前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 前回レポートで「9/1発表予定」だったデル・テクノロジーズの決算が発表され、売上高469.7億ドル(市場予想449.2億ドル)、調整後EPS7.04ドル(同4.92ドル)といずれも大幅な上振れとなった。AI関連受注は244億ドル、AIサーバー売上高は161億ドルを計上し、通期のAIサーバー売上高見通しを「倍増」から「3倍」に上方修正、通期見通しをEPS25.50ドル・売上高1,920億ドルに引き上げた。株価は時間外取引で10%上昇した(CNBC)。
- 8月分ISM製造業景況指数は54.6(市場予想55.2、7月55.6)と、予想を下回り前月から減速した。新規受注指数も53.7と7月の56.7から3ポイント低下し、拡大は8か月連続としつつも勢いの鈍化が新たな材料として加わった(PR Newswire)。
- 9/1(火)の米国市場は、ホルムズ海峡での攻撃応酬・原油急伸が続く中で3指数がそろって続落した。S&P500は7,631.47(-54.67、-0.71%)で引け、前回時点で押し戻されていた50日移動平均線(7,681前後)に続き、200日移動平均線(7,643.84前後)も下回った。ナスダック100は29,077.22(-1.29%)、NYダウは52,766.88(-419.02、-0.79%)で引け、いずれも自らの50日線・200日線を下回る展開となった(Yahoo Finance、Investing.com)。
- 9月FOMCでの利上げ確率は、CME FedWatchで66%まで上昇した。前回時点の62%からさらに切り上がっており、原油高によるインフレ再燃懸念が引き続き織り込まれている(Forbes)。
- 弱気派の顔ぶれに新たな名前が加わった。JPモルガン・チェースのアンドリュー・タイラー氏(グローバル市場インテリジェンス責任者)が「戦術的に弱気」に転じ、イラン情勢の緊迫化を理由にS&P500が高値から約10%下落し6,270近辺まで調整するリスクを指摘した(Yahoo Finance)。バンク・オブ・アメリカのポール・シアナ氏(テクニカルストラテジスト)も、RSI・MACDが直近の高値を裏付けていないとして、S&P500が7,500を下回れば一段の下落もあり得ると具体的な節目を示した(CNBC)。
- VIX(恐怖指数)は14.92(前日比+3.4%)まで上昇し、Fear & Greed指数も45前後(中立圏)と、前回時点の54から低下した(出典: finhacker.cz)。
- 議会が上下院で12月11日までのつなぎ予算を可決し、10月1日の政府閉鎖リスクが後退した。中間選挙を控え与野党が閉鎖回避で足並みをそろえた形で、前回まで背景リスクとして残っていた財政の不透明感の一部が解消した(Bloomberg)。
昨日と同じこと(継続)
- G20テック関連会合(チャペルヒル)は9/1・9/2の2日間開催で、9/2(本日)が最終日。エヌビディアのフアンCEO、オープンエーアイのアルトマンCEOが登壇予定で、日程・顔ぶれは前回から変化なし。
- ブロードコム・ヒューレット・パッカード・エンタープライズの決算(9/2予定)は前回から日程に変化なく、本日夜(日本時間)の発表を控える。
- ダン・アイブス氏(ウェドブッシュ)のAI強気姿勢(「AI投資は9イニング中まだ3回」)は本日新たな言及は確認できないが、継続しているとみられる。
- 半導体関税拡大の検討(ノートパソコン・ゲーム機・データセンターサーバーへの対象拡大案)は前回から進展の確認ができず、継続中の材料として扱う。
- ドル円は159円台後半〜160円近辺で推移し、前回からほぼ横ばい。
要因の連続性
- 継続要因: ホルムズ海峡での地政学リスクと原油高、9月FOMCの利上げ観測、AI関連設備投資への期待、半導体関税拡大の検討はいずれも継続。
- 新規要因: (1) デル決算の大幅上振れというポジティブな個別材料が新たに加わった、(2) ISM製造業PMIの予想割れ・減速という景気減速懸念が新規要因として加わった、(3) S&P500の200日移動平均線割れという新たなテクニカル悪化が加わった、(4) JPモルガンの「戦術的弱気」転換という新たな相場観の変化が加わった。
- 解消した要因: 「デル決算発表待ち」「ISM製造業PMI発表待ち」は、いずれも本日実際の発表という形で解消され、新たな材料(決算の上振れ・PMIの下振れ)に置き換わった。また、10月1日の政府閉鎖リスクはつなぎ予算の可決で後退した。
