前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 主要3指数の下げ幅が前回(9/28、S&P500マイナス0.77%・NASDAQ総合マイナス0.92%・NYダウマイナス0.67%)から大きく縮小した(9/29はS&P500マイナス0.16%・NASDAQ総合マイナス0.09%・NYダウマイナス0.26%)
  • 前回相場の主因だった半導体株(SOX指数)の急落は一服し、AMDによるAI企業World Labsの82億ドル買収や、トランプ大統領とAI企業CEOらのホワイトハウス会談、OpenAIの次世代モデル公開見送りなど、AI関連の個別材料が話題の中心になった
  • 新規: 米30年債利回りが2002年以来の高水準となる5.6%台まで上昇した(前回は10年債が5.2%超えで材料の中心だった)
  • 新規: NY連銀のジョン・ウィリアムズ総裁が「12月まで利上げを待てる可能性がある」と発言し、終盤の株価下支え要因となった
  • 新規: 9月の消費者信頼感指数(コンファレンスボード)が81.9と市場予想を大きく下回り、約12年ぶりの低水準となった

昨日と同じこと(継続)

  • S&P500は前回に続き50日移動平均線・200日移動平均線をいずれも上回る水準を維持している(RSIは56.59から51.10へ低下し、過熱感はやや和らいだ)
  • 市場内部の幅(breadth)の弱さは前回から続いており、S&P500構成銘柄のうち自社の50日線を上回るのはわずか25.2パーセントにとどまる
  • ドル高・米金利高が多国籍企業の業績見通しへの逆風となる構図は継続している

要因の連続性

  • 継続要因: 米長期金利の高止まりがグロース株・半導体株の重しとして続いている。市場内部の幅(breadth)の弱さも前回から続く懸念材料
  • 新規要因: 30年債利回りの2002年以来の高水準更新、消費者信頼感指数の急低下、AAII個人投資家調査での弱気派48パーセントという強い悲観が新たに加わった
  • 解消した要因: 前回の下落要因だった原油高(トランプ大統領のイラン提案拒否を受けたもの)は、サウジのパイプライン再開観測やSPR放出観測を受けて反落し、後退した

市況サマリー

指数 終値 騰落率
S&P500 7,670.84 マイナス0.16%(マイナス12.85pt)
NASDAQ総合 26,797.54 マイナス0.09%(マイナス22.84pt)
NYダウ 51,349.92 マイナス0.26%(マイナス131.59ドル)

(取得時点: 2026年9月29日のNY市場引け値。CNBC、TheStreet、Yahoo Financeの値で統一した)

指数別動向

S&P500

S&P500は前日比0.16%安の7,670.84で取引を終えた(CNBC)。前日(9/28)の0.77%安からは下げ幅が大きく縮小している。長期金利、なかでも30年債利回りが2002年以来の高水準まで上昇したことが重しとなった一方、原油安とNY連銀ウィリアムズ総裁のハト派的な発言が終盤の下支えとなった(Investrade)。

ナスダック総合・ナスダック100

ナスダック総合指数は前日比0.09%安の26,797.54で引けた(TheStreet)。ナスダック100単体の確度の高い終値は本レポート執筆時点で確認できなかったため、ここではナスダック総合の値を代用として記載する(データ未確認)。大型テック・半導体では、AMDがAI企業World Labsを82億ドルで買収すると発表し、トランプ大統領がAI企業CEOらとホワイトハウスで会談する一方、OpenAIは次世代モデルの公開を見送るなど、AI関連の個別材料が相場の話題を集めた(Investrade)。

NYダウ

NYダウは前日比0.26%安(131.59ドル安)の51,349.92ドルで終えた(CNBC)。長期金利上昇が重しとなる一方、Carnival Corporationが四半期売上84.4億ドルと予想を上回る決算を発表して上昇し、CarMaxやJefferies Financial Groupの決算も好感されるなど、好決算銘柄が下支えとなった(Investrade)。

強気派 vs 弱気派

強気派: 投資銀行Jefferiesは、S&P500の2027年末目標を9,000に設定しているほか、FactSetがアナリスト目標株価をボトムアップで積み上げた集計値も9,261に達しており、AI関連企業の増益寄与が大きいとみている。Schaeffer's Investment Researchのシニアバイスプレジデント、Todd Salamone氏は、AAII個人投資家調査で弱気派が48パーセントと過去の強気相場局面(95パーセントの局面より高い水準)に比べて悲観が強いことを逆張り材料と捉え、「テクニカルな崩れがない限りヘッジは不要」と強気姿勢を維持している(Schaeffer's Investment Research)。

弱気派: Interactive Brokersの首席ストラテジスト、Steve Sosnick氏はS&P500の年末目標を6,500に据え置いているとされる(CNBCの市況記事による)。SIA Wealth ManagementのColin Cieszynski氏は「9月は歴史的に株式にとって最も弱い月の一つ」と指摘し、中東情勢の長期化によるエネルギー・銅など商品高がインフレ・金利を押し上げる懸念や、5週間後に控える中間選挙、本格化する決算シーズンをボラティリティ要因に挙げている(BNN Bloomberg)。Capital.comのシニアアナリスト、Kyle Rodda氏も、地政学材料はヘッドライン主導で振れやすく、和平合意への期待が相場の軸になっていると慎重な見方を示している(CNBC)。

