前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • ETF資金流出から一転して1月以来最大の流入へ(新規): 前回は「9月1日時点で2億3,646万ドルの純流出、更新なし」としていたが、本日(9月3日分)はビットコイン現物ETFに合計7億3,090万ドルが流入し、1月14日以来最大となったことが判明した。ブラックロックのIBITが4億5,400万ドル、アーク・21シェアーズのARKBが1億3,774万ドルを集めた(The Block)。
  • 4か月ぶり高値からの日中反落(新規): FRB理事の発言を追い風にビットコインは金曜朝に一時8万2,240ドルまで上昇し4か月ぶりの高値をつけたが、8月の米雇用統計が市場予想の3倍近い伸びとなったことを受けて9月の利上げ観測が強まり、同日中に8万ドルを割り込む反落となった(CoinDesk、Decrypt)。
  • 雇用統計という新しいマクロ材料の登場(新規): 前回まではFRB高官のハト派発言と地政学リスクが主な材料だったが、本日は8月の非農業部門雇用者数が16万2,000人増(予想5万3,000人増)という強い結果となり、米長期金利の上昇・ドル高を通じて暗号資産に新たな逆風が加わった(CoinDesk)。
  • コインベースが個別株パーペチュアル先物の上場に向けSECへ届出(新規): コインベースのデリバティブ取引所部門・ブローカー部門がそれぞれ9月1日付でForm 1-N・Form BD-Nを米SECへ提出したことが明らかになった。商品の上場には別途CFTCの承認が必要な段階で、実現はまだ先である(Unchained、JinaCoin)。
  • 国内でステーブルコイン基盤を使った商用サービスが始動(新規・社会実装): 東証スタンダード上場のCAICA DIGITALが、機器同士が人を介さず自動で通信・決済する「M2M基盤」と自社開発のステーブルコイン基盤を組み合わせた商用サービスの提供を開始したと発表した。3月から続いていた実証実験の最終フェーズが7〜8月に完了し、実証段階から商用化へ移行した(PR TIMES)。
  • 国内取引所がアルトコイン整理を発表(新規): BITPOINTとSBI VCトレードが、BNBやPEPE、APTなど計9銘柄の取扱いを10月28日13時に廃止すると発表した。2026年12月末に予定するVCTRADEへの事業統合に伴う銘柄整理の一環である(JinaCoin)。

昨日と同じこと(継続)

  • CLARITY法案(暗号資産市場構造法案)は、上院で9月15日の討論終結(クローチャー)手続き採決に向けた日程に変化はない。政府倫理・利益相反条項、AML条項、ステーブルコインの利回り・報酬の扱いを巡る民主党との対立も解消しておらず、成立の見通しは厳しいままである(CNBC)。
  • SECの取次代理人(トランスファーエージェント)規則見直し、9月17日開催予定の24時間取引ラウンドテーブルについて、本日新たな進展の確認はできなかった。
  • DTCC経由のトークン化株式・国債の本番取引、Bitfinex Securitiesのトークン化証券上場について、本日新たな続報は確認できなかった。
  • 日本の金融庁による暗号資産の金商法移行に向けた制度整備について、本日新たな進展の確認はできなかった。
  • アルトコイン市場全体は依然としてビットコイン優位の局面が続いており、アルトコインシーズン指数はおよそ33〜37と「ビットコインシーズン」の水準にとどまっている(前回時点から大きな変化なし)。

要因の連続性

  • 継続要因: FRBの金融政策運営を巡る不透明感、CLARITY法案の議会停滞は、前回に続き相場のボラティリティ要因として働いている。
  • 新規要因: 8月の米雇用統計の大幅な上振れによる9月利上げ観測の再燃が、本日新たに下落圧力として加わった。一方でビットコイン現物ETFへの大規模な資金流入(1月以来最大)は、上昇要因として新たに加わった。
  • 解消した要因: 前回の押し上げ要因だった地政学リスク(イラン再空爆)への警戒は、新たな軍事的エスカレーション報道がない中で材料視されなくなり後退した。また前回懸念材料だったETF資金の純流出傾向は、大幅な純流入への転換で解消した。