1. 市況サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,631.47 | -54.67 | -0.71% |
| ナスダック100 | 29,077.22 | 約-380(騰落率から算出) | -1.29% |
| NYダウ | 52,766.88 | -419.02 | -0.79% |
(取得時点: 2026-09-01 米国市場引け。参考値としてナスダック総合指数は26,099.77(-271.12、-1.03%)、ラッセル2000は2,920.13(-36.32、-1.23%)。 出典: Yahoo Finance、Investing.com)
2. 指数別動向
S&P500
7,631.47(-0.71%)で引け、前回押し戻された50日移動平均線(7,681前後)に続き、200日移動平均線(7,643.84前後)も下回った。ホルムズ海峡での攻撃応酬継続による原油高・インフレ再燃懸念と、9月FOMCの利上げ確率上昇(66%)が重荷となった。 出典: Investing.com
ナスダック100
29,077.22(-1.29%)と3指数の中で最も下げが大きく、情報技術セクター(XLK)は-1.6%。個別ではマーベル・インテル・オラクル・テスラが軒並み3%前後下落、アルファベットは-2.21%、エヌビディアは-2.03%と、信用条件の引き締まりを意識した売りが半導体・大型テックに集中した。一方でコミュニケーション・サービス、生活必需品などディフェンシブ・セクターへの資金シフトがみられた。 出典: Yahoo Finance
NYダウ
52,766.88(-0.79%)で引け、50日線(53,385.76前後)・200日線(53,416.86前後)をいずれも下回る展開。原油高で一部エネルギー株は底堅かった一方、非エネルギー株への売りが相対的に目立った。 出典: Investing.com
3. 強気派 vs 弱気派
強気派(ブル)
- ライアン・デトリック氏(カーソン・グループ、チーフ・マーケット・ストラテジスト): 「8月がプラスで終え、年間騰落率が10〜17.5%のレンジに収まる」という今年と同じ条件下では、第二次世界大戦後の平均で9月は+1.0%、さらに残り4か月も11回中10回でプラス(平均+5.6%)になっていると指摘し、9月の弱気アノマリーが今年は当てはまりにくいとの見方を継続。(継続) 出典: CNBC
- ダン・アイブス氏(ウェドブッシュ)のAI関連への強気姿勢(「AI投資は9イニング中まだ3回」、2026年のテック株はなお12〜15%の上値余地)は、本日新たな発言の確認はできないが継続しているとみられる。(継続)
弱気派(ベア)
- アンドリュー・タイラー氏(JPモルガン・チェース、グローバル市場インテリジェンス責任者): イラン情勢の緊迫化・原油高を理由に「戦術的に弱気」に転じ、S&P500が高値から約10%下落し6,270近辺まで調整するリスクを指摘。エネルギーショックは景気後退的かつインフレ的であり、すでに3%台のインフレ・雇用減速と重なるとスタグフレーション懸念が市場の想定より大きいと警告した。(新規) 出典: Yahoo Finance
- ポール・シアナ氏(バンク・オブ・アメリカ、テクニカルストラテジスト): RSI・MACDが直近の価格上昇を裏付けておらず「マクロの逆風が強まっている」とし、季節性の弱さ・中間選挙不透明感・短期金利上昇が重なる局面と分析。S&P500が7,500を下回れば一段安のリスクがあるとした。(新規、より具体的な節目を提示) 出典: CNBC
- ロス・メイフィールド氏(ベアード、インベストメント・ストラテジスト)は「株式市場は債券市場の大きく不安定な値動きを消化するのに常に苦労する」とし、金利の不安定さそのものへの警戒感を示した。(新規) 出典: CNBC
4. 経済ニュース
経済指標
- 8月分ISM製造業景況指数は54.6(市場予想55.2、7月55.6)と予想を下回った。新規受注指数は53.7(7月56.7)に低下し、拡大は8か月連続ながら勢いは鈍化した。 出典: PR Newswire
- 9/2(水・米東部時間8:15am)にADP全国雇用統計(8月分)、地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表が予定されている。直近7月のADPは民間部門雇用+4.4万人と伸びが鈍化していた。
- 9/4(金)に8月分雇用統計の発表が予定されている。
政策
- 米議会は上下院で12月11日までのつなぎ予算を可決し、10月1日に予定されていた政府閉鎖リスクが後退した。中間選挙を控え与野党が閉鎖回避で足並みをそろえた。 出典: Bloomberg
