前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 本土と香港の方向が入れ替わった: 前回(9/3)は上海総合+0.02%・ハンセン-0.39%で本土高・香港安だったが、本日(9/4)は上海総合-0.30%(3,942.09pt→3,930.12pt)・ハンセン+1.74%(25,213.31pt→25,650.87pt)と本土安・香港高に逆転した。
- ハンセン指数は前回まで4日続落していたが、本日は5日ぶりに反発し8月14日以来の安値圏を脱した。ハンセンテック指数も前回-1.08%→本日+2.27%(4,468.48pt→4,569.80pt)と急反発し、美団・百度集団・アリババ・網易・京東集団などテック株が軒並み上昇した(界面新聞)。
- 新規材料として、米長期金利の低下と米連邦準備制度(FRB)による利上げ観測の後退が香港株の追い風になったと報じられた(財経新聞)。前回まで香港市場の重荷だった中東情勢は、本日は本土市場側の懸念材料として引き継がれる形になった。
- 上海総合指数は3日ぶり反発から一転して反落(-0.30%)し、半導体株(強一股份・国科微など)への利益確定売りが新たな下押し材料として加わった(東方財富)。CSI300も前回+0.10%→本日-0.10%(4,552.58pt→4,548.05pt)とわずかながらマイナスに転じた。
- 人民元の対ドル中間値が6.7787元とおよそ3年半ぶりの高値を更新したことが新たに確認された(中新社)。前回レポートでは為替の具体的な動きには触れていなかった新規情報。
- テクニカル面で、ハンセン指数の終値が200日移動平均線を上回って引け、前回の「売り優勢」から本日は「強気(Strong Buy)」にシグナルが転換した(後述)。
昨日と同じこと(継続)
- 人民銀行のLPRは据え置きが継続(次回改定は9月22日予定)。本日新たな金融政策の発表はなかった。
- 恒大地産の破産清算手続き(債権届出は2026年11月21日締切)は進行中で、新たな進捗の発表はなし。
- 8月28日公表の住宅ローン・プレセール融資制度改革の効果を巡る議論は継続しているが、本日新たな統計の更新はなかった。
- 米中間の半導体輸出規制・関税を巡る新たな決定は、本日時点でも確認できず現状の措置が継続している。
要因の連続性
- 継続要因: 中東情勢の緊迫(米イラン間の軍事的緊張・原油高止まり)は本日も本土市場の重荷として意識され続けた(財経新聞)。ただし前回まで香港市場側の主因だったこの要因は、本日は香港側では米金利要因に押される形で後景化した。
- 新規要因: 米利上げ観測の後退・米長期金利低下が香港株全体、とくにテック株の押し上げ要因として新たに加わった。半導体株の利益確定売りが本土市場の新たな下押し要因として加わった。人民元の3年半ぶり高値更新も新規材料として加わった。
- 解消した要因: 前回、本土市場の下支えとなっていた中古住宅販売回復への期待・銀行株利益確定売りの一巡は本日は特段材料視されず、農業・食品(豚肉関連)や不動産関連銘柄への物色に取って代わられた。
1. 市況サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 上海総合指数 | 3,930.12pt | -0.30% |
| CSI300(滬深300) | 4,548.05pt | -0.10% |
| 香港ハンセン指数 | 25,650.87pt | +1.74% |
| ハンセンテック指数 | 4,569.80pt | +2.27% |
出典: 財経新聞(本土)、財経新聞(香港)、Investing.com(CSI300)、Investing.com(ハンセンテック)
2. 指数別動向
本土(上海・CSI300)
上海総合指数は前日比0.30%安(-11.97pt)の3,930.12と3日ぶり反発から一転して反落した。CSI300も0.10%安の4,548.05で、寄り付き4,575.32から高値4,602.20まで買われる場面もあったが、午後にかけて上げ幅を縮小し3指数ともマイナス圏に沈んだ(Investing.com)。深セン成分指数は0.79%安の13,516.97、創業板指数は0.78%安の3,286.55、科創50指数は2%超安と、グロース系ほど下げがきつかった。沪深両市場の売買代金は2.03兆元と前日から2,718億元増加したが、全市場で2,900銘柄超が値下がりした(東方財富)。半導体産業チェーンが軟調で、強一股份(10%超安)・国科微(9%超安)など個別銘柄への利益確定売りが目立った一方、農業・畜産(豚肉関連)、メディア、白酒(蒸留酒)セクターは堅調に推移した(東方財富)。財経新聞は、当局の政策期待が下支えとなった一方、中東情勢の不透明感や米国の対中圧力への警戒、週末を控えた持ち高調整売りが重荷になったと伝えた。
