前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 前回(9月25日)からの5営業日は日経225・S&P500の主要銘柄による決算発表が途絶えていたが、9月29日(米国時間)にカーニバル・コーポレーション&plc(CCL、S&P500構成銘柄)がFY2026第3四半期決算を発表し、本カテゴリの生成条件を満たした(新規)。
  • カーニバルは調整後EPS1.43ドル(市場予想1.35ドル、MarketBeat集計)、売上高84億3500万ドル(市場予想83億9000万ドル)といずれも市場予想を上回り、通期の調整後EPS見通しを約2.24ドルへ引き上げた。株価は通常取引で13.4%高となった(新規)。
  • 前回「次の注目決算」で挙げたマイクロン・テクノロジーのFY2026第4四半期決算は、本レポート時点(9月30日朝・日本時間)ではまだ発表されておらず(米国時間30日引け後の予定)、結果は次回レポートでフォローする(新規)。

昨日と同じこと(継続)

  • 暦年ベースの主要企業による本格的な第3四半期決算シーズンは10月中旬以降に始まる見通しに変化はなく、9月30日時点でも閑散期が続いている。

要因の連続性

  • 継続要因: 前回から続く「入力コスト上昇をどこまで吸収できるか」という論点は、カーニバルが燃料費上昇という逆風下でも通期コストガイダンス(燃料除く調整後クルーズコスト、為替一定ベースで前年比2.2%増)を据え置いたことで、今回も観測された。
  • 新規要因: カーニバルの2027年分・2028年分予約が過去最高の稼働率・価格水準で推移しているという新たな上振れ材料が加わった。
  • 解消した要因: 前回挙げたダーデン・レストランツのオリーブガーデン既存店売上鈍化という下押し材料は、今回のカーニバルの決算には該当せず、一巡した。

1. 本日のハイライト

企業名 売上高 EPS(実績/予想) 予想比 株価反応
カーニバル・コーポレーション&plc(CCL) 84.35億ドル(前年比+3.5%) 1.43ドル/1.35ドル(調整後) 増収増益・予想上回る 通常取引で13.4%高(25.11ドル)

(出典: SEC EDGAR Carnival 8-K、MarketBeat: Carnival (CCL) Earnings)

2. 個別決算

カーニバル・コーポレーション&plc(CCL) — FY2026第3四半期(6〜8月、8月31日期末)

売上高は84億3500万ドルで前年同期(81億5300万ドル)比3.5%増、純利益は19億2000万ドル(前年同期18億5200万ドル)、GAAP希薄化EPSは1.40ドル(前年同期1.33ドル)だった。調整後EPSは1.43ドルで前年同期と横ばいながら、市場予想(MarketBeat集計コンセンサス1.35ドル)を0.08ドル上回った。調整後EBITDAは30億ドルで前年同期とほぼ横ばい。売上高も市場予想(83億9000万ドル)を上回った(SEC EDGAR、MarketBeat)。

第3四半期の稼働率は111.8%(定員超の相部屋利用を含む集計)と高水準を維持し、四半期の顧客前受金(将来クルーズの予約金)は76億ドルと、船腹容量がほぼ横ばいの中でも前年同期比5億ドル増加した。会社は2027年分の予約について「稼働率・価格ともに過去最高水準」、2028年分についても「前年を上回るペースで稼働率・価格が進んでいる」とし、需要の強さが供給(船腹容量)の伸びを上回っている状況が続いているとした(SEC EDGAR)。

通期ガイダンスでは、為替一定ベースの純クルーズ収益(ネットイールド)を前年比2.3%増とし、6月時点の見通しから0.5ポイント上方修正した。燃料を除く調整後クルーズコスト(為替一定ベース)は前年比2.2%増の見通しを維持した。この結果、通期の調整後純利益見通しは約30億8000万ドル、調整後EPSは約2.24ドルとなり、6月時点のガイダンス(市場予想2.21ドル)から1株あたり0.15ドル超の上振れとなった(SEC EDGAR、GuruFocus)。

株主還元では、第3四半期に約8億ドル(年初来累計約12億ドル)の自社株買いを実施したほか、四半期配当2億400万ドルを支払った(年初来6億1800万ドル)。あわせて表面利率7%の社債5億ドル分を償還し負債圧縮を進め、S&Pによる格上げを受けて投資適格格付けを2社から得る状態になったと説明した。第3四半期の設備投資は6億9800万ドル(年初来21億3900万ドル)、営業キャッシュフローは14億1000万ドル(年初来53億300万ドル)で、年初来のフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた概算)はおよそ31億6000万ドルとなる(SEC EDGAR)。

決算発表を受け、カーニバル株は9月29日の通常取引で前日比13.4%高の25.11ドルまで買われ、旅行・レジャー関連の同業他社にも買いが波及した(MarketBeat、GuruFocus)。

3. 経営陣が語ったこと

カーニバルのジョシュ・ワインスタインCEOは決算発表文で「われわれは増収増益の記録をまた一つ更新した。需要の加速と、さらに強まったコスト規律が、会社予想を上回る結果を後押しした」と説明し、需要が供給を上回るペースで伸びている点が業績を牽引したとの見方を示した(SEC EDGAR)。

会社側は通期ガイダンスの引き上げについて、燃料費上昇という逆風があるなかでも、値付けの強さとコスト効率化がそれを上回って利益を押し上げたと位置づけており、2027年・2028年分の予約状況の強さを踏まえ、複数年にわたる利回り改善のモメンタムが持続するとの見通しを示した(GuruFocus)。

4. 業界トレンド

カーニバルの決算を受け、旅行・レジャーセクター全体に買いが波及したことは、クルーズを含む体験消費への需要が底堅く、消費者が依然として旅行支出を優先していることを示唆する。一方で会社側が燃料費上昇を「逆風」と明言した点は、エネルギー価格の上振れが観光・輸送関連企業のコスト構造に共通の重荷となりつつあることも示しており、今後発表が相次ぐ他業種の決算でも同様の論点が焦点になるとみられる(GuruFocus)。

5. 次の注目決算

  • マイクロン・テクノロジー(MU): 9月30日(水)引け後(米国東部時間午後2時30分)にFY2026第4四半期決算を発表予定。6月時点の会社ガイダンスは売上高500億ドル±10億ドル、non-GAAP EPS31.00ドル±1.00ドル。AI向けメモリー需要の勢いが続くかが焦点(GlobeNewswire)。
  • ジェイビル(JBL): 9月30日(水)寄り前(米国東部時間午前8時30分)にFY2026第4四半期・通期決算を発表予定。市場予想EPSは4.07ドル前後(BusinessWire)。
  • ファクトセット・リサーチ・システムズ(FDS): 9月30日(水)寄り前にFY2026第4四半期決算を発表予定。市場予想EPSは4.35ドル、売上高予想は6億2970万ドル(GlobeNewswire)。
  • ナイキ(NKE): 10月1日(木)引け後(米国東部時間午後1時15分)にFY2027第1四半期決算を発表予定(NIKE, Inc. Investor Relations)。
  • マコーミック(MKC): 10月1日(木)寄り前にFY2026第3四半期決算を発表予定。市場予想EPSは0.75〜0.76ドル程度(McCormick & Company Investor Relations)。