前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- ビットコインは前回の8万2,365ドル前後(9月28日)から8万3,400ドル前後(9月29日)へ反発した。一時8万4,000ドル台まで上昇したが、米10年債利回りが2007年以来の高水準となる5.27%まで上昇したことを受け上げ幅を縮小した(CoinDesk)
- 前回はBitgetからの流出額(3.5億ドル超)のみが判明していたが、新たに北朝鮮の関与が明らかになり、2026年通年の北朝鮮関与ハッキング被害が累計10億ドルを突破したことが判明した(Bloomberg)
- 米国の規制動向として、前回のSEC新興ETF規制見直しに加え、CFTCがコインベースの独自デリバティブ清算機関(DCO)を新たに承認するという進展があった(The Block)
- 日本の社会実装では、前回のSBI×韓国教保生命による日韓送金実証とは別に、金融庁がTradeWaltz・メガバンクによる貿易決済でのステーブルコイン活用実証を新たに支援した(KuCoin)
- アルトコインの出来高がビットコインの約4倍に達し、Glassnodeの分析では9月22日にアルトコインシーズン入りしたとされる新規の過熱警戒材料が加わった(JinaCoin)
昨日と同じこと(継続)
- 強気派・弱気派の見方が拮抗する展開は継続している。強気派はビットコインの技術的な強気相場入りを引き続き主張し、弱気派は反落局面への警戒を続けている
- Bitget事件を巡る業界の警戒は継続しており、本日は帰属(北朝鮮)と被害総額という続報が加わった形である
要因の連続性
- 継続要因: 強気派・弱気派の綱引きという市場構図、Bitget事件への警戒
- 新規要因: 米長期金利の上昇(10年債利回り5.27%、2007年以来の高水準)、CFTCによるコインベースのクリアリングハウス承認、北朝鮮の関与判明とハッキング被害の年間集計、アルトコイン出来高急増による短期天井への警戒
- 解消した要因: なし(前回の材料はいずれも継続または続報という形で残っている)
価格サマリー
| 銘柄 | 価格(2026年9月29日時点) | 24時間騰落率 |
|---|---|---|
| ビットコイン(BTC) | 8万3,400ドル前後 | 小幅安(一時8万4,000ドル台まで上昇後反落) |
| イーサリアム(ETH) | 2,700ドル台 | +2%前後 |
| ソラナ(SOL) | 118ドル前後 | -0.87% |
| XRP(リップル) | 1.48ドル前後 | +0.49% |
銘柄別動向
BTC
CoinDeskによると、ビットコインは9月29日、一時8万4,200ドル近辺まで上昇したものの、米10年債利回りが2007年以来の高水準となる5.27%まで上昇したことが重しとなり、8万3,400ドル前後まで上げ幅を縮小した。このほか、消費者信頼感指数が10年超ぶりの低水準(81.9)まで落ち込んだことや、FRBのウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が10月の利上げを急ぐ必要はないとの見方を示したことも材料視された。
ETH・その他アルトコイン
イーサリアムは主要銘柄の中で最も強く、2,700ドル台へおよそ2%上昇した(CoinDesk)。ソラナ(SOL)は118ドル前後で24時間ベース0.87%安、XRP(リップル)は1.48ドル前後で0.49%高とまちまちの動きとなった(CoinDesk: Solana、CoinDesk: XRP)。JinaCoinによると、アルトコインの現物出来高はビットコイン単体のおよそ4倍に達し、2025年9月以来の水準となった。Glassnodeの分析では9月22日にビットコインシーズンからアルトコインシーズンへの転換が起きたとされ、過去にはこうした出来高比率の上昇がビットコインの短期的な天井と重なった例もあるという。
強気派 vs 弱気派
強気派: Cryptonomistによると、ビットコインが先週365日移動平均線を上抜けたことを受け、CryptoQuantは過去の強気相場入りの典型的な技術的節目に達したとして新たな強気局面入りを正式に宣言した。CoinDesk Daybook USでは、FxProのアレックス・クプツィケビッチ氏が「時価総額2.87兆ドル水準では、先週の安値から慎重ながら反発が形成されつつある」とし、強気心理が続けば8万7,000ドル超の複数カ月ぶり高値への道が開けると指摘した。
