前回からの変化

前回(2026-10-14、10月13日の値)との比較である。値は各ページの10月14日時点の表示値で、確定終値ではない。

変わったこと(変化・新規)

  • 銀は前回の59.16ドルから55.64ドルへ(3.52ドル安)急落し、弱気派が挙げる50ドルが視野に入る水準まで下げた(TradingEconomics: Silver)
  • 金は前回の4,160.77ドルから4,105.35ドルへ(55.42ドル安)下げ、支持線とされる4,100ドルにほぼ接した(TradingEconomics: Gold)
  • 米9月CPIが予想を上回り、10月の利上げ確率は前回の20%未満から約50%へ急上昇した。12月の利上げ確率は88%から約99%へ上がった(TradingEconomics: Gold)
  • 天然ガスは前回の3.32ドルから3.29ドルへ小幅に押し戻された。温暖な予報が上値を抑えている(TradingEconomics: Natural gas)
  • 小麦は前回の668.25セントから673.5セントへ小反発した(TradingEconomics: Wheat)

昨日と同じこと(継続)

  • フーシ派とサウジアラビアの衝突が原油の供給不安として続き、ブレントは106ドル台、WTIは95ドル前後で高止まりしている
  • 黒海の休戦協議への期待が小麦の重しとなる構図が続いている
  • 米利上げ観測が貴金属の重しとなる構図が続いている

要因の連続性

  • 継続要因: 中東の供給不安、米利上げ観測、黒海の休戦期待、小麦の需要者による手当ての先送り
  • 新規要因: 米9月CPIの上振れ(前年比3.7%、前月比0.6%)による利上げ観測の一段の強まり。国際エネルギー機関(IEA)がディーゼル市場の逼迫は2027年まで続き得ると警告した
  • 解消した要因: 前回の天然ガス上昇要因だった全米生産の落ち込みは、10月の日量110.8億立方フィート(前回報告は110.6億)と大きく変わらず、新たな上昇材料にはならなかった。ドル高は本日の出典では言及がなく、材料から外れた

価格サマリー

商品 価格(2026年10月14日) 騰落率(前日比)
金(スポット) 1オンス4,105.35ドル 1.35%安
銀 1オンス55.64ドル 5.97%安
WTI原油 1バレル95.11ドル 1.03%高
ブレント原油 1バレル106.07ドル 0.36%高
天然ガス(Henry Hub) 1MMBtu 3.2864ドル 0.10%高

小麦は1ブッシェル673.5セント(0.64%高)。値は各ページの10月14日の表示値で、取得時刻は確認できていない。限月は各ページの代表値(期近)に基づく。

商品別動向

金・銀

TradingEconomics: Goldによると、金は4,105.35ドルで1.35%安、月間では4.36%安、前年比では2.46%安である。米9月の消費者物価指数(CPI)が前年比3.7%と予想の3.6%を上回り、前月比も0.6%と5か月ぶりの大きさだったことが売りを誘った。コアCPIも前年比2.6%、前月比0.3%と予想を上回った。金利を生まない金は、利上げ観測が強まると売られやすい。

銀はTradingEconomics: Silverによると55.64ドルで5.97%安、月間では12.58%安、前年比では4.78%高である。同じCPI上振れを受けた売りで、8月上旬以来の安値となった。工業用途も大きい銀は、金より政策金利の影響を受けやすいとされる。

Kitco: Latest Newsは、予想を上回る物価統計で10月の利上げが再び視野に入り、実質金利(物価上昇率を差し引いた金利)が上昇したと伝え、「金は4,000ドルを守れるか」と問う記事を掲載した。

原油

TradingEconomics: Brent oilによると、ブレントは106.07ドルで0.36%高、月間では2.46%安、前年比では71.33%高である。サウジアラビアとフーシ派の戦闘でサウジアラムコの施設も攻撃された。米海軍の活動でホルムズ海峡経由の出荷は続いており、サウジの9月の生産量は大きく増えた。国際エネルギー機関(IEA)は、ディーゼル市場の制約が2027年まで続き得ると警告している。

WTIはTradingEconomics: Crude Oilによると95.11ドルで1.03%高、月間では10.13%安、前年比では63.23%高である。中東での新たな攻撃が供給の不安を強めた。investingLiveの見出しも、フーシ派によるサウジ攻撃がホルムズ海峡をめぐる合意への期待を上回ったと伝えている。

天然ガス

TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hubは3.2864ドルで0.10%高、月間では12.59%高、前年比では8.97%高である。10月13日につけた3週間ぶりの高値から押し戻された。10月29日までの温暖な予報が暖房と冷房の需要を抑えると見られている。米国のLNG(液化天然ガス)向け原料ガス供給は10月に日量175億立方フィートで、9月の179億立方フィートを下回る。全米の生産は、ハリケーンによる海上生産の停止や不可抗力宣言、パイプラインの障害で、夏の過去最高(113.3億立方フィート)から10月は110.8億立方フィートへ減った。

