前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 前回「9/2発表予定」だったブロードコムの決算が発表され、売上高295.9億ドル(予想294.3億〜294.7億ドル)、GAAP EPS2.68ドル、調整後EPS3.32ドル(予想3.22ドル)、純利益130.9億ドルといずれも予想を上回った。AI半導体売上高は167億ドル(前年比+221%、前四半期比+54%)、第4四半期はAI半導体売上高217億ドル(同+236%)・総売上高348億ドル(同+93%)を見込むと発表した。それでも通期1,000億ドル超のAI半導体目標を据え置いたことが「期待外れ」と受け止められ、時間外取引で株価は367.24ドルから354.18ドルへ3.56%下落した。前四半期も同様の理由で12.6%下落しており、AI関連決算への期待水準の高さが改めて示された(StockTitan)。
- 前回「9/2発表予定」だったHPEの決算も発表され、売上高122億ドル(過去最高、前年比+34%)、GAAP営業利益は前年比+464%、非GAAP営業利益は+155%、調整後EPS1.11ドル(予想0.89ドル)といずれも大幅上振れとなった。通期見通しを上方修正し、第4四半期はフリーキャッシュフローの75%以上を株主還元に充てる方針も示した。株価はデル決算を好感した日中の上昇(+4%程度、53ドル近辺)の後、自社決算を受けた時間外取引では5.09%下落し53.46ドルとなった(SEC)。
- 前回発表されたデル・テクノロジーズの決算(AI関連受注244億ドル)を巡り、四半期のAIサーバー受注が609億ドル、AIサーバー関連バックログが950億ドルに達したとの詳細が明らかになり、通期売上高見通しを250億ドル引き上げ1,920億ドルとした。買いが続き株価は本日+15.81%とさらに上昇した(24/7 Wall St.)。
- ADP全国雇用者数(8月分)は民間部門+3.8万人と、予想(+4.7万〜4.8万人)を下回り1月以来最も低い伸びとなった。7月分は+4.6万人に上方修正された。基本給は前年比+3.2%、転職者の基本給は+4.7%上昇と、賃金の伸びは底堅さを保った(PR Newswire)。
- FRBの地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表され、データセンター需要主導で経済活動は緩やかに拡大、雇用の増加はごくわずかにとどまった。8地区で物価が緩やかに上昇したとされ、エネルギー価格・通商政策・国際紛争を巡る不確実性の高まりが新たな懸念材料として指摘された(Bloomberg)。
- 米国株3指数は3日続落から一転して反発した。S&P500は7,666.60(+35.13、+0.46%)、ナスダック総合は26,217.83(+118.05、+0.45%)、NYダウは53,061.95(+295.07、+0.56%)で引けた。長期金利が日中一時4.814%(2023年11月以来の高水準)まで上昇した後に伸び悩んだことが支えとなった(Yahoo Finance)。
- G20技術閣僚会合(チャペルヒル)が2日間の日程を終えて閉幕した。ラトニック商務長官がエヌビディアのフアンCEO、オープンエーアイのアルトマンCEOと対話し、フアン氏は半導体関税を巡る協議は「なかった」としつつ、ラトニック長官の米国内投資支援姿勢を評価した。前回「本日最終日」としていた予定イベントが実際に終了し、不確実性の一部が後退した(CNBC)。
- ジム・ポールセン氏(エコノミスト、Paulsen Perspectives)が新たに弱気の見方を示した。年末までにS&P500が10〜20%調整する可能性があり、ハイテク・通信中心の「ニューエラ」銘柄は20%超下落する場合もあり得ると指摘。景気後退は見込んでいないが、政策の引き締まり、原油高由来のインフレの遅効的な波及、AIへの熱狂と実体経済のギャップを懸念材料に挙げた(CNBC)。
- VIX(恐怖指数)は15.20(前回14.92から+0.28、+1.9%)まで上昇し、Fear & Greed指数は35(恐怖)と、前回時点の45(中立)からさらに悪化した。
昨日と同じこと(継続)
- ダン・アイブス氏(ウェドブッシュ)のAI強気姿勢(「AI投資は9イニング中まだ3回」、テック株はなお15%の上値余地)は継続。
- ポール・シアナ氏(バンク・オブ・アメリカ、テクニカルストラテジスト)の「マクロの逆風が強まっている」との警戒姿勢は継続。
- アンドリュー・タイラー氏(JPモルガン)の戦術的弱気(S&P500が高値から約10%調整し6,270近辺まで下落するリスク)は継続。
