前回からの変化
前回(2026-10-19)との比較である。先週月曜の回から1週間の変化をまとめる。今回は専門機関の原文を直接読めたもの(ISWのKyiv Post転載)と、検索結果の要約や見出しを通じて確認したもの(ICG、ACLED)が混在する。後者は原文までは確認できていないため、「〜と評価している」の形にとどめる。
変わったこと(変化・新規)
- ウクライナでは、前回のISWの評価(領土収支の純減、攻勢の失速)に続き、外交面で動きが出た。ISWは、ウクライナがロシア占領下のヘルソン州オレシキで27日から限定停戦を守ることに同意し、停戦の開始日をめぐって両国の認識が一致したと整理した。ただし地理的な範囲やその他の条件は不明としている(ISW(Kyiv Post))
- ISWは、スペースXのスターリンクとスターシールドの無制限の利用が24日に再開したと、ウクライナ当局が確認したと整理した(同上)。前回は米国の制裁免除が目立つ週だったが、今週は通信基盤の復旧が加わった
- ISWによると、ウクライナは23日夜から24日にかけて、ロシア国内と占領地のエネルギー施設に中距離の攻撃を行い、クリミアを含む占領地で停電が起きた。ロシアは24日未明にドローン126機でウクライナを攻撃した(同上)
- イランをめぐり、前回のホルムズ海峡の船舶攻撃の急増に続き、米国とイランの交渉の見通しが食い違った。イランの駐パキスタン大使は海峡再開の用意を示したが、革命防衛隊系のタスニム通信は提案を否定した(各社報道。Iran International、The Tribune)
- ICGの月次分析CrisisWatchは、9月の悪化を5か所、10月の警戒を7か所(アフガニスタン、エリトリア、エチオピア、イラン、パキスタン、サウジアラビア、イエメン)と整理しており、国家間の対立が目立つ構図だという(検索結果の要約による。原文は未確認。ICG)
昨日と同じこと(継続)
- ISWはロシア軍の攻勢が加速していないとの評価を保っている。前回のISWの整理(ロシア軍の領土収支の純減)と、今週の「ドブロピリャ南東でロシア軍が前進」という限定的な動きは整合する(ISW(Kyiv Post))(継続)
- イエメンのフーシ派によるサウジの空港・エネルギー施設への攻撃は続いている。ACLEDは23日付の分析でこれを取り上げた(継続。ACLED)
- スーダンでは、RSFによるドローン攻撃と国軍の反撃の消耗戦が続くという構図が続いている。ICGのCrisisWatchは、RSFとSPLM-Nが青ナイル州で新たな領土の獲得を主張し、国軍は北コルドファン州の複数の町を奪還したと整理している(検索結果の要約による。ICG)(継続)
- ガザの停戦第2段階は進んでいない状態が続く。今週、これを更新する新しい専門機関の報告は確認できなかった(継続)
要因の連続性
- 継続要因: ロシア軍の攻勢の失速、スーダンの消耗戦、湾岸での緊迫、ガザの停戦第2段階をめぐる不信
- 新規要因: ウクライナ南部での限定停戦の合意と、米国・ウクライナ・ロシアの協議が開かれる見通し。戦況というより外交面の変化が目立つ。あわせてスターリンクの再開が、ウクライナ軍の通信を支える要因として加わった
- 解消した要因: なし
今週の概観
過去1週間(10月19日〜25日)は、ウクライナで戦況の基本線は変わらない一方、27日からのオレシキの限定停戦をめぐる動きとスターリンクの再開という外交・通信面の変化が出た。中東では、ホルムズ海峡と米国・イランの交渉をめぐる発信が食い違い、サウジアラビアでは、フーシ派の攻撃がエネルギーと航空インフラへの経済的な影響を広げている。スーダンでは消耗戦が続く。大規模な新しい衝突というより、既存の紛争が外交と経済の面で形を変えた週である。
紛争別の週間動向
ウクライナ
