前回からの変化

前回(2026-10-23、前日)との比較である。

変わったこと(変化・新規)

  • ビットコインは前回の81,234.00ドルから81,264.28ドルへ(30.28ドル高)、イーサリアムは2,376.90ドルから2,400.81ドルへ(23.91ドル高)となった。前回は4パーセント台の下落だったが、今回はほぼ横ばいに落ち着いた。取得時刻は前回と異なる(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)
  • 前回は米国の銀行が消費者向けにトークン化預金を出した話題だった。今回は、複数の国の中央銀行が足並みをそろえる動きと、日本の銀行が共同で通貨トークンを出す実証を扱う
  • 前回扱ったSoFiのトークン化預金と、米通貨監督庁のステーブルコイン最終規則の続報は、今回確認できなかった

昨日と同じこと(継続)

  • 銀行や当局が、ブロックチェーン上のお金を既存の金融の枠組みに取り込もうとする流れは続いている。前回は米国の銀行の商品、今回は国際的な決済ルールづくりと日本の銀行の共同発行である

要因の連続性

  • 継続要因: 銀行預金とステーブルコインの競争・共存という論点。今回も、銀行が自ら通貨トークンを発行する動きとして現れている(筆者の整理)
  • 新規要因: 中央銀行どうしが、国をまたぐ受け入れ・交換・決済の共通ルールを作ろうとしている点
  • 解消した要因: なし

市況ひとこと

ビットコインは81,264.28ドルで24時間では0.09パーセント高、イーサリアムは2,400.81ドルで0.39パーセント高だった。数値は10月24日朝(日本時間)に価格サイトで確認した表示値で、いずれも5パーセント未満の変動のため、理由は付けない(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)。

社会実装・インフラへの採用

日本の3メガバンク、円ステーブルコインの共同発行を実証

  • 誰が・何を: 三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行が共同委託者、三菱UFJ信託銀行が受託者となり、円建てのステーブルコインを共同で発行する実証を行った。システムはTISIが担当した
  • 技術: 信託契約に基づく特定信託受益権(資金決済法第2条第9項)としてトークンを発行した。預金で裏づけ、本人確認を済ませた利用者に限る設計である。使ったブロックチェーンの種類は、確認できた範囲では明示されていない
  • 段階: 実証実験(PoC)。実施は2026年7月17日から23日で、発表は10月16日。金融庁の「Fintech実証実験ハブ・決済高度化プロジェクト」の支援案件として2025年11月に採択されていた。実取引開始の目標は2027年3月だが、確定した予定ではないと説明されている
  • 規模: 三菱商事の日本拠点と海外拠点の間の国際決済という1つの業務で、発行・移転・償還の一連の流れを確かめた段階
  • トークンの扱い: 暗号資産ではなく、銀行預金を裏づけとする円建てのステーブルコインである。ユーザー保護、資金洗浄対策、サイバーセキュリティ、システムの安定性は、本番前に残る課題とされた(三菱UFJ銀行、Blockchain Reporter)

MASのBLOOM、マレーシアとタイの中央銀行が参加

  • 誰が・何を: シンガポール金融管理局(MAS)が主導する国際決済の取り組み「BLOOM」に、マレーシア中央銀行(BNM)とタイ中央銀行(BOT)が政策当局の立場で加わった。BLOOMは2025年10月に始まり、各国の中央銀行、金融機関、決済ネットワーク、技術企業が参加する
  • 技術: 特定のチェーンではなく、トークン化預金や規制下のステーブルコインなど、形の異なるデジタルマネーを国境をまたいで受け入れ、交換し、決済するための共通の進め方を作る取り組み
  • 段階: 構想・枠組みづくりの段階。重点は、国をまたぐ受け入れと決済、デジタルマネーどうしの相互運用、制裁対象の照合などを自動化する仕組みの3つ
  • 規模: 参加者にはDBS、JPモルガン、OCBC、UOB、マスターカード、ビザ、サークル、リップル、世界銀行などが含まれる
  • トークンの扱い: 特定の暗号資産ではなく、各国の通貨建てデジタルマネーの相互乗り入れが対象である。取引先ごとに個別の取り決めを結ぶ必要が減り、金融機関の費用が下がる効果が期待されている(MAS、Fintech News Singapore)

各国の法改正・規制

シンガポール・マレーシア・タイ

  • 段階はガイダンス・協調の枠組みで、法令の成立ではない。マレーシアは2026年2月にCIMB、メイバンク、スタンダードチャータード・マレーシアを実証に加え、リンギ建てのステーブルコインとトークン化預金に関する政策の立場を2026年末までに示す予定である。今回のBLOOM参加は、その検討にも関わるとみられる(筆者の整理。The Asian Banker)

日本・米国・EU

  • 新しい制度の動きは、今回確認できなかった。

特集: 新しいビジネスの形

複数の銀行が1つの円ステーブルコインを共同で発行する

  • 仕組み: 3つの銀行が共同で信託契約を結び、信託銀行が受託者として円建てのトークンを発行する。トークンは預金で裏づけられ、発行・移転・償還の全工程を共通の仕組みで動かす。銀行ごとに別々のトークンを出すと、互いに使えない通貨が並ぶ恐れがあるが、共同発行ならどの銀行の利用者の間でもトークンをやり取りできる
  • 誰がどう稼ぐのか: 収益の分け方は公表されていない。一般には、発行や償還の手数料、国際決済の事務の削減、企業の資金管理の取り込みが利点とされる(筆者の整理)。利用する企業は、今回の三菱商事のように、国内外の拠点間で資金を動かす場面が想定される
  • 既存のやり方との違い: 従来の国際送金は複数の銀行を経由し、時間と手数料がかかる。トークンで発行から償還まで一貫して扱えば、仲介の段数を減らせる可能性がある。ただし今回の実証は1つの業務に限られ、速さや費用の改善幅は今回の出典では確認できない
  • 課題・リスク: ユーザー保護、資金洗浄対策、サイバーセキュリティ、システムの安定性が本番前の課題とされる。利用者を本人確認済みの人に限る設計は安全だが、広い普及にはつながりにくい。実取引開始の2027年3月は、確定した予定ではなく目標である
  • 具体例: みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行と三菱UFJ信託銀行による実証。三菱商事の日本拠点と海外拠点の間の決済を対象とした(三菱UFJ銀行、Blockchain Reporter)

業界トピック

  • 大規模なハッキングや取引所の破綻は、今回確認できなかった。