前回からの変化

前回(2026-10-14)との比較である。前回は13日に始まった米大手銀の決算を整理し、「次の注目決算」として14日のバンク・オブ・アメリカとモルガン・スタンレーを挙げていた。本日はその結果をフォローする。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回の「次の注目決算」だった2行の結果が出た。バンク・オブ・アメリカは調整後EPS 1.08ドルで予想1.10ドルに未達、モルガン・スタンレーは3.03ドルで予想2.94ドルを上回った(Investing.com: Bank of America、Investing.com: Morgan Stanley)
  • 前回はゴールドマン・サックスが予想を大きく上回り、JPモルガンが未達だった。14日は予想未達のバンク・オブ・アメリカが約8.6%下落し、前回のJPモルガン(小幅上昇)と反応の大きさが異なった
  • 前回は経営陣が財政赤字や金利上昇を警戒材料に挙げたが、14日はバンク・オブ・アメリカの12億ドルの和解金という個別の一過性要因が新たに加わった

昨日と同じこと(継続)

  • 株式売買が強く、債券・為替・商品の売買が弱いという構図は前回に続いた(モルガン・スタンレーの株式売買は41%増、固定収益は7%減)
  • 好決算でも株価が下がる「数字と反応のねじれ」は、前回のJPモルガンに続きモルガン・スタンレーでも見られた

要因の連続性

  • 継続要因: 株式売買の好調と、債券・為替・商品の弱さ
  • 新規要因: バンク・オブ・アメリカの反マネーロンダリング関連の和解金12億ドル。金利の変動が固定収益の売買を弱めたとの説明もあった
  • 解消した要因: なし

1. 本日のハイライト

企業名 会計期間 売上高 EPS 予想比
バンク・オブ・アメリカ 2026年7〜9月期 約301億ドル(3.2%増) 調整後1.08ドル(報告ベース0.91ドル) 予想1.10ドルに未達
モルガン・スタンレー 2026年7〜9月期 203億ドル(約11.6%増) 3.03ドル 予想2.94ドルを上回る

バンク・オブ・アメリカの売上高は予想の約306億ドルを約2%下回った。モルガン・スタンレーの売上高は予想の199.6億ドルを上回った。予想はInvesting.comが集計した数字で、コンセンサスの具体的な出所は記事に明記されていない。EPSは、バンク・オブ・アメリカが和解金を除いた調整後の値、モルガン・スタンレーは希薄化後の報告値である。

2. 個別決算

バンク・オブ・アメリカ — 2026年7〜9月期

純利益は69.3億ドルで前年同期比17%減、報告ベースのEPSは0.91ドルだった。反マネーロンダリングに関連する12億ドルの和解金(税控除なし)が1株あたり0.17ドルの押し下げ要因になり、除くと調整後EPSは1.08ドルとなる。売上高は約301億ドルで3.2%増だったが、予想を下回った(CNBC)。

純金利収入は166億ドルで前年同期比8%増、ローン残高は1.25兆ドルで10四半期連続の増加だった。部門別では、消費者銀行の売上高が4%増の116億ドル、ウェルス・マネジメントが13%増の71億ドル(純利益22%増)だった。グローバル・マーケッツの売上高は5%減で、固定収益の売買収入は17%減の25.5億ドル、株式売買は10%増の25.1億ドルとなり、ともに予想に届かなかった(CNBC)。経営陣は、金利の変動が固定収益を弱めたと説明した。

ガイダンスとして、2027年の純金利収入について8%以上の伸びを見込むと説明した。株主還元は配当と自社株買いで83億ドルで、普通株式Tier1比率(CET1)は10.9%と前四半期から0.35ポイント低下した(Investing.com)。

株価は14日の取引開始前に8.57%安の49.34ドルをつけた(Investing.com)。52週安値の46.12ドルに近い水準である。通常取引の終値は今回確認できていない。

モルガン・スタンレー — 2026年7〜9月期

純収益は203億ドルで、前年同期の182億ドルから増えた。純利益は49億ドル、希薄化後EPSは3.03ドル(前年同期2.80ドル)、有形普通株資本利益率(ROTCE)は22.6%だった(SEC 8-K: Morgan Stanley)。

機関投資家証券部門の収益は約100億ドルだった。株式売買は58億ドルで41%増となり、プライムブローカレッジやデリバティブが牽引した。固定収益は20億ドルで7%減、信用と商品の弱さが響いた。投資銀行業務は22億ドルでほぼ横ばいだった。ウェルス・マネジメントは91億ドルで過去最高、税引前利益率は30.4%、純資産流入は2,320億ドルだった(SEC 8-K、Investing.com)。

自社株買いは15億ドル、四半期配当は1株1.15ドルを宣言した。CET1は14.9%である。株価は14日の取引開始前に2.93%安の181.17ドルまで下げた(Investing.com)。好決算での下落の理由を会社側が直接説明した記述は確認できず、記事は先行きの見通しやマクロ環境への警戒との見方を示している。

3. 経営陣が語ったこと

バンク・オブ・アメリカのモイニハン会長兼CEOは、消費者銀行、ウェルス・マネジメント、法人銀行が貸出、預金、純金利収入で成長したとして、事業の分散が奏功したと説明した(CNBC)。経営陣は第4四半期から営業レバレッジが戻ると見込み、中期目標は据え置いた(Investing.com)。モルガン・スタンレーのピックCEOは、ROTCEが20%を超えるのは5四半期連続だと述べた。カンファレンスコールの質疑の詳細は今回確認できていない。

4. 業界トレンド

13日と14日の大手銀の決算から見える共通点は次のとおりである(筆者の整理)。第一に、株式売買はゴールドマン(72%増)、モルガン・スタンレー(41%増)、バンク・オブ・アメリカ(10%増)と、軒並み強かった。第二に、固定収益の売買は、バンク・オブ・アメリカが17%減、モルガン・スタンレーが7%減と弱く、信用や商品の取引が重しだった。第三に、ウェルス・マネジメントが両行で安定した収益源になっている。第四に、決算が予想を上回っても株価が下がる例が続き、市場は数字より先行きを見ているとみられる。

5. 決算シーズンの進捗

FactSetによると、2026年7〜9月期のS&P500の利益成長率は、10月2日時点で前年同期比29.5%の予想だった。実現すれば3四半期連続で25%を超える。四半期中に予想が上方に修正されたことも特徴とされる(FactSet)。発表済みの社数や予想を上回った企業の比率は、今回確認できていない。

6. 次の注目決算

15日以降の主要な決算予定は、今回の確認範囲では取得できなかった。前回レポートが挙げた国内の良品計画(14日)と高島屋(15日)の結果・予定も、今回は確認できていない。次回は発表済みの社数と予想を上回った比率を、FactSetの週次集計で確認したい。