前回からの変化

前回(2026-09-14)との比較。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回、本日(9/14)にオマーン南部サラーラで開催予定と報告したイラン・GCC・イラクの外相会談について、実際には無期限延期になっていたことが新たに判明した。オマーンのアルブサイディ外相は「コンセンサスを得るため」延期したと説明した。会談の目的だったホルムズ海峡通航ルートの地図合意についても、米国抜きでGCC・イランが包括的な計画に合意するのはほぼ不可能との見方が示されている。トランプ政権関係者はオマーンが起草した計画を検討済みだが公には署名しておらず、「開かれた航路を実現できるのは米国だけだ」との立場を崩していない(新規・訂正、CNN)。
  • ISWは9月18〜19日の分析で、ロシア国防省が地方議会(国家院)選挙と国連総会の開催を控え、前線での「見せかけの前進」を国内外向けに誇張する情報工作を続けていると指摘した。ロシア国防省はリマン方面でのウクライナの戦果を否定する不正確な戦況を示しているが、ロシア軍事ブロガー・ウクライナ側情報源・位置特定済み映像による十分な証拠と矛盾しているという。ISWは、ウクライナ軍が「要塞ベルト」東部およびオレクサ地区で前進したと分析しており、前回報告したリマン地区北方の露軍突出部排除に続き、ウクライナ側が主導権を維持していることが改めて確認された(新規、Kyiv Post、Kyiv Post)。
  • ガザについて、エジプトのシーシ大統領が9月20日、米中央情報局(CIA)のラトクリフ長官と会談し、トランプ大統領の計画の「第2段階」の完全実施、民間人保護、人道支援の継続確保の重要性を強調したことが新たに判明した(新規、Azernews)。
  • ガザの停戦違反を巡り、イスラエル軍は直近2週間でハマスの精鋭部隊「ヌクバ」の司令官10人を含む25人の戦闘員を「停戦の組織的違反」への対応として殺害したと発表したことが新たに判明した。また9月16日には、これまでの空爆で損傷していたガザ市内の建物が倒壊し、子ども11人を含む21人が死亡、14人が負傷する事案が発生した(新規、Times of Israel)。

昨日と同じこと(継続)

  • スーダンでは、7月末にスーダン国軍(SAF)が北コルドファン州で開始した地上攻勢(アル・サダラト幹線道路と主要5地点の奪還)以降の膠着状態が続いている。RSFはこれらの戦果への切り崩しを続けているとされ、エルオベイドはRSF・同盟勢力からの圧力に直面し、発電・燃料施設を狙った無人機攻撃が相次ぎ、医療施設・給水施設の停止を招いている(継続、Security Council Report)。
  • 青ナイル州でクルムク・ゲイサン周辺の戦闘が8月中旬に拡大し、RSFとスーダン人民解放運動北部派(SPLM-N)がこれらの町を奪還したとされる状況も継続している(継続、同上)。
  • レバノン南部の「先に撤退か武装解除か」を巡る膠着構造は前回から変わっていない。

要因の連続性

  • 継続要因: ウクライナ和平交渉における領土問題、ガザにおけるハマス武装解除の順序を巡る対立、レバノンでの撤退・武装解除の先後を巡る膠着、スーダンにおける外国勢力の軍事支援・北コルドファン戦線の膠着。
  • 新規要因: (1) ホルムズ海峡協議の無期限延期という外交的後退、(2) ロシア国防省による選挙・国連総会を意識した情報工作の強まり、(3) ガザ停戦第2段階実施を巡るCIA・エジプトの直接関与、(4) ガザでの建物倒壊による大規模な民間人犠牲。
  • 解消した要因: 特になし。

今週の概観

過去1週間(9月15日〜20日)は、外交的な出口を探る動きが後退する一方、既存の紛争構造はいずれも継続した週だった。前回、本日開催と報告したイラン・GCC・イラクのホルムズ海峡協議は、実際には無期限延期となっていたことが判明し、米国不在での多国間合意の難しさが改めて浮き彫りになった。ウクライナでは、ISWがロシア国防省による選挙・国連総会向けの情報工作を指摘しつつ、ウクライナ軍が要塞ベルト東部・オレクサ方面でさらに前進したと分析した。ガザでは、エジプトのシーシ大統領とCIAのラトクリフ長官が停戦第2段階の実施を協議した一方、停戦違反を理由とした戦闘員殺害と、建物倒壊による21人の死亡事案が相次ぎ、緊張は解けていない。スーダンでは、北コルドファン州エルオベイドを巡る膠着が続き、無人機攻撃によるインフラ被害が深刻化している。

紛争別の週間動向

イラン・湾岸諸国(ホルムズ海峡)

