前回からの変化
前回(2026-10-13)との比較である。前回は9日発表の安川電機など日本企業が中心で、米国は13日の大手銀決算を「次の注目決算」として挙げていた。本日はその結果をフォローする。
変わったこと(変化・新規)
- 前回の「次の注目決算」だった米大手銀4行の結果が出た。前回は予想EPSのみを掲載していたが、本日は実績を確認した。JPモルガンは予想の約5.90ドルに対し実績5.57ドルで未達、ウェルズ・ファーゴは予想1.85ドルに対し1.87ドルで上回った(Fortune、Jorgai)
- 前回は大手5行の合計トレーディング収益が約380億ドルと、第2四半期の過去最高を下回る予想だった。ゴールドマンの株式売買は前年同期比72%増と強く、債券・為替・商品は第2四半期ほど強くなかった(SEC 8-K: Goldman Sachs)
昨日と同じこと(継続)
- 前回挙げた安川電機などの日本企業の数字に変更はない。イオンとJ.フロント リテイリングの13日の結果は、今回の確認範囲では取得できていない
- 米大手銀の決算が週の起点になる点は前回から継続している。14日にはバンク・オブ・アメリカとモルガン・スタンレーが続く予定である(GlobeNewswire)
要因の連続性
- 継続要因: 前回に続き、金利上昇への警戒が銀行決算の注目点になっている
- 新規要因: 中東情勢に絡む相場の変動が株式売買収益を押し上げたとの報道があった。経営陣が財政赤字と根強いインフレに言及した点も新たに加わった(Fortune)
- 解消した要因: なし
1. 本日のハイライト
| 企業名 | 会計期間 | 売上 | EPS(希薄化後) | 予想比 |
|---|---|---|---|---|
| ゴールドマン・サックス | 2026年7〜9月期 | 186.8億ドル(23%増) | 17.01ドル | 予想を大きく上回る |
| JPモルガン・チェース | 2026年7〜9月期 | 未確認 | 5.57ドル | 約5.90ドルに未達 |
| シティグループ | 2026年7〜9月期 | 238億ドル(8%増) | 2.85ドル | 予想約2.67ドルを上回る |
| ウェルズ・ファーゴ | 2026年7〜9月期 | 219億ドル(2%増) | 1.87ドル | 予想1.85ドルを上回る |
予想の出所は集計サイトにより異なり、数字に幅がある。ゴールドマンの事前予想は12.9〜13.9ドル程度と集計ごとに差があった。JPモルガンの売上高は今回の確認範囲では取得できていない。EPSは各社の公表値で、調整の有無は個別に記す。
2. 個別決算
ゴールドマン・サックス — 2026年7〜9月期
純収益は186.8億ドルで前年同期比23%増、第2四半期比では8%減だった。純利益は52.9億ドル、希薄化後EPSは17.01ドルである。部門別では、グローバル・バンキング&マーケッツが134.6億ドルで32%増となり、株式売買が72%増と牽引した。資産・富裕層部門は50.5億ドルで14%増、プラットフォーム・ソリューションズは1.7億ドルに減った。経費は前年同期比20%増の113.1億ドルで、取引連動のコストと報酬が膨らんだ。投資銀行業務の受注残は前の期より減っている。ソロモンCEOは株式部門が非常に強く、債券・為替・商品は強かった第2四半期に比べやや軟調だったと説明した。四半期配当は1株5.00ドルを宣言し、自社株買いを30億ドル実施した(SEC 8-K: Goldman Sachs)。株価は決算当日に上昇したと報じられたが、上昇率は報道により異なり、時点も特定できていない(Fortune)。
JPモルガン・チェース — 2026年7〜9月期
純利益は153億ドルで前年同期比6%増、EPSは5.57ドルだった。アナリスト予想の約5.90ドルを下回り、同行としては珍しい未達と報じられた。債券売買は夏場や前年同期に比べて勢いが落ちた。ダイモンCEOは企業の設備投資と個人消費が底堅いとする一方、大きな財政赤字、根強いインフレ、高い資産価格、金利上昇をリスクとして挙げた。株価は未達にもかかわらず小幅に上昇したと報じられている(Fortune)。数字と反応のねじれの理由は、今回の確認範囲では特定できていない。
シティグループ — 2026年7〜9月期
売上高は238億ドルで前年同期比8%増、純利益は52億ドル、希薄化後EPSは2.85ドルだった。報告ベースで53%増、一過性項目を除くと27%増である。フレーザーCEOは10年で最高の第3四半期の売上高と説明した。サービス部門が15%増、マーケッツ部門が6%増(株式は14%増)、バンキング部門が6%増となった。有形普通株資本利益率(RoTCE)は11.5%、普通株自己資本比率(CET1)は12.8%で、自社株買いと配当で41億ドルを株主に還元した(SEC 8-K: Citigroup)。株価は小幅に下落したとの報道がある。
ウェルズ・ファーゴ — 2026年7〜9月期
売上高は219億ドルで2%増、純利益は60億ドル、希薄化後EPSは1.87ドルで前年同期比13%増だった。純金利収入は125億ドルで5%増、非金利費用は137億ドルで1%減、貸倒引当金繰入は10億ドルで51%増えた。シャーフCEOは各部門で収益が広がったと説明し、資産・投資管理は12%増、商業銀行は6%増となった。自社株買いは2850万株(25億ドル)だった(SEC 8-K: Wells Fargo)。株価は下落したとの報道があるが、下落率と時点は特定できていない。
3. 経営陣が語ったこと
JPモルガンのダイモンCEOは、財政赤字、根強いインフレ、高い資産価格、金利上昇を挙げ、先行きに慎重な姿勢を示した(Fortune)。ゴールドマンのソロモンCEOは債券・為替・商品が第2四半期より軟調だったと説明した。シティのフレーザーCEOは、営業レバレッジの改善とリターンの向上を強調した。ウェルズ・ファーゴは、クレジットカードの新規口座が66万件超、自動車ローンの組成が15%増だったと説明した。カンファレンスコールの質疑の詳細は、今回の確認範囲では取得できていない。
4. 業界トレンド
4行の結果から次の共通点が見える(筆者の整理)。第一に、株式売買と投資銀行業務が好調で、ゴールドマンとシティの収益を押し上げた。第二に、債券・為替・商品の売買は強かった第2四半期より落ち着いた。第三に、経営陣はそろって金利上昇と根強いインフレを警戒材料に挙げた。ウェルズ・ファーゴの貸倒引当金繰入が51%増えたことも、信用面の慎重さを示す数字である。
5. 決算シーズンの進捗
米国の7〜9月期決算は、大手銀4行の発表で本格的に始まった。S&P500の発表済み社数やEPS成長率の集計は、今回も確認できていない。
6. 次の注目決算
- 10月14日(水): バンク・オブ・アメリカとモルガン・スタンレーの7〜9月期決算が予定されている。大手5行の合計トレーディング収益が約380億ドルとの予想もあり、今回の4行の結果と照らして見たい(GlobeNewswire)
- 10月14日(水): 国内では良品計画、15日(木)に高島屋が主な発表予定とされる(前回レポートより)

