前回からの変化
前回(2026-10-07)との比較である。前回レポートは10月6日の値を扱い、本レポートは10月7日の値を扱う。値はいずれも取引中の表示値で、確定終値ではない。
変わったこと(変化・新規)
- 金は前回の4,164ドル前後から4,110.66ドル(1.29%安)へ反落し、1か月超ぶりの安値をつけた。前回は反発していたが、一転して下げた(TradingEconomics: Gold)
- 銀は前回の61.36ドルから59.78ドル(2.53%安)へ下落し、8月初め以来の安値となった(TradingEconomics: Silver)
- 天然ガスは前回の3.12ドルから3.22ドル(3.29%高)へ上昇し、急変動の目安を超えた(TradingEconomics: Natural gas)
- 小麦は前回の約7.05ドルから6.86ドル(2.59%安)へ反落した(TradingEconomics: Wheat)
- ブレントは前回の101.17ドルから100.85ドル(0.27%高の表示)、WTIは前回の89.97ドルから88.94ドル(0.56%安)で、ほぼ横ばいだった(TradingEconomics: Brent oil、TradingEconomics: Crude Oil)
- 中国人民銀行が9月に金を21トン買い増し、3年ぶりの大きさの月間増加となった(Kitco: Latest News)
昨日と同じこと(継続)
- 高止まりする米長期債利回りとドル高が、金・銀の上値を抑える構図は続いている
- 中東の緊張とサウジの供給回復が綱引きする原油の構図は続き、ホルムズ海峡での船舶への攻撃報道による運賃高も続く
- 小麦では、黒海情勢への警戒が材料である点は前回と同じ
要因の連続性
- 継続要因: 高い債券利回りとドル高が貴金属の重し、ホルムズ海峡の安全懸念が原油の支え、サウジの東西パイプラインの稼働が原油の重しとなっている。小麦は黒海情勢への警戒が引き続き材料である
- 新規要因: FOMC議事要旨が追加利上げの可能性で意見が一致したことを示し、12月の利上げ確率は約80%(前回報道は約70%)へ高まって金・銀の重しとなった。原油には、サウジが主力油種の公式販売価格を地域指標比5ドル安に下げ、タンカーが湾から出港できているとの報が重しとして加わった。天然ガスは、米本土48州の産出が10月に日量1,117億立方フィートへ減ったこと、Freeport LNGの液化設備が復帰したことが支えとして加わった
- 解消した要因: 前回支えだった「10月の米利上げ確率の低下」は、議事要旨で後退した。天然ガスの重しだった記録的な産出は、産出減で和らいだ
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年10月7日) | 騰落率(前日比) |
|---|---|---|
| 金(スポット) | 1オンス4,110.66ドル | 1.29%安 |
| 銀 | 1オンス59.78ドル | 2.53%安 |
| WTI原油 | 1バレル88.94ドル | 0.56%安 |
| ブレント原油 | 1バレル100.85ドル | 0.27%高 |
| 天然ガス(Henry Hub) | 1MMBtu 3.22ドル | 3.29%高 |
小麦は1ブッシェル6.86ドル(2.59%安)。値はTradingEconomics: Goldなど各ページの10月7日の取引中の表示値で、取得は日本時間10月8日朝である。限月は各ページの代表値(期近)に基づく。
商品別動向
金・銀
TradingEconomics: Goldによると、金は4,110.66ドルへ1.29パーセント下落し、1か月超ぶりの安値をつけた。長期債利回りが数十年ぶりの高水準へ急上昇して保有コストが高まり、FOMC議事要旨が物価高に対抗する利上げの可能性で意見が一致したことを示した。月間では5.63パーセント安である。
銀はTradingEconomics: Silverによると59.78ドルへ2.53パーセント下落した。一時は3パーセント超下げて59ドル前後となり、8月初め以来の安値をつけた。ドル高とFRB(連邦準備制度理事会)の政策不透明感が背景で、市場は10月の据え置きと12月の利上げ(確率約80パーセント)を織り込んでいる。月間では9.08パーセント安である。
原油
TradingEconomics: Brent oilによると、ブレントは100.85ドルで、月間では3.00パーセント高である。サウジが主力油種の公式販売価格を地域指標比5ドル安に引き下げ、タンカーが湾から出港できていることが供給不安を和らげた。東西パイプラインは満稼働で、日量最大580万バレルを紅海側へ回している。一方、ホルムズ海峡での船舶への攻撃報道で運賃は高止まりしている。
WTIはTradingEconomics: Crude Oilによると88.94ドルへ0.56パーセント下落し、月間では4.40パーセント安である。米原油在庫は直近の週に300万バレル超減ったが、戦略備蓄は歴史的な低水準にある。
天然ガス
TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hubは3.22ドルへ3.29パーセント上昇し、月間では10.30パーセント高である。米本土48州の産出が10月に日量1,117億立方フィートと8〜9月の1,133億立方フィートから減り、Freeport LNGが液化設備の復帰で原料ガスの取り込みを増やした。EIA(米エネルギー情報局)の週間在庫積み増しは640億立方フィートと5年平均の800億立方フィートを下回る。米西部を中心に10月中旬まで平年より暖かい予報で、冷房需要が増える可能性がある。
