前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 前回「今夜の注目イベント」に挙げたJOLTS求人件数(8月)は707.9万件で、市場予想722.0万件・前回733.5万件をいずれも下回った(前回値は727.1万件から733.5万件に上方修正)
- 同じく前回挙げていた消費者信頼感指数(9月・コンファレンスボード)は81.9となり、市場予想89.0・前月89.4を大幅に下回った
- 米30年債利回りが2002年6月以来の高水準となる5.6%台に達し、前回(9月28日)時点の5.20%台からさらに金利上昇が進行した
- NY連銀のウィリアムズ総裁が新たに「年内にもう1度利上げが必要になる可能性」に言及し、10月FOMCの利上げ確率はCME FedWatchで73%まで上昇した(前回はバー理事発言を受けたおよそ70%)
- ハイイールド債市場でスプレッド拡大・記録的な発行ラッシュという新しい需給悪化の材料が浮上した(前回レポートには債券需給の言及なし)
昨日と同じこと(継続)
- イラン情勢の緊迫化と原油高を背景としたインフレ懸念が、引き続き長期金利の上昇要因となっている
- 日本国債(JGB)10年利回りは3.09%前後の高水準での推移を継続している(前回3.085%→本日3.090%)
要因の連続性
- 継続要因: イラン情勢の緊迫化・原油高によるインフレ懸念が、前回に続き長期金利の上昇要因として働いている
- 新規要因: 弱い雇用・消費者指標にもかかわらず金利が低下せず、社債の記録的な発行ラッシュとハイイールド債の需給悪化が新たな金利上昇・信用市場の圧迫材料として加わった
- 解消した要因: なし(前回挙げた要因はいずれも継続中)
指標・金利サマリー
| 指標 | 結果 | 市場予想 | 前回値 | 発表日 |
|---|---|---|---|---|
| 米JOLTS求人件数(8月) | 707.9万件 | 722.0万件 | 733.5万件(上方修正) | 9月29日 |
| 米消費者信頼感指数(9月・コンファレンスボード) | 81.9 | 89.0 | 89.4 | 9月29日 |
| 年限・国 | 水準 | 取得時点 | 前日比・備考 |
|---|---|---|---|
| 米10年債利回り | 5.222%(その後日中5.27%まで上昇) | 9月29日NY市場 | 前日(28日)の5.20%台からさらに上昇 |
| 米30年債利回り | 5.595〜5.612% | 9月29日 | 2002年6月以来の高水準、6営業日続伸 |
| 日本国債(JGB)10年 | 3.090% | 9月29日12:50時点 | 前日比+0.5bp |
| 独10年債(Bund) | 3.6%台前半(前回値) | 9月28日時点 | 29日分の新規報道は確認できず |
経済指標の結果
米JOLTS求人件数(8月分、みんかぶFX/為替、9月29日発表): 707.9万件となり、市場予想の722.0万件を下回った。前回値(7月分)は当初727.1万件と発表されていたが733.5万件に上方修正されており、修正後の水準と比べても減少幅は大きい。求人件数の減少は労働需要の鈍化を示すシグナルで、FRBが重視する労働市場の過熱度判断に影響しうる。
米消費者信頼感指数(9月分・コンファレンスボード、ダイヤモンド・ザイ、9月29日発表): 81.9となり、市場予想89.0・前月89.4をいずれも大きく下回った。指数は家計の景況感・先行き見通しを示すもので、約7ポイントの下振れはインフレ長期化観測や金利上昇による家計負担増を映した可能性がある。
なお、前回レポートで「今夜の注目イベント」として挙げていたFHFA住宅価格指数・S&P/ケース・シラー20都市住宅価格指数についても同日発表されたが、本レポート執筆時点で確認できた一次情報の範囲では具体的な結果を裏付ける出典が得られなかったため、ここでは扱わない。
金利の動き
米国では、みんかぶFX/為替によると9月29日のNY債券市場で10年債利回りが5.222%で始まり、その後日中は一時5.27%まで上昇した。前日(28日)の5.20%台からさらに金利上昇が進んだ形である。Bloombergによると、30年債利回りは5.595%から一時5.612%まで上昇し、2002年6月以来およそ24年ぶりの高水準となった。上昇は6営業日連続で、エネルギー価格の上昇によるインフレ圧力と、後述する社債の大量発行が国債需給の重荷になっていることが背景とされる。なお、ウィリアムズNY連銀総裁の発言を受けて2年債利回りには低下する場面もみられ、2年10年スプレッドはプラス圏(順イールド)を維持しつつやや拡大した(みんかぶFX/為替)。