事実として、ISWの整理では、ロシア軍はドブロピリャ南東で前進した一方、ウクライナ軍は23日夜から24日にかけてロシア国内と占領地のエネルギー施設を攻撃し、クリミアを含む占領地で停電が起きた。ロシア軍は24日未明にドローン126機を放った(ISW(Kyiv Post))。
分析面では、ISWは、27日からオレシキで限定停戦を行う方向で両国の認識が一致したことを、停戦の開始日をめぐる収斂と位置づけつつ、範囲やその他の条件が不明な点を指摘している。ISWは「ロシアの軍事的勝利は避けられないものではなく、西側の支援が崩れない限り極めて起きにくい」とも評価している(同上)。ISWは米国のシンクタンクで、ウクライナを支援する国の機関の分析であり、数字や評価は独立の機関による突き合わせができていない。前々回までのISWの整理では、ロシア軍が9月以降に領土を純減させたとの評価が示されていた(Critical Threats(ISW))。
ホルムズ海峡・イラン
事実として、イランの革命防衛隊は、海峡を完全に掌握し、合計450万バレルの原油を積んだ超大型タンカー2隻が機雷に触れたと主張した(イラン側の主張で、独立した確認は出ていない)。トランプ米大統領は「素晴らしい合意になる可能性も、攻撃の可能性もある」と述べた。パキスタン、カタール、ロシアが仲介にあたり、パキスタン軍のトップがテヘランを訪れたと伝えられている(Iran International、The Tribune)。
分析面では、ICGが10月の警戒対象にイランを挙げている(検索結果の要約による。原文は未確認。ICG)。今週、ホルムズ海峡について新しい専門機関の詳しい分析は確認できなかった。
イエメン・サウジアラビア
事実として、ACLEDは23日付の分析で、フーシ派の攻撃がサウジの航空とエネルギーのインフラを脅かし、経済的な影響は物理的な被害を超えて広がると論じている。同じACLEDのモニターには、16日付でイエメン政府側の攻勢能力と戦力の不均衡を論じる分析もある(見出しの確認のみ。ACLED)。
分析面では、ICGが9月にサウジアラビアとイエメンの情勢が悪化したとし、10月の警戒対象にも両国を挙げている(検索結果の要約による。原文は未確認。ICG)。
スーダン
事実として、10月初めに北コルドファン州の州都エルオベイドでドローン攻撃があり、少なくとも10人が死亡した(Ahram Online)。ICGのCrisisWatchは、RSFとSPLM-Nが青ナイル州で領土の獲得を主張し、国軍が北コルドファン州の複数の町を奪還したと整理している(検索結果の要約による)。今週、エルオベイドの人道状況について、新しい国連機関の報告は確認できなかった。
ガザ/イスラエル・パレスチナ
今週、停戦の第2段階を更新する新しい専門機関の報告は確認できなかった。ACLEDは22日付で、イスラエルの政治の分断とデモ、安全保障政策をめぐる論点を扱っている(見出しの確認のみ)。27日にはイスラエルの総選挙が予定されている(ACLED)。
緊張が高まっている地域
湾岸地域(ホルムズ海峡とサウジ・イエメン国境)が引き続き最も緊迫している。ACLEDはサウジの航空・エネルギーインフラへの攻撃の経済的な広がりを、ICGは10月の警戒対象にサウジアラビア、イエメン、イランを挙げている。エチオピアとエリトリアは、ICGの検索結果の要約によると、10月1日に外交関係を断ち、10月の警戒対象にも入っている(原文は未確認。ICG)。
和平・外交の動き
ウクライナでは、ISWの整理で、27日からのオレシキの限定停戦と、米国・ウクライナ・ロシアの協議がアブダビかスイスで開かれる見通しという動きがある。ただし停戦の範囲や条件は不明で、広い和平交渉の具体的な進展は確認できていない。イランと米国の交渉は、イラン側の発信が食い違い、合意の見通しは立っていない。ガザの停戦第2段階は、今週も具体的な進展を確認できなかった。

