前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 8月の雇用統計は非農業部門雇用者数が16万2,000人増と、市場予想(約5万5,000人)を3倍近く上回る強い結果となった。失業率は4.1%で横ばい、平均時給は前月比0.3%増(37.75ドル)・前年比3.1%増だった。前回、金利低下・ドル安の追い風となっていた「ハト派寄りの流れ」から一転し、CNBCの報道によれば7月分(-2.3万人→+2.1万人)・6月分(→+3.1万人)も上方修正された。
- 強い雇用統計を受け、CME FedWatchが示す9月FOMCでの利上げ確率は前日(木曜)の49.4%から58.4%へ急上昇した(Yahoo Finance)。前回、FRBウォラー理事のハト派発言で後退していた利上げ観測が、雇用統計という新たな材料で再燃した形。
- 米国株3指数は前回の反発(+1.06%〜+1.18%)から一転して、S&P500は7,747.71ドル→7,718.60ドル(-29.11、-0.38%)、NYダウは53,686.11ドル→53,414.25ドル(-271.86、-0.51%)と反落した。一方でナスダック100は29,482.32→29,544.15(+61.83、+0.21%)と小幅ながら上昇し、セクター別ではハイテク(+0.44%)のみがプラスで他は軟調という「ねじれ」が生じた(The Motley Fool)。
- NYダウのテクニカル配置が転換した。前回は50日線・200日線をいずれも上回っていたが、本日は50日移動平均線(53,302.88ドル)は上回るものの200日移動平均線(53,560.57ドル)を下回る配置となった(Investing.com)。
- ルルレモンが2四半期連続の既存店売上減少と通期見通しの引き下げを発表し、株価が17%超急落した(新規)。フェア・アイザック(FICO)も住宅金融庁(FHFA)がSNS上で信用スコアの価格設定を批判したことを受け16.68%下落した(新規)(The Motley Fool)。
- テスラはロボタクシー「サイバーキャブ」のサービス展開開始を発表したが株価は6.4%下落、アップルは折りたたみ式iPhoneの供給問題が観測され株価が下押しされた一方、マイクロン・テクノロジーとサンディスクはHBM(広帯域メモリ)の生産倍増計画を材料に大幅上昇した(新規)(Yahoo Finance)。
- ドル指数(DXY)は前回の99.4近辺からさらに下落し99.0近辺、ドル円も前回の157円台からさらに円高が進み155円近辺まで上昇した。円は主要通貨の中でなお最も強い動きを続けている(FXStreet)。
- JPモルガンのテクニカルストラテジスト、ジェイソン・ハンター氏が予告していた「9月初旬が相場の重要な分岐点になる」との警告のタイミングが到来し、弱気派の新たな論拠として意識され始めた(新規)(BigGo Finance)。
- カーソン・グループのライアン・デトリック氏(チーフ・マーケット・ストラテジスト)が、雇用統計を受けて「労働市場の改善は経済にとってポジティブだが、その分利上げ観測もやや高まった」とし、来週のCPI・PPIでインフレの方向性がより明確になると指摘した(新規)(Yahoo Finance)。
昨日と同じこと(継続)
- エヌビディアのハギングフェイス買収(129億ドル)を巡る材料は引き続き相場の下支え要因として意識されている。
- ダン・アイブス氏(ウェドブッシュ)のAI強気姿勢(テック株はなお上値余地あり)は継続。
- アンドリュー・タイラー氏(JPモルガン)の戦術的弱気、ポール・シアナ氏(バンク・オブ・アメリカ)の「マクロの逆風が強まっている」との警戒、バンク・オブ・アメリカの年末目標7,100ドル据え置きは継続。
- ホルムズ海峡での地政学リスク・原油高基調(1バレル91ドル前後、週間ではおよそ9%高)は継続、米・イラン間の緊張再燃も続いている。
- 半導体関税拡大の検討(ノートパソコン・ゲーム機・データセンターサーバーへの対象拡大案)は進展の確認ができず、継続中。
要因の連続性
- 継続要因: ホルムズ海峡の地政学リスクと原油高、AI関連設備投資への期待(エヌビディア関連)、半導体関税拡大の検討はいずれも継続。