- ホルムズ海峡での米・イラン間の緊張、原油高は継続。
- ドル円は160円近辺で推移し、前回(159円台後半〜160円近辺)からほぼ横ばい。ドル指数(DXY)は99.5超とやや上昇。
- 半導体関税拡大の検討(ノートパソコン・ゲーム機・データセンターサーバーへの対象拡大案)は前回から進展の確認ができず、継続中。
- 9月FOMCでの利上げ確率はCME FedWatchで66%前後と、前回からほぼ変化なし(Forbes)。
要因の連続性
- 継続要因: ホルムズ海峡の地政学リスクと原油高、9月FOMCの利上げ観測、AI関連設備投資への期待、半導体関税拡大の検討はいずれも継続。
- 新規要因: (1) ブロードコムの通期AI半導体目標据え置きへの失望という新たな下落材料が加わった、(2) ADP雇用統計の予想割れという景気減速懸念が新規に加わった、(3) 長期金利が2023年11月以来の水準まで一段と上昇したこと、(4) ジム・ポールセン氏の「年末までに10〜20%調整」という新たな弱気見通しが加わった。
- 解消した要因: 「ブロードコム・HPE決算発表待ち」は本日の実際の発表で解消され、株価反応(ブロードコム下落・HPE反落)という新たな材料に置き換わった。「G20チャペルヒル会合開催中」も本日の閉幕で解消した。
1. 市況サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,666.60 | +35.13 | +0.46% |
| ナスダック100 | 29,143.33 | +66.11 | +0.23% |
| NYダウ | 53,061.95 | +295.07 | +0.56% |
(取得時点: 2026-09-02 米国市場引け。参考値としてナスダック総合指数は26,217.83(+118.05、+0.45%)、ラッセル2000は2,953.17(+33.03、+1.13%)。 出典: Yahoo Finance、Investing.com)
2. 指数別動向
S&P500
7,666.60(+0.46%)で引け、3日続落からの反発となった。長期金利が日中一時4.814%(2023年11月以来の高水準)まで上昇した後に伸び悩んだことが買い戻しを支えた。 出典: Investing.com
ナスダック100
29,143.33(+0.23%)。デル・テクノロジーズが記録的なAI受注(609億ドル)・バックログ(950億ドル)・上方修正ガイダンスを好感されて続伸(+15.81%)したほか、エヌビディアも+3.21%高。半導体・大型テック全体はAI設備投資への強気材料を評価する動きが続く一方、ブロードコムは決算後の時間外取引で下落した。 出典: Yahoo Finance
NYダウ
53,061.95(+0.56%)で引け、構成銘柄のエヌビディアが値上がり率トップ(+3.21%)となった。 出典: Yahoo Finance
3. 強気派 vs 弱気派
強気派(ブル)
- ワムシ・モハン氏(バンク・オブ・アメリカ、アナリスト): デル・テクノロジーズ(目標株価505ドル)とHPE(同82ドル)の決算発表前に目標株価を引き上げていた。AIサーバー需要の持続的な強さと収益性改善を理由に挙げており、本日の両社決算の上振れがこの見立てを裏付けた。(新規)
- ダン・アイブス氏(ウェドブッシュ)のAI関連への強気姿勢(「AI投資は9イニング中まだ3回」、テック株はなお15%の上値余地)は継続。(継続)
弱気派(ベア)
- ジム・ポールセン氏(エコノミスト、Paulsen Perspectives): 年末までにS&P500が10〜20%調整する可能性を指摘し、なかでもハイテク・通信中心の「ニューエラ」銘柄は20%超下落する場合もあり得るとした。景気後退は見込んでいないとしつつ、政策の引き締まり、原油高由来のインフレの遅効的な波及、AIへの熱狂と実体経済のギャップへの懸念を挙げた。(新規) 出典: CNBC
- ポール・シアナ氏(バンク・オブ・アメリカ、テクニカルストラテジスト)の「マクロの逆風が強まっている」との警戒は継続。(継続)
- アンドリュー・タイラー氏(JPモルガン・チェース)の戦術的弱気(S&P500が高値から約10%下落し6,270近辺まで調整するリスク)は継続。(継続)
4. 経済ニュース
経済指標
- ADP全国雇用者数(8月分)は民間部門+3.8万人と、予想(+4.7万〜4.8万人)を下回り1月以来最も低い伸びとなった。7月分は+4.6万人に上方修正された。基本給は前年比+3.2%上昇、転職者の基本給は+4.7%上昇。 出典: PR Newswire
