前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 前回「今夜の注目イベント」として挙げた8月の個人所得・個人消費支出(PCEデフレーター)が26日発表された。結果は前年比2.7%(前月2.6%)、コア(食品・エネルギー除く)は前年比2.9%(前月2.9%)で、いずれも市場予想通りだった。前月比も総合0.3%・コア0.2%で市場予想と一致した。エネルギー・住宅を除くサービス価格は2カ月連続で前月比0.3%上昇と底堅く、個人消費支出も市場予想を上回る伸びとなった(日本経済新聞)。
  • FRBのマイケル・バー理事は23日の講演で「さらなる政策調整が必要になる可能性が高い」と述べ、シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁も「より積極的かつ前倒し」での引き締めに前向きな姿勢を示した。FRB高官18人(ウォーシュ議長は見通し提出を控える)の予測分布では、16人が「年内に少なくともあと1回の追加利上げ」を見込んでいることが明らかになった(新規、Yahoo!ニュース/時事通信)。
  • 米長期金利は25日、週末を控えたポジション調整の買いが入り、10年債利回りは前日比4bp低下の5.16%で引けた。ただし日中には一時5.22%(2007年6月以来19年ぶりの高水準)まで上昇する場面もあり、方向感が定まらない値動きとなった(oanda、みんかぶ)。
  • 米・イラン間の戦闘終結・ホルムズ海峡再開に向けた協議進展への期待から、WTI原油は25日2.20ドル安の92.41ドルまで反落した。原油安と長期金利低下を好感し、NYダウは478.64ドル高の51,828.62ドル(4営業日ぶり反発)、ナスダック総合は129.35ポイント高の27,068.72で続伸した(新規、ダイヤモンド・ザイ、oanda)。

昨日と同じこと(継続)

  • FRB高官による年内追加利上げ支持のタカ派発言が相次ぐ基調は前回から継続しており、10月28日のFOMCでの利上げが市場の中心シナリオであり続けている。
  • 独10年債(Bund)は3.6%台(2009年6月以来の高さ)での高止まりが続いているとみられるが、26日時点で確度の高い更新値は確認できなかった。
  • 日銀の連続利上げ観測、ECB(9月10日利上げ済み)・BOE(9月17日据え置き)の直近決定に変更はない。

要因の連続性

  • 継続要因: FRB高官の相次ぐタカ派発言と、年内あと1回の利上げ観測が、引き続き米長期金利の高止まり要因として働いている。
  • 新規要因: 8月PCEデフレーターが市場予想通りとなり、サービス価格の底堅さが確認されたことで、タカ派的な金融政策運営を正当化する材料が新たに加わった。バー理事・グールズビー総裁の発言も新規のタカ派材料である。
  • 解消した要因: 前回、金利上昇要因として働いていた「ホルムズ海峡緊張による原油高」は、米・イラン協議進展への期待から25日も原油安方向に作用し、長期金利の重しとして働いた(金利押し下げ方向)。

1. 指標・金利サマリー

指標 結果 市場予想 前回値
8月PCEデフレーター(前年比) 2.7% 2.7% 2.6%
8月コアPCEデフレーター(前年比) 2.9% 2.9% 2.9%
8月PCEデフレーター(前月比) 0.3% 0.3% 0.2%
8月コアPCEデフレーター(前月比) 0.2% 0.2% 0.2%
年限 水準(取得時点) 前日比
米2年債 4.86%(9/25 NY引け) -3bp
米10年債 5.16%(9/25 NY引け、日中高値5.22%) -4bp
米30年債 5.49%(9/25 NY引け) +3bp(スティープ化)
JGB10年 更新値確認できず(前回9/25時点3.115%) —
独10年債(Bund) 3.6%台(前回9/25 16:00英国時間時点から更新値確認できず) —

