前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 前回(24日)で「次の注目決算」として挙げたダーデン・レストランツとコストコ・ホールセールが、予定どおりそれぞれ9月24日(木)寄り前・引け後(米国時間)に決算を発表した(新規)。
  • ダーデンは希薄化EPS2.05ドル(市場予想2.08ドル)、総収入32億0030万ドル(市場予想32億3800万ドル)といずれも市場予想にわずかに届かず、主力オリーブガーデンの既存店売上高が+1.0%(市場予想+1.7%)にとどまったことを受け、株価は通常取引で2.9%安の207.44ドルとなった(新規)。
  • コストコは希薄化EPS6.75ドル(市場予想6.53ドル)、純売上高939億ドル(前年同期比11.2%増)と実績が市場予想を上回ったが、時間外取引では発表直後に約1%高となった後伸び悩み、反応は限定的にとどまった(新規)。

昨日と同じこと(継続)

  • 決算シーズンとしては引き続き閑散期にあたり、暦年ベースの主要企業による本格的な第3四半期決算シーズンは10月中旬以降に始まる見通しに変化はない。

要因の連続性

  • 継続要因: 前回から続く「原材料費・入力コスト上昇を価格転嫁・効率化でどこまで吸収できるか」という論点は、ダーデンの牛肉コスト圧迫という形で今回も観測された。
  • 新規要因: コストコの関税還付(IEEPA)による一過性の増益要因、ダーデンのオリーブガーデンにおけるサイクロスポーラ(寄生虫)懸念・サッカーワールドカップ開催という新たな下押し材料が加わった。
  • 解消した要因: 前回のゼネラル・ミルズに見られた一過性要因(ヨーグルト事業売却益の反動による見かけ上の減益)という論点は今回の決算には該当せず、一巡した。

1. 本日のハイライト

企業名 売上高 EPS(実績/予想) 予想比 株価反応
コストコ・ホールセール(COST) 939.0億ドル(前年比+11.2%) 6.75ドル/6.53ドル(GAAP) 増収増益・予想上回る 時間外取引で発表直後+1%、その後伸び悩み
ダーデン・レストランツ(DRI) 32.00億ドル(予想32.38億ドル) 2.05ドル/2.08ドル(GAAP) 増収も予想未達 通常取引で2.9%安の207.44ドル

(出典: SEC EDGAR Costco 8-K、SEC EDGAR Darden 8-K)

2. 個別決算

コストコ・ホールセール(COST) — FY2026第4四半期(5〜8月、16週間、8月30日期末)

純売上高(会員費を除く)は939億ドルで前年同期(844億ドル)比11.2%増、会員費収入(18.5億ドル、前年比7.3%増)を含む総収入は957.2億ドルとなった。純利益は29億9800万ドル、希薄化EPSは6.75ドルで、前年同期の5.87ドルから14.9%増加し、市場予想(LSEGコンセンサス6.53ドル)を上回った。今回のEPSには、IEEPA関税還付を受けた一過性の押し上げ効果(会員価値への一部還元後で純額0.15ドル)が含まれており、これを除いた実質ベースは6.60ドル程度になるとみられる(SEC EDGAR、GlobeNewswire)。

比較店売上高(16週、為替・ガソリン除き)は、米国+7.2%(報告ベース+10.7%)、カナダ+4.6%(報告ベース+5.0%)、その他インターナショナル+6.2%(報告ベース+7.0%)、全社+6.7%(報告ベース+9.4%)。デジタル(EC)比較売上高は第4四半期+19.5%、通期では+20.9%と高い伸びが続いた。

通期(52週)では純売上高2972億ドル(前年比10.1%増)、純利益92億2600万ドル、希薄化EPS20.76ドル(前年18.21ドル)。設備投資は64億3500万ドル(前年比17%増)、配当支払いは24億5800万ドル、自社株買いは8億4800万ドルだった。期末店舗数は939店で、2027会計年度は30店舗以上の新規出店を計画している(GlobeNewswire)。

決算発表を受け、時間外取引で株価は発表直後(米東部時間午後4時19分ごろ)に約1%高となったが、その後伸び悩む展開となった。関税還付という一過性要因を除いた実質的な増益幅が市場の期待ほど大きくなかったとの見方もあり、反応は総じて限定的だった(24/7 Wall St.)。

