前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 前回「次の注目決算」の筆頭に挙げたデル・テクノロジーズが9月1日(米国時間)に決算を発表し、売上高は前回時点の市場予想449億ドルに対し実績470億ドル(LSEGコンセンサス報道ベースでは予想449.2億ドル→実績469.7億ドル、+4.6%)、調整後EPSは予想4.92ドルに対し実績7.04ドル(+43%)と大幅に上振れた。
  • AIサーバー受注残は前四半期末(5月時点)の513億ドルから950億ドルへ、四半期中の新規受注は244億ドルから609億ドルへ、いずれも倍増近いペースで拡大した。通期AIサーバー売上高見通しも従来の600億ドル程度から740億ドルへ再び上方修正された。
  • インフラソリューション事業(ISG)の営業利益率は前年同期の8.8%から15.0%へ、直前の1Q(10.5%)からも改善した。決算前に市場が警戒していた「AIサーバー比率上昇による利益率低下」への懸念は、少なくとも今回のデル決算では的中しなかった。

昨日と同じこと(継続)

  • ブロードコムとヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は前回予告どおり本日(9月2日、米国時間の引け後)に決算発表を予定しており、本レポート時点ではまだ結果が出ていない。
  • ズームスケーラーの決算発表(9月3日、2026年度第4四半期・通期)も前回から変わらず予定通り。

要因の連続性

  • 継続要因: AI関連設備投資の拡大は前回のエヌビディア・セールスフォースの決算に続き、デルの受注残急増という形で本日も中心的な牽引役だった。
  • 新規要因: 前回はエヌビディアの純利益急増が持分投資益という一過性要因だった点が論点だったが、今回はデルのISG営業利益率が実力ベースで大きく改善しており、一過性要因ではなく本業の利益率改善という新しい要因が加わった。
  • 解消した要因: 決算前に投資家が警戒していた「AIサーバーの低マージン化による利益率圧迫」という懸念材料は、今回のデル決算に関しては後退した(ブロードコム・HPEの決算で同様の傾向が続くかは未確認)。

1. 本日のハイライト

前営業日(9月1日、米国時間火曜)にデル・テクノロジーズが2027年度第2四半期決算を発表した。米国の主要決算はこの1件のみで、ブロードコム・HPEは日本時間9月3日早朝(米国時間9月2日引け後)発表予定のため本レポートには未反映。

企業 会計期間 売上高/EPS(実績) 予想比 株価反応
デル・テクノロジーズ FY2027 Q2(5〜7月) 売上470億ドル/非GAAP EPS7.04ドル 売上+4.6%上振れ(LSEG予想ベース449.2億ドル)、EPS+43%上振れ(予想4.92ドル) 時間外+8.47%(9/1引け後、461ドル)

出典: StockTitan、StockAnalysis.com

2. 個別決算

デル・テクノロジーズ(DELL)

2026年9月1日発表の2027年度第2四半期(2026年5〜7月)決算は、売上高470億ドル(前年同期比+58%)、GAAP希薄化後EPS6.34ドル(同+273%)、非GAAP希薄化後EPS7.04ドル(同+203%)。LSEGコンセンサス報道ベースの市場予想(売上449.2億ドル、非GAAP EPS4.92ドル)をいずれも大きく上回った。GAAP営業利益は54億ドル(同+204%)、非GAAP営業利益は59億ドル(同+160%)。 出典: StockTitan

セグメント別では、インフラソリューション事業(ISG、サーバー・ネットワーキング・ストレージ)が売上318億ドル(前年同期比+89%)、営業利益48億ドル(同+225%)、営業利益率15.0%(前年同期8.8%)。ISGのうちAI最適化サーバーは売上164億ドル(同+100%、倍増)、従来型サーバー・ネットワーキングは105億ドル(同+122%)、ストレージは49億ドル(同+26%)だった。クライアントソリューション事業(CSG、PC等)は売上150億ドル(同+20%)、営業利益11億ドル(同+42%)。会社は決算資料で「四半期中に記録的な609億ドルの受注を獲得し、記録的な164億ドルの売上を計上、受注残は記録的な950億ドルで四半期を終えた」と説明した。 出典: 24/7 Wall St.、StockTitan

