前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 金は前回(10月1日付、9月30日終値4,157.49ドル)の続落から一転して反発し、10月1日は1オンス4,177.06ドル(前日比0.46%高)となった(TradingEconomics: Gold)。銀も60.41ドルから60.97ドル(0.93%高)へ持ち直した(TradingEconomics: Silver)
- 原油は前回の反発から一段高となり、WTIは90.32ドル→92.87ドル(2.7%高)、ブレントは97.85ドル→102.31ドル(4.4%高)で、ブレントは再び100ドルを上回った(CNBC)。前回の主材料だったロイター調査によるブレント予想の上方修正に代わり、米国の第3空母打撃群と最大1万人規模の海兵隊増派の報道という新材料が加わった
- 天然ガスは前回の横ばい(3.0110ドル)から2.95ドルへ2.56パーセント安と下落に転じた(TradingEconomics: Natural gas)
- 小麦は前回の下落から1ブッシェル6.8175ドルへ0.89パーセント高と小反発、トウモロコシも5.02ドル(0.25パーセント高)と前回の急落後に下げ止まった(TradingEconomics: Wheat)
- 銅は前回の6.56ドルから6.52ドル(0.64パーセント安)へ軟化し、約2週間ぶり安値圏に入った(TradingEconomics: Copper)
昨日と同じこと(継続)
- 米10年債利回りが2002年以来の高水準にあることと、ドル高が金・銀の上値を抑える構図は前回に続いている(Kitco)
- ホルムズ海峡周辺の緊張は解消しておらず、原油の供給不安は前回に続く背景である
- 米国の精製銅への追加関税の判断先送りと、チリの銅鉱山での労使紛争の懸念は前回から継続している(TradingEconomics: Copper)
要因の連続性
- 継続要因: 実質金利の上昇とドル高が、前回に続き金・銀の重しとして働いている。ホルムズ海峡を巡る供給不安も前回同様に原油の下支えとなっている
- 新規要因: 米国が第3空母打撃群と最大1万人の海兵隊を中東に増派すると報じられ、米国とイランの戦闘再燃への警戒が原油の急伸要因として加わった。金には、8月のPCE物価が予想を下回り10月の利上げ確率が51パーセントから37〜38パーセントへ低下したことが反発要因として加わった。天然ガスには記録的な生産量と穏やかな天候見通しが新たな下押し要因となった
- 解消した要因: トウモロコシを急落させたUSDA四半期在庫報告の売り材料は一巡し、価格は下げ止まった。前回の原油の主材料だったロイター調査によるブレント予想の引き上げは、本日は地政学ニュースに主役を譲った
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年10月1日、米国時間) | 騰落率(前日比) |
|---|---|---|
| 金(スポット) | 1オンス4,177.06ドル | 0.46%高 |
| 銀 | 1オンス60.97ドル | 0.93%高 |
| WTI原油(11月限) | 1バレル92.87ドル | 2.7%高 |
| ブレント原油(12月限) | 1バレル102.31ドル | 4.4%高 |
| 天然ガス(Henry Hub) | 1MMBtu 2.95ドル | 2.56%安 |
小麦は1ブッシェル6.8175ドル(0.89パーセント高)、トウモロコシは5.02ドル(0.25パーセント高)、銅は1ポンド6.52ドル(0.64パーセント安)。原油はCNBCの終値、そのほかは日本時間10月2日朝に取得したTradingEconomics: Gold・TradingEconomics: Silver・TradingEconomics: Natural gasの表示値であり、確定終値とは数十セント程度ずれる場合がある。
商品別動向
金・銀
