前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- ビットコインの反落が続き4か月ぶり高値から一段と軟化(継続的悪化): 前回は「金曜(9月4日)に一時8万2,240ドルの4か月ぶり高値から雇用統計を受け8万ドル割れに反落した」としていたが、本日(土曜9月5日、日本時間6日未明)もこの流れが続き、7万9,700ドル前後まで一段と軟化した(Yahoo Finance)。
- Zcashの急騰という新規の値動き(新規): 前回言及のなかったZcash(ZEC)が24時間で20%急騰し、大台の1,000ドルを突破した(一時1,029ドル)。8月25日に上場したグレイスケールの現物ETF「ZCSH」への関心の高まりが、3,400万ドル相当の空売りの強制決済(踏み上げ)を誘発した(CoinDesk)。
- ビットコインドミナンスが60%台へ明確にブレイク(新規): 前回は「アルトコインシーズン指数がおよそ33〜37でビットコインシーズンの水準」とだけ記していたが、本日はビットコインの市場支配率が60.66%まで上昇し、8か月続いた横ばい局面を抜け出したことが確認された。アルトコインシーズン指数自体は37とほぼ横ばいである(BeInCrypto)。
- 全米保安官協会がCLARITY法案への反対を撤回し中立へ(新規): 前回は法案の日程(9月15日クローチャー採決)に変化なしとだけ報じていたが、本日は同法案に反対してきた主要な法執行団体の一つである全米保安官協会が、上院指導部宛ての書簡で反対姿勢を「中立」に転換したことが判明した(CoinDesk)。
- FinCENが東南アジア発の暗号資産詐欺に127億ドルの疑わしい取引を特定(新規): 米財務省金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が、2023年9月から2025年12月に提出された疑わしい取引報告(SAR)を分析し、カンボジア・ラオス・ミャンマーの詐欺拠点に紐づく暗号資産関連の疑わしい資金移動が総額127億ドルに上ると発表した(Decrypt)。
- 国際送金・決済でステーブルコイン基盤の商用サービスが本格稼働(新規・社会実装): 決済企業MassPayが、法人向けにステーブルコイン・暗号資産建ての入金を受け付ける新サービス「MassPay Collect」を発表した。既に一部顧客との間で数億ドル規模の資金を動かしており、実証段階ではなく商用運用として稼働している(PR Newswire)。
昨日と同じこと(継続)
- CLARITY法案は9月15日のクローチャー(討論終結)採決に向けた日程そのものに変化はなく、民主党とのAML条項・利益相反条項を巡る対立も解消していない(上記の保安官協会の中立化は前進材料として上に記載)(CoinDesk)。
- ビットコイン現物ETFへの資金流入は前回の「1月以来最大の流入」から継続しており、直近3週間の累計流入額は38億ドルと2026年で最も強い3週間となった(Cointelegraph)。
- コインベースの個別株パーペチュアル先物のSEC届出、CFTC承認待ちの段階について、本日新たな続報は確認できなかった。
- 日本の金融庁による暗号資産の金商法移行に向けた制度整備について、本日新たな進展の確認はできなかった。
- イーサリアム財務会社ビットマインによるETH買い増しは継続しており、含み損を抱えながらも保有量を積み増している。
要因の連続性
- 継続要因: 8月の米雇用統計上振れを受けたFRBの9月利上げ観測は前回に続き相場の重しとして働いており、CME FedWatchが示す利上げ確率は前日の49.4%から58.4%へさらに上昇した(Yahoo Finance)。
- 新規要因: Zcashのグレイスケート現物ETF人気に伴う空売り踏み上げ、ビットコインドミナンスの60%超えというアルトコイン全般への逆風、全米保安官協会の中立化というCLARITY法案の追い風が、本日新たに加わった。
- 解消した要因: 前回の「1月以来最大のETF流入」への過度な楽観は、雇用統計後の反落と利上げ観測の再燃で一部後退したが、資金流入自体は途切れていない。
価格サマリー
取得時点: 日本時間2026年9月6日未明(米国9月5日土曜の取引データに基づく。相場は24時間動いており、時点により数値差がある)。
| 銘柄 | 価格(ドル建て) | 24時間騰落率 |
|---|---|---|
| ビットコイン(BTC) | およそ7万9,700ドル前後で推移 | 前日比おおむね-1〜-2%圏 |
| イーサリアム(ETH) | 2,455〜2,479ドルのレンジ | 前日比おおむね横ばい〜-2%圏 |
