前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 前回レポート時点(9月24日NY市場、Yahoo Finance準拠)では米10年債は日中高値5.135%・引け5.11%としていたが、その後の日本経済新聞の報道で、同じ9月24日NY市場の確定値は引け5.20%(前日比+9bp)、日中高値5.22%(2007年6月以来19年ぶり)だったことが判明した。30年債も引け近辺で5.47%(2004年以来22年ぶり)まで上昇していた(日本経済新聞、財経新聞)。
  • NY連銀のウィリアムズ総裁が9月24日、年内の追加利上げについて「妥当な考え方だ」と述べ、バー理事に続きタカ派姿勢を示す高官が増えた。これを受けCME FedWatchが示す10月28日FOMCでの利上げ確率は、前回の73.5%(9月24日時点)からさらに77.5%(9月24日終盤時点)へ上昇した(invezz)。
  • 日銀の田村直樹審議委員が25日、神戸市での金融経済懇談会の講演で、景気・物価を熱しも冷ましもしない「中立金利」について「2%前後の領域にあるのではないか」との見方を示し、「その水準まで数カ月に一度のペースで0.25%ずつ利上げしていくことを基本線としてイメージする」と述べた。9月18日の植田総裁会見以来、日銀高官から利上げペースに具体的に踏み込んだ初めての公式発言となる(日本経済新聞)。
  • JGB10年債利回りは25日午前、前日引けの3.070%からさらに上振れし一時3.115%まで上昇した(約30年ぶりの水準)。米国債安と、それに連動した世界的な金利上昇の流れが背景とされる(Yahoo!ニュース)。
  • 独10年債(Bund)利回りは25日16時(英国時間)時点で3.6%台に上昇し、2009年6月以来の高さとなった。ECBの2027年前半までの利上げ継続観測が独長期債市場の重しとなっている(日本経済新聞)。
  • WTI原油は9月24日終値98.338ドル(+2.13%)まで2営業日連続で上昇していたが、25日は米・イラン交渉進展によるホルムズ海峡リスクの後退と、EIA原油在庫の予想外の増加(約300万バレル)を受けて反落し、22時台には92ドル台まで下げ幅を広げた(前日から約2%安)。金利上昇の一因だった「中東発の原油高」という材料は25日にいったん後退した(oanda)。

昨日と同じこと(継続)

  • 9月16日のFOMC利上げ(政策金利3.75〜4.00%)、9月18日の日銀利上げ(1.00〜1.25%)という「日米そろっての利上げ」の基調は引き続き市場の前提にある。
  • FRB高官(バー理事に続きウィリアムズ総裁)が相次いで追加利上げを支持する発言をしており、年内あと1回の利上げ観測が市場の中心的なシナリオであり続けている。
  • ECB(9月10日、0.25%利上げ・中銀預金金利2.5%)、BOE(9月17日、バンクレート3.75%で6会合連続据え置き)の直近決定に変更はない。
  • NY金は米金利上昇・ドル高を受けた続落基調が続いており、25日も4営業日続落となった。

要因の連続性

  • 継続要因: FOMCの年内追加利上げ観測と、日銀の連続利上げの可能性が、引き続き米国債・JGB双方の金利押し上げ要因として働いている。
  • 新規要因: ウィリアムズNY連銀総裁の追加利上げ支持発言と、田村日銀審議委員による中立金利・利上げペースへの具体的な言及が、新たな金利上昇材料として加わった。
  • 解消した要因: 前回、金利上昇・インフレ懸念材料として新たに加わっていた「ホルムズ海峡緊張による原油高」は、米・イラン交渉進展の報道とEIA在庫増を受けて25日にいったん後退した。

1. 指標・金利サマリー

指標 結果 市場予想 前回値
(前日までに主要指標の新規発表なし。8月PCEデフレーターは本日発表予定) — — —
年限 水準(取得時点) 前日比
米2年債 4.897%(9/24 NY引け、25日の更新値は確認できず) +15.4bp(9/24時点)
米10年債 5.20%(9/24 NY引け確定値)、25日はアジア時間5.173%→NY寄り付き5.186%で推移 +9bp(9/24時点)
米30年債 5.47%(9/24 NY引け近辺) —
JGB10年 3.115%(9/25 東京時間、日中一時) 9/24引け3.070%から上振れ
独10年債(Bund) 3.6%台(9/25 16:00英国時間) +0.05%(前日同時刻比)

(米国債は日本経済新聞・財経新聞の報道による9月24日NY市場の確定値、JGB・独国債は9月25日時点。米2年債の9月25日時点の更新値は確度の高い情報源を確認できなかった)

