前回からの変化
前回(2026-10-13、前日)との比較である。
変わったこと(変化・新規)
- ビットコインは前回の82,336.97ドルから83,347.98ドルへ(1,011.01ドル高)、イーサリアムは2,523.35ドルから2,513.93ドルへ(9.42ドル安)。価格サイトの表示値同士の比較で、取得時刻は異なる(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)
- 社会実装の新規案件が並んだ。BNYの欧州での暗号資産保管、ESMのトークン化発行の予告、トークン化指数を参照するスワップ、トークン化MMFの証券会社経由の販売計画である
- 前回の中心だった英銀スタンダードチャータードのRLUSD保管やESMAの期限の話から、欧州の銀行・公的機関の動きへ重心が移った
- 特集は、ステーブルコインを担保に使う仕組みから、トークン化したMMFを証券会社の口座で売る話へ移った
昨日と同じこと(継続)
- 当局が既存の枠組みの中で、ステーブルコインやトークン化のルールを整える流れが続く。ESMAのMiCA非準拠ステーブルコインの期限(2027年1月8日)とCFTCの枠組みの見通しに、新しい続報は確認できなかった
- 銀行などの既存事業者が、暗号資産を自社サービスに組み込む動きが続く
- Samsung WalletがUSDCを米国で追加したとの見出しを確認したが、詳細は未確認で、前回までの予定との関係は確かめていない(Ledger Insights)
要因の連続性
- 継続要因: 銀行・資産運用会社による既存サービスへの組み込みと、当局による細則整備
- 新規要因: 欧州の公的機関が、中央銀行マネーで決済できる基盤Pontesの上で、実際に発行を始める段階に入りつつある
- 解消した要因: なし
市況ひとこと
ビットコインは83,347.98ドルで、24時間では0.39パーセント高だった。イーサリアムは2,513.93ドルで、24時間では0.55パーセント安である。数値は10月14日朝に価格サイトで確認した表示値で、取得時刻の記載はない。サイトは、韓国株の急落とは連動せず、米インフレ指標を待つ状況だと伝えている。変動は5パーセント未満で、特記する理由はない(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)。
社会実装・インフラへの採用
BNY、欧州で暗号資産の保管を開始
- 誰が・何を: 資産預かり残高が62.6兆ドルの米BNYが、デジタル資産のカストディ(資産の保管)を欧州連合へ広げた。ベルギーの銀行子会社が、7月にESMAのMiCA登録簿に載っている
- 技術・対象: ビットコイン、イーサリアム、ソラナ、USDCを扱う。マルチパーティ計算と顧客ごとに分けたウォレットで管理し、Fireblocksの技術を使う
- 段階: 運用中。銀行は既存の規制の下にあるため、MiCAの事業者許可ではなく、国の当局への届出(40日前通知、当局の回答期限20日)で足りる
- トークンの扱い: 暗号資産そのものが保管の対象になる。顧客数や預かり額は明示されていない(Ledger Insights)
ESM、Pontes上でのトークン化発行を予告
- 誰が・何を: ECBのラガルド総裁が、EUの危機対応基金である欧州安定メカニズム(ESM)が、トークン化した形で証券を発行する計画だと述べた。EU財務相会合での発言とされる
- 技術: Pontesは、ユーロ圏の中央銀行(ユーロシステム)が提供する仕組みで、独自の分散型台帳上のトークン化取引を、中央銀行マネーで決済できる。最近稼働したという
- 段階: 発行は「近く」とされ、時期、金額、債券か短期証券かは明らかにされていない。ESMの広報は追加の説明を避けた(Ledger Insights)
DRWとMarex、トークン化指数を参照するスワップ
- 誰が・何を: トレーディング会社のDRWとMarexが、S&Pの米ドル建て投資適格債指数をトークン化したものを参照する店頭(OTC)スワップを、ブロックチェーン上で初めて成立させた
- 技術: Derivnexのプラットフォームが、Canton Network上で動く。Kaikoが指数をトークン化し、評価用のデータを供給した
- 段階: 実取引が1件成立。規模は公表されていない。Cantonは別に、国債の日次レポ取引で3,500億ドル超を処理しているとされる(The Block)
RippleとPrivy、XRP Ledgerの埋め込みウォレット
- 誰が・何を: RippleとStripe傘下のPrivyが提携し、開発者がアプリにXRP Ledgerのウォレットを組み込めるようにした。XRP、ステーブルコインのRLUSDなどを扱え、AIエージェントが使うウォレットにも対応する
- 段階: 提携発表で、開発者はすでに利用できるとされる。政策制御やガス代の肩代わりは今後の追加予定である(The Block)
各国の法改正・規制
EU
- BNYの件で、銀行がMiCAの事業者許可ではなく、既存の銀行規制のもとで届出によって暗号資産の保管を始められることが具体例として示された。段階は運用中である(Ledger Insights)
- ESMAがMiCA非準拠のステーブルコインの扱い停止を求めた件(期限は2027年1月8日)は、前回のとおりで新しい動きは確認できなかった。
米国・日本・その他
- 米国のCFTCの枠組み(正式提案は2027年にずれ込むとの見方)に、新しい動きは確認できなかった。
- 日本で新たに確認できた制度の動きはない。改正金商法(2026年7月公布)の施行は、前回のとおり公布から1年以内である。
特集: 新しいビジネスの形
トークン化したMMFを、証券会社の口座で売る
直近2週間の特集は、銀行間決済トークン、ステーブルカード、x402、準備金の運用益を分け合うステーブルコイン、トークン化預金、他社による株式のトークン化、ステーブルコインの担保ミラーリングなどだった。今回は、資産運用会社が自社の短期運用ファンド(MMF)をトークン化し、一般の証券会社の口座に流す構想を取り上げる。
- 仕組み: 運用大手のFederated Hermes(運用資産9,120億ドル)が、米国のPrometheumと組み、トークン化したMMFを一般の証券会社(ブローカー)やファイナンシャルアドバイザー経由で販売する。第三者がトークンを作るのではなく、Federated自身がデジタル証券としてチェーン上で発行する。最初の商品は2027年第1四半期の予定である
- 誰がどう稼ぐのか: 運用会社はファンドの運用報酬を得る。Prometheumは流通の基盤を担う。収益の配分は公表されていない
- 既存のやり方との違い: 暗号資産の取引所や機関投資家向けの基盤ではなく、多くの米国人が投資に使う既存の証券口座にトークン化ファンドを載せる点が違う。待機資金の運用に使う用途は、既存の金融機関の収益源と競合し得る
- 課題・リスク: 現時点は提携発表と開発の段階で、稼働はしていない。規制上の位置づけや、証券会社側の対応の広がりは今後の課題である。運用成績の見通しには触れない
- 具体例: Federated Hermes、Prometheum(Ledger Insights)
業界トピック
- 前日〜現在に、新たな大規模ハッキングや取引所の破綻は確認できなかった。前回報じたLedgerの端末に関連する資金流出の調査について、新しい続報は確認できていない。