- 半導体関税拡大の検討(ノートパソコン・ゲーム機・データセンターサーバーへの対象拡大案)は継続中(前回既報、進展の確認なし)。
- 米・イラン間の攻撃応酬、ホルムズ海峡での商船被害は継続しており、原油高を通じた物価・金利観測への波及が意識されている。
注目された個別銘柄・決算
- デル・テクノロジーズ: 9/1決算発表。売上高469.7億ドル(市場予想449.2億ドル、前年比+58%)、調整後EPS7.04ドル(同4.92ドル)といずれも大幅上振れ。AI関連受注244億ドル、AIサーバー売上高161億ドルを計上し、通期AIサーバー売上高見通しを600億ドルに引き上げた。株価は時間外で10%上昇。 出典: CNBC
- ブロードコム: 9/2決算発表予定。市場予想は売上高294.3億ドル、GAAP EPS2.55ドル。前四半期は売上高が前年比+48%、AI半導体売上高が同+143%と急拡大しており、クラウド大手向けカスタムAIチップ需要の持続力が焦点。 出典: MarketBeat
- ヒューレット・パッカード・エンタープライズ: 9/2決算発表予定(引け後)。会社側ガイダンスは売上高115〜121億ドル(前年比+32%目安)、非GAAP EPS0.88〜0.93ドル。AIインフラ・ネットワーキング需要の取り込み度合いが注目点。 出典: Yahoo Finance
- マーベル・インテル・オラクル・テスラ: 信用条件の引き締まりを意識した売りでいずれも3%前後下落。アルファベット(-2.21%)、エヌビディア(-2.03%)も下落した。 出典: Yahoo Finance
5. 金利・為替が株に効いた分
米長期金利(10年債利回り)は4.78〜4.80%前後まで上昇し、2025年1月以来の高水準となった(金利動向そのものの深掘りはratesカテゴリを参照)。9月FOMCの利上げ確率上昇(66%)と歩調を合わせており、グロース株・半導体株の上値を抑える要因になっている。ドル指数(DXY)は99前後で高止まりし、ドル円は159円台後半〜160円近辺と前回からほぼ横ばいで推移、多国籍企業の為替換算メリットに大きな変化はない。原油高によるインフレ再燃観測が、金利を通じてグロース株に逆風となる経路は前回に続き作用している。
出典: tradingeconomics.com、Yahoo Finance
6. テクニカル分析
S&P500
50日移動平均線(7,681前後)・200日移動平均線(7,643.84前後)をいずれも下回り、テクニカル上は「支持線割れ」の局面に入った。RSI(14日)は37.7と売られすぎに近づいており、MACDもマイナス圏で下向きの勢いを示す。ピボットポイントでは支持線7,610.58、レジスタンス7,636.44が目安となる。ただし急速な下落を受けた自律反発の可能性もあり、断定はできない。 出典: Investing.com
ナスダック100
50日線(29,284.93前後)・200日線(29,146.60前後)をいずれも下回った。RSI(14日)は40.0で弱気寄り、MACDもマイナス圏。半導体・大型テック中心の下げが指数を押し下げている。 出典: Investing.com
NYダウ
RSI(14日)が24.6と「売られすぎ」の水準まで低下し、短期的な自律反発が意識されやすい状況。ただし50日線・200日線を含む主要移動平均線をすべて下回っており、トレンドとしては弱含みが続いている。 出典: Investing.com
センチメント指標(補助)
- VIX(恐怖指数): 14.92(前日比+3.4%)。8月中旬につけた2026年最低水準からは上昇したが、歴史的にはなお低水準にとどまる。
- Fear & Greed Index: 45前後(中立圏)。前回時点の54から低下し、やや警戒感が強まった。 出典: finhacker.cz
7. 今夜の注目イベント
- 9/2(米国時間、日本時間今夜〜9/3未明): ブロードコム・ヒューレット・パッカード・エンタープライズの決算発表、ADP全国雇用統計(8月分)、地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表が予定されている。
- 9/2(米国時間): G20テック関連会合(チャペルヒル)最終日。エヌビディアのフアンCEO、オープンエーアイのアルトマンCEOが登壇予定。
- 9/4(金): 8月分雇用統計。9月FOMCの利上げ確率(現在66%)を左右する今週最大のイベントになる見通し。
- ホルムズ海峡情勢は、追加の攻撃応酬・原油価格の動向を通じて相場を左右し得る継続的な注目材料。 出典: CNBC