ダーデン・レストランツ(DRI) — FY2027第1四半期(6〜8月)

総収入は32億0030万ドルで前年同期比5.1%増となったが、市場予想(CNBC報道、32億3800万ドル)にはわずかに届かなかった。純利益は2億3340万ドル、希薄化EPSは2.05ドル(調整後も同額)で、前年同期の2.19ドル(純利益2億5780万ドル)から減益となり、市場予想(CNBC報道、2.08ドル)を0.03ドル下回った(GAAP、SEC EDGAR、CNBC)。

既存店売上高(比較店ベース)は全社で+3.2%。ブランド別ではロングホーン・ステーキハウスが+6.8%と牽引した一方、主力のオリーブガーデンは+1.0%にとどまり、市場予想(AskTraders報道)の+1.7%を下回った。ファインダイニング事業は+1.0%、その他事業は+4.5%だった。セグメント利益はオリーブガーデン2億7080万ドル(前年2億6760万ドル)、ロングホーン1億5460万ドル(前年1億3490万ドル)、ファインダイニング3960万ドル(前年3870万ドル)で、全社の営業利益は3億1930万ドルと前年の3億3920万ドルから減少し、増収減益となった(SEC EDGAR)。

通期見通しは希薄化EPS11.10〜11.35ドルのレンジを据え置いた。自社株買いは2億2230万ドル(約110万株)実施し、四半期配当は1株1.62ドル(11月2日支払い予定)とした。好調なロングホーンが下支えした一方、オリーブガーデンの鈍化と牛肉コストの圧迫を受け、株価は通常取引で2.9%安の207.44ドルで終えた。決算発表直後の時間外取引では一時5%近く下落したが、カンファレンスコールでの経営陣の説明を受けて下げ幅を縮めた(CNBC)。

3. 経営陣が語ったこと

ダーデンのリック・カーデナスCEOは決算説明会で、主力オリーブガーデンの既存店売上高鈍化について、レタスに絡むサイクロスポーラ(寄生虫)への消費者の懸念とサッカーワールドカップの開催が重なり、合わせて既存店売上高を150〜200ベーシスポイント押し下げたと説明した。そのうえで「9月に入り各ブランドの業績は改善している」と述べ、牛肉を中心とする主要コモディティのコストも年度後半にかけて改善する見通しを示した。サプライチェーン部門は牛肉の調達価格で市場平均を上回る実績を継続しているとも説明した(Benzinga、AskTraders)。

コストコの経営陣は、IEEPA関税還付の会員への還元方針について、過去に同様の費用回収が生じた際と同じく、値下げや会員向けサービスの拡充を通じて価値を還元していく方針を説明しており、今回の決算でも卵・チーズ・コーヒー・寝具・調理器具など幅広い品目で値下げに順次還元していることを明らかにした(CFO Dive)。

4. 業界トレンド

小売・外食という異なる業種の決算が並んだが、共通するのは「値ごろ感を求める消費者」と「入力コスト上昇」への対応という論点である。コストコは会員向け値下げでデジタル売上・会員費収入の伸びを維持し、値ごろ感を軸とした需要の底堅さを裏づけた一方、ダーデンはオリーブガーデンという比較的手頃な価格帯のブランドでも既存店売上の伸びが市場予想に届かず、外食における消費者の値ごろ感への敏感さがうかがえた。牛肉コストの圧迫はダーデンの営業利益を押し下げており、食品・外食セクター全体で原材料費上昇への対応が引き続き業績を左右する構図が続いている。

5. 決算シーズンの進捗

暦年ベースの主要企業による第3四半期決算シーズンは10月中旬以降に本格化する見通しで、現時点(9月25日)はなお閑散期にある。先行指標としてはFactSetが2026年第3四半期のS&P500全体のEPS成長率(前年同期比)を28.9%と見積もっており、6月末時点の予想(26.7%)から上方修正されている。売上高の伸び率も11.9%と3四半期連続で10%超の見通しとなっている(The Motley Fool)。

6. 次の注目決算

  • マイクロン・テクノロジー(MU): 9月30日(水)引け後(米国東部時間午後2時30分)にFY2026第4四半期決算を発表予定。6月時点の会社ガイダンスは売上高500億ドル±10億ドル、non-GAAP EPS31.00ドル±1.00ドル。AI向けメモリー需要の勢いが続くかが焦点(GlobeNewswire)。