弱気派: 同じくCoinDesk Daybook USの取材に対し10x Researchは「プットオプションの需要がここ数日で急増しており、これが単なる短期的なヘッジなのか、地合いの転換の始まりなのかを見極める必要がある」との見方を示した。CoinDesk自身も、買いオプション(コール)のプレミアムが1週間前ほど高くなくなっている点を、強気心理が冷え込んでいるサインとして指摘している。加えてJinaCoinが伝えるGlassnodeの分析では、アルトコインへの出来高シフトが過去にビットコインの短期天井と重なった例があるとして、目先の過熱に注意を促している。
社会実装ニュース
KuCoinによると、金融庁は9月29日、TradeWaltz・NTTデータ・みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・三菱UFJ信託銀行が共同申請した実証事業を、「FinTech実証ハブ・決済高度化プロジェクト(PIP)」の第4弾支援案件として認定した。実証では、貿易情報プラットフォーム「TradeWaltz」とステーブルコイン基盤を連携させ、輸出者が船積書類をアップロードし銀行が承認した後、輸出債権の買取代金をステーブルコインで決済する仕組みを検証する。資金決済の迅速化と業務効率化の効果を確かめる段階であり、本番運用ではなく実証実験(PoC)にとどまる。前回報じたSBI×韓国教保生命保険による日韓送金実証と合わせ、貿易金融・国際送金分野でのステーブルコイン実証が相次いでいる。
法改正・規制ニュース
米国
The Blockによると、米CFTC(商品先物取引委員会)は9月28日、Coinbase Clearing LLCをデリバティブ清算機関(DCO)として承認した。対象はフルコラテラル型(全額担保型)の先物・オプション・スワップに限られるが、USDCを担保とした24時間365日の決済を可能にするもので、コインベースにとって取引所・仲介・清算の機能を自社グループ内で完結させる初のUSDCネイティブな清算機関となる。同社のモリー・エイブラハム法務責任者は「規制対象のデリバティブ商品をより多く市場に投入できるようになる」とコメントした。証拠金型デリバティブや計画中の単一株式パーペチュアルは、引き続き外部の清算機関に依存するとしている。
日本
金融庁は前述のとおり、TradeWaltz・メガバンクによる貿易決済のステーブルコイン活用実証を「FinTech実証ハブ」の枠組みで支援する決定を9月29日に行った(詳細は前項「社会実装ニュース」を参照)。これとは別に、2025年12月の金融審議会報告を踏まえた暗号資産の金融商品取引法への移行を含む法改正は、2026年中の実現に向けて引き続き審議が続いているとみられるが、本レポート時点で新たな具体的進展の発表は確認できていない。
テクニカル分析(BTC・ETH)
Investing.comによると、ビットコインの50日移動平均線はおよそ8万3,816ドルで、現在の価格(8万3,400ドル前後)とほぼ同水準にあり、方向感に乏しい状態を示している。一方で月足ベースのRSIは9月24日時点で54と、節目の50を上回る水準まで回復しており(直近5カ月平均は47)、中期的なモメンタムは改善傾向にあることを示唆する。ビットコインは9月21日、45週ぶりに50週移動平均線を上抜けており、これも中期的な強気サインとして意識されている。レジスタンス(上値抵抗)は先週つけた高値の8万7,000ドル台、サポート(下値支持)は直近安値圏の8万2,000ドル台が目安となる。センチメント面では、JinaCoinが伝えるFear&Greed指数(恐怖・強欲指数)は68と「やや強欲」寄りの水準で、過熱への警戒感も一部で意識されている。イーサリアム単独の移動平均線・RSIについては本日確認できる出典が見つからなかったが、市場全体の暗号資産時価総額(2.87兆ドル)を参考指標としてFxProのアナリストは、2.90兆ドルを上回るまでは短期的な下降トレンド内にあるとの見方を示している(CoinDesk Daybook US)。
業界トピック
Bloombergによると、9月24日に発生した取引所Bitgetからの3.5億ドル超の不正流出は北朝鮮のハッカーによるものとみられ、これにより北朝鮮関与の暗号資産窃取額は2026年通年で累計10億ドルを突破した。北朝鮮による暗号資産のハッキングは近年、同国の外貨獲得やミサイル開発資金の手段とされてきたが、2026年は単年でも過去最大級の被害規模となっている。取引所側は資産の安全性を強調しているものの、業界内では取引所のセキュリティ体制やコールドウォレット管理への警戒が改めて高まっている。
前述のとおり、米CFTCによるコインベースの独自クリアリングハウス承認も、取引所の規制対応・インフラ整備という観点で業界の大きな話題となった。