農産物
TradingEconomics: Wheatによると、小麦は1ブッシェル6.86ドルへ2.59パーセント下落した。ロシア・ウクライナ戦争の激化懸念で黒海経由の穀物輸送が乱れるとの警戒は続くが、月間では6.06パーセント安である。前年比では35.24パーセント高である。
急変動の特集
天然ガス
天然ガスは10月7日に3.29パーセント高の3.22ドルとなり、1日で3パーセントを超えた。月間では10.30パーセント高で、前回の3.12ドルから一段高となった。要因は、米本土48州の産出が日量1,133億立方フィートから1,117億立方フィートへ減ったこと、Freeport LNGの液化設備が定期点検から復帰して輸出向けの需要が増えたこと、西部中心の暖かい予報である(TradingEconomics: Natural gas)。生活面では、ガス価格の上昇が冬場にかけて電気代・ガス料金へ波及する可能性があるが、現時点の水準は前年比3.50パーセント安にとどまる。前回フォローした原油は、ブレントが0.27パーセント高、WTIが0.56パーセント安と、1日の変動は小さかった。
強気派 vs 弱気派
金・銀(強気): LBMA(ロンドン貴金属市場協会)の会合参加者は、金が12か月以内に5,000ドル、銀が97ドルへ上昇するとみている(Kitco: Latest News)。CPM Groupは、エネルギー危機・根強いインフレ・債券利回りの急上昇が短期的な逆風になるとしつつ、長期見通しは前向きとしている。人民銀行の9月の21トンの買い増しも需要の根拠として報じられた。
金・銀(弱気): YieldMaxのKhouw氏は、5.3パーセントの債券利回りは金と競合すると述べた。ただし通貨の価値下落は止められないとも付け加えた(Kitco: Latest News)。FOMC議事要旨は追加利上げの可能性を示し、12月の利上げ確率は約80パーセントで、無利子資産の金・銀の重しになる(TradingEconomics: Silver)。
原油(弱気): ロイター調査(エコノミスト・アナリスト31人)では、ブレントの2026年平均予想は84.50ドルで、5月時点の90.44ドルから引き下げられた。JPMorganも、第4四半期のブレントを80ドルとみている。ホルムズ海峡の通航が続き供給不安が和らいだことが根拠とされる(IDN Financials: Hormuz returns to normal, analysts cut 2026 oil price forecasts)。これらは本日ではなく、最近の報道である。
原油(強気): 発言者付きの強気の見解は確認できなかった。なお TradingEconomics の予測モデルは、ブレントを年末106.60ドル、12か月後121.00ドルとしている(TradingEconomics: Brent oil)。同サイトの機械的な予測で、個別の発言者の見解ではない。
天然ガス・農産物: 本日確認できた発言者付きの強気・弱気の見解はない。
地政学・物価関連ニュース
ホルムズ海峡では船舶への攻撃報道が続き、運賃が高止まりしている。一方、サウジは東西パイプラインを満稼働とし、公式販売価格を下げて供給拡大の姿勢を示した。原油高が長引けばガソリン・軽油を通じて物価を押し上げる経路になる(TradingEconomics: Crude Oil)。
FOMC議事要旨は、AIの設備投資が関税に代わる物価上昇の主因になっているとの見方にも触れており(Kitco: Latest News)、インフレ圧力の持続が金利と貴金属に影響している。
黒海では、ロシア軍のウクライナ側インフラへの攻撃強化と、ウクライナ側のロシアのエネルギー施設への攻撃で、穀物回廊が脅かされている。2026年7月以降、供給が大きく制約されたままで、小麦高は製粉・食品価格へ波及する可能性がある(TradingEconomics: Wheat)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
本日は、移動平均線(50日・200日)とRSIの当日値を出典で確認できなかった。確認できた範囲で、前回までに示された水準と現在値の位置関係を解説する。断定的な売買判断ではない。
金: 4,110ドルは、前回示した4,250ドル付近の抵抗帯を下回り、次の支持とされた4,000ドルに近づいた。1か月超ぶりの安値圏で、4,000ドルを割るかが焦点とされる水準である。
銀: 59.78ドルは、前回の下値の目安だった60.30ドルを割り込んだ。8月初め以来の安値で、下方向への勢いが強いとみられる。
原油(WTI): 88.94ドルは、前回挙げた50日移動平均線(87.03ドル)の少し上にある。この線が下値の目安とされるが、当日の再確認はできていない。
天然ガス: 3.22ドルは、前回挙げた200日移動平均線(2.841ドル前後)から一段と離れた。上昇が速く、短期的には買われすぎ圏に入る可能性があるが、RSIの値は確認できなかった。
小麦: 6.86ドルは、前回の約7.05ドルから下げ、9月30日につけた1年超ぶりの安値を再び試すかが注目される位置にある。8月28日の高値7.67ドルとの差は広がった。

