前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- ドル円は前回(24日NY引け)の159円04銭から一転、25日は156円94銭まで急落し、前回上抜けたばかりの200日移動平均線(158円46銭)を再び下回った。1日の下げ幅は約2円10銭に達した(財経新聞)。
- 片山財務相は25日、ベッセント米財務長官と電話会談を行い「円の過小評価は問題」との認識を確認したと伝わった。これを受け円買い戻しが優勢となった(財経新聞)。
- 23日の日米首脳会談の内容が25日に相次いで明らかになった。片山財務相は「トランプ大統領が円安に懸念を示した」と説明し、高市早苗首相自身も「円の過小評価は問題だと申し上げた」と発言した。日米当局は7月末に実施した協調介入(2011年以来15年ぶり)以降、さらなる協調介入も辞さない姿勢を維持しているとされる(nippon.com/時事通信)。
- 城内実経済財政相も「金融緩和する時代ではない、アベノミクスのような景気刺激策を実施する時代ではない」と述べ、金融引き締め方向を支持する姿勢を示した。これら政府要人の相次ぐ発言(口先介入)を受け、ドル円は東京・欧州時間に158円12銭付近まで下落する場面があった(みんかぶ)。
- 前回の金利上昇要因だった「米・イラン外交交渉停滞によるホルムズ海峡緊張・原油高」が反転し、25日はイランが米国にホルムズ海峡再開を提案したとの報道で供給混乱懸念が後退、原油安・米長期金利低下がドル売りを後押しした(詳細は
econ_indicators・commodityカテゴリ参照)。
昨日と同じこと(継続)
- 財務省・日銀による実際の為替介入の実施は本レポート作成時点で確認できておらず、口先介入と警戒感による相場操縦という構図は前回から継続している。
- 円の実勢とIMM投機筋のポジションのねじれ(現物は円安、投機筋は円買い越し)は、今回新たな建玉報告の公表がなく前回の水準からの更新は確認できていない。
要因の連続性
- 継続要因: 日米金融政策格差・金利動向を意識した相場という基本構図自体は継続しているが、25日はその金利差の縮小(米金利低下)方向にドル円が反応した。
- 新規要因: 片山財務相・ベッセント財務長官の電話会談、高市首相・城内経済財政相の相次ぐ円安けん制発言という、当局側からの新たな口先介入材料が加わった。
- 解消した要因: 前回、円安・金利上昇の材料だった「ホルムズ海峡緊張による原油高」は、イランの再開提案報道を受けて後退し、円買い・ドル売り方向に寄与する要因に転じた。
1. 為替サマリー
| 通貨ペア | 水準(取得時点) | 前日比 |
|---|---|---|
| ドル円 | 156.94円(9/25 NY引け) | 159.04円→156.94円(-2.10円、-1.3%) |
| ユーロ円 | 178.92円(9/25 NY引け) | 179.88円→178.92円 |
| ユーロドル | 1.1411ドル(9/25 NY引け) | 1.1359ドル→1.1411ドル(+0.0052) |
| ポンドドル | 1.3229ドル(9/25 NY引け) | 1.3262ドル→1.3229ドル |
| ドル・スイス | 0.8271フラン(9/25 NY引け) | 0.8296フランから反落 |
(取得時点: 日本時間2026年9月26日早朝〔NY時間9月25日引け値中心〕。出典: 財経新聞、ザイFX!)
