前回からの変化
前回(2026-10-14、前日)との比較である。
変わったこと(変化・新規)
- ビットコインは前回の83,347.98ドルから81,921.82ドルへ(1,426.16ドル安、24時間で1.35パーセント安)、イーサリアムは2,513.93ドルから2,416.03ドルへ(97.90ドル安、24時間で3.78パーセント安)。価格サイトの表示値同士の比較で、取得時刻は異なる(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)
- 前回の中心だった欧州のカストディとトークン化債券の予告から、欧州のステーブルコイン免許、米国のトークン化担保、暗号資産取引所による銀行買収へ話題が移った
- 前回、MiCAの届出で銀行が保管を始められる例として示されたBNYが、今回は米国で国債トークンの担保利用を実施した
- 特集は、トークン化MMFを証券会社の口座で売る話から、国債のトークンを担保にした翌日物レポ取引へ移った
昨日と同じこと(継続)
- 既存の金融機関が、暗号資産やトークン化を自社の決済・資金調達の仕組みに組み込む動きが続く
- ESMAのMiCA非準拠ステーブルコインの期限(2027年1月8日)について、新しい続報は確認できなかった
- 日本で新たに確認できた制度の動きはない
要因の連続性
- 継続要因: 銀行・資産運用会社による既存サービスへの組み込みと、当局による免許・細則の整備
- 新規要因: 欧州の銀行連合に、MiCAの下で実際に発行できる免許が下りた。暗号資産取引所が銀行そのものを買う動きも加わった
- 解消した要因: なし
市況ひとこと
ビットコインは81,921.82ドルで、24時間では1.35パーセント安だった。イーサリアムは2,416.03ドルで、24時間では3.78パーセント安である。数値は10月15日朝に価格サイトで確認した表示値で、取得時刻の記載はない。いずれも変動は5パーセント未満で、特記する理由は付けない(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)。
社会実装・インフラへの採用
以下の3件はLedger Insightsの記事で、掲載日は出典ページで確認できなかった(15日朝の時点で最新の記事群)。
Qivalis、オランダ中銀から電子マネー機関の免許を取得
- 誰が・何を: 欧州37行が参加するユーロ建てステーブルコインの連合Qivalisが、オランダ中央銀行(De Nederlandsche Bank)から電子マネー機関(EMI)として認可された。MiCAの下でユーロ建ての電子マネートークンを発行するための免許である。CEOはヤン・オリバー・ゼル氏、監督委員会の議長はハワード・デイビス卿
- 技術・規模: デジタル資産の基盤はFireblocksが提供する。銀行、暗号資産取引所、決済事業者を通じて配る方式(B2B2X)をとる。2025年9月に9行で構想を発表し、2026年5月に37行へ拡大、発表から13カ月で免許に至った
- 段階: 免許取得。発行前に、ホワイトペーパーをオランダ中銀へ提出し、20営業日の審査を受ける必要がある。発行は「今後数カ月」の予定とされる。銀行連合が支える初の、オランダ中銀認可のユーロ建て発行体とされる(Quantoz Payments、Fiat Republic、Aplauzに続く)
- トークンの扱い: ユーロ建てのステーブルコインそのものを発行する計画である。発行額や参加銀行ごとの役割は明示されていない(Ledger Insights)
Kraken親会社、EUの銀行Saldo Bankを買収へ
- 誰が・何を: Krakenの親会社Paywardが、フィンランドのSaldo Finance Oy傘下で、リトアニアの免許を持つSaldo Bankを買収すると発表した。同行は5つの欧州市場でパスポート(EU域内の営業権)を使える
- 段階: 買収の発表。欧州中央銀行(ECB)が単一銀行監督メカニズムの下で承認する必要があり、リトアニア中銀が審査して提案を出す。完了は2027年の見通し。価格は公表されていない
