前回からの変化

前回(2026-10-06)との比較。前回は10月5日のNY引けまでを反映しており、本レポートは10月6日の東京・欧州・NY時間を反映している。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回の注目点だった植田日銀総裁の全国証券大会での発言は、物価の基調が2%に近づき、短観でも企業の業況感は良好との内容だった。ただし大きな新味はなく、円安基調に変化はなかったとされる(みんかぶFX)。
  • NY時間にベッセント米財務長官の発言と米8月貿易赤字の拡大(1056億ドル、予想1021億ドル)が重なり、米長期金利が低下してドル売りが優勢になった(Fisco)。
  • 日銀の佐藤委員が、政策金利の段階的調整には賛成しつつ、タイミングは消費や所得の動向を確認したいと慎重な姿勢を示した。積極利上げ観測の後退につながった(みんかぶFX)。
  • ユーロドルは前回の1.1215ドルから、6日は1.1244ドルへ戻した。フランス債が下げ止まり買い戻しが入った(Fisco)。

昨日と同じこと(継続)

  • ドル円は158円台に乗せても定着できない展開が続いた。前回の引け値157円91銭に対し、6日のNY終盤は157円92銭付近とほぼ同水準である。
  • 10月FOMCでの追加利上げ観測の後退が、ドルの上値を抑える材料として続いている。

要因の連続性

  • 継続要因: 10月FOMCでの利上げ観測後退によるドルの上値の重さと、158円台での介入警戒が前回に続き働いている。
  • 新規要因: 米8月貿易赤字の拡大による米長期金利の低下、ベッセント財務長官の発言、日銀の佐藤委員の慎重発言が加わった。
  • 解消した要因: 前回の焦点だった植田総裁の発言待ちは、大きな新味なく通過して解消した。ユーロ売り材料だった仏債の下落も一服した。

為替サマリー

通貨ペア 10月6日の主な水準 動き 備考
ドル円 158円22銭 → 157円92銭 高値から反落 東京時間にも158円22銭を付けた
ユーロドル 1.1277 → 1.1244ドル 高値から反落 前回引け1.1215ドルから戻した
ポンドドル 1.3261 → 1.3286ドル 上昇 英指標とタカ派発言が支え

水準は日本時間10月7日午前6時時点で確認できた直近の値である(NY終盤)。前回引けとの比較ではドル円は157円91銭から157円92銭と1銭(0.0%)の差にとどまる。ユーロ円・ドル指数・人民元は信頼できる数値を確認できなかったため記載しない(Fisco、みんかぶFX)。

ドル円の動き

東京時間(10月6日): 午前10時時点では157円81銭と上値が重かったが、午後に入りドル高円安が優勢となり、一時158円22銭を付けた(みんかぶFX)。午後3時35分からの植田総裁の発言は、短観で企業の業況感が良好、基調的な物価は2%に近づいているという内容で、特段目新しい発言はなかったとされ、円安の流れは変わらなかった(みんかぶFX)。

NY時間(10月6日): 午後9時半発表の米8月貿易収支は1056億ドルの赤字で、予想の1021億ドルより赤字が拡大した。7〜9月期GDPの成長を抑えるとの見方に米長期金利が低下し、ベッセント財務長官の発言も重なってドル売りが優勢となり、ドル円は158円22銭から157円92銭へ反落した(Fisco)。一方、日銀の佐藤委員が利上げのタイミングに慎重な姿勢を示したことで、積極的な利上げ観測が後退し、円の戻りは限られた(みんかぶFX)。

その他の主要通貨

  • ユーロ: ユーロドルは1.1277ドルまで上げた後、1.1244ドルへ反落した。フランス債が下げ止まり、金利の上昇も一段落したことで、買い戻しが優勢だった。前日はフランスの財政懸念とスペインの政局不安で売られていた(Fisco)。
  • ポンド: ポンドドルは1.3261ドルから1.3286ドルへ上昇した。良好な英指標と、英中銀(BOE)のマン委員のタカ派(金融引き締めを支持する立場)発言が支えとなった。10月28日の英予算発表を前にリスクプレミアムが積み上がるとの見方もある(Fisco、みんかぶFX)。
  • 豪ドル・スイスフラン・アジア通貨: 信頼できる数値を確認できなかったため記載しない。

当局の姿勢と介入

10月6日に新たな介入の事実は確認されていない。直近で確認済みの介入は7月31日の日米協調円買い介入である。158円台では介入への警戒が意識されるとの見方があるが、これは市場の見方であり、当局が水準を示したものではない。

トランプ米大統領は「われわれのドルは非常に強い」と述べ、ドル高を肯定的に評価した(みんかぶFX)。日銀については、植田総裁が基調物価の2%接近と企業の良好な業況感に言及し、経済・物価・金融情勢に応じて政策を調整する方針を示した。一方、佐藤委員は消費の勢いが限られ基調物価が加速していないと評価し、タイミングには慎重だった(みんかぶFX、みんかぶFX)。財務相・財務官からの新たな踏み込んだ為替発言は確認できなかった。

ポジションと相場観

日米金利差(日米の金利水準の差。差が大きいほど円を売ってドルを持つ動機が強まる)を巡っては、米長期金利が5%台前半の高い水準にある。10月FOMCでの利上げ確率は約20%まで低下し据え置き観測が優勢だが、年末までに3〜4回の利上げが織り込まれたままとの指摘もある(みんかぶFX)。カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、労働市場は良好でもインフレ克服にはまだ道のりがあると述べ、「AIは現在、インフレの最大の要因の1つ」と指摘した(みんかぶFX)。IMM通貨先物の投機筋ポジション(シカゴ市場での投機筋の持ち高)は、最新の公表分を確認できなかった。

テクニカル分析(ドル円)

200日移動平均線(過去200日の終値平均で、長期の方向を見る指標)は158円50銭台にあり、6日の158円22銭はその手前で上値を抑えられた(みんかぶFX)。158円台に乗せても定着できない形で、158円50銭付近が当面の上値の目安となる。RSIや下値の節目の最新値は、今回は確認できなかった。

今夜の注目イベント

予定は次のとおりである(外為どっとコム)。

  • 10月7日(水): 日本の毎月勤労統計、景気先行指数
  • 10月8日(木)午前3時: FOMC議事要旨(日本時間)
  • 10月9日(金): 日本の家計調査、米ミシガン大学消費者態度指数速報値

前回は植田総裁の発言を最大の焦点としたが、結果は新味に乏しく、円相場への影響は限られた。当面は米長期金利の動きと、8日未明のFOMC議事要旨で利上げ観測がどう変わるかが焦点になるとの見方がある。米貿易収支(日本時間6日夜)の結果は上記のとおり反映済みである(ザイFX!)。