価格サマリー

取得時点: 日本時間2026年9月5日未明(米国9月4日金曜の取引データに基づく。日中の値動きが大きく、時点により数値差がある)。

銘柄 価格(ドル建て) 24時間騰落率
ビットコイン(BTC) 朝方8万1,272ドルで寄り付き、一時8万2,240ドル(4か月ぶり高値)まで上昇後、雇用統計を受け8万ドル割れまで反落 寄り付き時点で+5.1%、その後反落
イーサリアム(ETH) 朝方2,507.70ドルで寄り付き、その後市場全体につれて上げ幅を縮小 寄り付き時点で+4.9%
ソラナ(SOL) およそ103.62ドル 前日からの上昇基調が一服
リップル(XRP) およそ1.45ドル前後、直近の上抜け水準を防衛する動き 前日までの急伸から高値圏でもみ合い

出典: Yahoo Finance、CoinDesk

銘柄別動向

ビットコイン(BTC)

金曜(9月4日)は8万1,272ドルで寄り付き、前日比+5.1%とスタート。木曜のFRB理事によるハト派的発言(次週のインフレ指標を見極めつつ金利据え置きを支持する可能性に言及)を追い風に、ビットコイン現物ETFへ1月14日以来最大となる7億3,090万ドルが流入し、価格は一時8万2,240ドルと4か月ぶりの高値をつけた。しかしその後発表された8月の米雇用統計が非農業部門雇用者数16万2,000人増と市場予想(5万3,000人増)の3倍近い伸びとなったことで、9月のFOMCでの利上げ観測が急速に高まり、米10年債利回りが4.80%(+3.3ベーシスポイント)、2年債利回りが4.40%(+7ベーシスポイント)に上昇。ドル高・金利上昇を嫌気してビットコインは8万ドルを割り込む水準まで反落し、朝方の上昇分の多くを吐き出した(CoinDesk、The Block、Decrypt)。

イーサリアム(ETH)

金曜の始値はおよそ2,507.70ドル(前日比+4.9%)と、ビットコインと同様にFRB理事の発言とETF資金流入観測を受けて上昇してスタートした。もっとも雇用統計後は市場全体でリスク回避の動きが広がり、上げ幅を縮小する展開となった。市場全体の暗号資産時価総額はおよそ2兆6,700億〜2兆6,800億ドルの範囲で推移し、雇用統計発表前後で横ばい圏の動きにとどまった(Yahoo Finance)。

その他アルトコイン

  • ソラナ(SOL): 前回100ドル台を回復した勢いを引き継ぎ、金曜時点でおよそ103.62ドルで推移。直近のブレイクアウト水準を再確認する展開となっている。
  • リップル(XRP): 前回9.4%急伸した後、金曜はおよそ1.45ドル前後で高値圏を維持する動き。直近のブレイクアウト水準を防衛できるかが焦点となっている。
  • アルトコイン市場全体では、アルトコインシーズン指数がおよそ33〜37にとどまり、ビットコイン優位(ドミナンスおよそ58〜60%)の局面が続いている。個別銘柄の上昇はみられるものの、市場全体としての「アルトシーズン」入りには至っていない。

強気派 vs 弱気派

強気派

  • ブラックロックのIBITを筆頭にビットコイン現物ETFへ1月以来最大の資金が流入したことは、機関投資家の需要が戻りつつある証左だとする見方が示されている(The Block)。
  • FRB理事の金利据え置き示唆をきっかけにビットコインが4か月ぶり高値をつけたことについて、市場は「成長株・暗号資産への買いのゴーサイン」と受け止めたと報じられている(CoinDesk)。
  • Cointelegraphが伝えたAltcoin Dailyのアーロン・アーノルド氏の分析では、ビットコインは今サイクルでは個人投資家の参加を必要とせずに上昇できる可能性があり、8万ドルを維持できれば9万〜10万ドルへの道が開けるとの見方が示されている(Cointelegraph)。

出典: The Block、CoinDesk、Cointelegraph

弱気派

  • 8月の雇用統計が予想の3倍近い伸びとなったことで9月の利上げ観測が再燃し、無リスク資産である国債の魅力が高まる分、株式や暗号資産を保有する説得力が下がるとの分析が示されている(Decrypt)。
  • 雇用統計を受けたドル高・金利上昇は、金と同様にドル建て資産であるビットコインの重しになっているとの指摘がある(CoinDesk)。
  • Cointelegraphの分析では、8万ドルを維持できなければ強気シナリオが崩れ、7万5,000ドルを割り込めば弱気方向が優勢になるとの見方が示されている(Cointelegraph)。

