前日からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • CNBCの報道(8/30付)によると、米軍がホルムズ海峡ララク島でイランのロケット発射拠点2か所を空爆した。イラン革命防衛隊(IRGC)が機雷を海峡に投入する準備をしていたとされ、米軍による対イラン直接攻撃はおよそ1か月ぶり。これを受けイランが中東の米同盟国を標的に反撃したほか、スーパータンカーが機雷2発に触れて出火・航行停止する事態も発生した(Northeast Times)。前回レポートでは「発言レベルの緊張」だった中東情勢が、本日は実際の攻撃応酬という新たな局面に入った。
  • 原油価格が急伸し、米国産原油(WTI)は3%超上昇。ブレント原油も88ドル台を回復した。エネルギー株は時間外で上昇し、ハリバートンは2.5%超、シェブロンは2%上昇した(Yahoo Finance)。
  • 8月31日(月)の取引再開後、S&P500は7,686.14(-25.62、-0.33%)、ナスダック総合指数は26,370.89(-31.54、-0.12%)、NYダウは53,185.90(-374.09、-0.70%)で引け、3指数そろって反落した。ただし8月月間ではS&P500がプラス2.5%超、ナスダック総合がプラス3%超、NYダウがプラス1.3%と、いずれもプラスで終えている(Yahoo Finance)。
  • 9月FOMC(9/16)での利上げ確率は、CME FedWatchで62%まで上昇した。1週間前時点のおよそ40%から大きく切り上がっており、ウォーシュ議長のタカ派発言に加え、原油高によるインフレ再燃懸念が新たな材料として加わった(Yahoo Finance)。前回レポート時点の56%からさらに6ポイント上昇した。
  • 弱気派の顔ぶれに変化があった。ファンドストラットのトム・リー氏(共同創業者・調査責任者)が「今後8週間は慎重であるべき」とし、7〜10%規模の調整を警戒する姿勢に転じたことが新たに確認された(24/7 Wall St.)。一方で、カーソン・グループのライアン・デトリック氏、フリーダム・キャピタル・マーケッツのジェイ・ウッズ氏は、中間選挙年の9月は例年よりパフォーマンスが良い傾向があるとして相対的に楽観的な見方を示しており、9月相場の見方が分かれる新たな論点として加わった(Benzinga)。
  • 9/1(月・米国時間)にデル・テクノロジーズが決算発表を予定していた日程が到来した。市場予想は売上高449億ドル(前年同期比プラス50%)、EPS4.91ドル(同プラス111.6%)で、AIサーバー受注残がどこまで売上に転換されているかが焦点(Yahoo Finance)。

昨日と同じこと(継続)

  • 9月FOMCの利上げ観測が高まる中でも、Fear & Greed指数(CNN)は54(中立)で前回から変化なし。 出典: CNN
  • ブロードコム・ヒューレット・パッカード・エンタープライズの決算(9/2予定)、G20テック関連会合(9/1〜2、チャペルヒル)、半導体関税拡大の検討はいずれも前回から日程・内容に変化なく継続。
  • ジェイソン・ハンター氏(JPモルガン)・ダン・アイブス氏(ウェドブッシュ)・ベン・スナイダー氏(ゴールドマン)の相場観は、本日新たな発言の確認はできず、前回時点の見方が継続しているとみられる。

要因の連続性

  • 継続要因: 9月FOMCの利上げ観測、AI関連設備投資への期待、半導体関税拡大の検討、G20テック会合待ちの構図はいずれも継続。
  • 新規要因: (1) 米・イラン間の直接攻撃応酬とホルムズ海峡での機雷被害という新たな地政学リスクが加わった、(2) それに伴う原油急伸というインフレ再燃リスクが新規要因として加わった、(3) トム・リー氏の弱気転向という新たな相場観の変化が加わった。
  • 解消した要因: 「休場明けの取引再開待ち」という前回最大の材料は、本日実際の取引再開・下落という形で解消され、新たな値動きの局面に移行した。

