前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 前回(10月1日号)が触れていなかった人民銀行の措置が確認できた。人民銀行は9月29日、担保補完貸出(PSL、政策性銀行向けの資金供給制度)の1年物金利を1.75%から1.5%へ0.25ポイント引き下げた。対象は「六つのネットワーク」(水道・次世代送電網・計算資源・次世代通信・地下管路・物流)にも広がった(新浪財経、ロイター)。前回は「LPRと預金準備率は据え置き」と書いており、LPRは今回も動いていないが、政策金利に近い構造的ツールでの利下げが同時に行われていた
- 前回「未発表」としていた民間PMIが確認できた。RatingDog(旧財新)の9月製造業PMIは52.1で、8月の51.5から上昇し予想の51.6も上回った。公式PMI(50.1)との差は2.0ポイントある
- 前回は9月30日の取引終了時点の記述だったが、10月1日は本土・香港とも休場となり、新たな株価の終値は付いていない
昨日と同じこと(継続)
- 住宅ローン利子補給制度は10月1日に施行済みで、国慶節連休中の住宅販売への効果が焦点である点は前回から継続している
- 本土市場は10月7日まで休場、ストックコネクトも7日まで停止、10月8日再開という日程は前回どおり
- 万科企業など不動産大手の債務問題は構造的リスクとして残る(本日、新たな進展は確認できず)
- LPRは9月20日発表分(1年物3.0%・5年物以上3.5%)のまま、との前回記載から変更を示す情報は確認できていない
要因の連続性
- 継続要因: 米長期金利の高止まりと中東情勢の不透明感は、前回に続き香港市場の上値を抑える要因として意識されている(みんかぶ)
- 新規要因: 人民銀行のPSL利下げと再貸出枠の増額が、支援策の厚みを示す材料として加わった。民間PMIの強い数字も景気の底堅さを示す材料になった
- 解消した要因: 前回の「民間PMIが未発表で公式との乖離を確認できない」という不確実性は解消した
市況サマリー
本土市場(上海・深セン)は10月1日から7日まで国慶節で休場し、香港市場も10月1日は休場だった。香港は本日10月2日に再開するが、ストックコネクトは10月7日まで停止しており本土資金は入らない(みんかぶFX/為替、BBN Times)。このため新しい終値は無く、以下は最終取引日の9月30日の値である。
| 指数 | 終値(9月30日) | 騰落率 |
|---|---|---|
| 上海総合指数 | 3,842.20(前回レポート記載値) | +0.31% |
| CSI300(滬深300) | ― | 未確認 |
| 香港ハンセン指数 | 24,613.27 | +0.37% |
| ハンセンテック指数 | ― | 前回レポートでは+0.10% |
指数別動向
本土(上海・CSI300)
10月1日は休場で取引がなく、アジア株の概況でも香港・中国は「休場」と報じられている(みんかぶ)。本土の次の取引は10月8日である。連休明けは、休場中に出た政策・海外材料をまとめて織り込む日になる。
香港(ハンセン・ハンセンテック)
香港は10月1日が休場で、本日2日に再開する。本土資金が入らないため、連休中は香港が世界の投資家にとって中国株の見方を表す数少ない場になり、値動きが大きくなりやすいとされる。ハンセン指数は年初来で約4.3%安、ハンセンテック指数は約23%安との集計もある(BBN Times)。
本土と香港の方向の割れ: 10月1日は両市場とも取引が無く、比較できる値動きは無い。ADR(米国上場の中国企業株)についても、10月1日の終値データは今回確認できなかった。
当局・政策の動き
人民銀行は9月29日、1年物PSL金利を1.75%から1.5%へ0.25ポイント引き下げると発表した。これは決定済みの措置である。目的は政策性銀行の実体経済支援を促すことで、国務院常務会議の方針を受けたものと説明された(新浪財経)。
同じパッケージで、再貸出枠は合計7000億元が積み増された。科学技術イノベーション向けが2000億元で、対象範囲が6割から10割へ広がった。農業・小規模事業向けは5000億元で、うち3000億元が民間企業向けである。住宅ローン利子補給は年1ポイント、最長5年で、資金は中央9割・地方1割の負担とされる(CGTN)。