| Zcash(ZEC) | 一時1,029ドルまで急伸、大台の1,000ドルを突破 | +20%前後 |
| ソラナ(SOL) | およそ99〜104ドル | 前日からおおむね横ばい〜小幅安 |
| リップル(XRP) | およそ1.34〜1.45ドル | 前日からおおむね横ばい |
出典: Investing.com、Sunday Guardian Live、CoinDesk
銘柄別動向
ビットコイン(BTC)
金曜(9月4日)に一時8万2,240ドルの4か月ぶり高値をつけた後、8月の米雇用統計の大幅な上振れを受けて8万ドル割れに反落したことは前回既報。土曜(9月5日、日本時間6日未明)もこの反落基調を引きずり、7万9,700ドル前後で一進一退の展開となった。CME FedWatchが示す9月FOMCでの利上げ確率は前日の49.4%から58.4%へさらに上昇し、ドル高・実質金利上昇が価格の重荷となっている。一方でビットコイン現物ETFには週間で1億ドル近い資金流入が続き、直近3週間の累計流入額は38億ドルと2026年で最も強い3週間となった。価格の重さと資金流入の強さが綱引きする展開である(Yahoo Finance、Cointelegraph)。
イーサリアム(ETH)
金曜の高値圏(2,507〜2,522ドル)から軟化が続き、土曜は2,455〜2,479ドルのレンジで推移した。ビットコインと同様に雇用統計後のリスク回避が重荷となっている。一方、イーサリアム財務会社ビットマインは65週連続でETHを買い増し、保有量はイーサリアムの流通供給の4.9%(およそ590万ETH)に達した。同社は含み損51億ドルを抱えながらも買い増しを続けており、会長のトム・リー氏は「機関投資家がクリプト保有を積み増す地ならしになる」との見方を示している(Sunday Guardian Live、Cointelegraph)。
その他アルトコイン
- Zcash(ZEC): 24時間で20%急騰し、大台の1,000ドルを突破(一時1,029ドル)。8月25日に上場したグレイスケールの現物ETF「ZCSH」への関心の高まりを背景にした買いが、3,400万ドル相当の空売りポジションの強制決済(踏み上げ)を誘発した。時価総額は170億ドル規模に達し、一時ドージコインを上回る場面もあった(CoinDesk)。
- ソラナ(SOL): 99〜104ドル前後で推移。NFTマーケットプレイスのOpenSeaが8月31日、およそ4年ぶりにソラナ上のNFT取引への対応を再開し、人気コレクションの取引が可能になった。
- ビットコインドミナンスは60.66%まで上昇し、8か月続いた横ばい局面を突破。アルトコインシーズン指数は37にとどまり、依然として「ビットコインシーズン」の水準にある(BeInCrypto)。
強気派 vs 弱気派
強気派
- 価格が軟化する中でも現物ETFに週間1億ドル近い資金が入り続け、直近3週間の流入額が2026年で最も強い3週間となったことは、機関投資家の需要が底堅い証左だとの見方が示されている(Cointelegraph)。
- ビットマインが含み損51億ドルを抱えながらも65週連続でETHを買い増し、供給の4.9%を握るに至ったことについて、会長のトム・リー氏は「機関投資家がクリプト保有を積み増す地ならしになる」との見方を示している(Cointelegraph)。
- 全米保安官協会がCLARITY法案への反対を撤回し中立へ転じたことで、法案の主要な法執行団体からの批判が一つ後退し、9月15日の採決に向けた追い風になるとの受け止めが示されている(CoinDesk)。
弱気派
- CME FedWatchが示す9月FOMCでの利上げ確率が前日の49.4%から58.4%へ上昇したことについて、無リスク資産である国債の魅力が増し、暗号資産のような非金利資産を保有する説得力が下がるとの分析が示されている(Yahoo Finance)。
- ビットコインドミナンスが60.66%まで急伸し8か月続いた横ばい局面を抜けたことは、資金がアルトコインからビットコインへ回帰している表れであり、2026年内のアルトシーズン入りの望みが遠のいたとの見方が示されている(BeInCrypto)。
- Zcashの急騰は空売りの強制決済による踏み上げが主因であり、ファンダメンタルズに基づく上昇ではないため、過熱が一巡すれば反動も大きくなり得るとの指摘がある(CoinDesk)。
出典: Yahoo Finance、BeInCrypto、CoinDesk
社会実装ニュース