1. 市況サマリー

指数 終値 前日比 騰落率
S&P500 7,686.14 -25.62 -0.33%
ナスダック100(推定) およそ29,398 - ナスダック総合の騰落率から概算(公式値は次回確認)
NYダウ 53,185.90 -374.09 -0.70%

(取得時点: 2026-08-31 米国市場引け。ナスダック総合指数は26,370.89(-31.54、-0.12%)。8月月間ではS&P500プラス2.5%超、ナスダック総合プラス3%超、NYダウプラス1.3%。 出典: Yahoo Finance)

2. 指数別動向

S&P500

7,686.14(-0.33%)で引け、50日移動平均線(7,686.97前後)にほぼ一致する水準まで押し戻された。オイル高を受けたインフレ再燃懸念とFOMC利上げ観測の上昇が重荷となった一方、200日移動平均線(7,627前後)はなお上回っており、中期的な上昇トレンド自体は崩れていない。 出典: Bloomberg、Investing.com

ナスダック100

ナスダック総合指数が26,370.89(-0.12%)とやや軽い下落にとどまったのに対し、NYダウは-0.70%と相対的に下げが大きく、ハイテク株よりも景気敏感株・エネルギー関連以外の銘柄への影響が目立った。今週はデル・ブロードコムなどAI関連企業の決算が相次ぎ、原油高というマクロ材料とAI投資という個別材料のせめぎ合いが焦点になる。 出典: Yahoo Finance

NYダウ

53,185.90(-0.70%)で3指数の中では最も下げが大きかった。エネルギー株(シェブロン等)は原油高で上昇した一方、それ以外の構成銘柄が地政学リスクの高まりを受けて売られたとみられる。8月月間ではプラス1.3%とプラス圏を維持した。 出典: Yahoo Finance

3. 強気派 vs 弱気派

強気派(ブル)

  • ライアン・デトリック氏(カーソン・グループ、チーフ・マーケット・ストラテジスト): 「これまでの9月の好成績上位はすべて中間選挙年に集中している」とし、2026年が中間選挙年であることを根拠に、例年の「9月は最悪の月」というアノマリーが今年は当てはまりにくいと指摘。(新規) 出典: Benzinga
  • ジェイ・ウッズ氏(フリーダム・キャピタル・マーケッツ、チーフ・マーケット・ストラテジスト): 過去20年の9月のうち11回(55%)がプラスで終えているとし、悲観一色になる必要はないとの見方を示す。(新規) 出典: Benzinga
  • ダン・アイブス氏(ウェドブッシュ)、ベン・スナイダー氏(ゴールドマン・サックス)のAI関連への強気姿勢は、本日新たな発言は確認できないが継続しているとみられる。(継続)

弱気派(ベア)

  • トム・リー氏(ファンドストラット、共同創業者・調査責任者): 「今後8週間は投資家は慎重であるべき」とし、7〜10%規模の調整を警戒。ただし「押し目は買う準備をしておくべき」とも述べ、下落を弱気相場入りの合図とは位置づけていない。(新規、弱気に転向) 出典: 24/7 Wall St.
  • アーニム・ホルツァー氏(イースタリーEAB、グローバル・マクロ・ストラテジスト): 9月は例年「歴史的に容赦のない時期」であるとして警戒感を示す。(新規) 出典: 24/7 Wall St.
  • ジェイソン・ハンター氏(JPモルガン)の長期ポジション圧縮提言は、本日新たな発言の確認はできないが継続しているとみられる。(継続)

4. 経済ニュース

経済指標

  • ISM製造業景況指数(8月分)は日本時間9月2日未明(米東部時間9月1日午前10時)に発表予定。7月は55.6と7か月連続の拡大・2022年5月以来の高水準だった。
  • 9月2日(水)にADP全国雇用統計・地区連銀経済報告(ベージュブック)、9月4日(金)に8月分雇用統計の発表が予定されている。