- 新規要因: (1) 予想の3倍強となった8月雇用統計による利上げ観測の再燃、(2) NYダウの200日線割れという技術的な弱さ、(3) ルルレモン・FICOなど消費関連銘柄の急落、(4) JPモルガン、ジェイソン・ハンター氏の「9月初旬が節目」との警告が現実味を帯びてきたこと。
- 解消した要因: 前回強まっていた「FRBがハト派に傾いた」との見方は、強い雇用統計を受けた利上げ確率の再上昇(49.4%→58.4%)により大きく後退した。
1. 市況サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,718.60 | -29.11 | -0.38% |
| ナスダック100 | 29,544.15 | +61.83 | +0.21% |
| NYダウ | 53,414.25 | -271.86 | -0.51% |
(取得時点: 2026-09-04 米国市場引け。参考値としてナスダック総合指数は26,506.99(-77.07、-0.29%)。 出典: Yahoo Finance、NASDAQ-100過去データ)
2. 指数別動向
S&P500
7,718.60ドル(-0.38%)で反落し、前回までの2営業日続伸が途切れた。強い雇用統計を受けた利上げ観測の再燃で幅広い銘柄が売られたが、下げ幅は比較的小さく「限定的な売り圧力」にとどまったとの評価もある。 出典: Yahoo Finance
ナスダック100
29,544.15ドル(+0.21%)。セクター別ではテクノロジー(+0.44%)のみがプラス圏で、マイクロン・テクノロジーやサンディスクなどメモリ関連の上昇が指数を下支えした。半面、ナスダック総合指数ベースでは-0.29%と、大型テック以外の銘柄群は軟調だった。 出典: The Motley Fool
NYダウ
53,414.25ドル(-0.51%、-271.86ドル)で引け、3指数の中で最も下げ幅が大きかった。消費関連のルルレモンやFICOの急落が指数の重しとなった。 出典: Yahoo Finance
3. 強気派 vs 弱気派
強気派(ブル)
- ライアン・デトリック氏(カーソン・グループ、チーフ・マーケット・ストラテジスト): 「労働市場は先月良好な回復を見せており、改善する雇用環境は経済にとってポジティブな材料だ」としつつ、「その分、利上げ観測もやや高まった」と両論を提示。来週発表のCPI・PPIでインフレの方向性がより明確になるとした(新規)(Yahoo Finance)。
- トム・リー氏(ファンドストラト共同創業者)の「FRBが金利を据え置けば9月相場は非常に強いものになり得る」との強気見通しは継続。9月1日の番組でも「9月は株にとって力強い月になる」と重ねて強調した(継続)(CNBC)。
- ダン・アイブス氏(ウェドブッシュ)のAI関連への強気姿勢(テック株はなお上値余地あり)は継続。(継続)
弱気派(ベア)
- ジェイソン・ハンター氏(JPモルガン、テクニカルストラテジスト): S&P500が重要なレジスタンス(7,900ドル台)近辺で足踏みするなか、「複数の弱気テクニカルシグナルが表面下に蓄積している」と指摘。8〜10月の季節的な弱さ(バンク・オブ・アメリカ調査では1928年以降平均7.35%下落)や中間選挙年のアノマリーを根拠に、9月初旬までに状況が変わらなければエクスポージャー削減を検討すべきとし、AI半導体株の利益確定売りと大手クラウド企業とのパフォーマンス格差を最大の懸念点に挙げた(新規)(BigGo Finance)。
- アンドリュー・タイラー氏(JPモルガン・チェース)の戦術的弱気(S&P500が高値から約10%下落するリスク)、ポール・シアナ氏(バンク・オブ・アメリカ)の「マクロの逆風が強まっている」との警戒は継続。バンク・オブ・アメリカ調査部が年末目標7,100ドル(現在値から下落を示唆)を据え置いている点とも整合的。(継続)
4. 経済ニュース
経済指標
- 8月の雇用統計は非農業部門雇用者数が16万2,000人増(予想約5万5,000人)と大幅に上振れ、3月以来の高い伸びとなった。失業率は4.1%で横ばい(予想通り)。平均時給は前月比0.3%増の37.75ドル(前年比+3.1%)だったが、物価上昇率(3.4%)には届かず実質賃金の伸びは鈍いままとの指摘がある。7月分(-2.3万人→+2.1万人)・6月分(→+3.1万人)も上方修正された。 出典: CNBC