ロイターは、国泰海通証券のアナリストが「投資と家計需要を押し上げて成長を支える協調的な取り組み」と評し、当局が支援を強める用意を示すシグナルだと述べたと伝えている(ロイター)。国家隊(国有系ファンドによる株式買い支え)の新たな公表や観測は、今回の調査では確認できなかった。
経済指標
民間のRatingDog(旧財新、S&P Global集計)の9月製造業PMIは52.1で、8月の51.5、予想の51.6を上回り5カ月ぶりの高水準になった。新規受注は16カ月連続で増え、新規輸出受注は2月以来の強さだった。雇用はわずかに増えた。サービス業PMIは51.6、総合は52.4だった(investingLive、FXStreet)。
公式PMIと民間PMIの乖離: 国家統計局の公式製造業PMIは50.1(8月49.8)で、3カ月ぶりに50を上回った。民間の52.1と2.0ポイント離れている。公式は大企業・国有企業の比重が高く、民間は中小企業と輸出企業の比重が高いとされる。公式では大型企業が50.6、中型49.7、小型48.9と規模で差があり、輸出に強い民間企業の好調が民間PMIを押し上げた可能性がある(これは推測である)。公式側は、天候が落ち着いたことと一部業種の繁忙期入りを背景に挙げている一方、雇用の弱さや利益率の圧迫は残るとされる(Caixin Global)。RatingDog創業者の姚瑜氏はサービス業の値下げが約4年半ぶりの速さで進み、利益率を圧迫している点に注意が必要と述べた。
不動産・地方債務
9月29日発表の住宅ローン利子補給(最高100万元のローンに年1ポイント、最長5年)が10月1日に施行された。対象は120平方メートル以下・150万元以下の初回購入である。日本経済新聞は、不動産株が連休前に上昇した一方、安定重視の規制がさらに不動産株の選別を進める可能性を指摘し、市場の「新常態」への転換を示す可能性に触れている(日本経済新聞)。万科企業など大手の債務問題について、本日新たな進展の公表は確認できなかった。
米中関係と注目銘柄
10月1日は本土・香港とも休場で、個別銘柄の新たな値動きは無い。米国上場の中国企業(ADR)の10月1日終値や、米中間の新たな規制の動きは、今回の調査では確認できなかった。
強気派 vs 弱気派
強気派(政策・景気): 国泰海通証券のアナリストは、PSL利下げと住宅補助などの組み合わせが投資と家計需要の両方を支え、当局が支援を強める意思を示したと見る(ロイター)。RatingDogのPMIが予想を上回ったことも、景気の底堅さを示す材料に挙がる(FXStreet)。これは景気・政策に関する論点で、バリュエーション(割安さ)の議論ではない。
弱気派(政策の規模・外部環境): CGTNは今回のパッケージを「積極的な景気刺激ではなく支援的な緩和」と位置づけ、構造的ツールと財政・金融の協調で個別の目詰まりに対処するものとした(CGTN)。日本経済新聞は不動産株の選別が進む可能性を指摘した。香港については、上昇が続くには米長期金利の安定と、国内消費を立て直せる規模の刺激策の確認が必要との見方がある(BBN Times)。公式PMIの内訳では雇用の弱さや利益率の圧迫も指摘されている。
テクニカル分析(上海総合・ハンセン指数)
両市場とも10月1日は取引が無く、移動平均線(50日・200日)やRSIの新しい数値は今回の出典から確認できなかった。参考として、前回レポートでは上海総合指数の3,800〜3,820近辺が下値の目安、3,850〜3,900近辺が上値の目安とされ、ハンセン指数は24,400近辺と25,000近辺が意識されやすい水準とされていた。いずれも参考値であり、売買の推奨ではない。ストックコネクトは10月7日まで停止中で、南向き資金・AH株プレミアム指数の最新値も取得できなかった。
本日の注目点
香港は本日2日に取引を再開する。本土資金が入らず、10月7日まで続く。人民銀行のPSL利下げと民間PMIの好結果を、香港が単独で織り込む最初の日になる(BBN Times)。
本土は10月8日に再開する。連休中の住宅販売や消費動向、米長期金利・中東情勢といった海外材料が、まとめて反映される日となる(みんかぶ)。