政策

  • 半導体関税拡大の検討は継続中(前回既報、ノートパソコン・ゲーム機・データセンターサーバーへの対象拡大案)。
  • 米・イラン間の直接攻撃の応酬(ホルムズ海峡ララク島空爆、スーパータンカーの機雷被害)が新たに発生し、原油高を通じた物価・金利観測への波及が意識されている。 出典: CNBC、Northeast Times

注目された個別銘柄・決算

  • デル・テクノロジーズ: 9/1決算発表。市場予想は売上高449億ドル(前年比+50%)、EPS4.91ドル(同+111.6%)。AIサーバー受注残の売上転換ペースが焦点。 出典: Yahoo Finance
  • ブロードコム: 9/2決算発表予定。市場予想は売上高292.4億ドル(前年比+80%超)、調整後EPS3.22ドル(同+89%)。カスタムAIチップ・ネットワーキング製品のクラウド大手向け需要が注目点。 出典: MarketScreener
  • ハリバートン・シェブロン: 原油急伸を受け時間外で上昇(それぞれ+2.5%超、+2%)。 出典: Yahoo Finance

5. 金利・為替が株に効いた分

米長期金利(10年債利回り)は4.73〜4.75%前後で高止まりしており、9月FOMCの利上げ確率上昇(62%)とともにグロース株・半導体株の上値を抑える要因になっている(金利動向そのものの深掘りはratesカテゴリを参照)。ドル指数(DXY)は99.6前後、ドル円は159〜160円台で推移し、多国籍企業の為替換算メリットは前回からほぼ変化していない。原油高によるインフレ再燃観測が、金利を通じてグロース株に逆風となる経路が新たに強まった。

6. テクニカル分析

S&P500

50日移動平均線(7,686.97前後)にほぼ一致する水準まで押し戻され、テクニカル上は「支持線試し」の局面。200日移動平均線(7,627前後)は上回っており、中期トレンドは維持。RSI(14日)は直近まで70超の「買われすぎ」圏にあったとの分析もあり、過熱感の解消(調整)がどこまで進むかが焦点。 出典: Investing.com

ナスダック100

具体的な確定値は次回確認するが、ナスダック総合指数の下げ幅(-0.12%)がS&P500・NYダウより小幅にとどまったことから、ハイテク株は相対的に底堅かったとみられる。半導体株はJPモルガンの分析(前回既報)通り、レジスタンス帯での足踏みが続いている可能性がある。

NYダウ

3指数の中で最も下げが大きく(-0.70%)、原油高の影響を受けにくい非エネルギー株への売りが相対的に目立った。

センチメント指標(補助)

  • VIX(恐怖指数): 8月中旬に2026年最低水準(14.2)をつけた後の低ボラティリティ局面が続いているとみられるが、本日の確定値は次回確認する。
  • Fear & Greed Index: 54(中立圏)で前回から変化なし。 出典: CNN

7. 今夜の注目イベント

  • 9/1(米国時間、日本時間9/1夜〜9/2未明): デル・テクノロジーズの決算発表、ISM製造業景況指数(8月分)、JOLTS求人件数、7月建設支出の発表が予定されている。
  • 9/2(水): ブロードコム・ヒューレット・パッカード・エンタープライズの決算、ADP全国雇用統計、ベージュブックの発表、G20テック関連会合2日目(エヌビディアのフアンCEO、オープンエーアイのアルトマンCEOが登壇予定)が重なる。
  • 9/4(金): 8月分雇用統計。9月FOMCの利上げ確率(現在62%)を左右する今週最大のイベントになる見通し。
  • ホルムズ海峡情勢は、機雷被害・追加の攻撃応酬の有無が原油価格・インフレ観測を通じて相場を左右し得る継続的な注目材料。 出典: Yahoo Finance、MarketScreener