Kitcoによると、現物金は10月1日、0.6パーセント高の1オンス4,183ドル前後まで上昇し、12月限先物は4,212.80ドルをつけた。前日に発表された米8月のPCE物価が予想を下回り、10月の利上げ確率が45パーセントから37パーセントへ低下したことが支援材料となった。一方で米10年債利回りは2002年以来の高水準にあり、ドル高も重なって上値は限られた。TradingEconomics: Goldは、市場がなお12月の利上げを9割近く織り込んでいると伝えている。市場の注目は、2日金曜に発表される9月の米雇用統計に移っている。
銀はTradingEconomics: Silverによると、1オンス60.97ドルへ0.93パーセント高と反発した。金と同様、インフレ指標の下振れが支えとなる一方、高い米国債利回りとドル高が戻りを抑えている。金銀とも9月は大きく下落しており、月間では金が4.80パーセント安、銀が6.65パーセント安となっている。
原油
CNBCによると、ブレント12月限は10月1日に4.4パーセント高の1バレル102.31ドル、WTI11月限は2.7パーセント高の92.87ドルで取引を終えた。米当局者がウォール・ストリート・ジャーナルに語ったところでは、空母セオドア・ルーズベルトが11月末までに中東へ到着し、海兵隊の艦船と最大1万人の追加部隊も派遣される。米国がイランとの戦闘を再び強める準備ではないかとの警戒が、ブレントを再び100ドル超へ押し上げた。
Rigzoneは、イランが米国の海上封鎖下で9月に原油をほとんど積み出していないとみられること、2月以降に世界の在庫が5億バレル超減ったこと、中東での混乱が8か月続いて貯蔵の余裕が乏しいことを、価格上昇の背景として挙げている。TradingEconomics: Brent crude oilは、ウクライナによるロシアの製油所攻撃でロシアが輸出制限を延長していること、中国の製油所が国内備蓄を優先して石油製品の輸出を絞っていることも買い材料として伝えている。
天然ガス
TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hub天然ガスは10月1日、2.56パーセント安の1MMBtuあたり2.95ドルとなった。米エネルギー情報局(EIA)の統計では9月25日までの週の貯蔵は640億立方フィート増加し、9月の米本土48州の生産は日量1,133億立方フィートと過去最高を記録した。10月16日ごろまでおおむね平年並みの気温が見込まれ、暖房・冷房需要が限られる。一方、LNG輸出向けの原料ガス供給は9月に日量179億立方フィートと8月(172億立方フィート)から増え、下値を支えている。
農産物
TradingEconomics: Wheatによると、小麦は10月1日、1ブッシェル6.8175ドルへ0.89パーセント高と小反発した。黒海経由の輸送再開に向けた外交の進展や、ウクライナの穀物在庫の改善、米中の農産物関税引き下げ協議が下押し材料で、直近では7ドルを割り込み8月25日以来の安値圏にある。TradingEconomics: Cornによれば、トウモロコシは前日のUSDA四半期在庫報告を受けた急落後に5.02ドル(0.25パーセント高)と下げ止まった。中国が関税引き下げ案から大豆を除外したことも穀物全般の重しとされる。
急変動の特集
ブレント原油が1日で4%超の急伸(米軍増派報道)。ブレントは10月1日、前日比4.4パーセント高の102.31ドルと、急変動の目安(1日で3パーセント超)に該当した(CNBC)。9月初旬から調整局面にあった相場が、米国の第3空母打撃群と最大1万人の海兵隊の増派報道を引き金に、再び100ドルの大台を回復した形である。
なぜ動いたか。キャピタル・エコノミクスは「流量の回復は、事態のエスカレーションに対して極めて脆弱だ」と指摘しており(CNBC)、中東産原油の流量が戦前水準近くまで戻っても、在庫が大きく取り崩された状態では供給途絶の懸念に価格が敏感に反応しやすい。生活への波及としては、原油高がガソリン・軽油・電気料金・物流費を通じて物価を押し上げる可能性がある。Rigzoneによれば、米国は軽油の輸出制限を検討する一方で同盟国に緊急備蓄の放出を促しており、燃料価格への政策的な警戒も強まっている。
前回特集した銅は、約2週間ぶり安値圏に下落した。TradingEconomics: Copperによると、10月1日は1ポンド6.52ドル(0.64パーセント安)で、中国の工業利益は8月まで前年比15.7パーセント増と伸びが鈍化した一方、9月の製造業活動は拡大に転じた。アントファガスタのチリ事業でのストライキの可能性と、パナマの大型鉱山の再開議論が供給面の焦点であり、トランプ政権が精製銅への関税判断を先送りしていることも相場に影響している。
