前回からの変化
前回(2026-10-03)との比較である。前回レポートは10月2日の取引を扱っており、間に週末を挟む。
変わったこと(変化・新規)
- 金は前回の4,223ドル前後から、10月5日は4,135ドル前後(約2.1%安)へ反落し、4,200ドルの大台を再び割り込んだ。Kitcoによると、4,250ドル近辺の支持を週内に下抜けた
- OPECプラスは10月4日に11月の生産目標の据え置きを決めた。前回は「会合は予定されているが正式決定は未確認」としていた事項が確定した(The National)
- ブレントは前回の99.35ドル(取引中の値)から100.15ドルへ、WTIは89.35ドルから89.20ドルへ動いた。ただし前回の値は10月2日の取引中のもので、TradingEconomics: Brent oilの10月5日の2.05%安は約102ドルからの下落にあたる
- 銀は前回の60.39ドルから61.05ドル(10月5日に1.14%高、TradingEconomics: Silver)、天然ガスは3.04ドルから3.08ドル(1.43%高、TradingEconomics: Natural gas)へ上昇した
- 小麦は前回の6.83ドルから1ブッシェル6.915ドル(1.24%高)へ上昇した。前回は黒海輸送の再開協議が重しだったが、ロシア・ウクライナ双方がインフラ攻撃を強めるとの警戒が材料に変わった(TradingEconomics: Wheat)
昨日と同じこと(継続)
- 前回に続き、米長期金利の高止まりとドル高が貴金属の上値を抑えている(TradingEconomics: Gold)
- 中東情勢への警戒とG7の備蓄放出という綱引きが、原油の値動きを決めている構図は変わらない(TradingEconomics: Crude Oil)
- 天然ガスは、記録的な米国産出と堅いLNG輸出が併存し、平年並みの気温見通しという前回と同じ構図が続く
要因の連続性
- 継続要因: 高い米長期金利とドル高が金・銀の重しとなっている。G7の備蓄放出が原油の重しとなり、中東の緊張が下支えとなる構図も前回と同じである
- 新規要因: 金には原油高が物価を押し上げ引き締めが長引くとの見方が強まった点が加わった。原油にはSaudi Aramcoによる11月のアジア向けArab Light販売価格の引き下げ(指標比で1バレル5ドル安)が下押し材料として加わった。小麦にはロシア・ウクライナの攻撃強化への警戒が加わった
- 解消した要因: 前回の金の追い風だった弱い米雇用統計の影響は薄れた。ただし利上げ観測の後退(10月の利上げ確率は約20%)自体は維持されている。前回の小麦の重しだった黒海輸送再開への期待は後退した
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年10月5日) | 騰落率(前日比) |
|---|---|---|
| 金(スポット) | 1オンス約4,135ドル | 約0.1%安 |
| 銀 | 1オンス61.05ドル | 1.14%高 |
| WTI原油 | 1バレル89.20ドル | 2.10%安 |
| ブレント原油 | 1バレル100.15ドル | 2.05%安 |
| 天然ガス(Henry Hub) | 1MMBtu 3.08ドル | 1.43%高 |
小麦は1ブッシェル6.915ドル(1.24%高)。金はKitcoの取引中の値で、TradingEconomics: Goldは4,140ドルと表示している。そのほかはTradingEconomicsの10月5日の表示値で、確定終値ではなく、出典間で数ドル程度ずれる場合がある。
商品別動向
金・銀
Kitcoによると、現物金は4,135ドル前後と、前回の約4,223ドルから下げた。米10年債利回りは5.3パーセントを超えて2002年以来の高さとなり、10年の実質金利も2.9パーセントを上回った。利息を生まない金を持つ機会費用が高まっている。ブレントが100ドル近辺にあることもインフレ懸念を通じて重しとなった。
銀はTradingEconomics: Silverによると61.05ドルへ1.14パーセント上昇した。ただし月間では7.7パーセント安で、高い利回りとドル高が戻りを抑えている。Kitcoは、メキシコの7月の銀生産が1,056万オンスで前年同月比2.3パーセント減だったとも伝えている。
原油
The Nationalによると、OPECプラスの中核7か国は10月4日、11月の生産目標を据え置くことで合意した。中東紛争で湾岸産油国の輸出が通常の6〜8割程度にとどまっており、実際の産出は割当を下回っている。次回会合は11月1日である。
