーブック分析では160円台半ばと157円台後半に売り注文が観測されており、これも円安派の見立てを裏付ける材料として言及されている(外為どっとコム)。

テクニカル分析(ドル円)

2026年9月30日午前1時54分時点の参考レートは157円46銭。移動平均線(過去の値動きを平らにならして方向性を見る指標)は、5日線が157円86銭、21日線が156円36銭、90日線が159円66銭、200日線が158円47銭で、いずれも短期線が中長期線の間で交錯する状態が続いている。RSI(14日、買われすぎ・売られすぎを0〜100で測る指標。目安は70超で買われすぎ、30未満で売られすぎ)は50.93%と中立圏で推移しており、明確な方向感は出ていない。ボリンジャーバンド(20日)は上限159円49銭・下限152円84銭(外為どっとコム)。

オーダーブック分析では、156円台半ばと155円のキリの良い水準に買い注文が厚く観測される一方、160円台半ばと157円台後半には売り注文が観測されている。前回レポートで触れた156円70銭〜158円50銭のレンジは今回も維持されており、200日線(158円47銭)が上値の抵抗、156円台半ばの買い注文が下値の支えとして意識されている(外為どっとコム)。

今夜の注目イベント

日本時間9月30日夜は、米9月ADP雇用統計(21時15分)、米4-6月期GDP確定値・米8月個人所得・個人消費支出(PCE)・PCEデフレーター(いずれも21時30分)、米9月シカゴ購買部協会景気指数(22時45分)の発表が予定されており、複数の米連邦準備制度理事会(FRB)高官の講演も予定されている(指標の詳細はecon_indicatorsを参照)。PCEデフレーターはFRBが重視するインフレ指標であり、10月FOMCでの利上げ・利下げ観測を通じてドル円にも影響しうる。

なお、前回レポートで挙げた「米国でFHFA住宅価格指数、S&P/ケース・シラー20都市住宅価格指数、コンファレンスボード消費者信頼感指数、JOLTS求人件数の発表」については、住宅価格指数は市場予想を上回った一方、消費者信頼感指数とJOLTS求人件数はいずれも市場予想を下回り、これが9月29日のNY時間終盤のドル買い一服につながった(上記「ドル円の動き」参照)。