香港(ハンセン・ハンセンテック)
香港ハンセン指数は前日比1.74%高(+437.56pt)の25,650.87と5日ぶりに反発し、4日続落から抜け出した。中国企業指数(旧H株指数)も2.02%高の8,555.03と反発。ハンセンテック指数は2.27%高の4,569.80で急反発した(Investing.com)。財経新聞は、米国株高と米利上げ観測の後退が買い材料となり、香港の金融政策が米国に追随するため域内金利の上昇圧力が緩和するとの見方が支えとなったほか、日本株・韓国株の上昇も投資家心理を改善させたと伝えた。テック株が軒並み上昇し、美団(メイトワン)は5%超高、百度集団(バイドゥ)は4%超高、網易(ネットイース)・京東集団(JDドットコム)は3%近い上昇、アリババは2%超高となった(界面新聞)。セクター別では石炭(モンゴル・凱順控股)や保険(雲鋒金融・白鴿在線)が堅調だった一方、半導体(華虹宏力が8.4%安)や鉱石(天斉リチウムなど)は軟調で、テック・金融の上昇とは対照的な値動きとなった(財経新聞)。
前回(9/3)は本土(上海+0.02%・CSI300+0.10%)が反発し香港(ハンセン-0.39%・ハンセンテック-1.08%)が続落するという組み合わせだったが、本日(9/4)は本土(上海-0.30%・CSI300-0.10%)が反落し香港(ハンセン+1.74%・ハンセンテック+2.27%)が急反発するという、方向が丸ごと入れ替わる展開になった。中東情勢という共通の重荷を抱えつつも、本土は半導体株の利益確定売り、香港は米金利要因という別々の材料に強く反応した形である。
3. 当局・政策の動き
- 人民銀行(PBOC): ローンプライムレート(LPR)は8月20日公表分(1年3.0%・5年超3.5%)から変更なく、次回改定は9月22日を予定。9月4日の7日物リバースレポ操作額はゼロだった(中新社)。人民銀行は9月7日に3か月物(89日)の買い切り型リバースレポ5,000億元を固定数量・利率入札・複数落札方式で実施すると発表した。同月に満期を迎える3か月物買い切り型リバースレポも5,000億元であり、同額の借り換え(ロールオーバー)にあたるため、流動性の純供給量は据え置きとみられる。決定済みの資金繰り運営として位置づけられる。
- 為替(人民元): 9月4日の対米ドル中間値は6.7787元と前日から20bp(ベーシスポイント)切り上げられ、およそ3年半ぶりの高値水準となった(中新社)。基準値(中間値)ベースの動きであり、オフショア人民元(CNH)の実勢との乖離幅は今回確認できていない。
- 証監会(CSRC)・国務院: 証監会は9月4日に内部の学習教育総括会議を開催し、あわせて「私募投資基金募集監督管理弁法(意見募集稿)」のパブリックコメントを実施しているが、いずれも市場の需給に直接影響する新規の資本市場改革措置ではない。国務院からの新たな景気対策・財政出動の発表は本日確認できなかった。
出典: 中新社(人民元)、中新社(公開市場操作)
4. 経済指標
9月4日時点で、中国本土市場に影響する新たな月次経済指標の発表は確認できなかった。直近の指標としては、9月3日発表の中国8月RatingDog(旧財新)サービス業PMI(51.4、予想50.6を上回る)、8月31日発表の国家統計局・製造業PMI(49.8%、前月から0.6ポイント上昇。装備制造業は51.4%・ハイテク製造業は52.9%と拡張圏を維持)がすでに織り込まれている。国家統計局と財新(RatingDog)系のPMIは調査対象企業の規模・輸出比率が異なり、直接比較する際は留保が必要である点はこれまでと変わらない。
6. 米中関係と注目銘柄
米中間の半導体輸出規制・関税を巡る新たな決定は、本日時点で確認できなかった(現状の措置が継続)。
- 美団(メイトワン)・百度集団(バイドゥ): 香港市場でそれぞれ5%超・4%超上昇し、本日のテック株上昇をけん引した。
- 網易(ネットイース)・京東集団(JDドットコム): いずれも3%近い上昇となり、テック株の上昇が幅広い銘柄に及んだことを示した。
- アリババ: 2%超上昇。前日まで軟調が続いていたが、本日はテック株全体の地合い改善に沿って反発した。