経済ニュース

9月の消費者信頼感指数(コンファレンスボード)は81.9となり、市場予想89.0前後を大きく下回って約12年ぶりの低水準となった(ダイヤモンド・ザイ)。求人件数(JOLTS、8月分)も市場予想を下回り、労働需要の鈍化を示した(詳細はecon_indicatorsを参照)。住宅関連では、FHFA住宅価格指数(7月分)が前月比0.3%・前年比2.6%の上昇となった(FHFA)。同日発表されたS&P/ケース・シラー20都市住宅価格指数については、本レポート執筆時点で確度の高い数値を裏付ける一次情報が確認できなかった(データ未確認)。

個別銘柄では、Carnival Corporationが四半期売上84.4億ドルと予想超の決算を発表して上昇し、CarMaxとJefferies Financial Groupの決算も好感された。一方、Lindt&Sprünglisは通期ガイダンスを下方修正し、PepsiCoは格下げ、オンラインスポーツ賭博のDraftKingsは7%安、バイオ企業uniQureは治験データの下方修正を受けて急落した。政策面では、トランプ大統領がAI企業CEOらとホワイトハウスで会談し、AMDがAI企業World Labsを82億ドルで買収すると発表するなど、AI関連の動きも相場の話題となった(Investrade)。

金利・為替が株に効いた分

米長期金利は9月29日、10年債利回りが5.26〜5.28%(2006〜2007年以来の高水準)、30年債利回りが5.61〜5.62%(2002年以来の高水準)まで上昇し、金利に敏感なグロース株・半導体株の重しとなった(Admiral Markets)。ドル指数(DXY)は101.36〜101.50(プラス0.16〜0.3%)まで上昇し、ユーロドルは1.1341(マイナス0.45%、3カ月ぶり安値)まで下落するなどドル高が進行し、海外売上比率の高い多国籍企業の業績見通しにはやや逆風となった。ドル円は157円台で推移した(詳細はfxを参照)。

NY連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は9月29日の講演で「12月まで利上げを待てる可能性がある」と発言し、この発言を受けてCME FedWatchの10月利上げ確率は70%超から68%に低下、12月までの利上げ確率は95%とされた。株式市場ではこのハト派的なトーンが終盤の下支え要因として意識された(Admiral Markets)。原油(WTI)はサウジのパイプライン再開観測・米・イラン仲介協議・SPR放出観測を受けて88.98〜89.38ドル(マイナス3.5〜3.9%)まで下落し、インフレ懸念の後退を通じて株式にはやや追い風となった(詳細はcommodityを参照)。

テクニカル分析(S&P500・ナスダック100・NYダウ)

S&P500は50日移動平均線(7,640.62)・200日移動平均線(7,209.42)をいずれも上回る上昇トレンドを維持しており、RSI(14日、70超で買われすぎ・30未満で売られすぎの目安)は51.10と中立圏で推移している(前回9月25日時点のRSI56.59からは過熱感がやや和らいだ)。上値レジスタンスは直近1カ月の高値圏(概ね7,740ポイント台)、下値サポートは9月半ばの安値およびここ1カ月のレンジ下限である7,600ポイント近辺とみられる(Schaeffer's Investment Research)。

ただし指数自体は上昇トレンドを維持する一方、市場内部の幅(breadth、値上がり銘柄の広がり)には弱さがみられる。S&P500構成銘柄のうち自社の50日移動平均線を上回っているのはわずか25.2パーセントにとどまり、過去の分布でも下位10パーセンタイルの水準となっている。センチメント面では、AAII個人投資家調査で弱気派が48パーセント(強気派32パーセント)と高水準にあり、VIX先物では大口投機筋が大幅なネットショートに傾いている。VIX指数自体は16.04(マイナス0.19%)と落ち着いた水準だが、CNNのFear&Greed指数は32〜34程度の「恐怖」ゾーンにあり、VIXの低さとFear&Greed指数の弱さが乖離している点は、指数全体の値動き以上に相場の幅が狭いことを示唆している(Schaeffer's Investment Research)。

ナスダック100・NYダウについては、本レポート執筆時点で確度の高い50日・200日移動平均線およびRSIのデータが確認できなかった(データ未確認)。

今夜の注目イベント

日本時間9月30日夜は、米ADP雇用統計(9月分)、8月分コアPCE価格指数・PCEデフレーター、2026年4-6月期GDP確定値、9月シカゴ購買部協会景気指数、週次のMBA住宅ローン申請指数の発表が予定されており、複数のFRB高官(バーキン・グールズビー・カシュカリ・ウィリアムズ)の講演も相次ぐ(指標の詳細はecon_indicators・fxを参照)。個別企業では、10月1日引け後に決算発表を控えるナイキ(売上予想113.7億ドル)への警戒も一部で言及されている(Investrade)。