農産物

TradingEconomics: Wheatによると、小麦は1ブッシェル673.5セントで0.64%高、月間では7.55%安、前年比では35.04%高である。ロシアとウクライナの休戦協議が浮上し、8月18日以来の安値圏にある。両国は世界の小麦輸出の4分の1超を占める。アジアの製粉業者は価格と黒海の混乱から、12月分までの短期の手当てにとどめている。

急変動の特集

銀が1日で5.97%安

銀は10月14日に59.16ドルから55.64ドルへ下げ、目安の1日3%超を大きく超えた。月間では12.58%安で、8月上旬以来の安値である(TradingEconomics: Silver)。

背景は米9月CPIの上振れである。物価が想定より強く、FRBが12月に利上げするとの見方がほぼ確実視されるようになった。銀は物価統計のたびに利上げ観測で大きく振れる展開が続いている。

生活・産業への波及は、直接には限られる。ただし銀は太陽光パネルや電子部品の材料でもあり、価格下落は部材コストの低下要因になり得る(推測)。物価全体では、エネルギー高が上振れの主因とされており、ガソリンや軽油を通じた負担が家計に残る。

強気派 vs 弱気派

金(中期は強気): UBPのピーター・キンセラ氏は、米財務省による金の再評価が「通貨価値の希薄化取引」を再燃させ得ると見る。金は利回り上昇による最悪の局面を過ぎた可能性が高く、イランをめぐる状況が改善してFRBの利上げ観測が和らげば、年末にかけて追い風になるとの見立てである(Kitco: Latest News)。

金(短期は弱気): Kitcoは、物価の上振れで年末に向けた引き締め路線が意識され、金が日中安値まで売られたと伝えている。インベスコは10月12日の分析で、金は高い債券利回りに耐えているものの、第4四半期の逆風は残ると見る(Kitco: Latest News)。

銀(弱気): ブルームバーグのマクグローン氏は、歴史的な上昇のあと、銀は1オンス50ドルまで戻り得ると指摘している(Kitco: Latest News)。

銀(中立): Sprottのケニー・ズー氏は、工業需要と鉱山供給の構造から、価格が上がっても供給が増えにくいと分析する(Kitco: Latest News)。

原油・天然ガス・農産物: 今回、発言者と根拠が確認できる強気・弱気の見解は少ない。IEAは2026年第4四半期のブレントを平均で約105ドルと予測しており、現水準に近い見方である(強気でも弱気でもない)。

地政学・物価関連ニュース

中東では、サウジアラビアとイランが支援するフーシ派の戦闘が続き、サウジアラムコの施設を含むエネルギー関連が攻撃を受けている。ホルムズ海峡では米海軍の活動で出荷が続くものの、供給の不安は消えていない(TradingEconomics: Brent oil)。ディーゼルの逼迫は物流費や運賃を通じ、食品や日用品の価格に波及し得る。

米国では9月CPIが前年比3.7%に上昇し、エネルギー価格の上昇が押し上げ要因とされる(TradingEconomics: Silver)。エネルギー高から物価高、利上げ観測、貴金属安という連鎖が、今日の相場の軸になった。

黒海では休戦協議への期待から小麦が8月18日以来の安値圏にあり、食品価格への波及には時間差があるとみられる(TradingEconomics: Wheat)。

テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)

移動平均線(50日・200日)とRSIの当日値は、今回の出典で確認できなかった。確認できた範囲で解説する。断定的な売買判断ではない。

金: 4,105.35ドルは、前回までに支持線とされた4,100ドルにほぼ接している。この水準を割り込むと、Kitcoが問いかける4,000ドルが次の節目として意識されやすい(Kitco: Latest News)。

銀: 55.64ドルは月間で12.58%下げ、8月上旬以来の安値水準である。弱気派のマクグローン氏が挙げる50ドルは、心理的な節目とされる水準である(TradingEconomics: Silver)。1日の下げが大きく、短期的には売られすぎの反動も起こり得るが、RSIの値は確認できていない。

原油(WTI): 95.11ドルは、前回挙げた50日移動平均線(87.03ドル、当日の再確認はできていない)を上回る。月間では10.13%安と、中東の供給不安と需要懸念のせめぎ合いが続く。

天然ガス: 3.2864ドルは、前回挙げた200日移動平均線(2.841ドル前後、当日の再確認はできていない)を上回る。月間で12.59%高と上昇基調は保たれているが、3週間ぶりの高値からは押し戻された。

小麦: 673.5セントは8月18日以来の安値圏にある。上値の目安としては、前回挙げた8月の高値7.67ドルがある。