前回からの変化

前回(2026-10-01)との比較。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回「次の注目決算」に挙げたナイキとマコーミックが10月1日に決算を発表し、結果をフォローした(新規)。
  • ナイキは第1四半期の利益が予想超えだった一方、通期売上高を高単一桁の減少と見込み、アナリスト予想を下回る調整後EPSガイダンスを示して時間外で売られた(新規)。
  • マコーミックは調整後EPSが予想を上回ったが、特別費用により報告ベースEPSは前年から57%減となり、通常取引で株価は下落した(新規)。

昨日と同じこと(継続)

  • 数字は予想超えでも株価が素直に上がらない「好決算でも反応薄・下落」という構図は、前回のマイクロン、ジェイビル、ファクトセットから引き続き観測された。
  • 本格的な決算シーズン入りは10月中旬以降で、閑散期が続いている。

要因の連続性

  • 継続要因: 数字の裏側(ガイダンス、利益率見通し、コスト懸念)への警戒が、前回に続き好決算の株価反応を抑えている。
  • 新規要因: ナイキの中国事業の大幅な落ち込み(売上高26%減)と関税・リストラ費用、マコーミックの商品・運賃コスト上昇と第4四半期の利益率圧迫懸念が新たに加わった。
  • 解消した要因: 前回新規論点だったメモリー供給制約は、今回取り上げた2社の決算では主要論点にならなかった。

1. 本日のハイライト

企業名 売上高 EPS(実績/予想) 予想比 株価反応
ナイキ(NKE) 112億ドル(前年比4%減) 0.48ドル/0.44ドル(GAAP) EPS上回る・売上高下回る 時間外取引で一時約5%安との報道
マコーミック(MKC) 20.2億ドル(前年比17.4%増) 0.86ドル/0.76ドル(調整後) EPS・売上高とも上回る 10月1日の通常取引で3%台の下落

(出典: Business Wire: NIKE, Inc. Reports Fiscal 2027 First Quarter Results、StockTitan: McCormick Reports Solid Third Quarter Performance)

2. 個別決算

ナイキ(NKE) — FY2027第1四半期(6〜8月、8月31日期末)

売上高は112億ドルで前年同期比4%減(為替中立ベースで5%減)、希薄化後EPS(GAAP)は0.48ドルで前年同期比2%減だった。コンセンサス(23社のアナリスト平均、Alphastreet集計)はEPS0.44ドル・売上高113.3億ドルで、EPSは上回り、売上高は約1%下回った(Business Wire、investingLive、Alphastreet)。

粗利率は42.8%で前年同期より0.6ポイント改善し、純利益は7億1200万ドル(2%減)だった。地域別(為替中立ベース)では、北米が51億ドル(2%増)と堅調だった一方、EMEAは32億ドル(5%減)、グレーターチャイナは12億ドル(26%減)と大きく落ち込み、アジア太平洋・中南米は15億ドルで横ばい。コンバースは2億6300万ドル(28%減)だった。チャネル別ではナイキブランドのデジタルが13%減、直営店が5%減で、直接販売全体は9%減。在庫は78億ドル(3%減)で、会社は四半期配当として1株0.41ドルを維持した(Business Wire)。

ガイダンスはFY2027通期の売上高が高単一桁の減少、調整後希薄化EPSは1.15〜1.35ドル(リストラ費用約0.15ドルを除く)とした。報道ではアナリスト予想の1.65ドルを大きく下回る水準とされる。会社は新たなコスト構造改革「Pace」を発表し、FY2031までに累計約25億ドルの削減を見込む一方、同期間の税引前費用は約10億ドル(主に人員削減に伴う費用)、FY2027は約3億ドルを見込む。報道によれば、グレーターチャイナの営業利益は約2億5000万ドルで予想の約3億1000万ドルを下回った。決算前の株価は36ドル前後で、年初来で約43%下落していた。決算発表後の時間外取引では、通期売上高見通しが嫌気され、一時約5%下落したと報じられている(Business Wire、investingLive)。

マコーミック(MKC) — FY2026第3四半期(6〜8月、8月31日期末)