2. 経済指標の結果

前日(9月25日)は米国・日本ともに主要な経済指標の発表はなかった。日本時間9月26日夜(米国時間25日)には8月の個人所得・個人消費支出(PCEデフレーター)の発表が予定されている(詳細は「7. 今夜の注目イベント」参照)。

3. 金利の動き

米国債利回りは9月24日、複数のFRB高官によるタカ派発言と底堅い経済指標を背景に一段と上昇した。日本経済新聞の報道によれば、10年債は前日比+9bpの5.20%で引け、日中には一時5.22%まで上昇し2007年6月以来19年ぶりの高水準となった。30年債も5.47%前後まで上昇し、2004年以来約22年ぶりの水準を付けた。25日に入ってからはアジア時間に10年債利回りが5.173%まで小幅に低下する場面もあったが、NY市場の寄り付き(日本時間21時53分)には5.186%まで戻し、高水準での推移が続いている(日本経済新聞、財経新聞、みんかぶ)。

日本国債(JGB)10年物は、9月24日引けの3.070%からさらに上昇し、25日午前には一時3.115%まで上伸した。約30年ぶりの高水準で、米国債安に連動した世界的な金利上昇の流れが背景とされる(Yahoo!ニュース)。

ドイツ10年債(Bund)利回りは25日16時(英国時間)時点で3.6%台に上昇し、2009年6月以来の高さとなった。ECBが2027年前半にかけて利上げを継続するとの観測が独長期債市場の重しとなっている(日本経済新聞)。

4. 中央銀行の動き

FRB

NY連銀のウィリアムズ総裁は9月24日、年内にもう一段の利上げを行うことについて「妥当な考え方だ」と述べ、経済見通しを取り巻く不確実性の高さも強調しつつ、データ次第との姿勢を示した。バー理事はこれに先立ち、この1年半で関税・中東情勢の緊張・ロシアのウクライナ侵攻の継続的な混乱という「一連のショック」が物価の上振れ圧力に寄与してきたと指摘している(invezz)。ドットプロットが示唆する年内あと1回の追加利上げについて、10月・12月のどちらで実施するかを巡る議論が続いている。

日銀

田村直樹審議委員は25日、神戸市での金融経済懇談会の講演で、中立金利(景気を熱しも冷ましもしない金利水準)について「2%前後の領域にあるのではないか」との見方を示した上で、「その水準まで数カ月に一度のペースで0.25%ずつ利上げしていくことを基本線としてイメージする」と述べた。9月18日の利上げ・植田総裁会見以降、日銀高官が利上げペースに具体的に言及した初めての公式発言であり、市場では連続利上げの現実味が意識されている(日本経済新聞)。

ECB・BOE

ECB(9月10日、0.25%利上げ・中銀預金金利2.5%)、BOE(9月17日、バンクレート3.75%で6会合連続据え置き)の決定・姿勢に新たな変更はない。独10年債の上昇は、ECBが2027年前半まで利上げを継続するとの市場観測を反映したものとされる。

市場の織り込み

CME FedWatchが示す10月28日のFOMC会合での0.25%利上げ確率は、9月23日時点の54.2%、9月24日早朝時点の73.5%から、ウィリアムズ総裁発言を受けた9月24日終盤時点でさらに77.5%へ上昇した。年内あと1回の追加利上げの実施時期を巡る市場の見方は、10月実施によりいっそう寄っている(invezz)。

5. 債券需給

25日時点で新規の米国債入札・JGB入札結果は確認できなかった。クレジットスプレッド(IG・HY)についても確度の高い最新値を確認できず、次回以降で補う。

6. 他資産への波及

金利上昇とドル高を受け、NY金は9月25日も4営業日続落となり、COMEX金12月限は前日比16.20ドル安の4,302.20ドル(-0.47%程度)で取引された。米新規失業保険申請件数の低さや新築住宅販売の強さなど底堅い経済指標の積み重ねが、利上げ観測とともに金には逆風となっている(財経新聞)。ドル円は日米金利差の拡大を意識した底堅い推移が続いている(詳細はfxカテゴリ参照)。暗号資産市場ではビットコインが金利不安を背景に3日続落したのち、25日は8万4000ドル台で横ばい圏となっている(詳細はcryptoカテゴリ参照)。WTI原油は24日まで2営業日続伸していたが、25日は中東の供給リスク後退と在庫増加を受けて反落した(詳細はcommodityカテゴリ参照)。

7. 今夜の注目イベント

  • 8月の個人所得・個人消費支出(PCEデフレーター)。FRBが重視するインフレ指標であり、7月分(前年比3.7%、コア3.3%)から伸びが加速するか鈍化するかが、10月FOMCでの追加利上げ判断を左右する材料として注目される
  • 引き続きFRB高官の発言機会が多く、ウィリアムズ総裁・バー理事に続く追加のタカ派/ハト派発言の有無に注目が集まる