強気派 vs 弱気派
金(強気): ウィズダムツリーのコモディティ戦略家ニテシュ・シャー氏は、インフレ指標の下振れで利上げ観測が後退したと指摘したうえで、債券市場の変動の大きさは金が「より優れた、壊れにくいヘッジ手段」になり得ることを示していると述べ、安定の手段としての金への関心が高まる可能性を挙げた(Kitco)。
金(弱気): FOREX.comのアナリスト、ファワド・ラザクザダ氏は、1月の高値以降続く高値・安値の切り下げと債券利回りの上昇を根拠に、下値目標として4,100ドル、4,000ドルを挙げ、4,400ドルを終値で超えない限り弱気の見方を変えないとする(IndexBox)。同記事の公開日は確認できておらず、一部の水準は現在値より上にある点に注意が必要である。
原油(強気): キャピタル・エコノミクスは、流量の回復が脆弱でエスカレーションに弱いことと、世界の在庫が深く取り崩されていることを根拠に、供給面の逼迫を指摘する(CNBC)。
原油(弱気): ゴールドマン・サックスは、ホルムズ海峡の再開でペルシャ湾岸からの輸出が戦前水準へ戻るとの想定のもと、ブレントの2026年第4四半期予想を80ドルに引き下げた(時期は過去の見直しで、足元の価格との乖離が大きい点に注意)(Yahoo Finance)。
銀・銅・農産物: 銀と銅について本日確認できた新たな強気・弱気の発言者付き見解はなく、穀物は黒海輸送の再開期待や米中協議を弱気材料とする報道が中心である。
地政学・物価関連ニュース
米国の中東増派は、イランを巡る地政学リスクを再び高めた。CNBCによれば、中東産原油の流量は戦前水準にほぼ回復しているものの、ホルムズ海峡でのタンカー攻撃や製油所への攻撃が続いており、供給不安は消えていない(TradingEconomics: Crude Oil)。原油高の経路は、ガソリン・軽油価格、運送費、電気・ガス料金、プラスチックなど石油化学製品のコストである。
OPECプラスは10月4日(日)に月次の会合を予定しており、10月の生産目標を現行水準で据え置く見方が出ている(正式な決定は未確認)(Energy News)。
穀物では、黒海経由の輸送再開に向けた外交の進展が小麦の下押し要因となり、パンなど製粉関連のコストには緩和方向に働く可能性がある(TradingEconomics: Wheat)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
金: 本日の更新された移動平均線・RSIの出典は確認できなかった。価格面では、現物は4,177〜4,183ドルと、前回挙げられた下値の目安4,100ドルを上回って反発しており、同水準はひとまず意識されている。9月の月間下落率は6.7パーセントで、200日EMA(4,307ドル)は遠い位置にある(前回のTradingpediaの分析による)。
銀: 本日の更新された指標は確認できなかった。前回は200日EMA(64.28ドル)を下回り、60.30ドルが下値の目安とされており(Tradingpedia)、60.97ドルへの反発はこの水準の上で踏みとどまった動きである。
原油(WTI): FXStreetの分析(上昇前の水準を前提)では、直近の下値支持は89.95ドル付近で、その下に50日移動平均線(87.03ドル)、100日(84.78ドル)、200日(81.27ドル)が控えるとされる。上値は95ドル付近の水平線、続いて100ドルが節目とされ、RSI(14日)は38近辺で下押し圧力が残る水準だった。92.87ドルへの上昇でRSIは中立圏へ戻した可能性があるが、数値は未確認。断定的な売買の判断ではなく、あくまで目安の水準である。
天然ガス: 本日の移動平均線・RSIの出典は確認できなかった。価格が2.95ドルへ下げたことで、前回報告した200日移動平均線(2.841ドル前後)に近づいている。
小麦: TradingEconomics: Wheatは、7ドルを割り込み8月25日以来の安値圏にあると伝えるが、移動平均線やRSIの数値は確認できなかった。