売上高は20億2480万ドルで前年同期比17.4%増となった。ただし増収の大半はマコーミック・デ・メヒコ(メキシコ事業)の買収効果(14.6ポイント)で、オーガニックベースの売上高は1.9%増(価格寄与2.2%、数量・構成はマイナス0.3%)にとどまる。調整後EPSは0.86ドルで前年同期比1.2%増となり、市場予想0.76ドル(Alphastreet集計)・売上高約19.8億ドルをいずれも上回った(StockTitan、GuruFocus)。

報告ベースの希薄化後EPS(GAAP)は0.36ドルで前年同期の0.84ドルから57.1%減った。取引・統合費用に加え、マレーシアのコショウ調達プロジェクト中止に伴う4310万ドルの減損など、特別費用が合計1億4150万ドルに上り、1株あたり0.50ドルを押し下げた。これは一過性要因であり、調整後ベースの実力とは区別して見る必要がある。セグメント別では、コンシューマー部門が12億1500万ドル(24.9%増、オーガニック1.1%増)、フレーバーソリューションズ部門が8億900万ドル(7.7%増、オーガニック3.0%増)だった。粗利率は39.3%と1.9ポイント改善し、調整後営業利益は3億5850万ドル(22.1%増、営業利益率17.7%)だった(StockTitan)。

FY2026通期見通しは据え置き、売上高成長13〜17%、オーガニック1〜3%、調整後営業利益16〜20%増、調整後EPS3.05〜3.13ドル(2〜5%増)とした。ユニリーバの食品事業との統合は2027年半ば完了を見込み、年6億ドルのコスト相乗効果を想定する。株価は10月1日の通常取引で3%台の下落とされ、第4四半期の利益率圧迫やコスト上昇への警戒が背景との指摘がある(StockTitan、StockStory)。

3. 経営陣が語ったこと

ナイキのエリオット・ヒルCEOは、「スポーツ・オフェンス」戦略がパフォーマンス事業で目に見える進展を生んでおり、成長を加速・拡大するために「Pace」を導入したと説明した(Business Wire)。

マコーミックのブレンダン・フォーリーCEOは、今回の結果が「フレーバーに特化した事業モデルの強さと差別化された業績」を示したと述べた。会社側は、関税還付による利益押し上げ分は、インフレと中東情勢に関連する費用で吸収される見込みだと説明している(StockTitan)。

4. 業界トレンド

ナイキとマコーミックはどちらも、利益ベースでは予想を上回りながら、売上の質や先行きで売られるという共通点がある。ナイキは中国とコンバース、直営デジタルの不振で売上高見通しが弱く、マコーミックは増収の大半が買収効果でオーガニック成長は1%台にとどまり、数量はマイナスだった。消費財では、価格やコスト管理で利益率を守る一方、需要の実数が伸びにくい局面にあるとの見方ができる。前回のマイクロン、ジェイビルと合わせ、「AI関連は強い・消費関連は需要の弱さを利益率改善で補う」という二極化が決算から読み取れる(筆者の解釈)。(investingLive、GuruFocus)

5. 決算シーズンの進捗

暦年ベースの第3四半期決算シーズンはまだ本格化しておらず、S&P500の発表済み社数やEPS成長率などの集計は今回確認できなかった。10月1日の日本市場では日経平均が前日比2203円高の6万8956円と大幅続伸し、前日のマイクロンの好決算や半導体関連株の上昇が背景とされた。なお日経225構成企業で10月1日に決算を発表した主な企業は確認できなかった(Kabutan: マーケット日報 2026年10月1日)。

6. 次の注目決算

  • 来週にかけては、コンステレーション・ブランズ(10月6日)、ファーストリテイリングとセブン&アイ・ホールディングス(10月8日前後)、デルタ航空(10月9日前後)などの発表が予定されているとされるが、日付は集計サイトで揺れがあり未確認。正式な日程は次回、各社IRで確認する。
  • 前回までに取り上げたナイキとマコーミックは結果が出そろったため、今後のフォロー対象は両社の通期見通しの修正有無となる(Investing.com: Nike fiscal Q1 2027 earnings preview)。