- 意味: 実現すれば、暗号資産の取引所によるEU銀行の初の買収とされる。Paywardはすでにアイルランド中銀の電子マネー・MiCA免許とキプロス経由のMiFID免許を持ち、預金と貸出が欠けていた(Ledger Insights)
BNY、国債トークンを担保にした翌日物レポ(下の特集を参照)
詳しくは特集で扱う(Ledger Insights)。
各国の法改正・規制
米国
- CFTCは今月5日、レバレッジや証拠金・融資を伴う小口向けの暗号資産取引を対象とする規則案を示し、準備金の証明監査(プルーフ・オブ・リザーブ)や州免許の取引所への権限などを盛り込んだ。ただしスポット市場への直接の管轄は主張していない。TD Cowenのジャレット・セイバーグ氏は、正式な提案が出るのは早くても2027年第1四半期末〜第2四半期初め、最終化は2028年初めで、2028年の選挙サイクルに間に合わないおそれがあると指摘した。段階は規則案の検討中である(The Block)
- 検索結果の要約には、市場構造法案(デジタル資産市場明確化法)が12日に上院で成立せず、議論の焦点がSECとCFTCへ移ったとの記述があったが、原文は確認できていないため、事実としては扱わない。
EU
- Qivalisの件で、MiCAの下でのEMI免許が実際に銀行連合へ付与された。段階は免許取得で、次はホワイトペーパーの提出と審査である。Paywardの買収では、暗号資産事業者がEUの銀行免許を得る場合にECBが審査する点が示された(Ledger Insights)
日本・その他
- 日本で新たに確認できた制度の動きはない。
特集: 新しいビジネスの形
国債をトークンにして、担保として使う
直近2週間の特集は、預託機関型トークン化、銀行間決済トークン、ステーブルカード、x402、準備金の運用益を分けるステーブルコイン、トークン化預金、信託銀行化、第三者による株式のトークン化、ローン債権のトークン化、標準ウォレット、小規模銀行のトークン、担保ミラーリング、トークン化MMFなどだった。今回は、米国債をトークン化して、資金の貸し借り(レポ取引)の担保に使った初の例を取り上げる。
- 仕組み: BNYが、2年物の米国債をTradewebで購入し、BNYの私的な分散型台帳上で、その国債を表すトークンにした。このトークンを担保として、BNYが三者間レポの代理人兼資金の貸し手となり、買い手のCitadel Securitiesとの間で翌日物のレポ取引を行った。大手の三者間レポ基盤でトークン化された担保が使われたのは初めてとされる。決済は数分で終わり、通常のT+1(取引翌日)より速かった
- 誰がどう稼ぐのか: BNYは三者間レポの運営者として手数料を得る立場にあるとみられるが、収益の配分や手数料の水準は公表されていない。BNYは1日におよそ24兆ドルを清算している
- 既存のやり方との違い: 決済が数分に縮む点が違いである。一方、記事は、BNYがすでに日中のレポや時間外の国債決済をブロックチェーンなしで行っており、速さのためにブロックチェーンが必要だったのかを問うている
- 課題・リスク: 取引は1件の実証的な規模で、本番運用の広がりは示されていない。私的な台帳のため、他の機関と共通に使える仕組みになるかは今後の課題である。トークンの価格や将来性には触れない
- 具体例: BNY、Citadel Securities、Tradeweb(Ledger Insights)
業界トピック
- Marexが、満期のない店頭(OTC)の暗号資産スポット連動契約「rolling spot crypto」を発表した。現金決済で毎日ロールされ、資金調達率は主要取引所の無期限先物を基準に上乗せする。証拠金の請求はT+1で、取引所のような自動清算はない。ヘッジファンドなど、格付けのある機関を相手にしたい投資家向けである。Marexは2025年に4,000億ドルのデジタル資産を取引し、約1.5億ドルの収益を得たとされる(Ledger Insights)
- 前日〜現在に、新たな大規模ハッキングや取引所の破綻は確認できなかった。

