前日からの変化

前回レポートなし(比較対象なし)。本カテゴリは本日が初回のため、以降のレポートから前回レポートとの比較を行う。

1. 本日のハイライト

前営業日(8/31、月)は主要企業の決算発表はなかったが、直近1週間(8/26〜28)にエヌビディア・セールスフォース・マーベル・HP・ダラー・ゼネラルなど大型決算が集中しており、そのフォローと今週の決算プレビューを中心にまとめる(S&P500の2026年度第2四半期決算シーズンは8月7日時点で88%の企業が発表済みで、全体としてはほぼ終了している)。 出典: FactSet

企業 会計期間 売上高/EPS(実績) 予想比 株価反応
エヌビディア FY2027 Q2(5〜7月) 売上962億ドル/非GAAP EPS2.22ドル 売上+4.82%上振れ、EPS予想2.09ドル超 決算後、ブロードコム+4.5%・インテル+4.4%など連れ高
セールスフォース FY2027 Q2(5〜7月) 売上113.45億ドル/調整後EPS5.90ドル 売上+0.25%上振れ、EPS大幅上振れ +22.6%
マーベル・テクノロジー 直近四半期 売上高は市場予想超え(具体額未確認) 売上は上振れもFY2028見通しが期待未達 時間外-8%
HP FY2026 Q3 売上・通期EPS見通しともに予想超え 上振れ -4%(メモリー価格上昇・需要懸念)
ダラー・ゼネラル FY2026 Q2 EPS2.23ドル 予想2.00ドル超 +2.5%

出典: XenoSpectrum、Salesforce公式、Yahoo Finance

2. 個別決算

エヌビディア(NVDA)

2026年8月26日発表の2026年度第2四半期(5〜7月)決算は、売上高962億ドル(前年同期比+106%)、非GAAP EPS2.22ドルで、市場予想(EPS2.09ドル)・売上予想をいずれも上回った。GAAP純利益は596.9億ドル(前年同期比+126%)、GAAP EPSは2.46ドルと大幅増益だったが、この純利益には持分投資(スペースX、インテル、コアウィーブなど)の評価益78億ドルが含まれており、前四半期(1Q)の159億ドルからは縮小した。この一過性の評価益を除くと、純利益の伸びは本業のGPU販売だけによるものではない点に注意が必要。データセンター部門は引き続き売上の9割超を占める中核事業。Q3売上高ガイダンスは1,080億ドルで、中国向けデータセンター用コンピュート売上をゼロと見込んだ保守的な前提が置かれている。 出典: XenoSpectrum、Yahoo Finance

セールスフォース(CRM)

2026年8月26日発表の2027年度第2四半期(5〜7月)決算は、売上高113億4,500万ドル(前年同期比+10.83%)、調整後EPS5.90ドルで、いずれも市場予想を上回った。純利益は48億4,400万ドル(前年同期比+73.31%)。会社は通期売上高見通しを一定為替ベースで3億ドル上方修正し461億〜464億ドルのレンジへ引き上げた(うち1億ドルはAgentforce・Data 360・Slackの自然増、2億ドルは買収予定のContentful・Finによる寄与)。第3四半期の売上高ガイダンスは114.2億〜115億ドル、現在の残存履行義務(CRPO)は一定為替ベースで前年比+14%の335億ドルとガイダンスを上回るペースで伸びた。AI関連製品の年間経常収益(ARR)は39億ドルと前年比+210%に拡大している。株価は決算後+22.6%と急伸した。 出典: Salesforce公式、TIKR

マーベル・テクノロジー / HP / ダラー・ゼネラル(簡潔に)

  • マーベル・テクノロジー: 直近四半期の売上高は市場予想を上回ったが、引き上げた2028年度見通しが投資家の高まった期待に届かず、時間外取引で株価が8%下落した。「好決算なのに下落」の典型例。
  • HP: 2026年度第3四半期は売上高・通期EPS見通しともに市場予想を上回ったが、メモリーチップ価格の上昇や需要への懸念から株価は4%下落した。
  • ダラー・ゼネラル: 2026年度第2四半期EPSは2.23ドルで市場予想(2.00ドル)を上回り、株価は+2.5%。AI関連以外の小売セクターの底堅さを示す材料。

出典: Yahoo Finance

3. 経営陣が語ったこと

セールスフォースの決算説明会では、AgentforceやData 360といったAI関連製品の伸びが通期見通し引き上げの主因として説明されたほか、ContentfulとFinの買収完了を前提にした売上寄与も織り込まれた。エヌビディアについては、Q3ガイダンスが中国向けデータセンター売上をゼロ前提としている点について、非中国需要の持続が実現の条件であることが決算資料から読み取れる。 出典: Salesforce公式、XenoSpectrum

4. 業界トレンド

  • AI関連の設備投資・受注はエヌビディア(データセンター売上9割超)・セールスフォース(AI ARR+210%)・デル/ブロードコム(今週決算)など複数社にまたがって拡大が続いており、「AI投資は本物か」という論点から「AI投資をどう収益化するか」という論点へ移りつつある。
  • 一方で「好決算でも下落」する銘柄(マーベル、HP)が目立ち始めており、市場の期待水準がすでに高く、単純な予想超えだけでは株価が反応しなくなっている可能性がある。
  • エヌビディアの事例が示すように、大型テック企業の純利益には持分投資評価益などの一過性要因が大きく混入するケースが増えており、本業の実力を見るには売上高・データセンター部門の伸びなど事業指標を重視する必要がある。

5. 決算シーズンの進捗

S&P500企業の2026年度第2四半期決算シーズンは、8月7日時点で88%の企業が発表を終えており、全体としてはほぼ終了段階にある。7月31日時点の集計では発表済み企業の86%がEPS予想を上回っており、これは2008年の集計開始以来最高水準のサプライズ率となる見通し。ただし、デル・ブロードコム・HPE・ズームスケーラーなど決算期が5〜7月・8〜10月にずれる企業群は9月にかけて発表が続くため、個別のAI関連企業の決算はなお相場材料であり続ける。 出典: FactSet

6. 次の注目決算

  • デル・テクノロジーズ: 9月1日(米国時間)発表予定。市場予想は売上高449億ドル(前年比+50%)、EPS4.91ドル(同+111.6%)。AIサーバーの受注残がどれだけ売上に転換されているかが焦点。 出典: Yahoo Finance
  • ブロードコム: 9月2日発表予定。市場予想は売上高292.4億ドル(前年比+80%超)、調整後EPS3.22ドル(同+89%)。カスタムAIチップ・ネットワーキング製品のクラウド大手向け需要が注目点。
  • ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE): ブロードコムと同じ9月2日発表予定。 出典: MarketScreener
  • ズームスケーラー(Zscaler): 9月3日発表予定(2026年度第4四半期・通期)。売上高ガイダンスは8億7,500万〜8億7,800万ドル。焦点は3か月前に株価を大きく押し下げた2027年度見通しの修正内容。 出典: TIKR
  • クラウドストライク: 直近決算(8月26日前後)は好感され、アナリストのEPS予想は上方修正21件・下方修正14件、売上高予想は上方修正32件・下方修正8件と強気の修正が優勢。8月31日〜9月3日にラスベガスで年次イベント「Fal.Con」を開催中で、新製品・顧客動向が注目される。 出典: Motley Fool