事実として、イラン・GCC加盟6か国・イラクの外相によるオマーン・サラーラでのホルムズ海峡協議は、前回9/14開催予定と報告していたが、実際には無期限延期となっていたことが判明した。オマーンのアルブサイディ外相は「コンセンサスを得るため」延期したと説明している(CNN)。

分析面では、会談の主目的だった通航ルートの地図合意について、米国不在のままGCCとイランが包括的な計画で足並みをそろえるのはほぼ不可能との見方が示されている。トランプ政権はオマーン起草の計画を検討済みとされるが公式には署名しておらず、「開かれた航路を実現できるのは米国だけだ」との立場を崩していない。イラン側は従来どおり、米国による海上封鎖・資産凍結・原油制裁の解除に応じない限り海峡の正常運用には応じない立場とみられ、今週も打開の兆しは確認できなかった(同上)。

ウクライナ

事実として、ISWは9月18〜19日の分析で、ロシア国防省が国内の地方議会(国家院)選挙と国連総会の開催を控え、前線での戦況を国内外向けに誇張する情報工作を続けていると指摘した。ロシア国防省はリマン方面でのウクライナ側の戦果を否定する不正確な戦況を提示しているが、ロシア軍事ブロガー・ウクライナ側情報源・位置特定済み映像による証拠と矛盾しているという(Kyiv Post)。

分析面では、ISWはウクライナ軍が「要塞ベルト」東部およびオレクサ地区でこの期間に前進したと評価しており、前回報告したリマン地区北方の露軍突出部排除に続き、ウクライナ側が主導権を維持している構図が今週も裏付けられた形である(Kyiv Post)。

ガザ/イスラエル・パレスチナ

事実として、エジプトのシーシ大統領は9月20日、米中央情報局(CIA)のラトクリフ長官と会談し、トランプ大統領の計画の「第2段階」の完全実施、民間人保護、人道支援の継続確保の重要性を強調した(Azernews)。一方でイスラエル軍は、直近2週間でハマスの精鋭部隊「ヌクバ」の司令官10人を含む25人の戦闘員を、停戦の「組織的違反」への対応として殺害したと発表した。9月16日には、これまでの空爆で損傷していたガザ市内の建物が倒壊し、子ども11人を含む21人が死亡、14人が負傷する事案が発生した(Times of Israel)。

分析面では、イスラエル軍の発表はイスラエル側の視点によるものであり、ハマス側の反論・第三者機関による検証は本日時点で確認できていない点に留意が必要である。停戦第2段階の実施を巡る外交努力と、現地での戦闘員殺害・民間人犠牲が並行して進む状況は、前回報告したICGの「Hollow Promises」評価(ロードマップが履行されないまま停戦が実効性を欠いているとの指摘)と整合的である。

スーダン(エルオベイド・北コルドファン戦線)

事実として、7月末にスーダン国軍(SAF)が北コルドファン州で開始した地上攻勢により、アル・サダラト幹線道路とバラ・ウム・サヤラを含む主要5地点を奪還したが、RSFはこれらの戦果への切り崩しを続けているとされる。北コルドファン州都エルオベイドはRSF・同盟勢力からの重い圧力に直面しており、発電・燃料施設を狙った無人機攻撃が相次ぎ、医療施設・給水施設の停止を招いている。市南西部の戦闘では多数の民間人が死亡したと報じられている(Security Council Report)。

青ナイル州では、クルムク・ゲイサン周辺の戦闘が8月中旬に拡大し、RSFとスーダン人民解放運動北部派(SPLM-N)がこれらの町を奪還したとされ、治安・人道状況が悪化している(同上、Al Jazeera)。国連安保理は9月11日、スーダン制裁レジームを1か月延長する決議2828を全会一致で採択し、専門家パネルの任期を11月9日まで延長した。武器禁輸をスーダン全土に拡大すべきだとする多数の理事国と、現状維持を望む理事国との間で立場の隔たりが表面化している。

緊張が高まっている地域

今週(9月15日〜20日)は、専門機関によるエスカレーション警告として新たに取り上げるべき地域は確認できなかった。

和平・外交の動き

イラン・GCC・イラクによるホルムズ海峡協議は無期限延期となり、米国不在での多国間合意の難しさが改めて浮き彫りになった(詳細は「イラン・湾岸諸国」節を参照)。ガザでは、シーシ大統領とCIAラトクリフ長官による停戦第2段階実施を巡る協議が今週の主要な外交的動きだったが、現地での戦闘員殺害・民間人犠牲は続いており、具体的な進展は確認できていない。ウクライナを巡る米露・三者会談については、前回報告したゼレンスキー大統領の提案から、今週新たな進展の確認情報はなかった。