ガイダンスは、第3四半期(8〜10月)が売上高490億ドル(前年比+81%)、非GAAP EPS6.50ドル(同+151%)。通期(FY2027)見通しは売上高1,920億ドル(同+69%、従来予想から250億ドル上方修正)、非GAAP EPS25.50ドルへ引き上げ、通期のAI最適化サーバー売上高見通しも740億ドル(同+200%)へ再上方修正した。営業キャッシュフローは22億ドル、自社株買いと配当の合計は43億ドルと過去最高だった。 出典: StockTitan

株価反応は「数字と反応のねじれ」が見られた。決算発表前の9月1日通常取引でデル株は266%の年初来上昇を受けた過熱警戒から6.8%下落して425.00ドルで引けており、発表直後は伸び悩んだが、その後の時間外取引を通じて461.00ドルまで買われ、上昇率は+8.47%まで拡大した。 出典: StockAnalysis.com、24/7 Wall St.

3. 経営陣が語ったこと

前四半期(1Q)の決算説明会では、最高執行責任者が「メモリーなど部品のインフレ環境が続いており、頻繁に価格を改定して対応している」「DRAM・NANDで顕著な供給制約が生じている」と説明し、最高財務責任者はAIサーバー事業について「一桁台半ばの営業利益率」を当面の目標水準として示していた。今回の2Q決算でISG営業利益率が15.0%まで改善したことは、この目標水準に対して上振れた結果であり、価格改定によるコスト転嫁が想定以上に進んだ可能性がある(1Qの説明とのギャップは今後の決算説明会での言及を確認したい)。 出典: The Motley Fool

4. 業界トレンド

  • AI関連の設備投資・受注拡大は、前回のエヌビディア(データセンター売上9割超)・セールスフォース(AI ARR+210%)に続き、デルの受注残急増(513億ドル→950億ドル)でも確認された。決算シーズン終盤に入っても「AI投資が続いているか」という論点では強気の材料が並んでいる。
  • 一方で、決算前は「AIサーバーの低マージン化」への懸念が広がっていた(1Qのメモリー価格上昇・供給制約への言及が背景)。デルの2Q決算ではこの懸念が実際の数字には現れず、むしろ営業利益率が改善しており、「AI投資は量から質(収益性)へ関心が移っている」という業界の論点に対し、少なくとも1社は肯定的な回答を示した形になる。この傾向がブロードコム・HPEの決算でも続くかが、今週後半の焦点になる。
  • デル株が好決算にもかかわらず発表直後は伸び悩んだ点は、前回レポートで触れたマーベルやHPの「好決算なのに下落」に近い現象で、市場の期待水準がすでに相当高いことを示す。ただしデルは時間外取引を通じて上昇に転じており、マーベル・HPのケースとは異なり最終的には好感された。 出典: StockAnalysis.com、The Motley Fool

5. 次の注目決算

  • ブロードコム: 9月2日(米国時間)引け後発表予定。前回時点の市場予想は売上高292.4億ドル(前年比+80%超)、調整後EPS3.22ドル(同+89%)。カスタムAIチップ・ネットワーキング製品のクラウド大手向け需要が焦点。 出典: Broadcom公式、MarketScreener
  • ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE): ブロードコムと同じ9月2日引け後発表予定。市場予想は売上高121億ドル前後(Zacksコンセンサス、前年比+32%程度)、非GAAP EPSは94セント前後(同+114%程度)。会社自身のガイダンスは売上高115億〜121億ドル、EPS88〜93セント。AI・ネットワーキング・クラウド向けの構成比上昇が伸びの主因とされる。 出典: Yahoo Finance
  • ズームスケーラー(Zscaler): 9月3日発表予定(2026年度第4四半期・通期)。売上高ガイダンスは8億7,500万〜8億7,800万ドル。焦点は3か月前に株価を大きく押し下げた2027年度見通しの修正内容(前回から変わらず)。 出典: TIKR