2. ドル円の動き
東京時間の25日は、前日NY市場で159円台まで円安が進んだ流れを引き継いで始まったが、日中に高市首相・片山財務相による円安けん制発言が相次いで伝わったことを受け、上値の重い展開となった。
欧州時間には、片山財務相・城内経済財政相の発言(「金融緩和する時代ではない」など)を受けて円買いが一段と強まり、ドル円は158円12銭付近まで下落した。ロンドン時間には一時157円49銭まで下押しする場面もみられた(みんかぶ、みんかぶ)。
NY時間に入ると、片山財務相とベッセント米財務長官の電話会談で「円の過小評価は問題」との認識を確認したと伝わり、当局による円安是正介入への警戒が一段と強まった。加えて、イランが米国にホルムズ海峡再開を提案したとの報道で原油安が進み、これに伴う米長期金利の低下がドル売りを後押しした。ドル円は157円77銭で始まり156円94銭まで下押しして安値引けとなり、1日で約2円10銭の急落となった(財経新聞、ザイFX!)。
3. その他の主要通貨
ユーロドルは1.1385ドルまで下落する場面もあったが、米金利低下によるドル売りを受けて1.1411ドルまで上昇して引けた。ユーロ円は円買いが優勢となり179円88銭から178円92銭まで下落した(oanda)。
ポンドドルは1.3262ドルから1.3229ドルへ反落した。イングランド銀行のベイリー総裁が「金融政策のスタンス維持はますます困難になるだろう」と述べ、利上げの可能性を示唆する発言をしたことでポンド買いが一時支援材料となったが、全体のドル安地合いの中で伸び悩んだ(Investing.com)。
ドル・スイスは0.8296フランまで上昇したのち0.8271フランまで反落し、対円で見ても全般に円買いが優勢な1日だった。
4. 当局の姿勢と介入
片山財務相は25日、ベッセント米財務長官と電話会談を行い「円の過小評価は問題」との認識を確認したと報じられた。あわせて、23日の日米首脳会談でトランプ大統領が円安に懸念を示していたこと、高市早苗首相自身も会談で「円の過小評価は問題だと申し上げた」と発言していたことが25日に明らかになった。城内実経済財政相も金融緩和路線からの転換を促すような発言をしており、政府要人による円安けん制(口先介入)が同日に集中した(nippon.com/時事通信、みんかぶ)。
日米両政府は7月末に実施した協調介入(2011年以来15年ぶり)以降、「必要な場合はさらなる協調介入も辞さない」との姿勢を維持しているとされる。もっとも、25日時点で財務省・日銀による実際の為替介入の実施は確認できておらず、今回の下落は口先介入と金利要因による市場の反応と位置づけられる。
5. ポジションと相場観
前回(9月15日時点、9月19日公表)のCFTC建玉報告以降、新たなIMM投機筋ポジションの公表は確認できていない。前回時点では現物の円安進行と投機筋の円買い越し拡大というねじれた構図が確認されており、今回の急落でこのねじれがどう変化したかは次回以降の公表を待って確認する。
円高派は、政府・日銀双方からの口先介入の集中、日米首脳レベルでの「円安は問題」との一致した認識を根拠に、上値の重い展開が続くとみる。一方、円安派は、日米の金融政策格差(米国は利上げ継続、日銀は緩やかな利上げペース)が本質的には変わっておらず、「日銀が利上げペースを加速するという明確なメッセージを発信しなければ円買いは一時的だろう」との見方を示している(みんかぶ)。
6. テクニカル分析(ドル円)
25日のドル円下落により、前日に上抜けたばかりの200日移動平均線(158円46銭)を再び下回る展開となった。テクニカル的には、いったん上放れかけたレンジに押し戻された形であり、直近安値の157円34銭(9月23日)や、その下の156円台後半が当面の下値サポートとして意識される。上値は再び200日線(158円46銭)、その上に90日移動平均線(159円72銭)が抵抗として意識される水準となる。RSIは前回56.67%とまだ過熱感の強い水準ではなかったが、急落を受けて低下しているとみられる(25日時点の確報値は確認できていない)。
7. 今夜の注目イベント
- 8月の米個人所得・個人消費支出(PCEデフレーター)。インフレ動向次第で10月FOMCの利上げ観測、ひいてはドル円にも影響しうる(詳細は
econ_indicatorsカテゴリ参照) - 財務省・日銀からの追加のけん制発言や、レートチェックの実施有無が引き続き焦点となる
- 原油価格・米長期金利の反発があれば、円買いの動きが一服し再びドル高方向に戻る可能性もある

