前回からの変化

前回(2026-09-16)との比較(週報のため、比較対象は1週間前)

変わったこと(変化・新規)

  • 米国のGoogle広告テクノロジー独禁法訴訟(司法省 対 Google)で、バージニア州東部地区連邦地裁のリオニー・ブリンケマ判事による救済措置判決(106ページ)が9月16日に公開された。判決は司法省が求めていた広告取引所AdXの売却、DFPの最終オークションロジックのオープンソース化、DFP残存事業の条件付き売却をいずれも退け、構造的分離を回避した。一方で、AdXとDFPをオープンソース入札プラットフォーム「Prebid」に統合するAPI構築、AdXが競合出版社向けサーバーに同条件で入札を提出すること、出版社への勝敗入札データの共有、AdWordsによるDFP内での優遇的な直接入札の禁止、6年間・世界規模での技術監視人設置などの行為的救済を命じた。最終判決は両当事者が10月2日までに提出する案を踏まえて確定する見込みで、司法省はAdX売却が退けられた点で不満を残すとみられる一方、相互運用性・データ共有・非差別の要件を「重要な救済」と位置づけている(新規、AdExchanger、Lawyer Monthly)。

昨日と同じこと(継続)

  • EUのDMA/DSA・AI法を巡っては、今週(9月17日〜23日)、欧州委員会の公式発表において新規の制裁金決定・正式調査開始・EU司法裁判所(CJEU)判決など、一次情報で確認できる動きはなかった(継続)。
  • 日本の公正取引委員会・個人情報保護委員会においても、今週テック企業を対象とした新規の勧告・命令・排除措置命令は確認されなかった(継続)。前回既報のカリフォルニア州の子ども保護関連法(SB1119・SB867等)についても、今週の新たな訴訟提起・進展は確認できなかった(継続)。

要因の連続性

  • 継続要因: 米国における巨大テック企業への反トラスト追及の流れ、EUのDMA/DSA執行の継続、カリフォルニア州発の子ども保護規制の広がり。
  • 新規要因: Google広告テク訴訟における「構造分離回避・行為的救済」という司法判断の方向性が明確になったこと。同様の反トラスト事案(検索訴訟等)における救済措置のあり方にも影響しうる先例となる。
  • 解消した要因: 特になし。

今週の概観

今週(9月17日〜23日)最大の動きは、米国のGoogle広告テクノロジー独禁法訴訟における救済措置判決の内容が明らかになったことである。バージニア州連邦地裁のブリンケマ判事は、司法省が求めていた広告取引所AdXの構造的な売却を退け、入札システムの相互接続や6年間の技術監視人設置などの行為的な救済にとどめる判断を示した。最終判決は10月2日の両当事者提出を経て確定する。一方、EU・日本では今週、確定的な新規の制裁金決定や排除措置命令など一次情報で確認できる動きはなかった。EUのAI法は2026年8月2日に透明性義務・GPAI(汎用AI)義務・罰則の適用が本格化しており、今後もその執行状況を注視する必要がある。

EU

今週(9月17日〜23日)について、欧州委員会のデジタル政策・競争政策の公式発表を確認したが、DMA・DSA・AI法に関する新規の制裁金決定、正式調査の開始、EU司法裁判所(CJEU)判決など、一次情報で確認できる動きはなかった。

前回既報のとおり、EU AI法は2026年8月2日に透明性義務(第50条)・汎用AI(GPAI)提供者への執行権限・罰則の適用が本格化している。高リスクAIシステムに関する義務は、デジタルオムニバス法案による見直しで、スタンドアロン型(附属書III)が2027年12月2日、製品組込型(附属書I)が2028年8月2日にそれぞれ延期されている。今週時点でこれらの適用時期に変更を示す新たな一次情報は確認できなかった(Prighter)。

米国

米国のGoogle広告テクノロジー独禁法訴訟(司法省 対 Google)で、バージニア州東部地区連邦地裁のリオニー・ブリンケマ判事による救済措置判決(106ページ)が9月16日に公開された。2024年の審理でGoogleがDFPとAdXを不当に抱き合わせ、複数のオークション操作を行い独占的地位を築いていたと認定されていたことを受けた救済措置の判断である。

判決は、司法省が求めていた(1)AdXの売却、(2)DFPの最終オークションロジックのオープンソース化、(3)DFP残存事業の条件付き売却、のいずれも退け、構造的な事業分離を回避した。一方で、以下の行為的救済を命じた:

  • AdXとDFPをオープンソースの入札プラットフォーム「Prebid」に統合するAPIの構築
  • AdXが競合する出版社向け広告サーバーに対し、自社DFPと同等の条件で入札を提出すること
  • 出版社への勝敗入札データの共有
  • AdWordsによるDFP内での優遇的な直接入札の禁止
  • 6年間・世界規模で適用される技術監視人の設置

最終判決は、両当事者が10月2日までに提出する最終判決案を踏まえて確定する見込みである。司法省はAdXの売却という構造的な救済が認められなかった点では不満を残すとみられるが、相互運用性・データ共有・非差別の要件を「重要な救済」と位置づけている。業界団体CCIA(computer & communications industry association)は判決への反応を公表しており、Google側も判決確定後に控訴する可能性が高いとみられる(AdExchanger、CCIA、Axios、Lawyer Monthly)。

前回既報のカリフォルニア州の子ども保護関連法(AIコンパニオンチャットボット規制「アダム法」ことSB1119、AIおもちゃ規制のSB867等)を巡っては、業界団体ネットチョイスによる新たな訴訟提起は今週時点で確認できなかった(継続)。

日本

今週(9月17日〜23日)の公正取引委員会の報道発表を確認したところ、スマホソフトウェア競争促進法や独占禁止法に関するテック企業向けの新規の勧告・命令・排除措置命令は確認されなかった。前回(7月27日)公表された同法の遵守報告書(規制対象事業者:Apple・iTunes・Google)以降、新たな報告書公表の動きも今週時点では確認できなかった(公正取引委員会)。

個人情報保護委員会についても、今週テック企業を対象とした是正勧告・立入検査等の公表は確認できなかった。AI推進法にもとづく施策・AI事業者ガイドラインの改定についても、今週時点で新たな一次情報は確認できなかった。

その他の国・地域

英CMA・韓国・インド・中国のプラットフォーム・データ規制について、今週の主要な新規動向は確認できなかった。

今後の予定

  • 2026年10月2日: Google広告テクノロジー独禁法訴訟の最終判決案を両当事者が提出する期限
  • 2026年12月2日: EU AI法第50条2項にもとづく、生成AIコンテンツのAI利用表示義務に関する追加の履行期限(前回既報、詳細は今後の一次情報で確認)
  • 2027年12月2日: EU AI法附属書III(スタンドアロン型)の高リスクAI義務の適用開始
  • 2028年8月2日: EU AI法附属書I(製品組込型)の高リスクAI義務の適用開始