- FRBの地区連銀経済報告(ベージュブック)は、データセンター需要主導で経済活動が緩やかに拡大、雇用の増加はごくわずかと総括した。8地区で物価が緩やかに上昇し、エネルギー価格・通商政策・国際紛争を巡る不確実性の高まりが指摘された。 出典: Bloomberg
政策
- FRBのバー理事は、インフレが十分に減速しなければ利上げを支持する考えを示した。9月FOMCでの利上げ確率はCME FedWatchで66%前後と、前回からほぼ横ばい。 出典: Forbes
- G20技術閣僚会合(チャペルヒル)が閉幕。ラトニック商務長官がエヌビディアのフアンCEO、オープンエーアイのアルトマンCEOと対話し、フアン氏は半導体関税を巡る協議は「なかった」と述べた。 出典: CNBC
- 米・イラン間の攻撃応酬、ホルムズ海峡での商船被害は継続しており、原油高を通じた物価・金利観測への波及が引き続き意識されている。
注目された個別銘柄・決算
- ブロードコム: 売上高295.9億ドル(予想294.3億〜294.7億ドル)、調整後EPS3.32ドル(予想3.22ドル)、AI半導体売上高167億ドル(前年比+221%)。第4四半期はAI半導体売上高217億ドル(同+236%)を見込むが、通期1,000億ドル超のAI半導体目標を据え置いたことが嫌気され、時間外で株価は3.56%下落した。 出典: StockTitan
- ヒューレット・パッカード・エンタープライズ: 売上高122億ドル(過去最高、前年比+34%)、調整後EPS1.11ドル(予想0.89ドル)。通期見通しを上方修正したが、株価は自社決算後の時間外取引で5.09%下落した。 出典: SEC
- デル・テクノロジーズ: 前回発表分の詳細が判明し、四半期のAIサーバー受注が609億ドル、バックログが950億ドルに達したことが確認された。通期売上高見通しを250億ドル引き上げ1,920億ドルとし、株価は本日+15.81%とさらに上昇した。 出典: 24/7 Wall St.
- エヌビディア: +3.21%高、ダウ構成銘柄の中で値上がり率トップとなった。 出典: Yahoo Finance
5. 金利・為替が株に効いた分
米長期金利(10年債利回り)は日中一時4.814%(2023年11月以来の高水準)まで上昇した後、4.79%前後に落ち着いた(金利動向そのものの深掘りはratesカテゴリを参照)。ホルムズ海峡での地政学リスクによる原油高と9月FOMCの利上げ観測が上昇要因だが、上げ一服がグロース株の買い戻しを支えた面がある一方、金融株にはやや逆風となった。ドル指数(DXY)は99.5超と前回からやや上昇し、ドル円は160円近辺で推移して前回(159円台後半〜160円近辺)からほぼ横ばい。多国籍企業の為替換算メリットに大きな変化はない。
出典: Yahoo Finance
6. テクニカル分析
S&P500
50日移動平均線(7,682.30前後)は依然として上回れず、200日移動平均線(7,652.68前後)は上回る「両線の間」のレンジで推移している。RSI(14日)は48.9で中立、MACDはマイナス圏。ピボットポイントでは支持線7,658.93、レジスタンス7,673.16が目安となる。 出典: Investing.com
ナスダック100
50日線(29,287.36前後)・200日線(29,172.02前後)をいずれも下回る展開が続いている。RSI(14日)は45.6で中立、MACDはマイナス圏で弱含みを示す。支持線29,075.84、レジスタンス29,132.98が目安。 出典: Investing.com
NYダウ
50日線(53,313.26前後)・200日線(53,455.10前後)をいずれも下回る展開。RSI(14日)は47.7で中立、MACDはマイナス圏。支持線52,963.02、レジスタンス53,051.80が目安。 出典: Investing.com
センチメント指標(補助)
- VIX(恐怖指数): 15.20(前回14.92から上昇)。歴史的にはなお低水準にとどまるが、緊張の高まりを反映してじわりと切り上がっている。
- Fear & Greed Index: 35(恐怖)。前回時点の45(中立)からさらに悪化した。
7. 今夜の注目イベント
- 9/3(米国時間、日本時間今夜〜9/4未明): ISM非製造業(サービス)景況指数(8月分、予想54.5)、新規失業保険申請件数(予想20.5万件)、7月分貿易収支(予想▲712億ドル)が発表される。
- 9/4(金): 8月分雇用統計。9月FOMCの利上げ確率(現在66%前後)を左右する今週最大のイベントになる見通し。
- ホルムズ海峡情勢は、追加の攻撃応酬・原油価格の動向を通じて相場を左右し得る継続的な注目材料。