政策
- 強い雇用統計を受け、CME FedWatchが示す9月FOMC(9/15〜16)での25ベーシスポイント利上げ確率は木曜の49.4%から58.4%へ上昇した。前回のウォラー理事によるハト派寄り発言とは逆方向の材料となった。 出典: Yahoo Finance
- 半導体関税の対象をノートパソコン・ゲーム機・データセンターサーバーへ拡大する検討は継続中だが、新たな進展は確認できなかった。
注目された個別銘柄・決算
- ルルレモン・アスレティカ: 2四半期連続の既存店売上減少を受け通期見通しを引き下げ、株価が17%超急落した。高級アスレジャー市場の需要減退を示唆する結果となった。 出典: The Motley Fool
- フェア・アイザック(FICO): 住宅金融庁(FHFA)がSNS上で信用スコアの価格設定を批判したことを受け16.68%下落した。 出典: The Motley Fool
- テスラ: ロボタクシー「サイバーキャブ」のサービス展開開始を発表したが、株価は6.4%下落した。 出典: Yahoo Finance
- アップル: 折りたたみ式iPhoneを巡る供給問題が観測され、株価が下押しされた。 出典: Yahoo Finance
- マイクロン・テクノロジー / サンディスク: HBM(広帯域メモリ)の生産倍増計画を材料に大幅上昇した。 出典: Yahoo Finance
5. 金利・為替が株に効いた分
米長期金利(10年債利回り)は前日の4.75%前後からわずかに上昇し4.77%前後となった。金利上昇はグロース株・大型テック株にとってはやや逆風となる場面もあったが、上げ幅は小幅にとどまり相場全体への影響は限定的だった。ドル指数(DXY)は前回の99.4近辺からさらに下落し99.0近辺(週間で3日続落)、ドル円も前回の157円台からさらに円高が進み155円近辺まで上昇した。円は主要通貨の中で引き続き最も強い動きとなっており、ドル安は米国の多国籍企業の海外収益をドル換算する際の目減りを抑える方向に働いた。 出典: The Motley Fool、FXStreet
6. テクニカル分析
S&P500
50日移動平均線(7,697.90前後)・200日移動平均線(7,674.57前後)をいずれも上回る配置を維持した。RSI(14日)は54.1と中立圏に落ち着き、前回の66.0(買われ過ぎ入り口)からは過熱感が和らいだ。目先の支持線は7,710ドル近辺、レジスタンスは7,722ドル近辺が目安となる。 出典: Investing.com
ナスダック100
50日線(29,370.64前後)・200日線(29,275.86前後)をいずれも上回る配置を維持した。RSI(14日)は58.6で買いシグナル圏だが、前回の61.2からはやや低下した。目先の支持線は29,464ドル近辺、レジスタンスは29,531ドル近辺が目安。 出典: Investing.com
NYダウ
50日線(53,302.88前後)は上回ったものの、200日線(53,560.57前後)を下回る配置に転じた。前回は両線をいずれも上回っていたため、3指数の中で唯一テクニカル面の弱さが浮上した形。RSI(14日)は52.2と中立圏で、前回の68.9から過熱感は解消した。目先の支持線は53,384ドル近辺、レジスタンスは53,439ドル近辺が目安。 出典: Investing.com
センチメント指標(補助)
- VIX(恐怖指数): 14.53(前回14.32からわずかに上昇)。落ち着いた水準を維持している。
- Fear & Greed Index: 43前後(恐怖、前回33前後からは改善傾向)。
7. 今夜の注目イベント
- 9/5(土)・9/6(日)は週末で米国市場は休場。9/7(月)は米国のレイバーデーで祝日休場となるため、次回の取引は9/8(火)から。
- 来週は8月分のPPI・CPIの発表が予定されており、カーソン・グループのデトリック氏も指摘する通り、インフレの方向性がより明確になる見通し。9/15〜16のFOMCで利上げが決定されるかどうかを占う最大の材料になる。
- ホルムズ海峡情勢は、原油価格が1バレル91ドル前後・週間でおよそ9%高となるなど緊張が続いており、引き続き相場の変動要因として注目される。