- MassPay Collectが法人向けステーブルコイン入金サービスを商用開始(本番運用): 180か国でグローバル給与・送金サービスを展開するMassPayが、法人が請求書と自動照合しながらステーブルコイン・暗号資産建ての入金を受け付ける新サービス「MassPay Collect」を発表した。既存の法令順守・銀行連携・消し込み基盤と統合されており、実証段階ではなく一部顧客との間で既に数億ドル規模の資金を動かす商用運用として稼働している。ステーブルコイン市場全体が2024年半ばの1,615億ドルからおよそ3,150億ドルへ拡大し、法人間(B2B)のステーブルコイン決済額が月間1億ドル未満から60億ドル超へ急拡大した流れを踏まえたサービス投入だとされる(PR Newswire)。
- CAICA DIGITALのM2M自動決済とステーブルコイン基盤を組み合わせた商用サービス(前回既報)について、本日新たな続報は確認できなかった。
- DTCC経由のトークン化株式・国債の本番取引(10月に商用フル稼働予定)について、本日新たな進展の確認はできなかった。
法改正・規制ニュース
米国
CLARITY法案(暗号資産市場構造法案)は、上院で9月15日に討論終結(クローチャー)の手続き採決が予定されたまま日程に変化はない。もっとも、これまで同法案に反対してきた法執行団体の一つである全米保安官協会が、上院指導部(トゥーン院内総務・シューマー院内総務)宛ての書簡で反対姿勢を「中立」に転換したことが判明した。同協会はかねて、法案の条項がマネーロンダリング対策の適用除外を通じて犯罪組織を利するおそれがあると警告していたが、「法案の複雑さと今後検討すべき論点の多さ」を理由に立場を軟化させたとしている(CoinDesk)。
また、米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は、2023年9月から2025年12月に金融機関等から提出された疑わしい取引報告(SAR)3万3,904件を分析し、カンボジア・ラオス・ミャンマーの詐欺拠点から発する暗号資産関連の投資詐欺に紐づく疑わしい資金移動が総額127億ドルに上ると発表した。イーサリアム・USDT・USDCなど少なくとも22種類の暗号資産が悪用され、多くがUSDTに交換された後にDeFiや海外取引所を経由して移動していたとされる(Decrypt)。
前回既報のコインベースによる個別株パーペチュアル先物のSEC届出(CFTC承認待ち)について、本日新たな続報は確認できなかった。
日本
前回既報の金融庁による暗号資産の金融商品取引法(金商法)移行に向けた制度整備について、本日新たな進展の確認はできなかった。BITPOINTとSBI VCトレードによる9銘柄の取扱廃止(10月28日13時)についても、本日新たな続報は確認できなかった。
テクニカル分析
ビットコイン(BTC)
RSI(14日)はおよそ48と中立圏に転じており、前回の「64・買われすぎに至らない買いシグナル」から一段落した格好である。移動平均線は方向感が割れており、20日線(7万9,710ドル)・100日線(7万8,958ドル)・200日線(7万8,579ドル)は現在値を下回り「買い」を示す一方、5日線(7万9,915ドル)・50日線(8万145ドル)は現在値を上回り「売り」を示している。短期的な反落で強気シグナルの純度が下がったことを示唆する。オーダーフロー分析では7万7,165ドルが崩れると弱気転換の警戒ラインとされ、7万9,730〜7万9,920ドル圏を上回って定着できるかが強気シナリオ確認の分かれ目である(現在値はこの節目付近で綱引きが続いている)。上値では8万5,000ドルを明確に上抜けられるかが次の焦点とされている(Investing.com)。
イーサリアム(ETH)
直近のサポートは2,438〜2,450ドル圏、レジスタンスは2,534〜2,550ドル圏とされ、この節目を挟んだ一進一退が続いている。2,438ドルを維持できれば9月中により高い水準を目指す展開も見込めるとされる一方、割り込むと2,220ドル、さらに心理的節目の2,000ドルまで下押しリスクが高まるとの解説がある。市場心理を示すFear & Greedインデックスはおよそ73〜75と「グリード」圏を維持しており、価格の調整局面でも投資家心理は楽観に傾いたままとされる(Sunday Guardian Live、Cointelegraph)。
業界トピック
- FinCENが東南アジア発の暗号資産投資詐欺に127億ドルの疑わしい資金移動を特定したことは、暗号資産マネーサービス業者(報告件数の55%)と銀行(報告額の64%)の双方から多数の届出が上がっていたことを示しており、業界全体の資金洗浄対策の課題として重く受け止められている(Decrypt)。
- 大きなハッキング・詐欺事件の新規発生は、本日確認できる範囲では見当たらなかった。
- Zcashの急騰・ビットコインドミナンスの上昇はいずれも本日の業界内の資金シフトを象徴する動きであり、上記の各セクションで詳述した。