日本では、日本経済新聞によると9月29日12時50分時点で新発10年物国債利回りが前日比0.5ベーシスポイント(bp)上昇の3.090%となった。米長期金利の上昇が波及した形だが、同日実施された40年物国債入札が「強め」の結果となったことで超長期ゾーンには金利低下圧力もかかり、上昇幅は限定的だった。
欧州については、前回(9月28日)時点で独10年債(Bund)利回りが2009年6月以来の高水準となる3.6%台前半に達していたことを既報のとおり記録しているが、9月29日分の新たな水準を裏付ける一次情報は本レポート執筆時点で確認できなかった。
中央銀行の動き
FRB
9月16日のFOMCで政策金利を0.25%引き上げ3.75〜4.00%とした決定(既報)を受け、市場の利上げ織り込みはその後も切り上がっている。FX168によると、CME FedWatchでは9月24日時点で10月FOMC(10月27〜28日開催)の利上げ確率が73%まで上昇した(強いPMI結果とバーFRB副議長のタカ派発言が背景)。
これに続き、myforexによると、ウィリアムズNY連銀総裁は9月29日から30日にかけて、「年末にかけてもう1度利上げが必要になる可能性を考えるのは妥当だ」と述べた。あわせて「関税の影響は薄れつつあり、労働市場はインフレ圧力となっていない」「経済の基調的な勢いは強まっているようだ」「雇用のリスクは後退し、インフレのリスクは高まった」とし、来年のインフレ率は2%をわずかに上回る水準まで鈍化するとの見通しを示した。一方で「9月の利上げ後、急いで対応する必要はない」とも述べており、単純な追加タカ派シグナルではなく、データ次第の姿勢を維持した発言だった。
日銀
本日、日銀総裁・副審議委員による金融政策に関する新たな公式発言・発表は確認できなかった。前回レポートで報告した7月会合議事要旨(タカ派委員の増加)からの続報はない。
ECB・その他
本日、ECB・BOEの総裁による新たな金融政策関連の公式発言は確認できなかった。前回報告したECBの9月10日利上げ決定・ラガルド総裁およびナーゲル独連銀総裁の発言が直近の材料として残っている。
債券需給
米国債では、9月に実施された7年債入札(みんかぶFX/為替)で最高落札利回りが5.085%と2009年以来の高水準となり、応札倍率は2.42倍で過去6回平均の2.49倍を下回った。海外投資家などの間接入札比率も57.2%と過去6回平均の64.6%を下回り、需要の弱さが確認された。
クレジット市場では、Investing.comによるとゴールドマン・サックスのチーフクレジットストラテジストが、企業債務の大量発行が投資家の消化能力を圧迫していると警告した。ハイイールド債のスプレッドは294bpと4月以来の高水準、CCC格付け債の平均スプレッドは968bpと2023年11月以来の高水準まで拡大した。9月のハイイールド債発行額は385億1000万ドルと年初来最高となり、ソフトバンクグループの100億ドル規模の起債やパラマウント・スカイダンスの444億ドル規模の資金調達計画が増加をけん引した。ゴールドマン・サックスは「今夏初めに投資適格市場で見られたような断続的な消化不良に市場が備えている」との認識を示している。
日本では、9月29日実施の40年物国債入札が「強め」の結果となり(日本経済新聞)、超長期ゾーンへの投資家需要の底堅さが確認された。
他資産への波及
OANDAによると、9月29日のNYダウは前日比347.11ドル安(-0.67%)の5万1481.51ドルで終えた。米長期金利が19年ぶりの高水準まで上昇したことに加え、Bloombergが伝えたとおりトランプ大統領がイランのホルムズ海峡再開提案を受け入れなかったことで原油先物価格が上昇し、インフレ再燃への警戒が広がった。金利上昇の重荷を受け、ボーイングやセールスフォース、ゴールドマン・サックス、JPモルガンなどハイテク・金融株が売られる一方、プロクター・アンド・ギャンブルやナイキ、シェブロンなど消費財・エネルギー関連には買いが入った。為替は水準・方向のみ触れると、日米・独米の金利差を巡る綱引きが続いている(詳細はfxカテゴリに譲る)。金(ゴールド)は実質金利上昇が重荷になる一方、イラン情勢の緊迫化が逃避需要を支える構図が続く。暗号資産を含むリスク資産全般には、世界的な金利上昇と株安が重荷になりやすい地合いである。
今夜の注目イベント
日本時間今夜(9月30日)には、米国でADP雇用統計(9月分、市場予想7.3万人、前回3.8万人)、2026年4〜6月期の実質GDP確定値、8月分のコア個人消費支出(PCE)価格指数の発表が予定されている。コアPCEはFRBが重視するインフレ指標であり、ADP雇用統計は10月2日発表予定の9月雇用統計を占う材料として、いずれも10月FOMCの利上げ織り込みに影響しうる。

