前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 前回はGoogleの「Gemini 4 Argon」が指標上で先頭に立った日だったが、本日はOpenAIが反撃した。Dataconomyによると、開発者会議で「GPT-6.1 Sol」を公開した。前回扱った「GPT-6.1 Astra」の公開中止を受けた、価格を武器にする現実路線の一手である(Gizmodo)
- 競争の軸が「どのモデルが一番強いか」から「近い性能をいくら安く出せるか」へ広がった。Solは入力100万トークン2ドル・出力同10ドルで、Astraの5分の1とされる(The Next Web)
- 新顔枠では、前回の中国電信系Xing4.0とは種類の異なる、Apple製の文書読解モデルLensVLM-9Bが取り上げ対象になった
昨日と同じこと(継続)
- AIエージェントに実務権限を持たせる流れが継続。前回のManus「Cue」やMetaのエージェントに続き、本日はOpenAIの常時稼働エージェント「Dots」とAgents APIが加わった
- 前回の指標上の比較対象だった「Claude Opus 5.5」は、本日も比較の基準線として登場している。Anthropic側の新しい発表は今回確認できなかった
要因の連続性
- 継続要因: 前回に続き、エージェントの安全性への懸念が背景にある。Solは、安全上の理由で見送られたAstra後継の代わりとして出てきた経緯を持つ
- 新規要因: 価格競争。Astra級に近い性能を大幅に安くする動きが、新たに競争の軸に加わった
- 解消した要因: なし。「GPT-6.1 Astra」の公開見送りは続いている
本日のハイライト
The Next Webによると、OpenAIは9月29日の開発者会議DevDayで「GPT-6.1 Sol」を公開した。コーディングやパソコン操作、業務タスクで最上位モデル「GPT-6 Astra」にほぼ並ぶ性能を、標準トークン価格の5分の1で提供する位置づけである。API価格は入力100万トークンあたり2ドル、出力同10ドル、キャッシュ済み入力は0.10ドルで、通常入力より95パーセント安い。
OpenAI自身が示した数値では、ソフトウェア開発評価「DeepSWE v1.1」でAstraと同等、業務自動化評価「AutomationBench」ではAnthropicの「Claude Opus 5.5」を2.2ポイント上回り、コストは約3分の1という。事実の誤りの割合も、推論の負荷を低くした設定で11.4パーセントから7.7パーセントに下がったとされる。これらはいずれもOpenAIの自社発表であり、第三者の追試はまだ確認できていない。
主要企業のリリース
Solは、ChatGPTの業務向け機能「ChatGPT Work」とCodex、およびAPI(モデル名は gpt-6.1-sol)で、Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu利用者に提供されている。通常のチャット画面にはまだ入っていない(Dataconomy)。生成速度を最大8倍にする「Ultrafast」版も近く提供される予定だ。
BenchLMの整理では、DevDayで「Dots」「ChatGPT Space」「Agents API」などが発表された。Dotsはクラウド上のコンピューターで動き続ける常時稼働型エージェントで、4,000以上のアプリと連携し、Proなどの利用者から順次提供される。ただしBenchLMは、速度向上は必ずしもタスク完了時間の短縮に比例しないと注意を促している。
ChatGPTには10月1日、TechCrunchによると、衣類や小物の仮想試着機能とお気に入り保存機能が世界で提供された。自撮りや全身写真を上げると、ショッピング結果の「Try On」ボタンから着用イメージを確認できる。新しい画像生成モデル「ChatGPT Images 2.5」を使っており、OpenAIはサイズや着心地を保証しないと注記している。
新興AI・注目の新顔
Appleの研究チームが公開した「LensVLM-9B」が、Hugging Faceのトレンドに入っている(公開は9月21日)。Qwen3.5-9Bを土台にした90億パラメータの画像言語モデルで、文章を画像として5倍・10倍・15倍に圧縮して全体を眺め、質問に関係するページだけを学習済みのツールで元の解像度に戻して読む。長い文書を丸ごとコンテキストに入れずに答えられる点が従来との違いである(pasqualepillitteri.it)。
モデルはApple独自の研究用ライセンス、コードはApple Sample Code Licenseで公開されており、一般的なオープンソースライセンスではない点に注意が要る。Transformers、vLLM、SGLangで動かせ、GitHubにデモがある。性能値はモデルカードに載っておらず、論文(arXiv 2605.07019)側の評価を確認する必要がある。
AI開発手法
OpenAIはBenchLMによると、エージェントの実行基盤を預けられる「Agents API」を公開ベータにした。実行環境の用意や処理の管理をOpenAI側が担うため、自前でインフラを組まずにエージェントを動かせる。Codexの新しいコマンドライン版では、音声でタスクを始められ、複数の作業を追う「/agents」画面も使える。多くの機能がベータや段階提供のため、使える地域・プランの確認が必要だ。
AIを利用した新しいサービス
ChatGPTの試着機能は上記の通り。既存の商品検索に「自分に着せてみる」工程が加わった形で、無料で使えるかどうかは記事に明記がない。同様の機能はGoogleが2025年に先行しており、新規性は大きくない。
トレンドのAI活用法
特筆すべきトレンドなし。
LLM性能比較・得意分野
新しい第三者比較は確認できなかった。OpenAIの自社発表では、Solは業務自動化の「AutomationBench」でClaude Opus 5.5を2.2ポイント上回り、パソコン操作評価「OSWorld 2.0」ではAstraに2.1ポイント差まで迫るとされる(The Next Web)。評価条件の詳細は確認できておらず、前回のGemini 4 Argonの結果と同一条件で比べた情報もない。
研究・技術
LensVLMの論文は、長い文章を画像として圧縮し、必要な部分だけ展開する「選択的コンテキスト展開」を提案している。モデルとコードがすでに公開されているので、長文書の質問応答を試す道具として近いうちに使える段階にある。ただし性能はAppleの論文の範囲での話であり、他の長文脈手法との同一条件の比較は未確認である(Hugging Face)。