出典: Decrypt、CoinDesk、Cointelegraph

社会実装ニュース

  • CAICA DIGITALがM2M自動決済とステーブルコインを組み合わせた商用サービスを開始(本番運用): 東証スタンダード上場のブロックチェーン企業CAICA DIGITALは、機器同士が人を介さず自動で通信・決済する「M2M基盤」と、自社開発のステーブルコイン基盤を組み合わせた商用サービスの提供を始めると発表した。3月から進めていた実証実験(PoC)の最終フェーズが7〜8月に完了し、セキュリティ監査・マネーロンダリング対策・トラベルルール対応の整備を経て商用化に移行した。電気自動車が充電完了時に自動で料金を支払う、物流車両が通行料を人手を介さず即時決済するといった用途を想定し、金融・決済のほか物流、エネルギー、地域通貨、スマートシティ分野への展開を目指すとしている(PR TIMES)。
  • DTCC経由のトークン化株式・国債の本番取引(JPモルガン、ブラックロック、ゴールドマン・サックスなどが参加)について、本日新たな進展の確認はできなかった(前回既報、10月に商用フル稼働予定)。
  • Bitfinex Securitiesのビットコイン財務会社連動トークン化証券の上場についても、本日新たな続報は確認できなかった。

法改正・規制ニュース

米国

CLARITY法案(暗号資産市場構造法案)は、上院で9月15日に討論終結(クローチャー)の手続き採決が予定されたまま日程に変化はない。政府倫理・利益相反条項、AML条項、ステーブルコインの利回り・報酬の扱いを巡る民主党との溝は埋まっておらず、中間選挙前の成立は厳しいとの見方が強い(CNBC)。

一方で個社の動きとして、コインベースのデリバティブ取引所部門とブローカー部門が9月1日付でそれぞれSECにForm 1-N・Form BD-Nを提出し、米国個別株の24時間パーペチュアル先物取引の上場に向けた第一段階の手続きに入ったことが明らかになった。商品の正式な承認にはこの後CFTCの認可が別途必要であり、実現時期は未定である(Unchained、JinaCoin)。

前回既報のSEC取次代理人(トランスファーエージェント)規則見直しや9月17日開催予定の24時間取引ラウンドテーブルについて、本日新たな進展の確認はできなかった。

日本

前回既報の金融庁による暗号資産の金融商品取引法(金商法)移行に向けた制度整備について、本日新たな進展の確認はできなかった。一方、取引所側の動きとして、BITPOINTとSBI VCトレードがBNB、PEPE、APTなど計9銘柄の取扱いを10月28日13時に廃止すると発表した。2026年12月末に予定するVCTRADEへの事業統合に伴う整理の一環とされる(JinaCoin)。

テクニカル分析

ビットコイン(BTC)

移動平均線でみると、5日移動平均線(およそ8万955ドル)が50日移動平均線(およそ7万8,899ドル)を上回っており、中期的な上昇トレンドを示唆する「買い」シグナルが優勢とされる。RSI(14日)はおよそ64で、買われすぎとされる70には達しておらず、上昇余地を残す水準と解説されている(Investing.com)。オーダーフロー分析では7万7,165ドルが崩れると弱気転換の警戒ラインとされ、7万9,730〜7万9,920ドル圏を上回って定着できるかが強気シナリオ確認の分かれ目とされている。上値では8万5,000ドルを明確に上抜けられるかが次の焦点で、これを超えると8万6,500ドル台、さらに9万8,000〜10万ドル圏が視野に入るとの解説がある(InvestingLive)。

イーサリアム(ETH)

週足では2,438ドル(0.618フィボナッチ水準)が重要なサポートとされ、これを維持できれば9月中に2,920ドル(現在値からおよそ19%上昇)を目指す強気の展開が続くと解説されている。上値では2,550ドル(週足50週移動平均線とほぼ一致)が抵抗帯とされ、ここを継続的に上抜けられるかが焦点。逆に2,438ドルを割り込むと、2,220ドル、さらに心理的節目の2,000ドルまで下押しリスクが高まるとされている。出来高は直近の上昇局面からやや細っており、方向感を欠く保ち合いに入っているとの見方が示されている(CryptoRank)。

業界トピック

  • 米国の8月雇用統計の大幅上振れは暗号資産だけでなく金相場など他のドル建て資産にも売り圧力として波及したと報じられている(CoinDesk)。
  • BITPOINTとSBI VCトレードによる9銘柄の取扱廃止(10月28日13時、買付期限10月7日・売付期限10月28日)は、2026年12月末に予定するVCTRADEへの事業統合に伴う銘柄整理の一環と説明されている(JinaCoin)。
  • 大きなハッキング・詐欺事件の新規発生は、本日確認できる範囲では見当たらなかった。