TradingEconomics: Crude Oilによると、10月5日はWTIが89.20ドルへ2.10パーセント安となり、月間では4.12パーセント安である。Saudi Aramcoが11月のアジア向けArab Lightの販売価格を指標比5ドル安へ引き下げたことと、G7による1億バレルの備蓄放出が重しとなった。ブレントはTradingEconomics: Brent oilで100.15ドルである。
天然ガス
TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hubは3.08ドルへ1.43パーセント上昇した。10月中旬の気温が低めとの予報、9月に日量179億立方フィートへ増えたLNG輸出向け供給、欧州・アジアの在庫積み増しが支えである。一方で9月の米本土48州の生産は日量1,133億立方フィートと過去最高で、10月16日までは平年並みの気温の見通しが需要を抑える。
農産物
TradingEconomics: Wheatによると、小麦は1ブッシェル6.915ドルへ1.24パーセント上昇した。ロシア国防省が攻撃の強化を表明し、ウクライナ側もロシアのエネルギー施設への攻撃を続ける方針を示したため、7月以降制約が続く黒海の穀物輸送路へのさらなる混乱が警戒された。月間では5.31パーセント安である。
急変動の特集
特集なし。10月5日の主要商品はいずれも1日で3パーセントを超える変動に届かなかった。前回フォローした原油は、WTIが2.10パーセント安、ブレントが2.05パーセント安と落ち着いた下落にとどまった。
強気派 vs 弱気派
金(弱気): 貴金属アナリストのHeraeusは、金の下落は高い債券利回り、ドル高、高い原油価格が買い需要を上回った結果だと分析した。エネルギーコストがインフレを高止まりさせ、金融引き締めが長引く可能性があるとし、ホルムズ海峡周辺の地政学リスクが外交的な緩和を限っていると指摘する(Kitco)。
金(強気): 発言者が確認できる新たな強気の見解は本日は見つからなかった。参考として、TradingEconomicsのモデルは第4四半期の金価格を4,237ドルと予測している(TradingEconomics: Gold)。これは特定の発言者の相場観ではなく、モデル予測である。
原油(強気): UBSのジョバンニ・スタウノボ氏は、ホルムズ海峡の流量が増えても、湾岸産油国の産出は割当を大きく下回ったままだと述べた。供給の逼迫が続くという見方である(The National)。
原油(弱気): 発言者付きの弱気の見解は確認できなかった。弱気材料としては、Saudi Aramcoの販売価格引き下げとG7の備蓄放出がある(TradingEconomics: Crude Oil)。
銀・天然ガス・農産物: 本日確認できた発言者付きの強気・弱気の見解はない。
地政学・物価関連ニュース
OPECプラスが生産目標を据え置いても、中東紛争で湾岸産油国の輸出は通常の6〜8割程度にとどまる。原油高はガソリンや軽油を通じて物価を押し上げ、金融引き締めが長引く観測を支えている(Kitco)。
Saudi Arabiaの東西パイプラインは、攻撃の報道がある中でも稼働を続けている(TradingEconomics: Brent oil)。
穀物では、黒海輸送への脅威が高まり、小麦を通じて製粉・食品価格に波及する可能性がある(TradingEconomics: Wheat)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
金: Kitcoによると、4,250ドルは何度も試された上値の抵抗帯で、その下の4,000ドル付近が年初来安値圏の次の支持とされる。前回は4,213〜4,223ドルの抵抗帯の上端にいたが、今回は反落して4,100ドル台に戻った。月間では6パーセント安である。移動平均線とRSIの当日値は確認できなかった。
銀: 61.05ドルは、前回挙げた60.30ドルの下値の目安の上にある。移動平均線とRSIの当日値は確認できなかった。
原油(WTI): 前回、一時88.06ドルまで下げて1か月ぶり安値をつけた後、89ドル台で推移している。前回の次の目安は50日移動平均線(87.03ドル)だった。移動平均線とRSIの当日値は確認できなかった。断定的な売買判断ではなく、目安の水準である。
天然ガス: 3.08ドルは、前回近づいていた200日移動平均線(2.841ドル前後)から引き続き離れている。移動平均線とRSIの当日値は確認できなかった。
小麦: 6.915ドルは、8月28日の高値7.67ドルを下回る水準にある。移動平均線とRSIの数値は確認できなかった。