- 半導体関連(強一股份・国科微〈本土〉、華虹宏力〈香港〉): 本土・香港いずれの市場でも半導体株が利益確定売りに押され、強一股份・国科微は10%前後の急落、香港の華虹宏力も8.4%安となった。テック株全体が上昇するなかでの逆行安であり、直近まで上昇が続いていた反動とみられる。
7. 強気派 vs 弱気派
強気派(バリュエーション・政策効果重視)
- ゴールドマン・サックスは中国企業の増益率を2026年14%・2027年12%と見込み、2027年までに中国株(MSCI中国指数)が38%上昇しうるとの試算を示している。
- JPモルガンはCSI300(滬深300)指数について2026年の目標を5,200pt、強気シナリオでは6,000ptまでの上昇を見込み、中国・香港株が2026年に2割近く上昇する可能性があるとの見方を示している。
- UBS(スイス)は中国株全体の投資判断を「魅力的」で維持し、短期的な地政学リスクなどの攪乱要因があっても、リスクとリターンの比率は引き続き際立っているとしている。
弱気派(地政学・地合いリスク重視)
- シティグループはMSCI中国指数の投資判断を「オーバーウェイト」から「ニュートラル」に引き下げた。中国経済の力強さの欠如と企業収益見通しへの懸念を理由に挙げている。
- モルガン・スタンレーは、2025年の高いリターンのあとの2026年を「安定化の年」と位置づけ、上値を追う強気一辺倒の見方には距離を置いている。
- 財経新聞は、中東情勢の不透明感と米国の対中圧力への警戒が本土市場の上値を抑えたと伝えており、半導体株を中心とした利益確定売りの出やすさも短期的な地合いリスクとして指摘できる。
- UBS自身も強気の総合判断のなかで、米中貿易摩擦の再燃・不動産市況の下振れ・世界的なAIバブル崩壊を注視すべきリスクとして挙げている。
バリュエーション・増益期待を根拠とした強気論(ゴールドマン・JPモルガン・UBS)と、中国経済の減速懸念・地政学リスクを重視する慎重論(シティグループ・モルガン・スタンレー)は、引き続き分けて捉える必要がある。
8. テクニカル分析
上海総合指数は、50日移動平均(単純)3,947.29・200日移動平均(単純)3,899.68に対し、終値3,930.12は50日線を下回りつつ200日線は上回る水準で推移しており、日足ベースの総合シグナルは「strong sell(強い売り)」とされる。14日RSIは41.5程度で、売られすぎの水準にはまだ達していないものの、前回(9/3、45.36程度)から低下し売り優勢方向に傾いた。ピボットポイント(クラシック方式)ではサポート1が3,936.08、レジスタンス1が3,960.61と算出されている。 ハンセン指数は、50日移動平均(単純)25,439.74・200日移動平均(単純)25,572.92に対し、終値25,650.87はいずれの移動平均線も上回る水準まで戻し、前回(9/3)は200日線を下回っていた状態からの回復となった。総合シグナルは「strong buy(強い買い)」に転換し、14日RSIも60.3程度と、前回(44.43程度、売り寄り)から一気に買い優勢の水準まで改善した。ただし70程度とされる買われすぎ水準には達していない。ピボットポイントではサポート1が25,601.84、レジスタンス1が25,709.84と算出されている。 南向資金(香港ストックコネクト経由)・AH株プレミアム指数の9月4日単日の確定値は、本日は確度の高い出典をもって確認できなかったため、次回改めて確認する。 出典: Investing.com(上海総合テクニカル)、Investing.com(ハンセン指数テクニカル)
9. 本日の注目点
- 9月7日に予定される人民銀行の3か月物買い切り型リバースレポ(5,000億元、満期分の同額借り換え)の実施状況と、9月22日の次回LPR改定に向けた金融政策スタンスの継続。
- 香港ハンセン指数が200日移動平均線を上回って引け、テクニカルシグナルが「強気」に転換したことの持続性(過熱・利益確定売りの有無)。
- 上海総合指数のRSIが売り優勢方向に低下するなか、半導体株の調整が一巡するかどうか。
- 中東情勢(米イラン軍事的緊張)の長期化が、引き続き本土市場の重荷となるかどうか。
- 人民元中間値がおよそ3年半ぶり高値を更新するなか、一段の人民元高が輸出関連株に与える影響。
- 週末を挟むため、月曜(9月7日)の取引再開後にこの日の流れが持続するか。
- 本レポート作成時点で、9月5日・9月7日固有の決算発表・政策会合の確定情報は確認できなかった。