2. 経済指標の結果

26日に発表された8月の個人所得・個人消費支出(PCE)統計で、FRBが最も重視するインフレ指標であるPCEデフレーターは前年比2.7%(前月改定値2.6%)、コア指数(食品・エネルギー除く)は前年比2.9%(前月2.9%で変わらず)といずれも市場予想通りとなった。前月比も総合0.3%・コア0.2%で市場予想と一致した。内訳では、市場が注目するエネルギー・住宅を除くサービス価格が2カ月連続で前月比0.3%上昇と底堅さを維持した。個人消費支出も市場予想を上回る伸びとなり、関税引き上げにもかかわらず小売店が価格転嫁を抑制していることが新学期商戦を下支えしたとみられる(日本経済新聞)。予想通りの結果ではあったが、サービス価格の底堅さは「インフレの基調的なトレンドは大きく改善していない」というFRB高官の見立てを裏付ける内容となり、10月の追加利上げ観測を後退させるには至らなかった。

3. 金利の動き

米国債利回りは25日、週末を控えたポジション調整の買いが入り、10年債は前日比4bp低下の5.16%で引けた。もっとも日中には一時5.22%まで上昇し、2007年6月以来19年ぶりの高水準を付ける場面もあった。2年債は4.86%(-3bp)まで低下した一方、30年債は5.49%(+3bp)まで上昇し、イールドカーブはやや傾斜を強めた(2年-10年スプレッド30.30bp、2年-30年スプレッド62.80bp)(財経新聞、みんかぶ)。

独10年債(Bund)は前回既報の3.6%台(2009年6月以来の高さ)からの更新値を、26日時点で確度の高い情報源から確認できなかった。JGB10年債についても同様に、前回既報の3.115%(9月25日時点、約30年ぶりの高水準)からの更新値は確認できていない。

4. 中央銀行の動き

FRB

FRBのマイケル・バー理事は23日の講演で、インフレ抑制のために「さらなる政策調整が必要になる可能性が高い」と述べた。シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁も、金融引き締めについて「より積極的かつ前倒し」で臨むことに前向きな姿勢を示した。ウォーシュ議長は先週のFOMC後会見で、根強いインフレについて「基調的なトレンドは大きく改善していない」と警戒感を表明していた。FRB高官18人(ウォーシュ議長は見通し提出を控える)の予測分布では、16人が「年内に少なくともあと1回の追加利上げ」を見込んでいることが明らかになっており、タカ派色の強さが際立っている(Yahoo!ニュース/時事通信)。

日銀

25日時点で既報の田村直樹審議委員による中立金利・利上げペースへの言及(「2%前後の領域」「数カ月に一度のペースで0.25%ずつ」)から、26日時点で新たな公式発言の確度の高い情報は確認できなかった。

ECB・BOE

ECB(9月10日、0.25%利上げ・中銀預金金利2.5%)、BOE(9月17日、バンクレート3.75%で6会合連続据え置き)の決定・姿勢に新たな変更はない。独Bundの高止まりは、ECBが2027年前半まで利上げを継続するとの観測を引き続き反映しているとみられる。

市場の織り込み

CME FedWatchが示す10月28日のFOMC会合での利上げ確率は、9月23日時点で73%、その後バー理事の発言などを受けて9月24日終盤時点で77.5%まで上昇したことが前回までに確認されている。26日時点の更新値は確度の高い情報源から確認できなかったが、バー理事・グールズビー総裁のタカ派発言が続いていることを踏まえると、高止まりの公算が大きい(CNBC)。

5. 債券需給

26日時点で新規の米国債入札・JGB入札結果は確認できなかった。クレジットスプレッド(IG・HY)についても確度の高い最新値は確認できておらず、次回以降で補う。

6. 他資産への波及

米・イラン協議進展への期待からWTI原油が反落し、長期金利のポジション調整による低下も重なって、NYダウは478.64ドル高・ナスダックは129.35ポイント高とそろって上昇した。為替はドル円が157円28銭(前日比1円58銭の円高、6日ぶり反落)となり、日米首脳会談での円安けん制発言や当局の介入警戒感が円買いを後押しした(詳細はfxカテゴリ参照)。金・暗号資産への確度の高い波及情報は26日時点で確認できていない。

7. 今夜の注目イベント

27日は日曜日で米国市場は休場のため、本カテゴリが扱う指標発表・中銀イベントは予定されていない。週明け以降は、10月28日のFOMCに向けたFRB高官の発言機会や、独10年債・JGBの更新値に引き続き注目したい。